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第三章

第十八話 ライゼン王国

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 あれから2日後…
 俺とルーミィは、やっとの思いでライゼン王国に着いた。
 流石にこの大陸の王都と呼ばれるだけあって、今迄の街に比べて規模が桁違いに広かった。
 他の王都もこれくらい広いのだろうか?
 今度、行く事があったら…是非確かめてみよう。

 「…と、冒険者ギルドは何処だ?」
 「冒険者ギルドは、主に街の中心に位置し…青い屋根が特徴の3階建ての建物ですよ。」
 
 ルーミィは俺にそう言った。
 考えてみれば、レクシアードの冒険者ギルドもそんな建物だったと思い出した。
 俺達は冒険者ギルドに到着すると、中に入ろうとしたが…その前に、ルーミィの服装を見た。
 ハーフエルフという種族は、エルフには嫌われて、人間にはあまり良い印象が持たれないという。
 そんなルーミィが、耳を出した姿で中に入れば、少なからずとも…ルーミィには嫌な思いをする可能性がある。
 俺は地図を見て服屋を探したが、それらしき店が見つからなかった。

 「参ったな、服屋が無いか…ルーミィ、この街で服類を売っている店はないか?」
 「服だけ…という店は無いですね。総合販売店と言われる、商業ギルドならあります。」
 「その場所は分かるか?」
 「はい、本来…お父様の商品を納品する場所は、この街の商業ギルドだったので…」
 「ルーミィは、その商業ギルドに何度か行っていたりするか?」
 「はい、そこのギルマスとも昔から懇意にさせて貰っていますよ。今回の事を報告をしなければなりませんし…」

 だとすると、ルーミィを連れて行けば…話がスムーズになるか。
 俺がライゼン王国の冒険者ギルドが管轄する場所に、腰を落ち着けられる様になれば…この街の商業ギルドに世話になるだろうし。
 ルーミィの案内で、俺は商業ギルドに着いた。
 商業ギルドは、冒険者ギルド以上に大きな建物だった。
 大きさ的には、ちょっとしたデパート並みの大きさだった。
 俺は中に入ると、ルーミィは受付の……フクロウか?に話をしていた。

 「ルーミィは、なんか普通に話している……というより、この商業ギルドには人間が全く見当たらないな。」

 …言った通り、客に人間は居ても、店員に人間は居なかった。
 様々な獣人族と、獣族……と呼ぶべきだろうか?
 フクロウやフェレット、大ネズミやカエルなどが店内を忙しそうに走り回っていた。
 
 「なんだか、不思議な空間だな。それに熊も………って、テディールベアーか⁉︎」

 俺は思わず身構えたが、テディールベアーはペコリと頭を下げてから、詰んである木箱を持って何処かに行ってしまった。
 あれって、大人しいのもいるんだな?
 俺は姿が見えなくなるまで、テディールベアーを目で追った。

 「どうやらアイツは、襲っては来ないみたいだな?この店は、魔物も従業員として雇っているのか…」

 テディールベアーには、碌な思い出がない。
 なので、どうしてもあの姿を見ると身構えてしまう。
 …と、そんな事よりも…フード付きの服は無いものか?
 俺は羊毛族の女店員に聞いたが、この大陸は本来は常夏の様な暖かさの大陸なので、最近では少し厚めの服は入荷しているが、コートの類は無かった。

 「コートですか…」
 「あぁ、これから冒険者ギルドに行くのだが、フード付きのコートとか無いものかと思ってな。」
 「あ、ルーミィさん用の…ですよね?う~~~ん…」

 羊毛族の女店員は、服のある場所を探してみたが、やはりフード付きのコートとか類は無いという。
 代わりに、ベレー帽っぽい帽子を持って来て言った。

 「この帽子などは如何ですか?」
 「この帽子でも、耳までは隠れないよな?」
 「確かに、この帽子を被っても耳は隠れませんが、この帽子には認識阻害系の術式が施されておりまして…これを被ると、ルーミィさんでも人間の子供に見えるという優れ物なんです。」

