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第二章

第十三話 レクシアード大陸到着!

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 南国リゾートのレクシアード大陸、常夏の気候で、住人の着ている服はアロハシャツ……の筈が、そんな半袖のシャツを着ている者は誰も居なかった。
 気候は常夏どころか、初冬の様に薄ら寒い。
 数十年に一度の大雪は、去年に終わったのでは無かったのか?
 …と思っていたら、魔王が出現した事による気候の変化だった。

 「中央大陸は魔王の影響は無かったから、魔王の影響が近いこの場所は、こんな影響を受けるのか…?」

 そう言えば、老神から聞かされたな。
 中央大陸のある場所は、王都があり最強の騎士団が護りを固目ているから、魔王の配下が攻め込んで来ても撃退が出来ているが、それ以外の5つの大陸の周囲の魔大陸には魔王の居城があり、周囲にある大陸はその影響を受けていると
 だとすると、本来は常夏の大陸であるレクシアード大陸は、魔王の影響でこんなに寒い事になっているという訳か。
 この大陸に影響を及ぼす事が出来る魔王っていうのは、決して武闘派と呼ばれる…脳筋の魔王ではないだろうな?
 そんな魔王だったら、熱い季節を寒くさせるなんていう事は不可能の筈だ。
 俺はとりあえず、情報入手とある目的の為に、冒険者ギルドという場所に赴く事にした。

 「此処が冒険者ギルドというやつか。存在はあるのは知っていたが、実際に来たのは初めてだったな。」

 船で俺を兄貴と慕う冒険者から聞いた話だが、冒険者ギルドカードを発行して貰うと色々便利な事があるという。
 まず、入国税が安くなったり…これは、資金は今のところ問題はない。
 金が無い時の依頼…要はバイトみたいな事をして、金を稼ぐ事が出来るという事。
 逆に、依頼をする側にも出来るという事だ。

 「兄貴の場合、時間が足りなくて鉱石数が少なくなった際に、冒険者ギルドで依頼を出して足りない素材を発注したり出来ますよ。」
 「店の在庫がなかった場合は重宝するな。」
 「他にも、冒険者ギルドなら…魔石の取り引きが可能ですからね。これは、ギルドカードを所持しているものしか買えませんが。」
 「魔石…ねぇ?」

 船の鍛治施設の時に気付いたのだが、石炭にコークスを入れて火力を上げようとしたところ、船長が炎の魔石というのを分けてくれて、それを石炭と一緒に火を入れた所…瞬間的に温度が急上昇するだけでは無く、一定の温度を保たれる事を知ったのだった。
 これは大変便利だと気付かされたのだが、だったら何故…ロザリアのドワーフ族は使わなかったんだろう?
 この話を兄貴と慕う冒険者に聞いた所…?

 「ドワーフ族は、変な所で頑固で融通が効きませんからね。魔石は便利ですが、魔石=魔法の力と勘違いをして毛嫌いしているんですよ。ドワーフ族は魔法が使えませんからね、だから己のプライドに賭けて魔石は一切使用しないんですと聞いた事があります。」
 
 だから、ロザリアの街は石炭の煙があっちこっちから流れていたのか。
 ドワーフ族は、石炭から発生する煙は影響無いかもしれないが、人間には毒なんだよ。
 それから俺は、船長にどうして魔石を持っているのかを聞くと…?
 航路によっては、非常に寒い地域に行く事もあるので、炎の魔石を暖をとる事が出来るという話だった。

 「冒険者になる為にはテストがあるらしいというが、難しい内容で無ければ良いのだが…?」

 俺を兄貴と慕う冒険者は、「兄貴なら、楽勝っすよ!」…なんて、凄く適当な事を言われたが…?
 本当に大丈夫だろうか?
 俺はそう思いながら、冒険者ギルドの中に入って。
 そう言えば、ラノベやマンガでは…新参者がギルドに入ると絡まれると聞いた事があるが…?
 俺は内心ビクつきながら通路を進んで行くが、初めだけは中にいた冒険者に睨まれたが、すぐに視線を逸らされたのだった。

 「何だ、特に問題は無いんだな?」
 「いらっしゃいませ、冒険者ギルド・レクシアード支部にようこそいらっしゃいました。お見かけした所、新規加入者ですか?」

 俺は受付嬢に声を掛けられた。
 受付嬢は、ピンク色のウサ耳と水色の髪で、胸元がボリューミーなけしからん体型をしていた。
 まぁ、目の保養にはなるけどな。

 「あぁ、訳あって…ギルドカードというものが欲しくなったんだ。」
 「左様ですか、では…冒険者ギルドの規則やその他の事をお話し致しますね。」

 俺はウサ耳のギルド受付嬢から、一通りの規則や罰則を聞いた。
 ギルドカードは、ランクによっては…月1から半年に1度と何かしらの依頼を受けないと失効になるという話だった。
 俺が手に入れるギルドカードは、最低ランクだとばかり思っていた。

 「まずは、このギルドカードに血を1滴垂らして頂きます。その血の情報から、ステータスや称号などが表示されます。」
 「便利だな、書く必要が要らないのか。」
 「10年前迄は、用紙に記入を行なっておりましたが…便利な機能が発明されて、記入が不必要になったのです。血から情報を表示できる様にね。」
 「称号なんて見て、一体どうするんだ?」
 「冒険者になる前に、中位から上位の魔物や魔獣の討伐などを行なった事がある場合は、一番ランクの低いGランクからでは無く、その称号によっては高ランクからスタートという事もあるのです。まぁ、称号に刻まれる様な魔獣の場合にもよりますが…」
 
