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第五章 動き出す…?
第二話 ダンの青空魔法教室2(今回の生徒は、幼馴染達です。)
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サーディリアン聖王国に拠点を移してから2日目…
初日は国王陛下に僕のパーティと勇者パーティを連れて御挨拶と冒険者ギルドでギルドマスターのヴォルガンに紹介し、その後はそれぞれ別行動。
男性陣はヴォルガンの元で今後の会議を、女性陣はマダム・ラスティーナの下着店で新作下着下見を…。
初日は、色々慌ただしく過ぎて行った。
~~~~~現在~~~~~
僕とレイリアとクリアベールに翔也と賢斗と華奈は草原に来ていた。
街中やギルドの訓練場では、今日行う事に関しては被害が大きくなるかもしれないからだ。
「はい、では! 青空魔法教室を開始致します。 今回は今後の戦いに備えて魔法を見直す為の授業です。」
「ダン、聞きたいんだけど?」
「はい、華奈さん!」
「私は属性魔法の類は使えないんだけど、ここにいても良いの?」
「大丈夫です。」
「俺も聞きたいんだが、俺は天の術法しか使えないんだが…」
「そうそう、この様に翔也君や華奈さんの様に魔法を自覚と無意識で発動させている人達による勉強です。」
「僕は別に必要はないだろうし、傍観していても?」
「駄目に決まっているだろう、賢斗君。 君にも必要な事を教えるんだから。」
「さて、魔法を使うに当たってはイメージが重要です。 では、イメージ中は何の属性が発動しているでしょう?」
「「「「え?」」」」
翔也と華奈と賢斗とレイリアは考え込んでいた。
そうそう、属性魔法を感覚的に使える者にとっては、この問題は難しいのである。
「師匠、わかりました!」
「はい、ベルさん!」
「無属性魔法です!」
「正解です!」
僕はクリアベールに正解の飴をあげた。
フルーツの味がする大玉の飴だった。
「では、何故イメージが無属性魔法なのか説明できる人?」
「「「「・・・・・・・・」」」」
「おやおや、誰も解りませんか…」
おかしいなぁ、そんなに難しい話ではないんだけど?
「華奈、ホーリーランスを発動する時のイメージはどうしている?」
「ホーリーランスは、聖なる槍という意味だから、槍をベースにしてから光を纏って…」
「そう、そこなのよ。 光を纏う前の槍の形、それこそが魔法のベースとなる無属性魔法なんだ。」
「え? そうなの?」
「例えば、ファイアボールはまず球体を思い浮かべてから炎を纏う、風魔法は無数に細かい線が螺旋を描く様に渦を巻きながら風属性を合わせると言った感じにね。」
「「「「???」」」」
「この説明でも解らないか…」
とりあえず、賢斗だけでも気付いてもらわないとなぁ…?
アホな翔也は多分一番最後になりそうだし…
「賢斗、君は以前に風呂を作る際に土壁を作るのは難しいと言ったよな?」
「あぁ、僕の技術では出来ないと判断した。」
「それはなぜ?」
「土だけを盛り上げて固めるという工程が魔力をかなり消費しそうで…」
「はい、そこ! それこそが根本的な間違えです。」
「どういう事だ?」
「元いた世界で家を作る時の工程は、壁はただコンクリートで固めただけの物か?」
「いや、基礎工事を行ってから柱や骨組みを…ってそういう事か‼」
「そうそう、元いた世界の建築方式で例えるなら骨組みが無属性魔法で、壁が土魔法になるんだよ。 たったそれだけの説明で解るなんて…やっぱり賢斗は天才だね! 僕には劣るけど。」
「く…くそぉ!」
「まぁ、ここまで言えばわかるよね? 試しに土壁作ってみて。」
賢斗は、風呂の時に作った小屋をイメージしながら、土壁を作った。
完成した土壁を見ながら、賢斗は僕に振り返って確認をした。
「なんだ、これだけの事だったのか…これだけの事で僕は出来ないと諦めていたのか。」
「落ち込むなよ、僕より劣る天才! 賢斗は天才なんだから、いつか全ての真理に辿り着くさ! まぁ、君が辿り着く前に僕が先に解き明かしていそうだけどね。」
「もういい…僕を天才というな。」
あらら、いじけちゃった。
まぁ、気を取り直して皆の元に行った。
「今日の議題は、無属性魔法を使いこなすという物です。」
「俺の天属性も華奈の聖属性でも、無属性魔法が使えるのか?」
「だからさっき言ったろ! 属性魔法の形のベースが無属性魔法だと。」
そうだな…?
