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最終話 真実とそして…
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カインとマリアは、10日かけて王国に戻った。
そしてカインは、伯爵家に戻り、ハイウィンド伯爵に事の真実を告げた。
「なるほど、アベル卿の話は全くの嘘ではなかったのか…」
「はい、父様…なぜ、僕は父様の実の子ではないと仰って下さらなかったのですか?」
「それは亡き姉の遺言だったのだ。 カインに隠して実子として育ててやって欲しいと…」
「そうだったのですね…」
「それにしても、お前が大婆様の生まれ変わりで…マリアが叔母の父の生まれ変わりとは…」
まぁ、確かに…こんな話を信じろという方が無理な話だ。
だけど、真実を告げた今では、ハイウィンド伯爵もカインの話を信じるしかなかった。
「あ、そうだ! アベル卿が港から王国に向かってくるという話が来たのだが、それについてはどうする?」
「それについては、マリアに考えがあるそうです。 父様、これからクライネート侯爵家に僕と出向いては戴けませんか?」
「それは…悪だくみか?」
「はい、アベルをぎゃふんと言わせるための悪だくみです。」
2人はクライネート侯爵家に赴くと、マリアから計画実行の話を聞いた。
そこにはマリアの父である、バーン侯爵も話に加わっていた。
そしてマリアが悪だくみの話の一部始終を説明すると、バーン侯爵とハイウィンド伯爵はニヤリと笑ってから…
「「後の事は任せろ‼」」
そういって屋敷から出て行った。
その後は、準備が着々と進められ…
その3日後に、ファーランス伯爵家のカインとクライネート侯爵家のマリアの婚約発表が行われる会場に、国王陛下や王妃殿下、スチュアート公爵家に様々な貴族も招待された。
その面子のほとんどは、アベルとマリアの婚約発表の場にいた貴族達だった。
少し違ったのは、来賓客の中にアンジェリーナ商会とガーデニア商会の編集部の2人がいた事だった。
そしてパーティは始まり、アベルが王国内に入ると同時に婚約発表が始まるという様に仕組んでいるのだった。
「アベル卿がこちらの会場に向かっております。」
「わかった、マリア!」
クライネート家の執事の合図により、バーン侯爵はマリアに告げた。
マリアは頷くと、カインはマリアの手を取って中央に来た。
『お集りの紳士淑女の皆様、今宵はカイン伯爵令息とマリア侯爵令嬢の婚約披露会にお越しに戴き、誠にありがとございます! では、カインとマリアに……』
「その婚約は認めない‼」
会場が中央の2人に集中しているその時、アベルが会場に現れた。
カインとマリアは顔を合わせてニヤリと笑うと、アベルの方を見た。
アベルは息を切らしながら、2人の元に来た。
「カイン! 僕という前世の恋人を差し置いて…マリアと婚約なんて何を考えているんだ⁉ それに、マリアだってそうだ‼ 何故君は僕とカインの仲を引き裂こうという真似をする⁉」
「ならアベルに聞きたいんだけど、カインの前世の女性の名前を言ってみなさい!」
「え…いや…それは…」
「じゃあ、僕からもアベルに聞きたいんだけど、アベルの前世での夢では、君は相手の男だったのかい?」
「僕が見た時の夢では、2人が仲良く睦まじいく愛し合っているから、カインはその女性に似ていたので、相手の男は僕に間違いないと…」
カインとマリアはお互いの顔を合わせて、笑いあった。
それを見ていた周りの貴族たちは、呆気に取られていた。
『皆様に御報告があります! アベルの言っている前世の夢の話は真実です!』
マリアがそう高らかに宣言すると、周りの貴族たちはざわついた。
そしてアベルは鼻高々に自信に満ちた表情でいた。
『ただし、アベルが前世でカインに似た女性の相手がアベルだった訳ではありません!』
「え…何を言っているんだ、マリア…?」
アベルはマリアを見て言った。
「では、昔話を致します。」
吟遊詩人がリュートを物悲しげなメロディを奏でた。
