上 下
28 / 80
第三章 サーディリアン聖王国の章

第七話 奇妙な依頼と再戦!(またコイツか!)

しおりを挟む
 球体魔法の攻撃に関するいくつかを封じられた日の午後、僕らは冒険者ギルドへ行った。
 目的は、ギルドマスターのヴォルガンにこの話をする為だった。
 僕はギルドの扉を開けると中は冒険者が溢れて返っており酒盛りをしていた。
 
 「あ、ダンさん! お待ちしてました!!」
 「おや? ザッコスさん!」
 「随分賑やかですね、何かあったんですか?」
 「ダンさんが子爵を懲らしめて、財産を冒険者に分配したじゃないですか? そのおかげで彼らの懐具合も良いのですよ。 あと、これはダンさんの取り分です。」

 ザッコスさんは、金貨の入っている袋を渡してきた。
 かなりの金額が入っているらしいが…?

 「みんなで分けて下さいと渡したのでは?」
 「あの場にいた冒険者には、金貨10枚ずつ渡したのですが、残った分をどうするかと決めていた所、一番の功労者であるダンさんに渡そうと決めたのです!」
 「別にそんな気を使わなくても良いんだけどなぁ…?」
 「皆からの感謝の気持ちです。 受け取ってください!」

 僕は金貨の入っている袋の中を見ると、結構な金額が入っていた。
 僕は頷くと、冒険者達の中心に入って言った。

 『今回の子爵の依頼の用心棒の件だけど、失敗となって大変申し訳ありませんでした。 冒険者は依頼失敗は次の仕事に差し支えると聞いた事があります。 そこで、今回僕に入るはずのこのお金を皆さんの為に使おうと思います。 今日は僕の奢りです! ギルド内のお酒と食材を満足いくまで味わってください!!』
 「うぉぉぉぉぉぉぉ! マジか!?』
 「ちょっと待て、皆! ダンさんにお礼を言うのが先だ!」

 ザッコスさんが皆に発言した。
 ザッコスさんは頭を下げると、ザッコスの仲間達も一緒に頭を下げた。
 そして、他の冒険者もザッコスに続いて頭を下げた。
 ダンは照れくさくなったが、気持ちを切り替えてテンションを上げながらこう言った。

 『皆の感謝は受け取った! どうした静かだぞ! もっと騒げ! ギルド中の酒を飲み干してやれ!!』
 『『『『『Aランクのダンさん、貴方は偉大な人になる! ダンさんに乾杯だ!!』』』』』

 ギルド中から僕の名前を呼ぶ声がする。
 やばい、これすっごく恥ずかしい…。
 僕は皆の間を抜けて、受付に辿り着いた。

 「キャサリアさん、大至急でギルドマスターにお話があるのですが、取り次いで貰えませんか?」
 「わかりました、お伝えしますね。」

 すぐに戻ってきて、応接室の方に案内された。
 
 「ダン殿、今日は…って、下が随分賑やかだが?」
 「子爵家の財産を皆に配当して余った分をくれると言われたのですが、それで奢ってきました。」
 「ダン殿が子爵家を潰した話は、ギルドはおろかこの界隈ではもう広まっているからな。」
 「やり過ぎましたかね?」
 「いや、あの子爵は評判が悪くてな。 取り潰されて感謝はされても文句を言う奴は無い。」
 「それは良かった。 要らぬ恨みは買いたくないので…」
 「それで、今日来た要件はなんだ?」
 「あ、それなんですが…」

 僕は今日の朝の出来事を話した。
 攻撃に関するスキルが使えなくなった事、シルフィンダーが封印された事、攻撃が武器のみになった事。
 通常の依頼はこなせても、指名依頼はこなせられる可能性がない事を。
 
 「王国が囚人に使用する隷属の首輪でもない限り、スキルが封印されるという話は聞いた事がない。 かといって、ランクを落とすような真似は出来ないな。 依頼が失敗し続けるとか、悪事に手を染めるなんて言う事でもない限りはな。」
 「そうですか…」
 「なら、こうしよう! しばらく様子を見る事にしよう。 その後の判断でどうするかを決めよう。 指名依頼の方は王家からでもない限りは断る事が出来るから、ダン殿の意見を尊重しよう。」
 「ありがとうございます。」

 僕は立ち上がって部屋を出ようとすると、呼び止められた。
 
 「ダン殿、すまないが… 1つだけ良いだろうか?」
 「なんでしょう?」
 「ダン殿から戴いた問題の中でどうしても解らない物があるんだが、増える事があっても減る事がないというのが行き詰っていてな。」
 「ヴォルガン様は、いまいくつですか?」
 「47歳だが?」
 「では、来年は48歳ですね?」
 「そうだが?」
 「そういう事です。 解りましたか?」