翔也に剣を見せて貰った。
「見てろよ、例えばサンダーソードという魔法があるとしよう。 翔也の剣に雷の属性を流し込むとこういう風になる。」
僕は翔也の聖剣を無属性魔法で作りだし、雷属性を流して雷の宿る剣を再現した。
「この様に、無属性魔法は誰にでも備わっている。 だけど、何故あまり知られてないか?」
「そうか、頭の中でイメージを作りだせれば、あとはそれに属性を纏えば良いだけだから、無属性魔法の需要が低いという考えなんだな。」
「そういう事よ、ベースの無属性を鋭くとか細く殺傷力がある形に…とか工夫すれば、魔法はより効果が発揮できる物になるというのにね。」
「だから師匠は、この旅が終わる頃には最強の無属性魔法使いになれるかもしれないと言ったのですね?」
「うん! ただし…この無属性魔法にも欠点はある。 自分の無属性魔法より威力の高い攻撃を受けると砕けるという欠点がね。」
こればかりは、実演しないと解らないか…?
「ベル、極細の糸を3mの長さで硬くして! 翔也、ベルの糸を斬ってみて?」
クリアベールが無属性魔法で作った糸を、翔也が聖剣を使って振り下ろすと簡単に切れた。
「何故簡単に斬れたか、それはベルの無属性魔法で作った糸が魔力操作や魔力粘度が低いから切れたんだけど…では翔也、今度は僕の作りだした糸を斬ってみろ?」
翔也は先程の力で糸を斬ろうとしたが、糸はビクともしなかった。
それどころか何度やっても全て弾き返されただけでなく、糸は無傷でピンと張っていた。
「魔力操作や魔力粘度を鍛えると、こういう風に切れなくなる。 まぁ、ベルがまだまだ未熟という事なんだけどね。 努力は買うけど…」
「だって、師匠と私とじゃレベルが違うじゃないですか!」
「何度も言うけど僕のジョブレベルは1だよ。 ベルってさぁ、初めて会った時の盾の時もそうだったけど…色々と文句が多すぎ! 罰として1か月オヤツ抜き!」
「ガ・ガーーーン⁉」
「まぁ、翔也と華奈とレイリアには、無属性魔法の属性出現をやってもらいましょう。 これが今後の戦いで大いに役に立つ事なので…ベルは皆に無属性魔法の使い方を教えてあげて! 上手く出来たら罰ゲームは無し+クレープ進呈。 賢斗はこっちに来てくれ。」
僕に言われて、賢斗はこっちに来た。
賢斗は物凄く不機嫌そうだった。
「賢斗はさぁ、確かスキルが四属性魔法だよね?」
「あぁ、そうだけど?」
「四大元素の四属性?」
「そうだよ。」
「それ以外の属性魔法は使えないの?」
「さっきの無属性魔法を入れれば五属性になるかもな。」
「あぁ…なるほどねぇ!」
「なんだよ?」
「四属性魔法を突き詰めると、あと2つの属性が使える様になるというのに…」
「な・なんだと⁉」
ありゃりゃ…これが天才と言われた賢斗なのだろうか?
僕は賢斗が哀れになって来た。
「賢斗さぁ、四属性の合成術のマクスウェルブリッドを見せてくれないかな?」
賢斗はマクスウェルブリッドを放って見せてくれた。
確かにズバ抜けた威力がある…んだけどねぇ?
