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第三話 油断
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「……様、僕は身分が違いますが、貴女のそばにいても宜しいのでしょうか?」
「わたくしは好きでもない人に嫁がされる身、もしも貴方が望むのならわたくしを連れ出して…」
みすぼらしいが顔立ちと体格がしっかりした青年は、僕を見て言った。
どうやら僕は、夢の中では貴族の令嬢らしい…
そして、青年の顔が近付いて目を見て言った。
「……様、僕は君を…死が2人を別つまで愛します。」
「嬉しいわ、……。 貴方とならわたくしは平民になっても構わないわ…」
そして熱い口づけを交わした所で目が覚めた。
目が覚めると、そこは自分の部屋のベッドの上だった。
夢見は最悪だった。
僕は寒さを感じた。
両手はベッドの手すりに縛られて、掛けていた筈の布団を剥がれ、更にはシャツのボタンも外されていた。
曖昧な状態で意識がはっきりしてくると、目の前には上半身裸になっていたアベルがいた。
「カイン…君の寝顔も可愛いね…」
アベルはそう言って、僕の頬にキスを……って!?
「アベル! なんで君がここにいるんだ!?」
僕は完全に目が覚めた。
だが、アベルはまるで自然の様に振舞いながら、僕の耳元で囁いた。
「カインの事を考えていたら、居ても立っても居られないくてね。 早朝にカインを訪ねてきたらまだ寝ているから起こしてあげようと思ったんだけど… 可愛い顔で寝ていたから、愛おしくなってきて、起こさない様に両手をベッドの手すりに縛ってシャツのボタンを外して…」
「いや、そういう事じゃなくて! 何で僕の部屋にいるんだよ! マリアの謝罪はどうした!?」
「マリアはちっとも僕の話を聞いてくれなくてね…」
「マリアに許しを請うまで一切合わないと言ったじゃないか、君は約束も守れない人間になったのか?」
「カイン、そんな小さい事を気にしていたら駄目だよ。 せっかく綺麗な顔が醜く歪むじゃないか…」
「誰か! 来てく…」
僕はアベルに手で口を塞がれながら、アベルはこう言った。
「駄目だよカイン… 人が来てしまうじゃないか! そんな悪い事を言う口にはこうしてあげる。」
アベルは顔を近付けて、手をどけてから僕の口にキスを…
する寸前で僕は頭を横にずらし、アベルのキスをかわした。
そして、アベルの頭に頭突きをした。
アベルは起き上がって頭を押さえている。
僕はこの隙に…
「誰か来てくれ! 誰でも良いから早く!」
その話を聞いて、メイドが3人部屋に入ってきた。
メイド達は縛られて肌をさらけ出しているカインと、上半身裸でカインに馬乗りになっているアベルをみて唖然としていた。
「父上とモーガンを呼んできてくれ! アベルがおかしくなってしまったんだ!」
昨日の出来事は、家族はまだ話していない。
父上にも報告をしようとしたのだが、昨日は会えなかったので報告は朝にするつもりだった。
メイドの1人が部屋を出ていくと、父上と執事のモーガンを連れてきた。
「アベル卿、息子に何をしているのだ!?」
「愛しいカインに朝の挨拶を…」
執事のモーガンにアベルは引き離されて、メイドに手の拘束を解いてもらった。
カインの父、ハイウィンド伯爵は頭を押さえて言った。
「昨夜の事は、人伝に聞いてきたが… まさか本当だったとは!」
「父上、アベルをお願いします!」
「当然だ! アベル卿よ、此度の事はオルテガ卿に抗議させてもらう!!」
「カイン… そんなに僕の事が嫌なのかい?」
「寝ている間に手を拘束してから、シャツのボタンを外されて馬乗りになって体を触る幼馴染の事なんて、嫌になるに決まっているだろ! 君はやって良い事と悪い事の区別の出来ないのか!?」
アベルはシュンとした顔で部屋から連れ出された。
いくらアベルが公爵令息で、国に貢献して職位を受け取っているとは言っても、他人の部屋に入ってきて好き勝手が許される筈もない。
アベルは外まで連れ出されると、屋敷の外に止まっている自分の馬車で帰って行った。
そして、僕は父上と今後の事についての話をした。
メイドから聞いたのだが、アベルは玄関から入って来た訳ではなかった。
なら、アベルはどこから入って来たのか?