 ヴォルガンは首を傾げていた。
 僕は部屋を出た。
 下に行き、受付に行くとガイウスが依頼書を持っていた。
 
 「ダン、この依頼はどうだ? Cランクで商人の護衛という奴なんだが、大至急らしい。」
 「うん、Cランクなら大丈夫かな?」
 
 ギルド内を見ても、懐が温かい物がわざわざ依頼を受けるとは思えない。
 それに大至急で困っているのなら見過ごせない。

 「キャサリアさん、この依頼を受けようと思うのですが…」
 「ダン様、Cランク依頼ですか?」
 「ギルド内の酒場があんな感じですからね、大至急でも請ける人もいないでしょうし、酔っぱらいながら行くのもどうかと思いますし…。」
 「かしこまりました、では受理いたしますね。 待ち合わせ場所は、カイナンの街を出た少し先の場所?となっております。 おかしいですね? 普通なら、入り口で待つというのが普通なのですが…?」
 「違法な荷の運搬の護衛とか…という可能性でも?」
 「それはありませんね、依頼者は商人ギルドと書かれていますので、違法な物は検査されて没収されるはずです。」

 キャサリアさんの言葉を信じて、僕らは街の入り口を目指した。
 確かに入り口にはいない。
 街道を道なりに歩いて行った。
 すると、荷車と馬が2頭がいるのを見付けた。
 近寄ってみると、何やら様子が変だった。
 荷車を見ると、荷物が無かった。
 そして、商人らしき人物が出血する腕を押さえながら言った。
 
 「突然黒い服を着た連中が、荷車を襲って荷物を持っていきやがった。 そいつらは、林の方に逃げていった。 頼む、取り返してくれ!!」
 「レイリアは商人の手当てを、ガイウス行くぞ!!」

 僕とガイウスは林の中を進んでいった。
 この時、僕は見落としていた。
 注意深く荷車を見ていれば…と。
 
 林の中を進んでいくと、ちょっとした広場があり、その中心に木箱が積まれていた。
 
 「おかしい…?」
 「あぁ、確かに…」

 まず、荷物を奪ったにしては見張りがいない。
 それどころか、奪った奴等もいない。
 僕は警戒しながら木箱に近付こうとした…。

 「ダン、下がれ!!」

 木箱から黒いローブを着た男たちが出てきて、僕に襲い掛かってきた。
 僕はデカ包丁を払って距離を取った。
 
 「罠か…!」
 「!? レイリア!!」

 ガイウスは来た道を戻ろうとした。
 すると、先程の商人らしき男がレイリアの首にナイフを当ててやってきた。
 
 「お前等、武器を捨てろ!!」
 
 僕とガイウスは、言うとおりに武器を捨てた。
 レイリアを見ると、商人らしき男から逃げ出そうともがいているけど、ガッチリとした腕に捕まっていて動けずにいた。

 「お前達、何が望みだ!?」
 「用があるのはダン・スーガーお前だけだ!! エルヴの男、お前は動くなよ…妹がどうなっても良いなら別だがな。」

 ガイウスは黒いローブの男に縄で縛られてレイリアの近くに連れて行かれた。
 
 「エルヴの兄妹には何もしないさ、ダン・スーガーお前が妙な動きをしなければな!」
 「欲しいのは僕の命か?」
 「最終的にはな、だがその前に少し痛い目に遭ってもらうとしよう。」
 「解らないな…? 僕の命が欲しいなら、何故一思いに殺さない?」

 商人の男が手を上げると、黒いローブを着た男たちは一斉にローブを脱いだ。
 白いレザージャケットにバンダナをしている姿になった。
 腕には狼の顔があるタトゥーが彫ってあった。

 「ダン、こいつらはフェンリル信奉者だ!」
 「そう、我らはフェンリル様を崇拝する者だよ。 ダン・スーガー、お前はギルド内で我らの崇拝するフェンリル様を犬呼ばわりし、始末したそうじゃないか! 到底許せるものではない!!」
 
 そんな事あったっけ?
 あ、そういえば、でっかいワンちゃんとか駄犬とか、もう生きてないでしょうと確かに言ったな。
 たかがそれだけの事で恨みを買うものか?

 「我らのフェンリル様の苦しみを味わえ! お前は一切動くなよ! そして耐えられたら、このエルヴ兄妹は解放してやろう。 ただし、お前が途中で死んだら、エルヴの兄妹は殺す! やれ、痛めつけろ!!」
 「フフ…どこまで耐えられるかな?」

 フェンリル信奉者から腹に一撃が入ると、後ろから頭を殴られた。
 倒れこむと胸倉を掴んで顔を殴られた。
 後ろからは蹴りが、横からは拳が、まるでサンドバックの様に殴られていた。
 血を吐き、顔が腫れ、体中が痛い…が、子供の頃の狼にやられた時に比べたらどうという事もない。
 ガイウスやレイリアは「やめろ!!」とか「やめて!!」という声が聞こえているが、収まるなんてことは無い。
 それから5分間、フェンリル信奉者の3人から殴られ続けた。