「それぞれの属性を調節して、4つの属性を組み合わせるか…だとすると、こうか!」
僕は賢斗のマクスウェルブリッド模倣してみせた。
賢斗は唖然としていた。
「四種複合統一魔法…マクスウェルブリッドォォォ‼︎」
「な…何だと⁉︎」
僕の放ったマクスウェルブリッドは、目の前の岩を消滅させた。
「ふむ? 質量調整がちと面倒だが、まぁこの程度なら完全にではないが出来るな。」
「なんでダンは、一度見ただけで出来るんだ?」
「この複合魔法は、改良の余地がまだまだあるからね。 この程度なら、1度見ればすぐに出来る。」
「僕の半年の努力が…」
また落ち込んだか…
元気付けの為に1つ新たな属性を教えてやるか…
「賢斗はさぁ、二種の合成術で炎と水はやった事ある?」
「あるよ、お湯以外には使い道ないけど…」
「では、見せてあげよう! 右手に炎、左手に水だとどうなるんだっけ?」
「お湯になるか、調整を間違えると蒸発する。」
「ブブー! 残念でした~! 正解は、氷ります。」
僕は炎と水の合成術で、氷の柱を作った。
「何でだ! 何故そうなる⁉」
「知りたいの?」
「あぁ、是非頼む!」
「ではヒントだけ教えるね。 火は魔力を練り上げて温度を上げていくと赤い炎から青い炎に変化する…なら、その逆をしたらどうなる?」
「え? まさかそれだけ? それがヒントなのか⁉︎」
「後は自分で考えろ! 僕より劣る天才君。」
「いちいち癪に障る言い方をするな‼」
単純に言えば、魔法の無い世界から来た僕等だと思い付かない事なんだよね。
火の温度を下げ過ぎると、物質を凍らせる火になるって…
水はどんなに温度を下げても冷水にしかならない。
元いた世界なら、冷凍庫に入れれば水も氷るけどね。
それを複合すると氷るんだけど…
これを続けていけば戦力も上がって行くだろう。
こうして僕の青空魔法教室は終わった。
後はガイウス達の方だが、上手くやっているかな?
~~~~~青空教室が始まる少し前~~~~~
最近、食費が増えた様な気がする。
肉はモンスターから獲得出来るので大した問題は無い。
野菜も生活魔法の樹で野菜の芽を出して、植物成長のスキルを用いれば幾らでも収穫可能だ。
問題は、卵と牛乳の消費が著しく早い。
考えられる要素としては、スィーツだろうな…?
卵もロックバードというモンスターの卵を使えば、まぁタダ同然で大量に手に入る。
ロックバードは一度に100個近くの卵を産む上に、黄身は濃厚で濃い味わいなので一度食べると病み付きになる。
問題は牛乳なのだが…?
この世界ではグレートホーンブルのメスが牛乳を出すのだが、気性が荒く入手には命懸けだと聞く。
需要はあるので高値で取引されているのだが…決して安くは無い!
恐らく、スィーツの材料として牛乳が尾を引いているのだろう。
「グレートホーンブルの牧場でも作って育ててみるかねぇ?」
「アイツって、人に懐くのか?」
「ガイウスの知り合いで、魔物使いとか調教師とか、獣使いや獣魔術師のジョブを持っている知り合いって居ない?」
「何だそのジョブは、初めて聞くぞ?」
やっぱり、そんなモンスターを従えられる様なジョブは存在しないか…?