 俺は帽子を手に取った。
 これもいわゆる…マジックアイテム的な物なのだろうか?
 だが、これで人間に見えるというのなら、問題は無いだろう。

 「よし、これを貰おうか…幾らだ?」
 「いえ、これはギルマスからルーミィさんに渡す為に取り寄せた物なので、お金を頂く様な真似は出来ません。」
 「そうか……そのギルマスに礼を言わないとだな。あと、ルーミィが見掛けないが?」
 「ルーミィさんは、福マスの元で話をしておられてます。今回の経緯の話と今後についてのお話をする為に…」
 「あれ、本来はギルマスに話をする物では無かったのか?」
 「現在ギルマスは、冒険者ギルドのレクシアード支部に居られますね。3時間ほどすれば…戻って来ると思いますが。」
 「は?今はレクシアードに居るんだよな、3時間くらいで戻って来れるのか?」
 「はい、大丈夫ですよ。ですので、もしもギルマスにお会いになされるのでしたら、3時間後……冒険者ギルドでの用事を済ませてから、お越し頂ければ。」

 此処からレクシアード迄は、普通に進んでも3週間は掛かるんだが……って、ギルマスは転移魔法が使えるとかか?
 それとも、空を飛ぶ乗り物を所持しているとかか?
 …で無ければ、3時間でとても戻って来れるとは思えん。
 まぁ、そこは異世界という事で納得をするか。
 しばらく店の入り口で待っていると、ルーミィが戻って来たので、先程貰った帽子をルーミィの頭に被せてやった。
 俺の目には、いつものルーミィにしか見えなかったが…?
 周囲の反応を見ると、驚いた様な表情をしていた。
 
 「俺は異世界人だから、特に変化が見られないのか?」

 多分、そういう事なのだろう。
 俺はルーミィに、これから冒険者ギルドに向かう事を伝えると、商業ギルドから出て…冒険者ギルドに向かったのだった。
 
 「ルーミィ、これから中に入るが……本当に認識阻害は効いているんだよな?」
 「さっき鏡を見たけど、帽子を取らない限りは、私の姿は人間の子供の姿になっていましたよ。」

 俺には何度見ても、ハーフエルフの姿の子供が帽子を被っている様にしか見えない。
 でも、本人がそう言っているのなら…間違いは無いんだろう。
 俺とルーミィは、冒険者ギルド内に入って行くと…?
 中は他の冒険者ギルドと同じ作りになっていた。
 そして受付に声を掛けると、中から…ハムスターなのか?
 そんな姿で着物みたいな服を着ている…人?が出て来た。

 「いらっしゃいませ、本日はどの様なご用でしょうか?」

 応対は別に普通だな。
 もしかしたら、何か変な言語が混じっているかと思ったが…?
 そんな事を考えながら話をしようとすると、ルーミィは受付のハムスターを見て、顔を赤くしながら、とても驚いている表情をしていた。

 「テルヤさん、この人………今迄に見た事がない位に綺麗な人です!」
 「あら、ありがとうございますね。」

 そう言って、ハムスターの受付嬢は…ルーミィの耳元で「貴女もとても可愛らしいわね、ハーフエルフのお嬢さん」と言った。
 俺はその言葉を聞いた時に、ハムスターの受付嬢を見たが…?
 ハムスターの受付嬢は、俺にウィンクをしていた。
 どうやら、受付嬢という事からして、何か特殊な能力を持っているのだろうと思った。

 「それで、本日はどの様な御用ですか?」
 「実は…」

 俺はまず自分の用事の前に、ルーミィの馬車の件を話した。
 そして、その時に護衛していた者が勇敢に戦って命を落とした話と、護衛の任を放り投げて逃亡した者達を報告し、命を落とした冒険者のギルドカードを渡した。
 ハムスターの受付嬢は、そのギルドカードを確認し、近くに待機していた小さなハムスターに命令をすると、小さなハムスター達は冒険者ギルドを飛び出して行った。