 だとすると、俺は…称号に刻まれる様な魔物は倒していないから、最低ランクからだな。
 だって、倒したのは巨大ダコだったし…?
 この世界の冒険者は、あんなのとしょっちゅう戦っているんだろ。

 「ギルドカードが完成致しました。ランクを決める為に、称号の確認を致しますね。」

 ウサ耳のギルド職員は俺のギルドカードを見ていると、急に目が見開いた。
 そして、ウサ耳のギルド職員は立ち上がってから、階段を駆け上がって行くと…暫くすると降りて来たのだった。

 「テルヤ様、当ギルドマスターがお待ちです。こちらへ…」
 「分かった」

 俺はウサ耳のギルド職員に案内をされると、ギルドマスターの部屋に通された。
 俺は何で呼ばれたのかと、ギルドマスターの部屋に入ると…そこには、子供の様な見た目の幼いウサ耳の少女が居た。
 きわどい水着…いや、あぶない水着か?…みたいな物を着ているが、子供体型に近い身体なので、全くときめかなかった。
 まだ…ウサ耳のギルド職員がこの水着を着てくれた方が…なんて考えていると、ギルドマスターの額にスジが出来ていた。

 「どうして男って、私の事を見ると同じ反応をするんでしょう。ねぇ、異世界人さん。」
 「⁉︎」

 俺のステータスボードには、確かに称号には異世界人とは書かれている。
 だけど、冒険者ギルドでギルドカードを作成する際には、隠蔽が働いて表記はされないと、老神から言われたのだ。
 その時の俺は、ギルドカードにはこんな便利な使い道があるとは思えなかったので、縁がない物だと思って聞き流していた。

 「ギルマス、このテルヤ様は異世界人様だったのですか?」
 「そうよ、この方には苗字があるでしょう?それに、この世界にない苗字特有の感じからすると、異世界人と認めたような物だしね。」
 「沈黙と驚きの表情で肯定したと思った訳か、俺はカマかけられたみたいだな…」
 「まだか、この方が勇者様でいらっしゃったとは…」
 「いや、違うぞ。俺は勇者として、この世界に来たわけではない。」
 「ですが、テルヤ様は…海の魔獣であるクラーゴンを討伐なされておるではありませんか!」
 「あぁ、あの巨大ダコか…あんな物は、冒険者だったら退治している奴も多いんだろ?」
 「いえ、討伐ランクがB以上の魔獣と認定されているのです。」
 「でも、1人で戦っていたという訳でも無いしな、協力者がいたから倒せたような物だ。」
 
 あの巨大ダコは、魔獣だったのか。
 だから、あんなに巨大だったのか…?
 なんて考えていると、目の前にいるウサギ2匹が、俺に背を向けて何か話し合っている。
 そしてギルマスがこちらを向くと、言って来た。

 「テルヤ=ザイエンジ様は、Bランクからスタートとなりま……」
 「いや、断る!先程の説明だと、Bランク以上は指名依頼があっても、断れないという話だからな…Cランクにしてくれ。」
 「クラーゴン程の魔獣を討伐された方が、Cランクでは格好が付きません。本当は、Aランクでも良いくらいなのに…」
 「そんな事を言って、指名依頼を俺にするつもりだったんだろ?先程の背を向けた話し合いで、絶対にタンクだけを決める話し合いとは思えなかったしな。」
 「くぅ………」

 俺を高ランクにして、指名依頼をさせて何かと戦わせ様とする魂胆だろうが、俺は勇者では無いと最初に言ったんだがな。
 悔しそうな顔に沈黙からすると、図星を刺されて反論出来ないんだろうな。

 「分かりました、正直にお話し致しましょう。」
 「正直に話された所で、俺が受けるとは限らんぞ。」
 「出来たら、受けて欲しいのです。報酬はイロを付けますので…」
 「別に要らん。金なら、生活に困らないほどに保有しているからな。」
 
 あれから幾らかは減ったが、それは銀貨が減っただけで…金貨は99枚手付かずだ。
 よほどの買い物でもしない限り、使い切るという事は無いだろう。
 すると、ギルマスは俺の目を見つめて来た。
 俺は何かと思ったが、先程の言動を考えるに…?

 「ギルマスは、読心術……いや、この場合はサトリか…それがギルマスのスキルだな?」
 「何故、それを⁉︎」
 「この部屋に入って来た時に、ギルマスは俺が思っていた事を口にしたからな。だから、そういうスキルを持っているんじゃ無いかと思っただけだ。」
 「あ、当たりです。」

 …と言っていた癖に、俺から視線を一切逸らさない
 ならば、報酬として…炎の魔石100個を願ってみると?

 「今はありません。」
 「知ってる、下の依頼書に炎の魔石高額買い取りっていうのが、デカデカと書いてあったからな。」
 「お、お願いします!我々では対処が出来なくて、困っているのです。」

 ギルマスは嘆くように言って来た。
 この感じからすると、相当に切羽詰まった感じと捉えられる。
 真っ向から否定しないで、話だけでも聞いてやるとするか…?
 
 話を聞いてみると、結構厄介な問題だった。
 だがその話を聞いて、俺はとある古典落語が対抗する対策だと思い付いた。
 
 さて、ギルマスの話は…一体どんな内容なのだろうか?
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