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第二章 エルヴ族での生活の章
第五話 集落への帰還(やっと帰れた…)
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「やっと…出られた。」
僕とガイウスは、神殿跡から外に出られて、埃っぽい場所から新鮮な空気を肺に入れた。
目の前には広大な草原が広がっている…え? 草原⁉︎ 森はどこに行った?
さて、どうやってあの場所から抜けだせたか説明しよう。
落ちた穴の天井にガイウスの槍にロープを繋いで投げるというのをやったのだが、予想以上に落ちた高さがあり槍は届かなかった。
風魔法と土魔法を駆使して、土台を作ってから投げたりもしたが、高さがあまりにもあり…それでも届かない。
それで今一度、食事をしながらギルドカードを確認した。
すると、レベルが上がっていた。
ガイウスは、【槍術士】がLv28→Lv30に…
僕は、【器用貧乏】Lv1のままで、スキルのレベルが上がっていた。
【生活魔法】 Lv6→Lv7 音が追加+生活に関する魔法の効果アップ
【球体魔法】 Lv3→Lv4 5m四方の球体可能+球体の大きさの変化が出来る。 水も行けちゃうぞ!
【貫通魔法】 Lv3→Lv4 5m四方の穴の拡大+威力上昇。
【性質&形状】Lv2→Lv3 効果アップ ブルーメタルも変化出来ちゃうぞ。
【創造作製】 Lv1→Lv3 効果アップ 出来なかったことが出来る様になるよ。
【修復】 Lv1→Lv3 効果アップ やっぱり材料がないと修復できないよ。
【吐血】 Lv2→Lv4 今ならドラゴンもいけるかも。
【舌鑑定】 Lv1→Lv4 毛でも詳細わかっちゃうよ。
僕の【器用貧乏】のレベルっていつになったら上がるんだろう?
モンスター討伐の経験値が、全部スキルレベル上昇になっているようにしか思えない。
もう…諦めよう。
【器用貧乏】に関してはレベルが上がればラッキーくらいで。
【生活魔法】のレベルが上がるのは良いとして、音って何だろう? 超音波かな?
【球体魔法】と【貫通魔法】も効果が倍になったな。 球体の大きさの変化って…?
それにしても、ギルドカードの説明が随分フレンドリーになったな、当初の真面目な説明はどこに行ったんだろう?
そもそも、スキルレベルって熟練度により上がる物じゃないのか?
モンスターを倒して上がるなら、早く知りたかった…。
【球体魔法】についてのおさらい。
この魔法は収納魔法の変わりが出来るが、手ぶらになる事ではなく球体になって保管できる物です。
範囲内であれば、どんな物でも球体に収納可能なんだけど、壁を抉り取って収納というのは無理みたいで、外側から範囲内であれば…物置で説明しよう。
縦横2mの物置の場合、外側からなら物置ごと収納は可能だが、内側から物置を収納は無理。
外側からだと物と判断され、内側から収納しようとしても壁として認識されるのだ。
つまり…?
牢屋の中から脱獄とかは不可能なのである。
便利なようで不便な魔法なんです。
神殿内も高さが30mくらいあるので、当然それまでの道も高さがそれくらいある。
それが全部大きな岩で塞がっている。
上から行くのは無理だと解ったので、かつて道があった方の道から脱出しようと思う。
【貫通魔法】を発動する。
5m四方の穴が開くが、上から岩でまた塞がった。
この【貫通魔法】も面白いもので、穴を開けた時に出る土砂はどこに行くんだろう?…と思っていたら、勝手に球体になっているのである。
【貫通解除】をすると、球体が消えて元に戻る。
以前、グリーディ・ボアで開けた穴の土がどこに行ったのかわからなくて、球体の中に見た事がない物があったので【球体解除】をしてみたら、山の様な土になった。
この【球体魔法】と【貫通魔法】はセットみたいな感じである。
さて、話を戻して…。
【貫通魔法】で穴を開けても、岩が崩れてくるという事は相当大きな崩落があったのだろう?
崩れてくる岩も別に無限という訳ではない。
もう面倒なので、片っ端から【球体魔法】で岩を収納していった。
これなら早くに出られるだろう…と思っていた時期もありました。
【球体魔法】で岩を球体にした玉が床に散らばっていた。
その数、90個以上…
外から神殿までの道が豪く長い上に、クネクネと入り組んでいて直線ではなかった。
いまがどれくらい進んだかが解らない。
それに、物凄く体が怠い。
ギルドカードを見ると、MPが2しかなかった。
神殿側に戻って食事して寝た。
ガイウスは、モンスターは出ないが一応見張り役を買って出てくれた。
~~~~~翌日~~~~~
完全回復をした僕は、昨日と同じように岩を【球体魔法】で球体化していく…
80個くらい床に散らばっているが、まだ出口が見えない。
この通路、長すぎ!!
