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第二章 曽祖母を求めて…

第五話 レオナリア・テールナール

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 レオナリアは扉のドアノブに手を掛けた…時にここまでの経緯を振り返りながら大きな溜息を吐いた。

 レオナリアの幼少の頃は特にこれといった能力を持たぬ普通の子供だった。

 いえ…両親から愛情を受けれず、妹が姉の欲しがっているものを奪い取られる事は普通では無い。

 曽祖母はどうやってその事を知ったのか分からなかったけど…そんな私を憐れに思って何度か会いに来てくれた。

 そして来る度に曽祖母から贈り物を貰っていたのだけど、曽祖母が家に帰った後にそれを見たルーナリアがくれくれが発動し、それを拒むと両親に告げ口されて奪われて行った。

 次に曽祖母が訪ねて来た時に、曽祖母から贈られた物がルーナリアの胸に付いていた事を不審に思った曽祖母は私の部屋で服を脱がせて体を見た。

 そこには無数の傷や痣があったのを見られ、両親に抗議をしてくれたらしいのだけど…曽祖母が家に帰った後に告げ口をしたという事で折檻を受けていた。

 その次だったかな?

 曽祖母が訪ねて来た時に以前と変わらないと判断した曽祖母は、私に曽祖母の秘術として…1冊のグリモアールを授けてくれた。

 このグリモアールは願うと手に出現し、必要がない時は体内にしまわれるという魔法の書物だった。

 そして仮に他の者がグリモアールの中を見ても白紙で本人しか見えないように施されているという物だった。

 これならルーナリアに奪われる事はないと思って、部屋にいる時はグリモアールを愛読するのが楽しみだった。

 グリモアールには様々な事が書かれていた。

 薬草学の他に生産系技術の数々、その他には魔法を使う方法なども書かれていた。

 だけど、攻撃に関する魔法は一切描かれてはいなかった。

 私は魔法の欄を見て行くと…最後にこう書かれていた。

 【今のレオナリアに攻撃魔法を教えてしまうと、虐待して来た両親や妹に使いかねないし…何より魔法を持っている事がバレたら大事になるので、使う事は極力避ける事。】

 そしてそこに描かれていた魔法は、生活魔法と呼ばれる物や便利魔法という物で一切攻撃的な魔法は描かれていなかった。

 レオナリアは自室に篭っている間に、次々とグリモアールに書かれている魔法を所得して行った。

 当然だけど、グリモアールに書かれている魔法を全て取得出来るわけではなかった。

 そしてレオナリアはその時にも虐待をされていたが、虐待をされない為にはどうしたら良いかと考えた時に、薬草学に描かれていた薬草を液状化して使う事を思い付いた。

 そこで完成された薬品がポーションだった。

 ポーション完成により、両親からの虐待は無くなった。

 それどころか、今までに碌に与えてもらえなかった食事にもありつける様になっていた。

 その理由は、ポーションを作り出す事に子爵家はどんどん裕福になっていた。

 だけど食事は相変わらず酷い物で何度か倒れた事がある度にどやされていた。

 「ポーション作りは体力を凄く使うんです! この量の食事では全く足りません‼︎」

 テールナール子爵はその態度に腹を立てて食事を与える事はしなかったのだが、翌日になってポーションの製作量が極端に減っていることに気付き…それ以降は普通の食事が与えられるようになっていた。

 それ以外にもポーション作りに必要だったのは体力以外に魔力も必要だった。

 このポーションという薬品は、完成までに多くの量の魔力を必要とされた。

 魔力は使わないと増える事はない…がその問題もポーション作りで解決していた。

 とにかく…毎日のノルマの量がえげつない量だった。

 初めの頃は10本が1日に作れる最高の量だったんだけど…日を追う毎に作れる量が増えると、ノルマもその分多くなって行った。

 でも流石に毎日毎日とやるのは辛くなるので、週に1度の休みを設けてもらえるように進言したが却下された。

 なので別の方法で休みを設ける事に成功した。

 ポーションの制作量は変わらない代わりに、質を落としたのだった。

 当然…質を落とせば効果が薄いという事で子爵家にクレームが来た。

 父親はそれを私の所為にしたけど、発注した薬草の質が落ちた物だと言うと…新たな薬草が送られるまでの間の長期休暇を得たのだった。

 私はポーション作りで最近ではステータスを見ていなかったけど、魔力量が桁違いの量を保有していることに気付いた。

 これなら長期休暇の際に、今迄に取得出来なかった魔法を片っ端から取得して行くと…全ての魔法を取得する事に成功した。

 …と、話が少し逸れましたね。

 樹海に降り立ってから曽祖母の家を探している間は、当然の事ながら魔物の襲撃を受けた。

 その時の私に攻撃魔法がなくて、ひたすらに発光という光魔法を使用して魔物を退けていたんだけど…当然だけどその魔法に効果の無い魔物もいた。

 そういった場合は、箒に乗って空に上がってやり過ごしたりもしていた。

 そのお陰で曽祖母の家探しに時間を喰ったのだった。

 「目印が空から見たくらいじゃ分からないのは分かっていたけど…地上に降りないと目印があるなんて思わないでしょ!」

 私が曽祖母の家の前を2回も素通りしたのには理由があった。

 樹海なのであっちこっちに地面に生えている草がボーボーなのは分かりきっていた。

 私は何とか曽祖母の家を見つける為に注意していたが…そんな事で見つかる程、すぐに発見出来る物ではなかった。

 では何で曽祖母の家が発見出来たかと言うと…鑑定魔法を使用する事を思い付いたからだった。

 鑑定魔法を使用して大木を探し回っていたが発見が出来なかった…代わりに、その一角の場所に薬草が生い茂っている場所があった。

 他の場所は全てタダの雑草だったので、曽祖母の目標はここだと思って大木に近付いたのだが…扉らしきものは見当たらなかった。

 「ここじゃないのかな…?」

 そう思っていたら、グリモアールが突然光り出して…その光によって扉が出現したのだった。

 「用意周到すぎじゃないかしら…」

 私は出現した扉のドアノブを掴むと鍵が掛かっていて動かなかった。

 …と思ったら、何気にグリモアールを扉に近付けてみると鍵が開いてドアを開ける事に成功した。

 これで曽祖母と御対面…と思っていたのだけれど?
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