 「おい、やめてやれ!」

 フェンリル信奉者達は僕から離れると、商人らしき男は僕に言った。

 「おい、生きているか?」
 
 僕は起き上がって言った。
 
 「いや~くすぐったくてさぁ~フェンリ…あの犬っコロの苦しみってこの程度なの?」
 「ほぉ、面白い事を言うな…やれ! 続けろ!」

 再びリンチが始まった。
 僕は必死に耐えていた。
 僕が途中で死ぬような事になれば、ガイウスやレイリアが危険な目に遭うから。
 僕は仲間は決して見捨てない!!
 また5分間くらい殴られ続けた。

 「おい、やめてやれ! どうだ?」
 
 僕を殴っていた奴らは肩で息をしていた。
 正直、立ち上がれるか解らないが、自力で立ち上がった。
 僕は血を吐き出して言った。

 「ワンコロを崇拝している奴らの肉球パンチは歯応えがないねぇ~ 手加減をしてくれてどうもありがとう!」

 僕はお辞儀をすると、商人らしき男は言った。
 
 「お前には遠慮は不要という事か…徹底的にやってやれ!」

 僕は身体に力を入れて耐え続けた。
 次のやめろの合図が掛かる頃には、僕は立ち上がれずうずくまっていた。
 商人らしき男は、レイリアを他の者に預けて僕に近寄ってきた。
 
 「さすがにこれだけの暴行には耐えられなかったか…」
 「勝手に殺すな、バーーーカ!!! あいつらは男の姿をした女か? 全然効かないんだよ!!」
 「ここまで減らず口を叩けるとは見上げた物だな! 次の5分まで耐えられるかな? やれ!」

 正直、体には力が入らない。
 殴られ、蹴られ、踏みつけられ続けていて、感覚が麻痺して痛みを感じなくなってきた。
 ガイウスとレイリアを見る…。
 《ガイウス…泣いてるのか? レイリア…そんな悲しそうな顔をしないでくれ…》
 必死に耐えていたつもりだが、そろそろ限界に近付いてきた。
 《5分はまだかな? 長いな…? 僕が死んだら、2人も殺されちゃうのか…死んだらあの世で謝ろう》
 朦朧としている意識の中で僕は強がって2人に微笑んで見せた。

 「やめてーーーー!!!」

 レイリアの声がして、意識がふとレイリアに向いた。
 レイリアから体中に魔力が噴出して、近くにいたフェンリル信奉者と商人らしき男が吹っ飛ばされた。
 そして僕の体の傷が治り動けるようになると、泡魔法を発動させて僕の周りにいたフェンリル信奉者を包んだ。
 僕は近くにいたフェンリル信奉者の体に触れて、自分の体に手を当ててから【フェイク・フェンリル信奉者】を発動した。
 そして吹っ飛ばされた様に見せかけて、デカ包丁の近くに転がった。
 僕はデカ包丁を拾い、振り回すフリをしてガイウスの縄に切れ目を入れた。
 そして僕はガイウスに向かって頷くと、ガイウスは気付いて頷いた。 

 「どうした? 何があった??」
 「あの男、もう殺しても良いですよね?」

 僕は敵のリーダーに対して伺いを立てた。
 そしてデカ包丁を持って泡の中に入り、3人のフェンリル信奉者を斬り捨てた。
 初めて人の命を奪ってしまったが、散々暴行をした奴等だったのか、不思議と罪悪感は無かった。
 敵のリーダーからは泡魔法の所為で僕の姿は見えてはいない。
 この隙にガイウスも縄を解いて、槍を取ると他の信奉者を始末した。
 そして…商人らしき男だけ残った。
 僕は【フェイク】を解いて、商人らしき男に近付いた。
 
 「形勢逆転だね! どうだい、追い詰めていた者たちに追い詰められる気分は?」
 「もう少しでお前を苦しめられる所だったのに!!」

 そういって商人らしき男は、ナイフを持ってレイリアを狙っていた。
 僕にはもう躊躇いはない。
 僕は商人らしき男の背後に近付くと、その首を刎ねた。
 これで終わり…だと思っていたら、レイリアの魔力が暴走しているままだった。
 僕はレイリアに声を掛けたが、レイリアには聞こえていなかった。
 レイリアを抱きしめて、耳元で「もう大丈夫だよ」と言った。
 
 「ダ…ン…?」

 そういうと、レイリアの魔力の落ち着いてきて意識を失った。
 僕はレイリアをガイウスに預けると、奴らの黒いローブを拾い上げた。
 
 「ガイウス、これも証拠になるか?」
 「あぁ、そのローブにもフェンリルの顔が刺繍されているからな。」

 それにしても、レイリアは属性魔法の使い手のはず?
 治癒魔法が使えるはずはないんだけどなぁ?
 レイリアのジョブの【魔人】が何かしらの影響があるのだろうか?
 