昼食くらいの時間になったので、球体を拾いながら神殿に戻った。
この玉も何かに使えるだろうと思って。
昼食を用意してから、少し仮眠。
食料はまだあるが、いい加減この作業もしんどい…。
ガイウスは僕が進んでいる間は神殿の方にいたが、今回は一緒に行くと言って歩いていると…?
「風の流れを感じる!」
ガイウスはそう言った。
という事は、出口が近いのか!
僕はテンションを上げて、【球体魔法】を連発で発動した。
そして、岩の亀裂から光が見えた!
よし、これで最後だ!
そう思って発動しようとした瞬間に、ガイウスが槍を連続突きして岩を砕いた。
ガイウスもこの閉鎖的な空間での生活が限界だったらしく、岩を砕いた時のテンションが半端ない。
そして、やっと出られた…と思ったら、広大な草原が見える。
「あれ? 森は…?」
「ここは、アーベント草原だな。 ダンがテルシア方面から来た草原だ。」
この広大な草原って、名前あったんだ?
つまり…?
ガルヴ大森林とは全く逆の場所に出てしまった。
まぁ、それはそうだろうな…。
森側の鉱山の入り口から真っ直ぐ進んで少し下った場所を掘っていたら、穴に落ちて神殿がある方向が鉱山の入り口としたら、全くの真逆の道を進んでいたんだから、森に出るはずはない。
「とりあえず、休もう!」
「だな、久々に空が見えるのは良い!」
2人して草原に寝そべって空を眺めている。
たまに流れる風が心地よい。
「あれから何日経ったんだ?」
「3日か4日か…暗い中に居たから間隔が狂っているな。」
2人してお腹がなった。
飯にするかと思って立ち上がると、ガイウスが僕の後ろを見て睨んでいた。
僕が後ろをチラリと見ると、僕を襲った時と同じくらいのグリーディ・ボアがいた。
「ガイウス、頼める?」
「あぁ、今日はコイツを喰らおう!」
ガイウスの電光石火の槍の一撃がボアの額を貫いた。
ガイウスが槍を引き抜くと、僕はボアの首をデカ包丁で刎ねた。
そして、ボアの腹に手を当て【吐血】を発動すると、一瞬で血抜きが出来た。
解体はガイウスがやってくれた。
狩猟を生業としているだけあって、僕とは比べ物にならない位に丁寧で早い。
あっという間に解体が終わると、そこで豪快に肉を焼いて貪る様に喰った。
別に神殿内で球体にしまってあった食材にも肉が無かったわけではないが、加工物の干し肉では無い普通の肉が久々だったのでガッついてしまっただけだった。
そして食休みしてから、集落に帰るために歩き始めた。
「パン食も嫌いではないが、たまには米が食べたいな…」
「コメ? それはどんな物なんだ?」
「こっちの世界にあるのかな? 白い楕円形な形の小さな粒で、それを大量に集めて炊くと食べれる物なんだけど…。」
ガイウスは空を見ながら考えている。
実際に米を知らない人に、どんな食材なのかを説明は難しい…。
「それ…ハクの事か?」
「ハク?」
「茶色い殻に包まれていて、殻を剥くと白い…ダンが説明した物になる奴なら、集落の家畜や鳥の餌として用いるが。」
「そうそれ!! どこで手に入る?」
「それで良いなら、その辺に沢山生えているだろ?」
「え?」
あたりを見ると、確かに稲が生えていた。
そういえば、この辺の草原はシルフィンダーでかっ飛ばしていたから見てなかった。
「すまん、ガイウス! ちょっと時間が掛かるけど待っていてくれ!!!」
「お…おぅ!」
僕の勢いにガイウスは圧倒されたみたいで、そう返事をした。
僕は大量の稲を風魔法で刈っていき、米を別にした稲を集めてから【創造作製】で袋を作り米を収納していった。
~~~~~3時間後~~~~~
この辺の稲のほとんどを刈り尽くした。
だけど、まだ別な場所には稲は生えている。
それでも10㎏の袋が100個集めたので満足である。
それらを【球体魔法】で収納した。
気がつけば、もう夕方になっていた。
ガイウスとの相談で、今日はここでキャンプする事にした。
やったー! 米が食える!!!
米がある! 卵もある! パンもある! 肉もある! オニオンもある!
ならば、作るとしたらアレしかない!!
ふっふっふっふっふ………
指を鳴らしながら調理をする光景に、ガイウスは怯えてみていた。
僕の久々の米に変なテンションだったので、妙な光景に映ったのだろう。
大丈夫、最高にうまい飯を作ってやるぜ!!