 「今のは、一体?」
 「これで、この方のパーティーメンバーがすぐに捕まる事になります。情報をありがとう御座いました。」
 
 ハムスターの受付嬢は、俺に深々と頭を下げた。
 そんな事よりも、あんな…モルモットより少し大きいハムスターが、冒険者を捕まえる事なんて出来るのだろうか?
 寧ろ、そちらの方が気になっていた。
 そんな俺を、ルーミィが耳打ちした。

 「多分、あのハムスターの方々は、ライゼン王国の最強の冒険者ギルドに所属する、ハムハム傭兵団の方々ですね。彼等は皆がSランクを持っていて……彼等に目を付けられた者は、地の果てまでも追い詰めるとか…」
 「あんな見た目で、そんなに能力が高いのか?」

 やはり、異世界というのは…色々と不思議なんだと思った。
 そして俺は早速自分の話をする為に、レクシアード支部のギルドマスターから渡された手紙を渡した。

 「これは…ファークスチァ様のお手紙の様ですね。ふむふむ………」

 ハムスターの受付嬢は手紙に中身を見ると、俺を見てから目を見開いて凝視して来た。
 あの手紙には、何が書いてあったんだ?
 俺は咳払いをすると、ハムスターの受付嬢は俺にギルドカードの提示を行って来た。

 「な!……あの、テルヤ様……オークの集団の中に、鎧を纏ったオークがいらっしゃいませんでしたか?」
 「鎧を纏ったオーク?そう言えばいたな…」
 「それはオークジェネラルですよ!手強かったとか感じませんでしたか?」
 「あれ、オークジェネラルっていうのか。名前も偉そうだと思っていたら、だから鎧を着ていたのか、たかが二本足の豚の癖に…」
 「あの、オークジェネラルは限りなくSランクに近いですが、Aランクの魔物ですよ‼︎」
 「そうなのか…だが単なる豚だろ?」

 俺がそういうと、ギルド内が騒ついていた。
 俺はなんで騒いでいるのかが、意味が分からなかった。
 すると、後ろから声がして来た。

 「お、兄貴じゃ無いっすか!」

 俺が振り向くと、船で俺の事を兄貴と慕う冒険者が居た。
 すると、周囲の冒険者達が言った。

 「あの人は、Aランクのズィガンだよな?」
 「アイツと知り合いなのか?」

 そう言えば、ズィガンっていう名前だったっけ?
 クラーゴンとの戦闘の時に名前を聞いたが、あの時は緊急事態だったので、すっかり名前を忘れていたが…確かそんな名前だったな。
 俺はズィガンにお礼を言う為に近付いた。

 「世話になったなズィガン、お前のアドバイス通りに…俺も冒険者になる事が出来たよ。」
 「兄貴はランク幾つになりましたか?」
 「何でも、最初は俺にAランクになって欲しいと言われたんだが、Bランク以上になると指名依頼をさせられると言う話なので、俺はCランクでも良いと言ったんだが、クラーゴンを討伐した方にCランクでは……なんて言われてな、それで妥協してBランクになったんだ。」
 「さ、さすが兄貴ですね。クラーゴンがBランクに設定されている理由は、パーティーを組んでの討伐対象だったからBランクですが、ソロではAランクか、もしくはSランクでもおかしくは無いんですよ。」
 「たかが少し大きいタコ如きで大袈裟だよな、それに、此処に来る前にオークの集団とも戦ったんだが、鎧を着た偉そうな名前のオークを倒したと言ったら、ギルド内が騒めいたし…」
 「兄貴、それはオークジェネラルでは?」
 「たかが、鎧を着たっていう豚だろ?」

 ズィガンは受付嬢の方を見ると、受付嬢はコクリと頷いた。
 ズィガンは受付嬢の反応を見て、頭を抱えていた。

 「そういえばレクシアードのギルドマスターから、ギルドが管理する山の中に小屋を貸してくれると聞いたんだが。」
 「はい、ファークスチァ様からその様に仰せつかっております…が、その前にギルドマスターの許可が必要なので…少々お待ち頂けますか?」

 ハムスターの受付嬢は、そう言い終わると同時に階段を駆け上がって行った。
 しばらくするとハムスターの受付嬢は、更にハムスターの様な見た目の小柄なのを連れて来た。
 ハムスターの受付嬢はよりも、ハムスターと呼ぶには相応しい姿だった。