 「ガイウスはレイリアとそこにいて、誰か呼んでくるから。 死体ばっかの場所で気味悪いかもしれないけど。」
 「わかった…が、それよりもダンは怪我は良いのか?」
 「完全回復!!」

 僕はそう言ってから、林を抜けて行った。
 すると、道を間違えて草原が見える場所に出た。
 
 「あれ? 出る場所間違えた…?」

 また林の中に入っていくと迷いそうなので、林に沿って街の方に歩いた。
 黒いローブを手に持っていると邪魔だったので、体に羽織った。
 そして歩いていると、遠くから声がした。

 『見つけたぞ! あの時の人間だな!!』
 「げっ! あいつ…生きていたのか!?」
 
 罠に嵌めたフェンリルが走って来ているのを見付けた。
 あいつ…生きていたのか…!?
 今はガイウスはいない。
 レイリアも気を失っていて、ここにはいない。
 僕1人だけだ。
 シルフィンダーも使えないし、攻撃手段が武器だけしかない…。
 今回は前回の様な手は使えないし、これは積んだか。

 「今日は厄日だな…」

 殴られ、蹴られ、踏みつけられ…助かったと思ったら、次はコイツか…。
 僕はどれだけツキから見放されているのだろうか。
 そういえば、奴の毛が確か…あった!
 【舌鑑定】発動!
 …なるほど、これは面白い情報が手に入った。
 上手くいけば…?
 僕は頭の中をフル回転で考えた。

 『久しいな、人間! あの時は…って、お主は何故我らの信奉者の衣を纏っている?』

 あ、そうか…!
 手に持っているのが邪魔で羽織っていたんだった。
 なら、騙せるかどうか一芝居してみるか…。

 「おぉ、フェンリル様! この様な場所でお会い出来るとは思いませんでした!」
 『ん? 何をふざけた事を言っておる? あの時の恨み、忘れた訳ではないぞ!!』
 「私の名は…《えっと、何て名前に…あ!》ヨダソウと申します。 偉大なるフェンリル様!」
 『お主はあの時の人間ではないのか?』
 「恐らくこの顔の所為でお間違いになられたのですね? 実は私もこの顔の男を探しているのです。」
 『聞こう、話せ!』
 「ありがとうございます! 実は3か月前ほど、とある街でフェンリル様を痛い目に遭わせた冒険者を見つけまして、その者から話を聞いた所、フェンリル様の事をワンちゃんとか犬っころとかほざきまして、許せなくなって同志と共に奴等を襲ったのですが、意外にも強く返り討ちに遭い…もしもあのワンコロが生きていたら厄介だからと、この顔の奴が魔法で私の顔を奴の顔と同じにして、あの低知能なワンコロならお前を俺と間違えて襲われるだろうと…」
 『間違いない、奴等は我を犬扱いしていたからな!』
 「そして、手掛かりを頼りに探していた所にフェンリル様にお会いしたのです。」
 『なら、奴等はこの付近にいるのか?』
 「いえ、奴等は姑息にも偽の情報をばら撒いて私達を攪乱しているのです。 話によれば船に乗って行かれたというくらいしか…」
 『ふむ…』
 「フェンリル様、1つ手がございます。 私には遠見のスキルがありますので探してみましょう。 本来なら寿命を削るのですが、偉大なるフェンリル様のお役に立てるのであれば、命は惜しみません。」
 『我が信奉者、ヨダソウよ…感謝する。』

 僕は懐から空の球体を取り出して、座って地面に置き、適当な呪文を言って照明のスキルで球体を照らした。
 そして反射を狙って、フェンリルの目に当たって眩しさでこちらを見られないようにした。
 苦しむフリも忘れてはいません。

 「いま奴等がいるのは…太古の島と出ました。 奴等は…なんという事を!! 許せません、これは酷過ぎる!!」
 『何が起こっているのだ、話せ!』
 「鞭で…槍で…なんて、酷い!! 我ら信奉者の…」
 『おい、何が…話せと言っているだろう!?』
 「フェンリル様より少し小さいフェンリル様が映っていまして、奴等がお手をしろとか吠えてみろと鞭で叩いたり、槍で突き刺したり、ここに映っているフェンリル様は首にロープを掛けられ大木に結ばれていて身動きが出来ず…酷い!」
 『我が同胞をか!? 奴等め…』
 「ここに映っているフェンリル様が何か言ってますね。 マルリィス、オルシェス兄さん助けてと…」
 『まさか、イファリスか!? 他にいないか? イファリスはマルリィスと一緒にいるはずだが??』
 「他の大木に繋がれて、倒れられています…う…ぐあぁぁぁ!」
 