世界は広いんだし、探せばいるかも知れないが。
「やっぱり、依頼をこなして稼ぐしか道は無いのかなぁ?」
「まさか、金が無いのか?」
「いや、無いわけでは無いのだが…最近人が増えた所為か食費に金が掛かってね。」
金の話をしていると、賢斗も参加して来た。
「なら、資金を募れば良いだろ? 魔王との戦いで資金が不足しているからと資金を募れば払う奴も居るだろう。」
「そりゃ勇者なら、資金を募れば払ってくれる人も居るだろうよ。 だけどさぁ、国民は国の税金以外に生活費にも稼いだ分を割り当てていて、その中から少しだけ分けて下さいとは僕には言えないよ。」
「国王陛下から戴いた恩賞とかの金貨や白金貨とかは無いのか?」
「無い訳では無いよ。 ただね、それに手を付けて行くとズルズルと使っちゃいそうでね。」
「あるのなら使えば良いだろう?」
「ガイウス、君は宵越しの金は持たない主義か?」
「宵越しの…なんだって?」
「宵越しの金は持たないというのは、金をその日に使い果たして翌日には持ち越さないという意味だ。 金のない奴の常套句の1つさ。」
「済まない賢斗、やはり賢者だけあって知識は豊富なんだな。」
「そうだよ、賢斗は頭が良いのさ! 僕には劣るけどね。」
「ダンの言葉も常套句になりつつあるな…本当にいちいち癪に障るな!」
「お前達の異世界では、皆頭の良い奴が多いのか?」
「僕と賢斗を抜かすと…華奈は上の中位で飛鳥は中の下位で、翔也はアホだ。」
「それも…救いようのないアホだ。」
「誰がアホだゴラァ‼」
いつの間にか翔也が背後にいた。
翔也は御立腹の様だった。
「やっぱり…ギルドの依頼とバイトするしか無いかなぁ?」
「手っ取り早く稼げる手があるぞ!」
「やはり資金提供に頼った方が得じゃないか?」
「いや、聞けよ俺の話をよぉ!」
「資金提供には頼れないとさっき話したばかりじゃないか!」
「良い稼ぎ方があるんだって‼」
「はいはい、聞いてあげるからさっさと言え、このアホ!」
「ダン…お前マジでぶっ飛ばすぞ!…まぁ、良い。 ダンジョンに潜るんだよ、そして宝を見つけて一攫千金という…」
「アホの意見は、やっぱりアホだったか…」
「本当に救いようがないな。」
ダンジョンで稼ぐというのも、まぁ1つの手ではある。
だが、入念の下調べや何階層あるかとか、全ての事を細かく進めて行かないと、ダンジョン探索は失敗するのである。
他にも、ダンジョンの階層毎にフィールドエリアならともかく、通常の洞窟タイプのダンジョンだと戦力を見直さないといけない。
全員で行ければ攻略も早いだろうけど、レイリアの魔力の高さだとダンジョン自体が崩落しかねないからなぁ…?
「ダンジョン案は却下!」
「うん、無理だな。 アホの意見はやっぱりアホだったな。」
「前人未到のダンジョンなんだぞ! お宝があるかもしれないだろ?」
「じゃあ、聞くけどさあ…そのダンジョンはどこにあるの?」
「サーディリアンから少し離れた、バレサステップという草原の近くにあるとか…」
「何階層あるの?」
「いや、わからん!」
「ダンジョンのタイプは? フィールド型か? 洞窟型か?」
「いや、そこまではわからない。」
「うん、時間の無駄だったな。」
「やっぱり、アホの意見は無視するべきだった。」
翔也の話は無視しよう。
やはり、聞くだけ無駄だった。
「とりあえず、ここに3つの玉を用意するから…ガイウス、この玉は卵の回収用で、この玉はブルのミルク用、最後の玉には珍しい物があったら入れておいてくれ。」
「わかった!…が、ダンはどうするんだ?」
「これから賢斗と華奈とレイリアとベルとこのアホを連れて、草原で魔法の実験をするから、ガイウスとクリスと飛鳥は卵調達とミルク調達を頼む。 絶対に親を殺すなよ、二度と収穫出来なくなるから…」
「それは任せろ!…で? 金稼ぎはどうなるんだ?」
「それは帰ってから考える。 とりあえず、ガイウス達は食材入手を頼む。 出来るだけ多く頼むぞ!」
さて、これでとりあえずは何とかなるかな?
ちなみに、僕の球体魔法は、他者でもアイテムの収納が可能になった。
直接素材を玉に触れるだけで収納出来るという物だ。
レイリアの魔力で出来るのだから出来ない筈は無いと思っていたら、この間のレベル10で随分と仕様が変わっていた。
さて、僕等の青空魔法教室は上手く行ったけど…ガイウスの方はどうなっているかな?