僕の今日の【生活魔法】は冴え渡っているぜ!!
調理の前に道具の準備!
まず、近くの土を【球体魔法】で収納する。
【球体魔法】は生物は取り込めないので、虫とかは排出される。
【球体解除】を行い土に戻すと、土の山になる。
次に、【生活魔法】の水魔法で土を洗う。
水分を含んだ泥に手を当てて【創造作製】で土鍋を作る。
白米でも良いのだが、どうせなら栄養のある玄米にしよう。
玄米を水魔法で洗い、土鍋に入れて水を入れて強火で炊く。
その間、風魔法で粉々にしたパン粉を用意する。
ボアの肉を包丁の峰で叩きまくり、そこに卵を入れてかき混ぜたボウルに肉を浸す。
次にフライパンを用意して、油はボアの油を使って温める。
肉を取り出し、パン粉をまぶして焼く。
それにスライスしたオニオンを入れて、卵と醤油と少量の味噌をいれて弱火で少し煮る。
炊きあがった玄米を丼に入れて、丼の上にフライパンで作った料理を乗せる。
そして完成! そう…かつ丼だ!!
「さぁ、ガイウス…喰ってみやがれ‼︎」
「あ…あぁ!」
ガイウスはかつ丼を見てから、僕の顔をみる。
僕はかつ丼を食べた。
僕は異世界では玄米を主に食べていた。
白米も嫌いではなかったが、栄養価を考えると玄米になるのだ。
異世界の玄米は、少し硬い触感がしたが久々のお米に涙が出た。
そして、無我夢中で口に入れた。
それを見ていたガイウスは、初めて食べるであろうかつ丼を口に入れると、その後凄い勢いで食べていた。
ガイウスはかつ丼を食べ終わった後にこう言った。
「俺はもう、あの飯は喰えん。 この味を知ってしまったら、もうあんな物喰えるか!!」
「満足してくれたら嬉しいよ。」
こうして、僕は寝て…
ガイウスは火の番をしてくれた。
エルヴ族は、一度睡眠をとれば3日~5日は寝なくても平気らしいのだ。
僕はガイウスの好意に甘える事にした。
~~~~~翌朝~~~~~
僕達は集落に向けて出発した。
僕がシルフィンダーで落ちて行ったあの急カーブに行くと、そこから少し右に行った場所に森に降りる道があるので下って行った。
そして、久々に集落に着いたのだが……?
「なんだ、これは!? 何があった!?」
ガイウスは集落の中を抜けてレイヴンの元に走って行った…のかな?
あっという間に見えなくなった。
集落の中は沈んでいる様な気分の人達がいて、いつもの様な活気がなかった。
僕の顔を見るなり、希望に満ちた様な顔をしている。
「あ、うん…大体予想がつく。」
嫌な予感がしたので、ゆっくりとレイヴンの屋敷に向かった。
屋敷に入り、レイヴンに会うと開口一番でこう言われた。
「ダン、遅かったな! 今から飯を作れ!!」
「だろうねぇ…」
かつ丼は面倒だったので、豚丼を作った。
集落全体だと、米の量も50㎏分無くなったが、無くなった分は集落の人に採りに行ってもらおうと思った。
腹が満たされ落ち着きを取り戻したレイヴンは、すぐに戻ってこれなかった事情を聞いてきた。
僕とレイヴンは、あの時起こった事を説明した。
「なるほど、草原から入れる神殿とガーディアンのゴーレムか…」
代々族長から記憶を受け継ぐレイヴンも神殿の事は知らなかった。
この森に来たエルヴ族ですら神殿の事を知らないとなると、あの神殿はそれ以前の物らしい。
もう何世紀経っているかすら解らない状態だという。
「で? ハルモニア鋼は手に入ったのか?」
「見せるにはここでは狭いのですが、大量に手に入りました。」
「ハルモニア鋼は良いとして、他には何が必要なんだ?」
「そうですねぇ…? なめした革がいくつかと、ガラスとゴムを大量にくらいかな?」
「すると、オークウッドか…」
レイヴンが口にすると、ガイウスや門番も寡黙になった。
そんなに見つからない木なのかな?…と思ったら違った。
【オークウッド】
植物型のモンスターで、動かないと木そのもので非常に見つけにくい。
そこそこの知恵があり、攻撃が少し特殊だというが…?