 僕は苦しむフリをして、照明を解除して遠見のスキルが切れた事を伝えた。
 フェンリルは、別の方角をみて唸っている。
 そっちの方角が太古の島の方面なのね。

 「フェンリル様、行く前に1つお願いがあります。」
 『なんだ、話せ!』
 「もしも、この顔と同じ男を見つけた際には、私の元に連れて来ては貰えませんか? フェンリル様の手で八つ裂きにされる所を見たいのです。」
 『わかった、約束しよう。』
 「ならば、これをお持ちください…!」
 
 背中側で丸太に【創造作製】大きな紙と封筒を作り、さらに残った木を強火で燃やしてから木炭を作り、大きな紙と木炭を握って【創造作製】で頭にイメージした通りの文字を紙に転写した。
 それを折りたたんで封筒に入れて、適当な文字を入れた。

 「この中の紙に手を当て魔力を流す事により、帰還・ヨダソウの元にというと私の元に戻れます。 奴を見付けた時か危険を感じた時にこれをお使い下さい!」
 『何から何まで世話を掛けるなヨダソウよ! 奴を捕まえた時は一緒に奴の断末魔を聞こう!!』

 フェンリルは大地が震える程の叫び声を上げると、光に包まれて凄まじい勢いで走り去っていった。
 姿が見えなくなって行った時に緊張が解けて大きな溜息を附いた。

 「はぁ、奴が鹿で助かった。 笑いを堪えるのが結構辛かったなぁ、それにしても【舌鑑定】は本当に毛だけで詳細が解るんだな。」

 フェンリルの向かった太古の島は、亜熱帯で近くに火山がある気温の高い島である。
 何故ダンがこの島を知っていたかというと、テルシアの図書館で地理を勉強している時に見付けたからである。
 そこは、原初生物が徘徊する危険区域で、ドラゴンですら捕食される様な危険な場所である。
 そんな島にフェンリルが行ったところで生還はおろか、生存すら不可能に近いのである。
 何故、フェンリルは信じたのか?
 それは下を見て欲しい。

 【フェンリル・オルフェス】
 年齢500歳 
 両親はこの世にはもういない。
 長男・オルフェス
 次男・マルリィス
 長女・フェルリス
 次女・イファリス
 オルフェスが一番上の兄で、下の子達からは【兄さん】と呼ばれ慕われている。
 一族は他にもいるが、極寒地帯に暮らしている。

 さて、時間を無駄にしたな。
 早く助けを呼んでくるか…。
 僕は、カイナンの街に向かっていた。

 フェンリルを上手く騙して街道にでた僕は、カイナンの街に向かって行った。
 ところが、数多くの冒険者達がガイウスとレイリアを連れている所に出くわした。
 
 「ダン、何処に行ってた?」
 「ちょっと道に迷ってさ、ところでこの人達は?」
 「ギルドにいた冒険者達だ。 受付嬢が不審に感じたのをギルマスに話すと、ギルマスからダンを助けに行くようにと命令が出たらしい。」
 「ありゃりゃ、ギルドマスターとキャサリアさんと冒険者さん達には感謝しなきゃな!」
 「ところでレイリアの状態は大丈夫?」
 「ザッコス…だっけか? 奴の仲間の魔道士がレイリアを診てくれてな、魔力を著しく低下し気を失っているだけだと。」 
 「ところでダン、お前の方は? いままで何をしてたんだ?」
 「その話は…ギルドマスターに報告がてら話すよ。」

 僕らはカイナンの街に着いた。
 そして冒険者ギルドに行き、レイリアはギルド内の救護室で専属のヒーラーが診ていてくれた。
 僕とガイウスは受付に行った。

 「ダン様、御無事でしたか。 嫌な予感がしたので、ギルドマスターに勝手に相談してしまったのですが…」
 「はい、そのおかげで仲間がお世話になり助かりました。 キャサリアさん、ありがとうございました。」
 「それで、ギルドマスターと話があるのですが…」
 「はい、ギルドマスターからもダン様が来たら通すようにと申し使っております。」

 僕とガイウスは、応接室に通された。
 ギルドマスターは僕らに頭を下げてきた。

 「ダン殿、本当に済まなかった。 こんな落ち度があるとは、依頼書をよく確認していなかったこちらに責任がある。」
 「あぁ、別に良いですよ。 こうして無事に返ってこれたので、頭を上げて下さい。」
 「それで何があったか教えてはくれまいか? 上位ランカーが検分を行っているが、まだ報告が来てないのでな。」
 「実はですね…」