初日は国王陛下に僕のパーティと勇者パーティを連れて御挨拶と冒険者ギルドでギルドマスターのヴォルガンに紹介し、その後はそれぞれ別行動。
男性陣はヴォルガンの元で今後の会議を、女性陣はマダム・ラスティーナの下着店で新作下着下見を…。
初日は、色々慌ただしく過ぎて行った。
~~~~~現在~~~~~
僕とレイリアとクリアベールに翔也と賢斗と華奈は草原に来ていた。
街中やギルドの訓練場では、今日行う事に関しては被害が大きくなるかもしれないからだ。
「はい、では! 青空魔法教室を開始致します。 今回は今後の戦いに備えて魔法を見直す為の授業です。」
「ダン、聞きたいんだけど?」
「はい、華奈さん!」
「私は属性魔法の類は使えないんだけど、ここにいても良いの?」
「大丈夫です。」
「俺も聞きたいんだが、俺は天の術法しか使えないんだが…」
「そうそう、この様に翔也君や華奈さんの様に魔法を自覚と無意識で発動させている人達による勉強です。」
「僕は別に必要はないだろうし、傍観していても?」
「駄目に決まっているだろう、賢斗君。 君にも必要な事を教えるんだから。」
「さて、魔法を使うに当たってはイメージが重要です。 では、イメージ中は何の属性が発動しているでしょう?」
「「「「え?」」」」
翔也と華奈と賢斗とレイリアは考え込んでいた。
そうそう、属性魔法を感覚的に使える者にとっては、この問題は難しいのである。
「師匠、わかりました!」
「はい、ベルさん!」
「無属性魔法です!」
「正解です!」
僕はクリアベールに正解の飴をあげた。
フルーツの味がする大玉の飴だった。
「では、何故イメージが無属性魔法なのか説明できる人?」
「「「「・・・・・・・・」」」」
「おやおや、誰も解りませんか…」
おかしいなぁ、そんなに難しい話ではないんだけど?
「華奈、ホーリーランスを発動する時のイメージはどうしている?」
「ホーリーランスは、聖なる槍という意味だから、槍をベースにしてから光を纏って…」
「そう、そこなのよ。 光を纏う前の槍の形、それこそが魔法のベースとなる無属性魔法なんだ。」
「え? そうなの?」
「例えば、ファイアボールはまず球体を思い浮かべてから炎を纏う、風魔法は無数に細かい線が螺旋を描く様に渦を巻きながら風属性を合わせると言った感じにね。」
「「「「???」」」」
「この説明でも解らないか…」
とりあえず、賢斗だけでも気付いてもらわないとなぁ…?
アホな翔也は多分一番最後になりそうだし…
「賢斗、君は以前に風呂を作る際に土壁を作るのは難しいと言ったよな?」
「あぁ、僕の技術では出来ないと判断した。」
「それはなぜ?」
「土だけを盛り上げて固めるという工程が魔力をかなり消費しそうで…」
「はい、そこ! それこそが根本的な間違えです。」
「どういう事だ?」
「元いた世界で家を作る時の工程は、壁はただコンクリートで固めただけの物か?」
「いや、基礎工事を行ってから柱や骨組みを…ってそういう事か‼」
「そうそう、元いた世界の建築方式で例えるなら骨組みが無属性魔法で、壁が土魔法になるんだよ。 たったそれだけの説明で解るなんて…やっぱり賢斗は天才だね! 僕には劣るけど。」
「く…くそぉ!」
「まぁ、ここまで言えばわかるよね? 試しに土壁作ってみて。」
賢斗は、風呂の時に作った小屋をイメージしながら、土壁を作った。
完成した土壁を見ながら、賢斗は僕に振り返って確認をした。
「なんだ、これだけの事だったのか…これだけの事で僕は出来ないと諦めていたのか。」
「落ち込むなよ、僕より劣る天才! 賢斗は天才なんだから、いつか全ての真理に辿り着くさ! まぁ、君が辿り着く前に僕が先に解き明かしていそうだけどね。」
「もういい…僕を天才というな。」
あらら、いじけちゃった。
まぁ、気を取り直して皆の元に行った。
「今日の議題は、無属性魔法を使いこなすという物です。」
「俺の天属性も華奈の聖属性でも、無属性魔法が使えるのか?」
「だからさっき言ったろ! 属性魔法の形のベースが無属性魔法だと。」
そうだな…?