「オークウッドは、探そうとして見つかる物ではなく、緊張感を持って歩いている旅人や狩人が休憩に気を抜いた瞬間に襲ってくるという…非常にイヤらしい攻撃をしてくる奴なんだが、ゴムの樹液ならそいつから採れる。」
「討伐してから樹液を採れば問題ないのでは?」
「いや、ソイツが生きている時ではないと樹液は採取出来ない。 倒してしまうと樹液は出ずにただの繊維になってしまうのだ。 オークウッドが生きている時に採取した樹液は、オークウッドが死んだ後でも固まる事はないので、問題はないのだが…?」
「だが?」
「非常に見つかりにくい上に知恵もあるし、ベテラン狩人でもやられる可能性が高いので、非常に厄介な奴なんだ。」
なるほど、だからか…皆がイヤな顔になったのは。
この集落に鉄や銅は大量にあるらしいので、これに関しては問題ないし…革も問題ない。
シルフィンダーの完成には、やはりゴムで作ったタイヤが必要不可欠だった。
知恵があり、見つけにくいか…?
う~~~ん……?
これはハルモニア鋼入手以上に厄介だぞ!?
「レイヴンにお願いがある! ガイウスをまた貸してくれ! それと他にも入手してほしい物がある。」
「ほぉ、交渉するには何か材料はあるんだろうな?」
「勿論、この集落で女性達を3・4人貸してくれれば…」
「女達をどうする気だ?」
「この集落にいる限り、僕が彼女達の師となり料理を教えます。」
「ほぉ…それは興味深い取引だ!」
「では、なるべく若い子をお願いします。 目の保養とお触りを許してくれる若くてかわいい女の子を!!」
「目の保養とお触りは、ダンの嘘です。それ以外は本当みたいですが…」
さすがのガイウスも僕の嘘には慣れたみたいだ。
それにしても、相変わらず冗談はガイウスが許してくれないみたいだ。
「何故若い娘が必要だ?」
「ガイウスと話したのですが、エルヴの民は寿命が長い長寿な種族です。 なら若い子に教え込み、その子達が親になってから子や孫に継承していくのが良いと思ったからです。」
「なるほど、料理番は固定するという考えか?」
「です、この集落の人数だけでもかなりの人数です。 他の仕事をしていて料理をするというのは、初めの頃は無理でしょう。 覚える事が多すぎる!」
「わかった、今も人を遊ばせていく余裕はあまりないが、用意しよう。」
「安心してくれ、僕がこの集落から旅立つまでにある程度はこなせる様に育てますから!」
レイヴンはガイウスを見た。
ガイウスは頷いて見せた。
自分で言い出した事とはいえ、結構ハードなスケジュールだな。
こっちの出した条件の材料をそろえて貰うのだから、文句も言ってられない。
その後の3日間は、紹介された4人の女の子に料理のイロハを教えて行った。
エルヴ族の女の子に肥満な子はいない為、若くて可愛い女の子ではあるのだが…僕より身長が高かった。
泣くぞ、グスッ…。
~~~~~4日後~~~~~
僕はガイウスと共にオークウッドを探しに森をさまよった。
崖下の森とは違い、奥の方の森は日の光があまり届かない場所もある。
とはいっても、別に薄暗いという訳ではない。
光が差す場所はちゃんと差すし、そう言った場所でオークウッドを探すのだけど、見付からない。
モンスターで人を襲うが、別に捕まえて捕食する訳ではないらしい。
オークウッドは光合成により生きているという事なので、日のあたる場所を探している訳だけど…?
正直この森広すぎ!!
この日は収穫なしで集落に戻った。
食事に関しては、4人の子達が簡単な物なら作れるようになっていたので、安心して任せた。
翌日…翌々日…と探してみたが、全く見付からなかった。
そりゃそうか、見付けようとして見つかる物じゃないと言われたもんな。
ここまで痕跡が見つからないかと思ったその翌日…日の光に当たりながら、くねくねと踊っている様に見える1mくらいの小さな木があった。
「これはオークウッドの子供だな。 こいつからは樹液は採れないぞ。」
「オークウッドの子供は警戒心なさそうだな?」
「こいつに関しては俺達は手を出さない事にしている。 危険を感じると馬鹿でかい声を上げて叫び声を発して仲間を呼ぼうとするのだが、こいつの声は人間には大丈夫でも、エルフやエルヴには毒なんだ。」
「僕がボソッと話した悪口でもガイウスには聞こえるしね。 そんな大きな叫び声なら…ん?」
「どうした、ダン?」
「と~っても良い事を思い付いた! ふっふっふ…」
僕は思い付いた事をガイウスに話した。
ガイウスは青い顔をしてこう言った。
「ダン、おまっ…よくもそんな悪魔みたいな発想が思い付くな…」
「褒めてくれてありがとう! さ~て、忙しくなるぞぉ! へっへっへ…!」
この後にダンは樹液を手に入れる事が出来ますが、やり方が結構酷い方法です。
ガイウスも引く位の発想とは…?