 僕は商人の護衛で待ち合わせ場所にいき、そこで罠に嵌りフェンリル信奉者に襲われた話をした。
 ヴォルガンは額を押さえて、テーブルを叩いた。

 「フェンリル信奉者か…ここ最近大人しかったんだがな。」
 「僕がギルドの受付で、でっかいワンちゃんとか、もう生きてはいないという話を聞いていた所を見ると、恐らく冒険者ギルドの中にフェンリル信奉者がいた…いや、冒険者として活動していたと言うべきでしょうか?」
 「そういう事になるだろうな。 ところで、騒動の後にダン殿が街に助けを呼びにいくという話だったらしいが、うちの冒険者を向かわしたけど会わなかったと言っていたが?」
 「単純にいうと、道に迷って草原に出てしまって…」
 「それにしては、俺達と合流するまでに長かったな、その間に何があった?」
 「えっと、話さなきゃ駄目?」
 「「もちろんだ!」」
 「えーっと… う~~~ん… あーーー…」
 「話したくない事なのか?」
 「わかりました、正直に言います。」

 僕はあの時の事を説明した。
 フェンリルの毛を以前入手していて、【舌鑑定】でフェンリルの詳細を知った事。
 フェンリル信奉者の黒いローブを纏っていたおかげで信奉者と間違えられた事。
 適当な嘘をついて、フェンリルを太古の島に送った事など…。

 「あの時間にそんな事があったのか!?」 
 「僕もまさか…あいつが生きているとは思わなかったよ。 聖竜国グランディオのドラゴンも大した事無いんだね。」
 「それにしても、太古の島か…フェンリルぐらいでは太刀打ち出来ないモンスターが数多くいるから生きては帰れないとは思うが…」
 「寒冷に強いフェンリルが亜熱帯の島になんか行ったら、まず弱りますからね。 それに、僕を探す以外に兄妹も救う為に探し回っているとなると、ほぼ島中を探し回る事になるでしょうね。」
 「「本当に恐ろしい事を良く思い付くな…」」

 ヴォルガンとガイウスは口を揃えて言うと、僕を見て呆れた様子だった。
 
 「まぁ、今度こそ始末出来たと思います。 これで心配事は1つ減ったでしょう。」
 「確かにあの島も恐ろしさは、この世界の住人なら恐ろしい程知っているからな。」
 「うむ。」
 「これで報告は以上です。」
 「お疲れ、それと本当に済まなかった。」
 「もう良いですよ、生きて返れたんだし。」
 「それと、もう1つだけ聞きたい事がある。」
 「何でしょう?」
 「100㎏の鉄と100㎏の毛玉はどっちが重いというのが、解らなくてな。」
 「あぁ、これは引っ掛け問題です。 答えは同じです。」
 「やっぱり同じなのか? 実践する訳にもいかないからどっちなのか解らなかったが…?」
 「同じ100㎏ですからね、重さは一緒です。 どちらが大きいと勘違いする人がたまに居ますからね。」
 「大きさで言ったら、やはり毛玉か?」

 僕は頷くと、御応接室を出た。
 あ…これで終わりじゃなかった。
 僕らはギルドホールに行くと、冒険者達が出迎えてくれた。
 そうだ、彼らにも感謝を伝えないとな…。

 『今回は僕等の為に応援に来てくれてありがとうございました!』
 『同じ冒険者の仲間の為なら…いや、ダンさんの為ならお手伝いくらい苦でもないです!』

 僕は周りを見渡した。
 《お酒はまだまだあるな… 食材が足りなさそうか?》

 『今日のお礼に僕が料理を作ります。 ガイウス、今日の報酬で市場で肉や魚や野菜を買ってきてくれ!!』
 「おう、解った!」
 「ガイウスさん、手伝います!」
 
 ガイウスとザッコスさん達は一緒に出て行った。
 40分後に大量の食材を買ってきたので、ギルドの厨房を借りて料理を作った。
 これだけの量を作るのは、エルヴの集落以来だった。
 そしてテーブルに料理と酒が並ぶと…

 『冒険者ギルドの仲間達に!!』
 『『『『ギルドの仲間達に!!』』』』

 その後はギルド内で宴会になった。
 初めて飲む割ってない酒にクラクラした。
 ガイウスを見ると、平然としている。
 この世界では16歳から酒は許されているので、初めて飲む僕とは違いガイウスは慣れた物なのだろう。
 騒ぎを聞きつけたギルドマスターのヴォルガンも参加し、今日は仕事は終わりだ!!といって、受付嬢達も宴会に参加した。
 僕の作った料理も評判で、冒険者達はガッツいて居た者もいた。