翔也に剣を見せて貰った。
「見てろよ、例えばサンダーソードという魔法があるとしよう。 翔也の剣に雷の属性を流し込むとこういう風になる。」
僕は翔也の聖剣を無属性魔法で作りだし、雷属性を流して雷の宿る剣を再現した。
「この様に、無属性魔法は誰にでも備わっている。 だけど、何故あまり知られてないか?」
「そうか、頭の中でイメージを作りだせれば、あとはそれに属性を纏えば良いだけだから、無属性魔法の需要が低いという考えなんだな。」
「そういう事よ、ベースの無属性を鋭くとか細く殺傷力がある形に…とか工夫すれば、魔法はより効果が発揮できる物になるというのにね。」
「だから師匠は、この旅が終わる頃には最強の無属性魔法使いになれるかもしれないと言ったのですね?」
「うん! ただし…この無属性魔法にも欠点はある。 自分の無属性魔法より威力の高い攻撃を受けると砕けるという欠点がね。」
こればかりは、実演しないと解らないか…?
「ベル、極細の糸を3mの長さで硬くして! 翔也、ベルの糸を斬ってみて?」
クリアベールが無属性魔法で作った糸を、翔也が聖剣を使って振り下ろすと簡単に切れた。
「何故簡単に斬れたか、それはベルの無属性魔法で作った糸が魔力操作や魔力粘度が低いから切れたんだけど…では翔也、今度は僕の作りだした糸を斬ってみろ?」
翔也は先程の力で糸を斬ろうとしたが、糸はビクともしなかった。
それどころか何度やっても全て弾き返されただけでなく、糸は無傷でピンと張っていた。
「魔力操作や魔力粘度を鍛えると、こういう風に切れなくなる。 まぁ、ベルがまだまだ未熟という事なんだけどね。 努力は買うけど…」
「だって、師匠と私とじゃレベルが違うじゃないですか!」
「何度も言うけど僕のジョブレベルは1だよ。 ベルってさぁ、初めて会った時の盾の時もそうだったけど…色々と文句が多すぎ! 罰として1か月オヤツ抜き!」
「ガ・ガーーーン⁉」
「まぁ、翔也と華奈とレイリアには、無属性魔法の属性出現をやってもらいましょう。 これが今後の戦いで大いに役に立つ事なので…ベルは皆に無属性魔法の使い方を教えてあげて! 上手く出来たら罰ゲームは無し+クレープ進呈。 賢斗はこっちに来てくれ。」
僕に言われて、賢斗はこっちに来た。
賢斗は物凄く不機嫌そうだった。
「賢斗はさぁ、確かスキルが四属性魔法だよね?」
「あぁ、そうだけど?」
「四大元素の四属性?」
「そうだよ。」
「それ以外の属性魔法は使えないの?」
「さっきの無属性魔法を入れれば五属性になるかもな。」
「あぁ…なるほどねぇ!」
「なんだよ?」
「四属性魔法を突き詰めると、あと2つの属性が使える様になるというのに…」
「な・なんだと⁉」
ありゃりゃ…これが天才と言われた賢斗なのだろうか?
僕は賢斗が哀れになって来た。
「賢斗さぁ、四属性の合成術のマクスウェルブリッドを見せてくれないかな?」
賢斗はマクスウェルブリッドを放って見せてくれた。
確かにズバ抜けた威力がある…んだけどねぇ?
