12 / 24
第二章
第十話 旅のお約束…・前編
しおりを挟む
俺は現在、豪華客船…という程ではないが、割と大きな客船に乗っている。
そして、何故俺が南東のレクシアード大陸を目指しているかというと?
この世界の南の方面は、割と気温が高い土地で…季節によっては、灼熱の様な気候になる場所だそうだ。
ただ、数十年に1回だけ…天候が乱れる時があって、その時には季節外れの大雪が降るという話だった。
でも、その数十年が去年に起きたという事なので、次の数十年は大雪に見舞われる事は無いという話だった。
「俺南国に行きたいのは、寒いのが大の苦手だからだ‼︎」
鍛治職人で工房務めの俺は、寒さとは全く無縁と感じるくらいに、灼熱の温度の中で鍛治仕事をしている。
俺は寒いのは滅法に弱いが、暑いのは…熱湯とかじゃなければ耐えられるのだ。
だから、南東大陸のレクシアード大陸を目指しているのは、そういう理由があったからだ…というのと、宿に居た客からの情報を仕入れたというのもあった。
「話を聞く限り、人気が高そうな南国リゾートという感じなので、人気が高いと思っていたが……それにしては、乗っている客員数が少ない感じがするんだが?」
レクシアード大陸は、大変人気のある南国リゾートなのだが、そこに行くまでの航路が凄く不人気で…この時期はあまり船に乗る乗客は居なかった。
その理由は、翌日になると分かるのだった。
~~~~~翌日~~~~~
俺は衝撃で目を覚ますと、そこは床だった……って、床にこんな大きい突起物は無かったはずだが?
…なんて思っていると、今度は床から落下してベッドに激しく直撃した。
「いててて…一体何なんだ‼︎」
先程まで床だと思っていたのは、実は天井だった。
レクシアード大陸までの航路は、海が荒れると聞いていたが…?
まさか、ここまで酷いとは思わなかった。
「なら、何でベッドは…?」
俺はベッドの下を見ると、ベッドは床とボルトで固定されていたのだった。
だからベッドが飛んでいくということはなかった。
更に、ベッドの横の壁にプレートが固定されていて…?
【艦内放送の後は、ベッドに備え付けられているベルトを装着してお休みください。】
…と、書かれていた。
艦内放送って、そんな物が流れたっけ?
俺は昨日の寝る前を思い出す。
「確か昨日は、成長促進数○倍を成長させる為に…これからはどうせ寝るんだからと、MPの限界ギリギリまで使用して、気を失う様に意識を失ったんだっけ?」
艦内放送が何時に流れていたか迄は、正直言って覚えてない。
まぁ、俺が気絶した後に流れたんだろう。
しかし、参ったな…これが後どれくらい続くんだ?
俺はベッドに備え付けられているベルトを装着した。
「しかし、帆船なら分かるが…客船で普通、ここまで激しく揺れるもんかね?」
窓から外の様子を探ると、まるで海の中にいるみたいな感じだった。
…って、どう考えてもおかしい。
俺の部屋は、3階にある部屋だからだ。
「まさか、沈んでいるんじゃ無いだろうな?」
冗談で思った事が、実は当たっていたりしていた。
現在、この客船は…巨大なクラーゴン(大ダコ)の腕が客船に絡み付いて、海に引き摺り込んでいるという放送が流れて来たのだった。
更に、こんな放送が追加で流れて来た。
「客室にいる冒険者様にも通達致します。このままでは、この客船はザザーザー…で、沈む可能性が有ります。展望フロアで対抗しますので、協力を要請致し……ザザーーー」
これは…かなり深刻そうだな。
だが、こうも揺れていると…通路に出ても、碌に進めないんじゃ無いか?
それにしても、こう言った船旅のお約束は…普通は勇者とかに起きるんじゃ無いか?
俺はレベルが上がっても、多少のステータスが上昇するくらいで、大幅にアップすることはないんだが…?