「今から100年以上前、砂の国デューレグスで王位継承7位だったダナンは、自然災害で壊滅的な被害を被り、その一族は各地に散り散りに流浪の旅をし、ダナンはとある伯爵家の使用人となりて仕えた。 そこで出会った伯爵令嬢のサフィリアと恋仲になり子を宿した。 だが、王位継承資格があったとはいえ、いまは国は無い元貴族…2人は伯爵様に認められる事は無かった。」
そして、レクイエムの様な曲を奏で始めると、マリアは更に続けた。
「伯爵様に認められなかった、ダナンとサフィリアは来世での巡り会いを近い、毒を飲んで自害した。」
アベルは、うんうんと頷いた。
これで、僕とカインが結ばれるという話の前提になると確信した。
「そして、その時のダナンが私の前世…カインの前世がサフィリアだった。」
「ちょっと待て! ダナン…という名前は知らなかったが、それが僕だ‼」
マリアはアベルを無視して話を続けた。
「そしてアベルが何故、その時の事を知っていたか…それは、ダナンが砂の国で過ごしている時に子供の頃から面倒を見ていて、伯爵家に一緒にお世話になっていた猿のシェスパーがアベルだったのです。 私は覚えています、ダナン…つまり私が毒を飲み、次にサフィリアが毒を飲んだ後、シェスパーも毒を飲んで…そして誓いました。 僕達は3人は来世でも一緒にいようと!」
「ちょ…ちょっと待て! じゃあ、僕は猿だったのか? あの時一緒に毒を飲み、来世で一緒になると誓ったのは…」
「貴方は…いえ、シェスパーが頭の良い猿でした。 ダナン…前世の私といつも一緒に過ごし、私の言葉を理解していましたが、猿は言葉を喋りませんので、彼の名前がダナンという事も、彼女の名前がサフィリアという事も言葉のニュアンスで捉えていた位でハッキリと覚えていなくても仕方がありません。」
貴族の間から、クスクス…という笑い声が聞こえて来た。
アベルは恥ずかしくなって顔を赤くした。
「私の夢で見た前世の映る納屋の景色は、サフィリアお嬢様と近くにいた猿のウィスパーでした。」
「僕の見ていた景色は、褐色の肌のダナンと猿のウィスパーだったね。 ウィスパーは最初は中々懐いてくれなくて苦労した記憶があるよ!」
「そ…そんな! そんな‼ 僕が猿だった…なんて……⁉」
アベルはショックを受けていた。
それは当然か…前世で自分はダナンだとばかり思っていた訳だったのだから…
「ところがこの話にはまだ続きがあります…2人と1匹は毒を飲んで自害した…のですが、医者の治療によりサフィリアは助かり、お腹の子供も無事でした。 ですが、毒の副作用により記憶の障害でサフィリアは自分の名前すら思い出せない状態でダナンとの子供を産むと、その後とある貴族に嫁ぎ…1人の女の子を産みました。 最初に生まれたダナンの子は伯爵家が引き取り、そのもう1人の腹違いの妹は、2人の男の子と女の子を産みました。 その男の子がハイウィンド伯爵で、その女の子が帝国貴族に嫁ぎ生まれた子供がカインです。」
「では、カイン様はハイウィンド伯爵の実子ではないのですか?」
「それが亡き姉の遺言で、カインは実子として育てよと…」
複雑な環境で育ったカインを憐れむ者もいた。
だが、カインはそんな事を物ともしないで胸を張っていた。
『では、詳しい話はまた後日お話致しますが、とりあえず本日は…わたくしカイン・ファーランスとマリア・クライネートの婚約発表を致します。 皆様、これからも末永く見守っていて下さい!』
会場から拍手が喝采した。
王族や貴族方々から、祝福の声が響いていた。
そしてアベルを見ると、落ち込んだ姿で歩いているアベルをオルテガが肩を支えて会場から出て行った。
こうしてみると、少し哀れに感じるが…だが、100年の時を経て再会出来たのだから、この程度で関係が壊れる訳はないと思った。
そんな時、アンジェリーナ商会のマテリア女史がやってきて質問した。
「前世では男女逆だったんですよね? では、やはりマリア譲がカイン様を婚約に?」
「そういえば、用意やら準備やらでその事をすっ飛ばしていたね。 なら今からで良いか…」
カインはマリアを抱き寄せて言った。
「マリア・クライネート…前世からの約束通り、今度は僕が君を一生幸せにすると誓うよ!」
するとマリアは、少し考えるとカインを抱き寄せて言った。
「何言っているのよ、カインお嬢様! 私が貴方を一生幸せにするのよ!」
「あれ?立場が逆になっちゃった…」
その光景に会場からは、笑いと拍手が巻き起こった。