僕とガイウスは、神殿跡から外に出られて、埃っぽい場所から新鮮な空気を肺に入れた。
目の前には広大な草原が広がっている…え? 草原⁉︎ 森はどこに行った?
さて、どうやってあの場所から抜けだせたか説明しよう。
落ちた穴の天井にガイウスの槍にロープを繋いで投げるというのをやったのだが、予想以上に落ちた高さがあり槍は届かなかった。
風魔法と土魔法を駆使して、土台を作ってから投げたりもしたが、高さがあまりにもあり…それでも届かない。
それで今一度、食事をしながらギルドカードを確認した。
すると、レベルが上がっていた。
ガイウスは、【槍術士】がLv28→Lv30に…
僕は、【器用貧乏】Lv1のままで、スキルのレベルが上がっていた。
【生活魔法】 Lv6→Lv7 音が追加+生活に関する魔法の効果アップ
【球体魔法】 Lv3→Lv4 5m四方の球体可能+球体の大きさの変化が出来る。 水も行けちゃうぞ!
【貫通魔法】 Lv3→Lv4 5m四方の穴の拡大+威力上昇。
【性質&形状】Lv2→Lv3 効果アップ ブルーメタルも変化出来ちゃうぞ。
【創造作製】 Lv1→Lv3 効果アップ 出来なかったことが出来る様になるよ。
【修復】 Lv1→Lv3 効果アップ やっぱり材料がないと修復できないよ。
【吐血】 Lv2→Lv4 今ならドラゴンもいけるかも。
【舌鑑定】 Lv1→Lv4 毛でも詳細わかっちゃうよ。
僕の【器用貧乏】のレベルっていつになったら上がるんだろう?
モンスター討伐の経験値が、全部スキルレベル上昇になっているようにしか思えない。
もう…諦めよう。
【器用貧乏】に関してはレベルが上がればラッキーくらいで。
【生活魔法】のレベルが上がるのは良いとして、音って何だろう? 超音波かな?
【球体魔法】と【貫通魔法】も効果が倍になったな。 球体の大きさの変化って…?
それにしても、ギルドカードの説明が随分フレンドリーになったな、当初の真面目な説明はどこに行ったんだろう?
そもそも、スキルレベルって熟練度により上がる物じゃないのか?
モンスターを倒して上がるなら、早く知りたかった…。
【球体魔法】についてのおさらい。
この魔法は収納魔法の変わりが出来るが、手ぶらになる事ではなく球体になって保管できる物です。
範囲内であれば、どんな物でも球体に収納可能なんだけど、壁を抉り取って収納というのは無理みたいで、外側から範囲内であれば…物置で説明しよう。
縦横2mの物置の場合、外側からなら物置ごと収納は可能だが、内側から物置を収納は無理。
外側からだと物と判断され、内側から収納しようとしても壁として認識されるのだ。
つまり…?
牢屋の中から脱獄とかは不可能なのである。
便利なようで不便な魔法なんです。
神殿内も高さが30mくらいあるので、当然それまでの道も高さがそれくらいある。
それが全部大きな岩で塞がっている。
上から行くのは無理だと解ったので、かつて道があった方の道から脱出しようと思う。
【貫通魔法】を発動する。
5m四方の穴が開くが、上から岩でまた塞がった。
この【貫通魔法】も面白いもので、穴を開けた時に出る土砂はどこに行くんだろう?…と思っていたら、勝手に球体になっているのである。
【貫通解除】をすると、球体が消えて元に戻る。
以前、グリーディ・ボアで開けた穴の土がどこに行ったのかわからなくて、球体の中に見た事がない物があったので【球体解除】をしてみたら、山の様な土になった。
この【球体魔法】と【貫通魔法】はセットみたいな感じである。
さて、話を戻して…。
【貫通魔法】で穴を開けても、岩が崩れてくるという事は相当大きな崩落があったのだろう?
崩れてくる岩も別に無限という訳ではない。
もう面倒なので、片っ端から【球体魔法】で岩を収納していった。
これなら早くに出られるだろう…と思っていた時期もありました。
【球体魔法】で岩を球体にした玉が床に散らばっていた。
その数、90個以上…
外から神殿までの道が豪く長い上に、クネクネと入り組んでいて直線ではなかった。
いまがどれくらい進んだかが解らない。
それに、物凄く体が怠い。
ギルドカードを見ると、MPが2しかなかった。
神殿側に戻って食事して寝た。
ガイウスは、モンスターは出ないが一応見張り役を買って出てくれた。
~~~~~翌日~~~~~
完全回復をした僕は、昨日と同じように岩を【球体魔法】で球体化していく…
80個くらい床に散らばっているが、まだ出口が見えない。
この通路、長すぎ!!
昼食くらいの時間になったので、球体を拾いながら神殿に戻った。
この玉も何かに使えるだろうと思って。
昼食を用意してから、少し仮眠。
食料はまだあるが、いい加減この作業もしんどい…。
ガイウスは僕が進んでいる間は神殿の方にいたが、今回は一緒に行くと言って歩いていると…?
「風の流れを感じる!」
ガイウスはそう言った。
という事は、出口が近いのか!
僕はテンションを上げて、【球体魔法】を連発で発動した。
そして、岩の亀裂から光が見えた!
よし、これで最後だ!
そう思って発動しようとした瞬間に、ガイウスが槍を連続突きして岩を砕いた。
ガイウスもこの閉鎖的な空間での生活が限界だったらしく、岩を砕いた時のテンションが半端ない。
そして、やっと出られた…と思ったら、広大な草原が見える。
「あれ? 森は…?」
「ここは、アーベント草原だな。 ダンがテルシア方面から来た草原だ。」
この広大な草原って、名前あったんだ?
つまり…?
ガルヴ大森林とは全く逆の場所に出てしまった。
まぁ、それはそうだろうな…。
森側の鉱山の入り口から真っ直ぐ進んで少し下った場所を掘っていたら、穴に落ちて神殿がある方向が鉱山の入り口としたら、全くの真逆の道を進んでいたんだから、森に出るはずはない。
「とりあえず、休もう!」
「だな、久々に空が見えるのは良い!」
2人して草原に寝そべって空を眺めている。
たまに流れる風が心地よい。
「あれから何日経ったんだ?」
「3日か4日か…暗い中に居たから間隔が狂っているな。」
2人してお腹がなった。
飯にするかと思って立ち上がると、ガイウスが僕の後ろを見て睨んでいた。
僕が後ろをチラリと見ると、僕を襲った時と同じくらいのグリーディ・ボアがいた。
「ガイウス、頼める?」
「あぁ、今日はコイツを喰らおう!」
ガイウスの電光石火の槍の一撃がボアの額を貫いた。
ガイウスが槍を引き抜くと、僕はボアの首をデカ包丁で刎ねた。
そして、ボアの腹に手を当て【吐血】を発動すると、一瞬で血抜きが出来た。
解体はガイウスがやってくれた。
狩猟を生業としているだけあって、僕とは比べ物にならない位に丁寧で早い。
あっという間に解体が終わると、そこで豪快に肉を焼いて貪る様に喰った。
別に神殿内で球体にしまってあった食材にも肉が無かったわけではないが、加工物の干し肉では無い普通の肉が久々だったのでガッついてしまっただけだった。
そして食休みしてから、集落に帰るために歩き始めた。
「パン食も嫌いではないが、たまには米が食べたいな…」
「コメ? それはどんな物なんだ?」
「こっちの世界にあるのかな? 白い楕円形な形の小さな粒で、それを大量に集めて炊くと食べれる物なんだけど…。」
ガイウスは空を見ながら考えている。
実際に米を知らない人に、どんな食材なのかを説明は難しい…。
「それ…ハクの事か?」
「ハク?」
「茶色い殻に包まれていて、殻を剥くと白い…ダンが説明した物になる奴なら、集落の家畜や鳥の餌として用いるが。」
「そうそれ!! どこで手に入る?」
「それで良いなら、その辺に沢山生えているだろ?」
「え?」
あたりを見ると、確かに稲が生えていた。
そういえば、この辺の草原はシルフィンダーでかっ飛ばしていたから見てなかった。
「すまん、ガイウス! ちょっと時間が掛かるけど待っていてくれ!!!」
「お…おぅ!」
僕の勢いにガイウスは圧倒されたみたいで、そう返事をした。
僕は大量の稲を風魔法で刈っていき、米を別にした稲を集めてから【創造作製】で袋を作り米を収納していった。
~~~~~3時間後~~~~~
この辺の稲のほとんどを刈り尽くした。
だけど、まだ別な場所には稲は生えている。
それでも10㎏の袋が100個集めたので満足である。
それらを【球体魔法】で収納した。
気がつけば、もう夕方になっていた。
ガイウスとの相談で、今日はここでキャンプする事にした。
やったー! 米が食える!!!
米がある! 卵もある! パンもある! 肉もある! オニオンもある!
ならば、作るとしたらアレしかない!!
ふっふっふっふっふ………
指を鳴らしながら調理をする光景に、ガイウスは怯えてみていた。
僕の久々の米に変なテンションだったので、妙な光景に映ったのだろう。
大丈夫、最高にうまい飯を作ってやるぜ!!
僕の今日の【生活魔法】は冴え渡っているぜ!!
調理の前に道具の準備!
まず、近くの土を【球体魔法】で収納する。
【球体魔法】は生物は取り込めないので、虫とかは排出される。
【球体解除】を行い土に戻すと、土の山になる。
次に、【生活魔法】の水魔法で土を洗う。
水分を含んだ泥に手を当てて【創造作製】で土鍋を作る。
白米でも良いのだが、どうせなら栄養のある玄米にしよう。
玄米を水魔法で洗い、土鍋に入れて水を入れて強火で炊く。
その間、風魔法で粉々にしたパン粉を用意する。
ボアの肉を包丁の峰で叩きまくり、そこに卵を入れてかき混ぜたボウルに肉を浸す。
次にフライパンを用意して、油はボアの油を使って温める。
肉を取り出し、パン粉をまぶして焼く。
それにスライスしたオニオンを入れて、卵と醤油と少量の味噌をいれて弱火で少し煮る。
炊きあがった玄米を丼に入れて、丼の上にフライパンで作った料理を乗せる。
そして完成! そう…かつ丼だ!!
「さぁ、ガイウス…喰ってみやがれ‼︎」
「あ…あぁ!」
ガイウスはかつ丼を見てから、僕の顔をみる。
僕はかつ丼を食べた。
僕は異世界では玄米を主に食べていた。
白米も嫌いではなかったが、栄養価を考えると玄米になるのだ。
異世界の玄米は、少し硬い触感がしたが久々のお米に涙が出た。
そして、無我夢中で口に入れた。
それを見ていたガイウスは、初めて食べるであろうかつ丼を口に入れると、その後凄い勢いで食べていた。
ガイウスはかつ丼を食べ終わった後にこう言った。
「俺はもう、あの飯は喰えん。 この味を知ってしまったら、もうあんな物喰えるか!!」
「満足してくれたら嬉しいよ。」
こうして、僕は寝て…
ガイウスは火の番をしてくれた。
エルヴ族は、一度睡眠をとれば3日~5日は寝なくても平気らしいのだ。
僕はガイウスの好意に甘える事にした。
~~~~~翌朝~~~~~
僕達は集落に向けて出発した。
僕がシルフィンダーで落ちて行ったあの急カーブに行くと、そこから少し右に行った場所に森に降りる道があるので下って行った。
そして、久々に集落に着いたのだが……?
「なんだ、これは!? 何があった!?」
ガイウスは集落の中を抜けてレイヴンの元に走って行った…のかな?
あっという間に見えなくなった。
集落の中は沈んでいる様な気分の人達がいて、いつもの様な活気がなかった。
僕の顔を見るなり、希望に満ちた様な顔をしている。
「あ、うん…大体予想がつく。」
嫌な予感がしたので、ゆっくりとレイヴンの屋敷に向かった。
屋敷に入り、レイヴンに会うと開口一番でこう言われた。
「ダン、遅かったな! 今から飯を作れ!!」
「だろうねぇ…」
かつ丼は面倒だったので、豚丼を作った。
集落全体だと、米の量も50㎏分無くなったが、無くなった分は集落の人に採りに行ってもらおうと思った。
腹が満たされ落ち着きを取り戻したレイヴンは、すぐに戻ってこれなかった事情を聞いてきた。
僕とレイヴンは、あの時起こった事を説明した。
「なるほど、草原から入れる神殿とガーディアンのゴーレムか…」
代々族長から記憶を受け継ぐレイヴンも神殿の事は知らなかった。
この森に来たエルヴ族ですら神殿の事を知らないとなると、あの神殿はそれ以前の物らしい。
もう何世紀経っているかすら解らない状態だという。
「で? ハルモニア鋼は手に入ったのか?」
「見せるにはここでは狭いのですが、大量に手に入りました。」
「ハルモニア鋼は良いとして、他には何が必要なんだ?」
「そうですねぇ…? なめした革がいくつかと、ガラスとゴムを大量にくらいかな?」
「すると、オークウッドか…」
レイヴンが口にすると、ガイウスや門番も寡黙になった。
そんなに見つからない木なのかな?…と思ったら違った。
【オークウッド】
植物型のモンスターで、動かないと木そのもので非常に見つけにくい。
そこそこの知恵があり、攻撃が少し特殊だというが…?
「オークウッドは、探そうとして見つかる物ではなく、緊張感を持って歩いている旅人や狩人が休憩に気を抜いた瞬間に襲ってくるという…非常にイヤらしい攻撃をしてくる奴なんだが、ゴムの樹液ならそいつから採れる。」
「討伐してから樹液を採れば問題ないのでは?」
「いや、ソイツが生きている時ではないと樹液は採取出来ない。 倒してしまうと樹液は出ずにただの繊維になってしまうのだ。 オークウッドが生きている時に採取した樹液は、オークウッドが死んだ後でも固まる事はないので、問題はないのだが…?」
「だが?」
「非常に見つかりにくい上に知恵もあるし、ベテラン狩人でもやられる可能性が高いので、非常に厄介な奴なんだ。」
なるほど、だからか…皆がイヤな顔になったのは。
この集落に鉄や銅は大量にあるらしいので、これに関しては問題ないし…革も問題ない。
シルフィンダーの完成には、やはりゴムで作ったタイヤが必要不可欠だった。
知恵があり、見つけにくいか…?
う~~~ん……?
これはハルモニア鋼入手以上に厄介だぞ!?
「レイヴンにお願いがある! ガイウスをまた貸してくれ! それと他にも入手してほしい物がある。」
「ほぉ、交渉するには何か材料はあるんだろうな?」
「勿論、この集落で女性達を3・4人貸してくれれば…」
「女達をどうする気だ?」
「この集落にいる限り、僕が彼女達の師となり料理を教えます。」
「ほぉ…それは興味深い取引だ!」
「では、なるべく若い子をお願いします。 目の保養とお触りを許してくれる若くてかわいい女の子を!!」
「目の保養とお触りは、ダンの嘘です。それ以外は本当みたいですが…」
さすがのガイウスも僕の嘘には慣れたみたいだ。
それにしても、相変わらず冗談はガイウスが許してくれないみたいだ。
「何故若い娘が必要だ?」
「ガイウスと話したのですが、エルヴの民は寿命が長い長寿な種族です。 なら若い子に教え込み、その子達が親になってから子や孫に継承していくのが良いと思ったからです。」
「なるほど、料理番は固定するという考えか?」
「です、この集落の人数だけでもかなりの人数です。 他の仕事をしていて料理をするというのは、初めの頃は無理でしょう。 覚える事が多すぎる!」
「わかった、今も人を遊ばせていく余裕はあまりないが、用意しよう。」
「安心してくれ、僕がこの集落から旅立つまでにある程度はこなせる様に育てますから!」
レイヴンはガイウスを見た。
ガイウスは頷いて見せた。
自分で言い出した事とはいえ、結構ハードなスケジュールだな。
こっちの出した条件の材料をそろえて貰うのだから、文句も言ってられない。
その後の3日間は、紹介された4人の女の子に料理のイロハを教えて行った。
エルヴ族の女の子に肥満な子はいない為、若くて可愛い女の子ではあるのだが…僕より身長が高かった。
泣くぞ、グスッ…。
~~~~~4日後~~~~~
僕はガイウスと共にオークウッドを探しに森をさまよった。
崖下の森とは違い、奥の方の森は日の光があまり届かない場所もある。
とはいっても、別に薄暗いという訳ではない。
光が差す場所はちゃんと差すし、そう言った場所でオークウッドを探すのだけど、見付からない。
モンスターで人を襲うが、別に捕まえて捕食する訳ではないらしい。
オークウッドは光合成により生きているという事なので、日のあたる場所を探している訳だけど…?
正直この森広すぎ!!
この日は収穫なしで集落に戻った。
食事に関しては、4人の子達が簡単な物なら作れるようになっていたので、安心して任せた。
翌日…翌々日…と探してみたが、全く見付からなかった。
そりゃそうか、見付けようとして見つかる物じゃないと言われたもんな。
ここまで痕跡が見つからないかと思ったその翌日…日の光に当たりながら、くねくねと踊っている様に見える1mくらいの小さな木があった。
「これはオークウッドの子供だな。 こいつからは樹液は採れないぞ。」
「オークウッドの子供は警戒心なさそうだな?」
「こいつに関しては俺達は手を出さない事にしている。 危険を感じると馬鹿でかい声を上げて叫び声を発して仲間を呼ぼうとするのだが、こいつの声は人間には大丈夫でも、エルフやエルヴには毒なんだ。」
「僕がボソッと話した悪口でもガイウスには聞こえるしね。 そんな大きな叫び声なら…ん?」
「どうした、ダン?」
「と~っても良い事を思い付いた! ふっふっふ…」
僕は思い付いた事をガイウスに話した。
ガイウスは青い顔をしてこう言った。
「ダン、おまっ…よくもそんな悪魔みたいな発想が思い付くな…」
「褒めてくれてありがとう! さ~て、忙しくなるぞぉ! へっへっへ…!」
この後にダンは樹液を手に入れる事が出来ますが、やり方が結構酷い方法です。
ガイウスも引く位の発想とは…?
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