以前に老神とこんな話をした。
「この世界では、魔物を倒すとレベルが上がり…ステータスがアップするんじゃ。」
「あぁ~~~、ゲームでよくある奴か。俺は勇者と関係ないが、それでも上がるのか?」
「う………どうなんじゃろう?」
老神は、異世界で八神とは別の神である時空神スヴァイトスを呼び出した。
この時空神スヴァイトスは、この世界のレベルとステータスを管理する神だという。
「…という訳なんじゃが、勇者や聖女という役割以外の異世界召喚で呼び出した異世界人は、レベルが上がった時にステータスがどう変化するのかを…」
「ふむ、それは我にも分からんな。」
時空神スヴァイトスは、俺に向けて杖を構えた。
すると、杖の先から光の玉の様なものが出て…俺の身体の中に入って行った。
「えーっと、今のは?」
「これで、レベルが上がったはずだ。ステータスボードと叫んでみろ。」
俺は言われた通りに叫ぶと、俺のステータスが表示された。
すると、両脇に老神と時空神スヴァイトスが、俺のステータスを覗き込んだ。
「今の光は、レベルを1つだけ上げるものだったんだが……戦闘系じゃないと、ステータスはレベルアップ時に大して上がらんな。」
「そうじゃな、1しか上がっておらん。」
「もしかして俺は、大器晩成型か?最初は乏しくて、後から……」
「いや、それはないな。何処までレベルが上がっても、こんな感じだろう。」
俺はその言葉を聴いて、愕然としてしまった。
この世界に異世界召喚されて呼び出された、勇者や聖女といった類なら…爆発的なステータス上昇と新たな何かを覚えるらしいんだが…?
俺はレベルが上がってもステータスは碌に上昇せず、新たな何かを覚えることもないという。
いや、分かっていたよ………でも、少しくらい夢をみても良いじゃないか!
鍛治士が呼ばれたけど、実はチート持………いや、虚しくなるからやめよう。
………こんな感じで、こういったイベント事は…勇者が旅をしている時の大量経験値入手のイベントだろう。
そんなイベントが、なぜ俺の身に起きる⁉︎
俺は通路や階段を経て、屋上の展望フロアに着いた。
すると目の前に…巨大な赤いタコの足が絡み付いていた。
「確かにこんなのが絡み付いていたら、客船だって無事には済まないだろう……って、他の乗客は居ないのか?」
俺は辺りを見渡したが、他の乗客や冒険者の姿は見当たらなかった。
まさか逃げ……いや、船旅用の護衛の冒険者もいるよな?
「まさか、この状況に対処していた護衛の冒険者は、真っ先にやられたからの救援放送だったのか?」
周りを見ても人影がないところを見ると、その通りだろう。
それに、この時期は潮の流れがとても激しいという事で、乗客の数も普段に比べると格段に少ないという話だった。
「これって………協力者は居るのか?」
幾ら待っていても現れる気配は無い。
…となると、俺が対処をしなければならないということか。
まぁ、目の前に居るのがクラーケンじゃ無いのなら、大して問題はない。
タコの足は足全体が筋肉の塊だが、イカと違って…足が切れても生え変わるという特異体質だ。
その為に、任意で足を切り離すという事が出来る。
任意で切り離せる足は、途中から使い物にならないと、任意で切り離せられる事があるという話なので…?