 「ガイウス…ヒッ…お前はダン殿の料理を旅の間…ずっと喰っていたのか?」
 「えぇ、ギルマス…ック…ダンの飯を喰ってしまうと、他では喰えなくなりますよ…」

 2人は出来上がっているようだ。
 その後、宴会は夜遅くまで続き…

 翌朝、どうやって帰ったか解らなかったが、目を覚ますと宿屋のベッドに寝ていた。
 そして、初めての二日酔いを経験した。
 体を起こすと、隣のベッドでガイウスはいびきをかいて寝ていた。
 早起きのガイウスが寝坊するのは珍しかった。
 反対側のベッドを見ると、レイリアが寝ていた。
 顔色も良さそうだし、これなら大丈夫か。
 二日酔いの所為か、体が怠い…。
 そう思っていたが、この怠さはスキルを覚えていた時と似ていた。
 まさかと思ってギルドカードを確認しようと文字を見た瞬間、吐き気がしたので、確認は後にする事にした。
 どうせ、大したスキルは覚えてないだろうしね。

 ~~~~~漆黒の空間~~~~~

 ふぅ…危なかった。
 もう少しで彼という駒が死ぬところだった。
 能力を封じ過ぎるのも考え物か…?
 彼さえ生きていれば、他人などどうでも良いが…彼の性格上、仲間が死ねば命を投げ出しかねないかも知れないな。
 君もそう思うだろ?
 空間の隅の方で丸くなっている子供がいた。
 子供は無気力に丸まっているだけだった。

 「彼という駒の行動や性格、考え方は非常に面白くて興味深い上に死なせて手放すには惜しいからね。 彼でもっと遊んで楽しみたいんだから! だが、この先でこういう目に遭わないとも考え難いな…? さてさて、どうするかね?」

 彼の武器と武器スキルは、とっくに封じてあるが…?
 包丁以外は手に取るだけで弾かれる様に設定したしね。
 それにこの紅蓮院流剣術という能力は反則的だな。
 技によっては、ドラゴンの硬い鱗をも斬り裂いて首を刎ねる事も可能という。
 こんな能力があったら、彼は強過ぎてしまう。
 それに、生活魔法以外に全属性魔法も手に入れる筈だったが、僕が封じてあげたしね。
 攻撃・回復・補助・防御魔法といったこの規格外の魔法なんて絶対に使わせる事はないよ。
 
 そして、彼のジョブ…
 本来は【〇〇〇〇〇〇〇〇〇】なのに、【器用貧乏】にしてレベルを1に固定したし。
 まぁ、経験値が溜まっていき過ぎると、レベルキャップが外れるからスキルの方に回しておいたし。
 
 「これも君の能力なのかい?」
 「・・・・・・・・・」
 「良かったよ、事前に防げて。」
 「・・・・・・・・・」
 「この世界に召喚された時に君の能力と記憶が彼に合わさるはずだったんだろ?」
 「・・・・・・・・・」
 「残念だったね、上手く行かなくてw」
 「・・・・・・・・・」
 「ねぇ、何とか言いなよ!」
 「・・・・・・・・・」
 「あ、僕が封じたから話せないんだっけ?」
 「・・・・・・・・・」
 「つまんないなぁ~でも、彼という暇潰しがいるからいっか、退屈しないし…」
 「・・・・・・・・・」
 「もしかして、怒ったぁw?」
 「・・・・・・・・・」

 それにしても良かったよ~。
 やっと奴等から追放されておもちゃを探していたら、異世界人という面白そうなおもちゃの駒を手に入れられたんだからw

 「うん、そうだね…!
 攻撃には全く役に立たないけど、少し実用的なスキルを3つあげよう。
 少なくとも、これで命の危険からは避けられると思うよw」
 
 彼の名は観察者…。
 今はまだ、正体を明かす事はない。
 その正体がわかるのは、まだまだ先の話である。
 
 そして、観察者が封じたこの子供も何者なのか?
 「……る……か……」

 ~~~~~場所は戻って現在~~~~~

 早めの朝食後に未だ寝ているガイウスとレイリアを置いて、僕は冒険者ギルドに来ていた。
 ギルドの外に凄く立派な馬車が止まっていたけど、何かあったのかな?
 昨日の今日で、二日酔いの冒険者もいるかと思ったら、皆元気で働いている。
 この世界の冒険者は逞しいんだなぁ…と思った。
 ギルドの仲間達は、僕を見るなりお礼を言ってきた。
 すると、キャサリアさんから声が掛かってきた。
 
 「ダン様、ギルドマ…いえ、昨日はありが…あ、それよりも…」
 「キャサリアさん、落ち着いて。」
 「ダン様、昨日はご馳走様でした。 あ、それよりもギルドマスターがお呼びです。」

 僕は応接室に向かった。
 応接室に入ると、ギルドマスターが慌てていた。
  
 「ダン殿、大変なんだ!!」
 「娘さんが結婚相手でも連れてきましたか?」
 「いや、そうじゃない!…って、娘はまだ11歳だ! そうじゃなくて、ダン殿は王宮から召喚要請が来ているんだ!!」
 「王宮から…ですか?」
 「ダン殿は王宮から呼び出される様な事を何かしたのか?」
 「カイナンに来てから、3か月くらい経っているけど、王宮から呼び出される様な事を何かしたっけ?」

 思い返してみる…?
 カイナンの街に来た時や目的地に行く時にシルフィンダーを使った事かな?
 それとも複合統一魔法を使ってみせた事とか?
 あの犬(フェンリル)を追い払った事かな?
 草原で大型の植物系のモンスターを消滅させた事かな?
 5人の男を拷問の様にした事か?
 あ…バカスター子爵を潰した事か…これかな?
 それ以外だと、フェンリル信奉者を撃退した事か?
 