「それぞれの属性を調節して、4つの属性を組み合わせるか…だとすると、こうか!」
僕は賢斗のマクスウェルブリッド模倣してみせた。
賢斗は唖然としていた。
「四種複合統一魔法…マクスウェルブリッドォォォ‼︎」
「な…何だと⁉︎」
僕の放ったマクスウェルブリッドは、目の前の岩を消滅させた。
「ふむ? 質量調整がちと面倒だが、まぁこの程度なら完全にではないが出来るな。」
「なんでダンは、一度見ただけで出来るんだ?」
「この複合魔法は、改良の余地がまだまだあるからね。 この程度なら、1度見ればすぐに出来る。」
「僕の半年の努力が…」
また落ち込んだか…
元気付けの為に1つ新たな属性を教えてやるか…
「賢斗はさぁ、二種の合成術で炎と水はやった事ある?」
「あるよ、お湯以外には使い道ないけど…」
「では、見せてあげよう! 右手に炎、左手に水だとどうなるんだっけ?」
「お湯になるか、調整を間違えると蒸発する。」
「ブブー! 残念でした~! 正解は、氷ります。」
僕は炎と水の合成術で、氷の柱を作った。
「何でだ! 何故そうなる⁉」
「知りたいの?」
「あぁ、是非頼む!」
「ではヒントだけ教えるね。 火は魔力を練り上げて温度を上げていくと赤い炎から青い炎に変化する…なら、その逆をしたらどうなる?」
「え? まさかそれだけ? それがヒントなのか⁉︎」
「後は自分で考えろ! 僕より劣る天才君。」
「いちいち癪に障る言い方をするな‼」
単純に言えば、魔法の無い世界から来た僕等だと思い付かない事なんだよね。
火の温度を下げ過ぎると、物質を凍らせる火になるって…
水はどんなに温度を下げても冷水にしかならない。
元いた世界なら、冷凍庫に入れれば水も氷るけどね。
それを複合すると氷るんだけど…
これを続けていけば戦力も上がって行くだろう。
こうして僕の青空魔法教室は終わった。
後はガイウス達の方だが、上手くやっているかな?
~~~~~青空教室が始まる少し前~~~~~
最近、食費が増えた様な気がする。
肉はモンスターから獲得出来るので大した問題は無い。
野菜も生活魔法の樹で野菜の芽を出して、植物成長のスキルを用いれば幾らでも収穫可能だ。
問題は、卵と牛乳の消費が著しく早い。
考えられる要素としては、スィーツだろうな…?
卵もロックバードというモンスターの卵を使えば、まぁタダ同然で大量に手に入る。
ロックバードは一度に100個近くの卵を産む上に、黄身は濃厚で濃い味わいなので一度食べると病み付きになる。
問題は牛乳なのだが…?
この世界ではグレートホーンブルのメスが牛乳を出すのだが、気性が荒く入手には命懸けだと聞く。
需要はあるので高値で取引されているのだが…決して安くは無い!
恐らく、スィーツの材料として牛乳が尾を引いているのだろう。
「グレートホーンブルの牧場でも作って育ててみるかねぇ?」
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「ガイウスの知り合いで、魔物使いとか調教師とか、獣使いや獣魔術師のジョブを持っている知り合いって居ない?」
「何だそのジョブは、初めて聞くぞ?」
やっぱり、そんなモンスターを従えられる様なジョブは存在しないか…?