俺のやる事は、別に足を切り飛ばす必要は無く、足の半分以上を使い物にならない様に損傷させれば良いだけだった。
「…とは言ってもなぁ、足の太さが巨木の様な太さなんだが…?」
まぁ、大型客船に巻き付けられるほどの足が、細い訳が無い。
この足に半分以上を使い物に損傷って、かなり無茶過ぎる。
「足の太さが右に行くにつれて太くなっている訳だから、この先が頭か。だとすると、頭は…海の中か!」
このクラーゴンは船底に張り付いてから、足を伸ばして船を海に引き込もうとしている。
まぁ、巨大な物を襲うのに、弱点である頭は晒さないか。
タコの足は、イカの足と違って…足全体に神経を張り巡らせているわけでは無いので、その足を傷付けると…他の足の応援をする為に呼び寄せるという事はない。
それ位に、タコとイカの足は性能が違うのだ。
「この足を使い物にならない様に損傷するって…かなり骨が折れそうだな。だが、このまま放置していると、船が海に中に引き摺り込まれるしな。」
やはり、幾ら待っても…誰かが助けに来てくれる様子は無かった。
俺は密かに期待をしていた。
もしかしたら、俺と同じ世界から異世界召喚されたこの地域担当の勇者が騒ぎを聞き付けて助けに来てくれるかも…と。
だが、そんな事も無かったところを見ると勇者に与えられたチートスキルは、魔王専用であって、そこまでの性能は無いんだろう。
「現実逃避していても仕方が無いか、久々にアレをやってみるか…?」
俺は靴を脱いで裸足になってから、クラーゴンの足の前で足を踏ん張った。
そして身を低く構えて、以前に習っていた居合道の技を放つ事にした。
「紅蓮院流抜刀術………水麒水月斬‼︎」
鞘から抜いた刀を逆風から唐竹に向かって斬り上げた。
すると、この太さで筋肉の塊かと思われたクラーゴンの足が、呆気なく斬り飛ばす事に成功したのだった。
「あれ?意外に脆いのか、この足……」
技の効果も影響しているかもしれないが、だからと言って…こんなにあっさりと斬り飛ばせるとなると、このクラーゴンの足は…思った程の筋肉質というわけでは無いらしい。
…とは言っても、まだ1本目。
他の足もやらないと行けないよな…?
そして、何故俺が南東のレクシアード大陸を目指しているかというと?
この世界の南の方面は、割と気温が高い土地で…季節によっては、灼熱の様な気候になる場所だそうだ。
ただ、数十年に1回だけ…天候が乱れる時があって、その時には季節外れの大雪が降るという話だった。
でも、その数十年が去年に起きたという事なので、次の数十年は大雪に見舞われる事は無いという話だった。
「俺南国に行きたいのは、寒いのが大の苦手だからだ‼︎」
鍛治職人で工房務めの俺は、寒さとは全く無縁と感じるくらいに、灼熱の温度の中で鍛治仕事をしている。
俺は寒いのは滅法に弱いが、暑いのは…熱湯とかじゃなければ耐えられるのだ。
だから、南東大陸のレクシアード大陸を目指しているのは、そういう理由があったからだ…というのと、宿に居た客からの情報を仕入れたというのもあった。
「話を聞く限り、人気が高そうな南国リゾートという感じなので、人気が高いと思っていたが……それにしては、乗っている客員数が少ない感じがするんだが?」
レクシアード大陸は、大変人気のある南国リゾートなのだが、そこに行くまでの航路が凄く不人気で…この時期はあまり船に乗る乗客は居なかった。
その理由は、翌日になると分かるのだった。
~~~~~翌日~~~~~
俺は衝撃で目を覚ますと、そこは床だった……って、床にこんな大きい突起物は無かったはずだが?
…なんて思っていると、今度は床から落下してベッドに激しく直撃した。
「いててて…一体何なんだ‼︎」
先程まで床だと思っていたのは、実は天井だった。
レクシアード大陸までの航路は、海が荒れると聞いていたが…?
まさか、ここまで酷いとは思わなかった。
「なら、何でベッドは…?」
俺はベッドの下を見ると、ベッドは床とボルトで固定されていたのだった。
だからベッドが飛んでいくということはなかった。
更に、ベッドの横の壁にプレートが固定されていて…?
【艦内放送の後は、ベッドに備え付けられているベルトを装着してお休みください。】
…と、書かれていた。
艦内放送って、そんな物が流れたっけ?