 「御主がファークスチァ様が仰っていた冒険者殿か?」
 「あぁ、テルヤという。」
 「この度は街道を騒がせる魔物の討伐をありがとうございました。」
 「街道を騒がせる…?あぁ、人の心の中にある恐怖の姿に変化する魔物か。別に対して強くも無かったから、感謝する必要は無いぞ。それに対する報酬も貰ったからな。」
 「あ、兄貴…賞金魔物のヴァウフーリガーを討伐したんですか⁉︎」
 「あれって、賞金が掛かっていたのか?それにしては、呆気なく死んだけどな。」
 「なぁ、ギルマス…これだけの手柄をしている兄貴が、何でBランクなんだ?」
 「あ、俺が断っているだけだ。俺は別に冒険者を本業にする気がないだけだ、俺の本業は鍛治職人だからな、ギルドカードを作ったのも…入国税が安くなったり、ギルド内で購入する物を手に入れ易くなったり、商業ギルドでは手に入らない素材を依頼出来たりできるというズィガンのアドバイスで、冒険者になっただけだ。だから、俺には……Sランクだろうが、Aランクだろうがどうでも良い事なんだよ。」

 俺がそう言うと、ズィガンは呆れながらも言って来た。

 「兄貴はやはり大物ですね。普通、冒険者は…ランクを上げる為に、日々努力や研鑽を積んで上を目指すと言うのに……」
 「その辺は吾も危惧しているところだ。これだけの手柄を上げている者がこのランクだと…有らぬ噂が立つかもしれないしな。」
 「そんな事よりも、俺の希望は叶うのか?」
 「あぁ、ギルドが管理する土地の件か…問題なく受理をするとしよう。」

 ギルマスはハムスターの受付嬢に命ずると、ハムスターの受付嬢は俺に書類を見せて来た。
 俺はその書類に目を通してから、サインをした。

 「これで、あの土地はテルヤ殿が好きにしても良い事になった。もしも何か不具合でもあれば、いつでも申してくれ。」
 「良し、早速…物件を見に行くとするか!あ、それと…ズィガン。」
 「何すか兄貴?」
 「悪いが、目的地までの護衛をお前達のパーティーにして欲しいんだが…頼めるか?」
 「兄貴の護衛っすか?いりますか…」
 「俺1人なら問題は無いが、今は連れもいるからな。」

 俺はそう言って、ルーミィをズィガンに紹介した。
 ズィガンはルーミィを見ると、頷いてみせた。

 「報酬は、銀貨300枚と……」
 「兄貴から金は取れませんよ‼︎」
 「いや、受け取ってくれ。それとズィガンが暫くライゼン王国近辺で仕事をするのなら、採集の依頼をズィガンに頼みたいんだ。それの報酬もちゃんと出すから…」
 「いやいや…船で兄貴に作ってくれた武器のお礼もまだ済んで無いと言うのに、これ以上…兄貴から貰うわけには行きませんから。」

 俺は船での移動中に玉鋼の刀以外で、余った材料で片刃剣のシミターを作ってやった。
 ズィガンは凄く嬉しがり、残りの航路で魔物が出て来ても対処を買って出てくれた。
 その為に俺は、余計な気を使わずに仕事に集中することが出来たのだが…?
 出現した蟹の魔物の甲羅を、まるでバターを斬るみたいに手応えを感じずに切断した事に驚きを隠せず、一生大事にすると俺に言って来た。

 「俺はそんな大層な物を渡したつもりは無いぞ?」
 「いやいや、一瞬魔剣かと思わせる切れ味ですよ‼︎それが大層な物じゃ無いなんて……兄貴は自分の造る武器の価値が分かっていないっすよ‼︎」

 何か…やたらベタ褒めしてくれるな?
 とりあえず手続きも終わったし、ズィガンには街の入り口で待ち合わせる事を伝えて、俺とルーミィ冒険者ギルドを出て、商業ギルドに向かった。
 
 さて、商業ギルドのギルドマスターは、どんな人物なのだろうか?
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