世界は広いんだし、探せばいるかも知れないが。
「やっぱり、依頼をこなして稼ぐしか道は無いのかなぁ?」
「まさか、金が無いのか?」
「いや、無いわけでは無いのだが…最近人が増えた所為か食費に金が掛かってね。」
金の話をしていると、賢斗も参加して来た。
「なら、資金を募れば良いだろ? 魔王との戦いで資金が不足しているからと資金を募れば払う奴も居るだろう。」
「そりゃ勇者なら、資金を募れば払ってくれる人も居るだろうよ。 だけどさぁ、国民は国の税金以外に生活費にも稼いだ分を割り当てていて、その中から少しだけ分けて下さいとは僕には言えないよ。」
「国王陛下から戴いた恩賞とかの金貨や白金貨とかは無いのか?」
「無い訳では無いよ。 ただね、それに手を付けて行くとズルズルと使っちゃいそうでね。」
「あるのなら使えば良いだろう?」
「ガイウス、君は宵越しの金は持たない主義か?」
「宵越しの…なんだって?」
「宵越しの金は持たないというのは、金をその日に使い果たして翌日には持ち越さないという意味だ。 金のない奴の常套句の1つさ。」
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「そうだよ、賢斗は頭が良いのさ! 僕には劣るけどね。」
「ダンの言葉も常套句になりつつあるな…本当にいちいち癪に障るな!」
「お前達の異世界では、皆頭の良い奴が多いのか?」
「僕と賢斗を抜かすと…華奈は上の中位で飛鳥は中の下位で、翔也はアホだ。」
「それも…救いようのないアホだ。」
「誰がアホだゴラァ‼」
いつの間にか翔也が背後にいた。
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「やっぱり…ギルドの依頼とバイトするしか無いかなぁ?」
「手っ取り早く稼げる手があるぞ!」
「やはり資金提供に頼った方が得じゃないか?」
「いや、聞けよ俺の話をよぉ!」
「資金提供には頼れないとさっき話したばかりじゃないか!」
「良い稼ぎ方があるんだって‼」
「はいはい、聞いてあげるからさっさと言え、このアホ!」
「ダン…お前マジでぶっ飛ばすぞ!…まぁ、良い。 ダンジョンに潜るんだよ、そして宝を見つけて一攫千金という…」
「アホの意見は、やっぱりアホだったか…」
「本当に救いようがないな。」
ダンジョンで稼ぐというのも、まぁ1つの手ではある。
だが、入念の下調べや何階層あるかとか、全ての事を細かく進めて行かないと、ダンジョン探索は失敗するのである。
他にも、ダンジョンの階層毎にフィールドエリアならともかく、通常の洞窟タイプのダンジョンだと戦力を見直さないといけない。
全員で行ければ攻略も早いだろうけど、レイリアの魔力の高さだとダンジョン自体が崩落しかねないからなぁ…?
「ダンジョン案は却下!」
「うん、無理だな。 アホの意見はやっぱりアホだったな。」
「前人未到のダンジョンなんだぞ! お宝があるかもしれないだろ?」
「じゃあ、聞くけどさあ…そのダンジョンはどこにあるの?」
「サーディリアンから少し離れた、バレサステップという草原の近くにあるとか…」
「何階層あるの?」
「いや、わからん!」
「ダンジョンのタイプは? フィールド型か? 洞窟型か?」
「いや、そこまではわからない。」
「うん、時間の無駄だったな。」
「やっぱり、アホの意見は無視するべきだった。」
翔也の話は無視しよう。
やはり、聞くだけ無駄だった。
「とりあえず、ここに3つの玉を用意するから…ガイウス、この玉は卵の回収用で、この玉はブルのミルク用、最後の玉には珍しい物があったら入れておいてくれ。」
「わかった!…が、ダンはどうするんだ?」
「これから賢斗と華奈とレイリアとベルとこのアホを連れて、草原で魔法の実験をするから、ガイウスとクリスと飛鳥は卵調達とミルク調達を頼む。 絶対に親を殺すなよ、二度と収穫出来なくなるから…」
「それは任せろ!…で? 金稼ぎはどうなるんだ?」
「それは帰ってから考える。 とりあえず、ガイウス達は食材入手を頼む。 出来るだけ多く頼むぞ!」
さて、これでとりあえずは何とかなるかな?
ちなみに、僕の球体魔法は、他者でもアイテムの収納が可能になった。
直接素材を玉に触れるだけで収納出来るという物だ。
レイリアの魔力で出来るのだから出来ない筈は無いと思っていたら、この間のレベル10で随分と仕様が変わっていた。
さて、僕等の青空魔法教室は上手く行ったけど…ガイウスの方はどうなっているかな?
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「それよりも不知火君は何を得たんだ?」
イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。
俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。
その場にいた者達は、俺の加護を見ると…
「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。
『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』
王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。
まぁ、その方が気楽で良い。
そして正義は、リーダーとして皆に言った。
「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」
正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。
「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」
「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」
「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」
「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」
「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」
「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」
「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」
俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。
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「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」
「今迄って…今回が2回目では無いのか?」
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6月23日
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