俺は昨日の寝る前を思い出す。
「確か昨日は、成長促進数○倍を成長させる為に…これからはどうせ寝るんだからと、MPの限界ギリギリまで使用して、気を失う様に意識を失ったんだっけ?」
艦内放送が何時に流れていたか迄は、正直言って覚えてない。
まぁ、俺が気絶した後に流れたんだろう。
しかし、参ったな…これが後どれくらい続くんだ?
俺はベッドに備え付けられているベルトを装着した。
「しかし、帆船なら分かるが…客船で普通、ここまで激しく揺れるもんかね?」
窓から外の様子を探ると、まるで海の中にいるみたいな感じだった。
…って、どう考えてもおかしい。
俺の部屋は、3階にある部屋だからだ。
「まさか、沈んでいるんじゃ無いだろうな?」
冗談で思った事が、実は当たっていたりしていた。
現在、この客船は…巨大なクラーゴン(大ダコ)の腕が客船に絡み付いて、海に引き摺り込んでいるという放送が流れて来たのだった。
更に、こんな放送が追加で流れて来た。
「客室にいる冒険者様にも通達致します。このままでは、この客船はザザーザー…で、沈む可能性が有ります。展望フロアで対抗しますので、協力を要請致し……ザザーーー」
これは…かなり深刻そうだな。
だが、こうも揺れていると…通路に出ても、碌に進めないんじゃ無いか?
それにしても、こう言った船旅のお約束は…普通は勇者とかに起きるんじゃ無いか?
俺はレベルが上がっても、多少のステータスが上昇するくらいで、大幅にアップすることはないんだが…?
以前に老神とこんな話をした。
「この世界では、魔物を倒すとレベルが上がり…ステータスがアップするんじゃ。」
「あぁ~~~、ゲームでよくある奴か。俺は勇者と関係ないが、それでも上がるのか?」
「う………どうなんじゃろう?」
老神は、異世界で八神とは別の神である時空神スヴァイトスを呼び出した。
この時空神スヴァイトスは、この世界のレベルとステータスを管理する神だという。
「…という訳なんじゃが、勇者や聖女という役割以外の異世界召喚で呼び出した異世界人は、レベルが上がった時にステータスがどう変化するのかを…」
「ふむ、それは我にも分からんな。」
時空神スヴァイトスは、俺に向けて杖を構えた。
すると、杖の先から光の玉の様なものが出て…俺の身体の中に入って行った。
「えーっと、今のは?」
「これで、レベルが上がったはずだ。ステータスボードと叫んでみろ。」
俺は言われた通りに叫ぶと、俺のステータスが表示された。
すると、両脇に老神と時空神スヴァイトスが、俺のステータスを覗き込んだ。
「今の光は、レベルを1つだけ上げるものだったんだが……戦闘系じゃないと、ステータスはレベルアップ時に大して上がらんな。」
「そうじゃな、1しか上がっておらん。」
「もしかして俺は、大器晩成型か?最初は乏しくて、後から……」
「いや、それはないな。何処までレベルが上がっても、こんな感じだろう。」
俺はその言葉を聴いて、愕然としてしまった。
この世界に異世界召喚されて呼び出された、勇者や聖女といった類なら…爆発的なステータス上昇と新たな何かを覚えるらしいんだが…?
俺はレベルが上がってもステータスは碌に上昇せず、新たな何かを覚えることもないという。
いや、分かっていたよ………でも、少しくらい夢をみても良いじゃないか!
鍛治士が呼ばれたけど、実はチート持………いや、虚しくなるからやめよう。
………こんな感じで、こういったイベント事は…勇者が旅をしている時の大量経験値入手のイベントだろう。
そんなイベントが、なぜ俺の身に起きる⁉︎
俺は通路や階段を経て、屋上の展望フロアに着いた。
すると目の前に…巨大な赤いタコの足が絡み付いていた。
「確かにこんなのが絡み付いていたら、客船だって無事には済まないだろう……って、他の乗客は居ないのか?」
俺は辺りを見渡したが、他の乗客や冒険者の姿は見当たらなかった。
まさか逃げ……いや、船旅用の護衛の冒険者もいるよな?