そして、その後…
この2つの婚約騒動は、新たなるロマンス小説の1冊として世界に販売された。
そしてカインは、伯爵家に戻り、ハイウィンド伯爵に事の真実を告げた。
「なるほど、アベル卿の話は全くの嘘ではなかったのか…」
「はい、父様…なぜ、僕は父様の実の子ではないと仰って下さらなかったのですか?」
「それは亡き姉の遺言だったのだ。 カインに隠して実子として育ててやって欲しいと…」
「そうだったのですね…」
「それにしても、お前が大婆様の生まれ変わりで…マリアが叔母の父の生まれ変わりとは…」
まぁ、確かに…こんな話を信じろという方が無理な話だ。
だけど、真実を告げた今では、ハイウィンド伯爵もカインの話を信じるしかなかった。
「あ、そうだ! アベル卿が港から王国に向かってくるという話が来たのだが、それについてはどうする?」
「それについては、マリアに考えがあるそうです。 父様、これからクライネート侯爵家に僕と出向いては戴けませんか?」
「それは…悪だくみか?」
「はい、アベルをぎゃふんと言わせるための悪だくみです。」
2人はクライネート侯爵家に赴くと、マリアから計画実行の話を聞いた。
そこにはマリアの父である、バーン侯爵も話に加わっていた。
そしてマリアが悪だくみの話の一部始終を説明すると、バーン侯爵とハイウィンド伯爵はニヤリと笑ってから…
「「後の事は任せろ‼」」
そういって屋敷から出て行った。
その後は、準備が着々と進められ…
その3日後に、ファーランス伯爵家のカインとクライネート侯爵家のマリアの婚約発表が行われる会場に、国王陛下や王妃殿下、スチュアート公爵家に様々な貴族も招待された。
その面子のほとんどは、アベルとマリアの婚約発表の場にいた貴族達だった。
少し違ったのは、来賓客の中にアンジェリーナ商会とガーデニア商会の編集部の2人がいた事だった。
そしてパーティは始まり、アベルが王国内に入ると同時に婚約発表が始まるという様に仕組んでいるのだった。
「アベル卿がこちらの会場に向かっております。」
「わかった、マリア!」
クライネート家の執事の合図により、バーン侯爵はマリアに告げた。
マリアは頷くと、カインはマリアの手を取って中央に来た。
『お集りの紳士淑女の皆様、今宵はカイン伯爵令息とマリア侯爵令嬢の婚約披露会にお越しに戴き、誠にありがとございます! では、カインとマリアに……』
「その婚約は認めない‼」
会場が中央の2人に集中しているその時、アベルが会場に現れた。
カインとマリアは顔を合わせてニヤリと笑うと、アベルの方を見た。
アベルは息を切らしながら、2人の元に来た。
「カイン! 僕という前世の恋人を差し置いて…マリアと婚約なんて何を考えているんだ⁉ それに、マリアだってそうだ‼ 何故君は僕とカインの仲を引き裂こうという真似をする⁉」
「ならアベルに聞きたいんだけど、カインの前世の女性の名前を言ってみなさい!」
「え…いや…それは…」
「じゃあ、僕からもアベルに聞きたいんだけど、アベルの前世での夢では、君は相手の男だったのかい?」
「僕が見た時の夢では、2人が仲良く睦まじいく愛し合っているから、カインはその女性に似ていたので、相手の男は僕に間違いないと…」
カインとマリアはお互いの顔を合わせて、笑いあった。
それを見ていた周りの貴族たちは、呆気に取られていた。
『皆様に御報告があります! アベルの言っている前世の夢の話は真実です!』
マリアがそう高らかに宣言すると、周りの貴族たちはざわついた。
そしてアベルは鼻高々に自信に満ちた表情でいた。
『ただし、アベルが前世でカインに似た女性の相手がアベルだった訳ではありません!』
「え…何を言っているんだ、マリア…?」
アベルはマリアを見て言った。
「では、昔話を致します。」
吟遊詩人がリュートを物悲しげなメロディを奏でた。
「今から100年以上前、砂の国デューレグスで王位継承7位だったダナンは、自然災害で壊滅的な被害を被り、その一族は各地に散り散りに流浪の旅をし、ダナンはとある伯爵家の使用人となりて仕えた。 そこで出会った伯爵令嬢のサフィリアと恋仲になり子を宿した。 だが、王位継承資格があったとはいえ、いまは国は無い元貴族…2人は伯爵様に認められる事は無かった。」