部屋の窓にも鍵が掛かっていた筈なのに、壊された形跡もない。
僕はモーガンとメイド達に徹底的に部屋を調べて貰ったが、何も発見されなかった。
その日の夕刻、ハイウィンド伯爵はスチュアート公爵であるオルテガに抗議をした。
帰ってきた父に、アベルは部屋で謹慎を言われて見張りまで付けられる羽目になった。
だがこれで終わりではなかった。
アベルは次にとんでもない行動を起こそうとしていた。
「わたくしは好きでもない人に嫁がされる身、もしも貴方が望むのならわたくしを連れ出して…」
みすぼらしいが顔立ちと体格がしっかりした青年は、僕を見て言った。
どうやら僕は、夢の中では貴族の令嬢らしい…
そして、青年の顔が近付いて目を見て言った。
「……様、僕は君を…死が2人を別つまで愛します。」
「嬉しいわ、……。 貴方とならわたくしは平民になっても構わないわ…」
そして熱い口づけを交わした所で目が覚めた。
目が覚めると、そこは自分の部屋のベッドの上だった。
夢見は最悪だった。
僕は寒さを感じた。
両手はベッドの手すりに縛られて、掛けていた筈の布団を剥がれ、更にはシャツのボタンも外されていた。
曖昧な状態で意識がはっきりしてくると、目の前には上半身裸になっていたアベルがいた。
「カイン…君の寝顔も可愛いね…」
アベルはそう言って、僕の頬にキスを……って!?
「アベル! なんで君がここにいるんだ!?」
僕は完全に目が覚めた。
だが、アベルはまるで自然の様に振舞いながら、僕の耳元で囁いた。
「カインの事を考えていたら、居ても立っても居られないくてね。 早朝にカインを訪ねてきたらまだ寝ているから起こしてあげようと思ったんだけど… 可愛い顔で寝ていたから、愛おしくなってきて、起こさない様に両手をベッドの手すりに縛ってシャツのボタンを外して…」
「いや、そういう事じゃなくて! 何で僕の部屋にいるんだよ! マリアの謝罪はどうした!?」
「マリアはちっとも僕の話を聞いてくれなくてね…」
「マリアに許しを請うまで一切合わないと言ったじゃないか、君は約束も守れない人間になったのか?」
「カイン、そんな小さい事を気にしていたら駄目だよ。 せっかく綺麗な顔が醜く歪むじゃないか…」
「誰か! 来てく…」
僕はアベルに手で口を塞がれながら、アベルはこう言った。
「駄目だよカイン… 人が来てしまうじゃないか! そんな悪い事を言う口にはこうしてあげる。」
アベルは顔を近付けて、手をどけてから僕の口にキスを…
する寸前で僕は頭を横にずらし、アベルのキスをかわした。
そして、アベルの頭に頭突きをした。
アベルは起き上がって頭を押さえている。
僕はこの隙に…
「誰か来てくれ! 誰でも良いから早く!」
その話を聞いて、メイドが3人部屋に入ってきた。
メイド達は縛られて肌をさらけ出しているカインと、上半身裸でカインに馬乗りになっているアベルをみて唖然としていた。
「父上とモーガンを呼んできてくれ! アベルがおかしくなってしまったんだ!」
昨日の出来事は、家族はまだ話していない。
父上にも報告をしようとしたのだが、昨日は会えなかったので報告は朝にするつもりだった。
メイドの1人が部屋を出ていくと、父上と執事のモーガンを連れてきた。
「アベル卿、息子に何をしているのだ!?」
「愛しいカインに朝の挨拶を…」
執事のモーガンにアベルは引き離されて、メイドに手の拘束を解いてもらった。
カインの父、ハイウィンド伯爵は頭を押さえて言った。
「昨夜の事は、人伝に聞いてきたが… まさか本当だったとは!」
「父上、アベルをお願いします!」
「当然だ! アベル卿よ、此度の事はオルテガ卿に抗議させてもらう!!」
「カイン… そんなに僕の事が嫌なのかい?」
「寝ている間に手を拘束してから、シャツのボタンを外されて馬乗りになって体を触る幼馴染の事なんて、嫌になるに決まっているだろ! 君はやって良い事と悪い事の区別の出来ないのか!?」
アベルはシュンとした顔で部屋から連れ出された。
いくらアベルが公爵令息で、国に貢献して職位を受け取っているとは言っても、他人の部屋に入ってきて好き勝手が許される筈もない。
アベルは外まで連れ出されると、屋敷の外に止まっている自分の馬車で帰って行った。
そして、僕は父上と今後の事についての話をした。
メイドから聞いたのだが、アベルは玄関から入って来た訳ではなかった。
なら、アベルはどこから入って来たのか?
部屋の窓にも鍵が掛かっていた筈なのに、壊された形跡もない。
僕はモーガンとメイド達に徹底的に部屋を調べて貰ったが、何も発見されなかった。
その日の夕刻、ハイウィンド伯爵はスチュアート公爵であるオルテガに抗議をした。
帰ってきた父に、アベルは部屋で謹慎を言われて見張りまで付けられる羽目になった。
だがこれで終わりではなかった。
アベルは次にとんでもない行動を起こそうとしていた。
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