 「ヴォルガン様、ごめんなさい。 思い当たる事が多すぎてどれかが解りません。」
 「確かにダン殿は、この街に来てから色々やらかしてくれたからな…。」
 「無視する…という事は出来ませんかね?」
 「無理だ! 迎えの騎士と場所がもう来ている。」
 「あ、ギルドに入る前に止まっていたあの馬車か!」
 「なので、逃げる事は出来ない。」 
 「ここのギルドって裏口とかありませんでしたっけ?」
 「いや、あるにはあるが…って、ダン殿は逃げる気か?」
 「だって、城や王宮にはロクな思い出がありませんもん。 出来れば関わり合いになりたくないですよ。」
 「ダン殿、諦めてくれ! それにもう扉の外に騎士が来ている。」
 「解りました、ではそこの窓から逃げます。 追わないで下さい!」
 「馬鹿な事を言っているんじゃない! おい、クリス…来てくれ!!」
 「失礼します!」

 応接室に入ってきた騎士は、物凄くゴツい赤いフルプレートを着ていて、顔が見えなかった。
 声も響いている感じだったが、女性だったという事くらいは解った。
 
 「冒険者ダン殿、早速城に向かいましょう!」
 「嫌です!! 行きたくありません!!」

 僕はそう言って、騎士の脇を通って逃げようとしたが、捕まってしまった。
 振り解こうにも力が強過ぎて振り解けない…この世界の女性たちは、こうも逞しいのか…? 
 僕は連行される様に連れて行かれ、馬車に乗せられた。
 扉には紋章で鍵を掛けられた。
 逃げられるとしたら、扉が開いた瞬間だな…そう思って城に着いて扉が開いた瞬間に飛び出したが、大勢の騎士に囲まれていた。
 スキルの泡魔法を発動しようとしたけど、スキルは使えなかった。
 考えてみたら城の中だしな、対抗処置位はされていてもおかしくは無いか…。
 僕は諦めて、騎士達に囲まれて連れて行かれた。

 「冒険者ダン殿をお連れ致しました!」
 「入れ…」

 扉の中から声がした。
 入るとそこは煌びやかな王宮内で、奥には玉座が2つあった。
 この国の王と王妃が座っていた。
 国王も王妃もまだ若いな…それが僕の印象だった。

 「余がこの国の王、ロベルト・バーン・サーディリアンである。」
 「わたくしは、王妃のトアルディア・ケア・サーディリアンです。」
 「お初にお目にかかります、冒険者のダン・スーガーです。」

 僕は跪いて挨拶をした。
 20代半ばか、もしくは30代前半くらいかな?
 それにしても王妃様は、アルカディア王女に似ている感じがするな…?
 僕は首を傾げた。

 「わたくしがどうか致しましたか?」
 「あ、いえ…テルシア王国のアルカディア王女に似ていると感じた物で…。」
 「似ていて当然ですわ、アルカディアはわたくしの妹です。」
 「あ、どうりで…」

 王は手を上げると人払いをして、王宮の中には僕と王と王女しかいなくなった。
 
 「ダン殿の話は聞き及んでいる。 大した活躍ではないか…。」
 「はぁ、光栄であります。 陛下…」
 「そう堅苦しくなる必要もない、ここには我々しかいないのだからな。」
 「ありがとうございます。 それで僕は何故王宮に呼ばれたのでしょうか?」
 「実はな、テルシア王国のアルカディア王女から妻へ手紙が送られてきてな… 異なる世界の救世主様の1人がこの国に来るという話を聞いて、今か今かと待っていたのだが一向に現れなかったので、今日みたいな強引な手段を取ってしまったのだ。」
 「そんな理由で…ですか?」
 「ところがだ来た早々に色々国を騒がせる騒動を起こしてくれてな、君がどこにいるかすぐに所在を発見出来たのだ。」
 「何かしましたっけ?」
 「世界に数人しか使えない属性同時魔法出現や複合統一魔法を使ってみせたとか、フェンリルを策で撃退したとか、子爵家を取り潰したとか…まぁ、他にもあるがな。」
 「あら、ほぼ全部ですね。」
 「色々と話を聞きたいというのもあるのだが、それ以上にダン殿に頼みたい事があってな。」
 「頼みたい事…ですか?」

 王族からの頼みというのは正直、面倒事としか思えないんだよなぁ。
 まぁ、テルシア王国に比べたら対処も良いし、聞いてみるとしますか。
 受けるかどうかは…どうしようかな?

 「実はな、ダン殿に頼みたいというのはな…」
しおりを挟む
1 / 3

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!


処理中です...