そして、レクイエムの様な曲を奏で始めると、マリアは更に続けた。
「伯爵様に認められなかった、ダナンとサフィリアは来世での巡り会いを近い、毒を飲んで自害した。」
アベルは、うんうんと頷いた。
これで、僕とカインが結ばれるという話の前提になると確信した。
「そして、その時のダナンが私の前世…カインの前世がサフィリアだった。」
「ちょっと待て! ダナン…という名前は知らなかったが、それが僕だ‼」
マリアはアベルを無視して話を続けた。
「そしてアベルが何故、その時の事を知っていたか…それは、ダナンが砂の国で過ごしている時に子供の頃から面倒を見ていて、伯爵家に一緒にお世話になっていた猿のシェスパーがアベルだったのです。 私は覚えています、ダナン…つまり私が毒を飲み、次にサフィリアが毒を飲んだ後、シェスパーも毒を飲んで…そして誓いました。 僕達は3人は来世でも一緒にいようと!」
「ちょ…ちょっと待て! じゃあ、僕は猿だったのか? あの時一緒に毒を飲み、来世で一緒になると誓ったのは…」
「貴方は…いえ、シェスパーが頭の良い猿でした。 ダナン…前世の私といつも一緒に過ごし、私の言葉を理解していましたが、猿は言葉を喋りませんので、彼の名前がダナンという事も、彼女の名前がサフィリアという事も言葉のニュアンスで捉えていた位でハッキリと覚えていなくても仕方がありません。」
貴族の間から、クスクス…という笑い声が聞こえて来た。
アベルは恥ずかしくなって顔を赤くした。
「私の夢で見た前世の映る納屋の景色は、サフィリアお嬢様と近くにいた猿のウィスパーでした。」
「僕の見ていた景色は、褐色の肌のダナンと猿のウィスパーだったね。 ウィスパーは最初は中々懐いてくれなくて苦労した記憶があるよ!」
「そ…そんな! そんな‼ 僕が猿だった…なんて……⁉」
アベルはショックを受けていた。
それは当然か…前世で自分はダナンだとばかり思っていた訳だったのだから…
「ところがこの話にはまだ続きがあります…2人と1匹は毒を飲んで自害した…のですが、医者の治療によりサフィリアは助かり、お腹の子供も無事でした。 ですが、毒の副作用により記憶の障害でサフィリアは自分の名前すら思い出せない状態でダナンとの子供を産むと、その後とある貴族に嫁ぎ…1人の女の子を産みました。 最初に生まれたダナンの子は伯爵家が引き取り、そのもう1人の腹違いの妹は、2人の男の子と女の子を産みました。 その男の子がハイウィンド伯爵で、その女の子が帝国貴族に嫁ぎ生まれた子供がカインです。」
「では、カイン様はハイウィンド伯爵の実子ではないのですか?」
「それが亡き姉の遺言で、カインは実子として育てよと…」
複雑な環境で育ったカインを憐れむ者もいた。
だが、カインはそんな事を物ともしないで胸を張っていた。
『では、詳しい話はまた後日お話致しますが、とりあえず本日は…わたくしカイン・ファーランスとマリア・クライネートの婚約発表を致します。 皆様、これからも末永く見守っていて下さい!』
会場から拍手が喝采した。
王族や貴族方々から、祝福の声が響いていた。
そしてアベルを見ると、落ち込んだ姿で歩いているアベルをオルテガが肩を支えて会場から出て行った。
こうしてみると、少し哀れに感じるが…だが、100年の時を経て再会出来たのだから、この程度で関係が壊れる訳はないと思った。
そんな時、アンジェリーナ商会のマテリア女史がやってきて質問した。
「前世では男女逆だったんですよね? では、やはりマリア譲がカイン様を婚約に?」
「そういえば、用意やら準備やらでその事をすっ飛ばしていたね。 なら今からで良いか…」
カインはマリアを抱き寄せて言った。
「マリア・クライネート…前世からの約束通り、今度は僕が君を一生幸せにすると誓うよ!」
するとマリアは、少し考えるとカインを抱き寄せて言った。
「何言っているのよ、カインお嬢様! 私が貴方を一生幸せにするのよ!」
「あれ?立場が逆になっちゃった…」
その光景に会場からは、笑いと拍手が巻き起こった。
そして、その後…
この2つの婚約騒動は、新たなるロマンス小説の1冊として世界に販売された。
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