「まさか、この状況に対処していた護衛の冒険者は、真っ先にやられたからの救援放送だったのか?」
周りを見ても人影がないところを見ると、その通りだろう。
それに、この時期は潮の流れがとても激しいという事で、乗客の数も普段に比べると格段に少ないという話だった。
「これって………協力者は居るのか?」
幾ら待っていても現れる気配は無い。
…となると、俺が対処をしなければならないということか。
まぁ、目の前に居るのがクラーケンじゃ無いのなら、大して問題はない。
タコの足は足全体が筋肉の塊だが、イカと違って…足が切れても生え変わるという特異体質だ。
その為に、任意で足を切り離すという事が出来る。
任意で切り離せる足は、途中から使い物にならないと、任意で切り離せられる事があるという話なので…?
俺のやる事は、別に足を切り飛ばす必要は無く、足の半分以上を使い物にならない様に損傷させれば良いだけだった。
「…とは言ってもなぁ、足の太さが巨木の様な太さなんだが…?」
まぁ、大型客船に巻き付けられるほどの足が、細い訳が無い。
この足に半分以上を使い物に損傷って、かなり無茶過ぎる。
「足の太さが右に行くにつれて太くなっている訳だから、この先が頭か。だとすると、頭は…海の中か!」
このクラーゴンは船底に張り付いてから、足を伸ばして船を海に引き込もうとしている。
まぁ、巨大な物を襲うのに、弱点である頭は晒さないか。
タコの足は、イカの足と違って…足全体に神経を張り巡らせているわけでは無いので、その足を傷付けると…他の足の応援をする為に呼び寄せるという事はない。
それ位に、タコとイカの足は性能が違うのだ。
「この足を使い物にならない様に損傷するって…かなり骨が折れそうだな。だが、このまま放置していると、船が海に中に引き摺り込まれるしな。」
やはり、幾ら待っても…誰かが助けに来てくれる様子は無かった。
俺は密かに期待をしていた。
もしかしたら、俺と同じ世界から異世界召喚されたこの地域担当の勇者が騒ぎを聞き付けて助けに来てくれるかも…と。
だが、そんな事も無かったところを見ると勇者に与えられたチートスキルは、魔王専用であって、そこまでの性能は無いんだろう。
「現実逃避していても仕方が無いか、久々にアレをやってみるか…?」
俺は靴を脱いで裸足になってから、クラーゴンの足の前で足を踏ん張った。
そして身を低く構えて、以前に習っていた居合道の技を放つ事にした。
「紅蓮院流抜刀術………水麒水月斬‼︎」
鞘から抜いた刀を逆風から唐竹に向かって斬り上げた。
すると、この太さで筋肉の塊かと思われたクラーゴンの足が、呆気なく斬り飛ばす事に成功したのだった。
「あれ?意外に脆いのか、この足……」
技の効果も影響しているかもしれないが、だからと言って…こんなにあっさりと斬り飛ばせるとなると、このクラーゴンの足は…思った程の筋肉質というわけでは無いらしい。
…とは言っても、まだ1本目。
他の足もやらないと行けないよな…?
21
お気に入りに追加
69
あなたにおすすめの小説
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
【完結】公女が死んだ、その後のこと
杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】
「お母様……」
冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。
古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。
「言いつけを、守ります」
最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。
こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。
そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。
「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」
「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」
「くっ……、な、ならば蘇生させ」
「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」
「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」
「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」
「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」
「まっ、待て!話を」
「嫌ぁ〜!」
「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」
「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」
「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」
「くっ……!」
「なっ、譲位せよだと!?」
「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」
「おのれ、謀りおったか!」
「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」
◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。
◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。
◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった?
◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。
◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。
◆この作品は小説家になろうでも公開します。
◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!
実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~
空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」
氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。
「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」
ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。
成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?
水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが…
私が平民だとどこで知ったのですか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる