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第一章
第二話 屋敷を追い出された道中にて…(尾行ですか、意外と頭が回るんですね。)
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屋敷を出る時に失敗をしました。
破滅発言は、私の負け惜しみと捉えたのですが…?
伯爵家から追い出されたにも関わらず、私の表情が絶望的な表情では無く、無表情な表情なのがいけなかったのでしょう。
私の歩いている後方に、気付かれない程の距離を保ちながら…尾行をする3人がいるそうです。
どうしてこうなったのかというと…?
それは、デリランシェス侯爵家でシャウザー様……もう様は必要無いですね。
シャウザーがこんな事を思っていたそうです。
「仮にも…貴族令嬢だった者が、いきなり屋敷を追い出されたにしては…絶望的な表情では無かったな?」
シャウザーは、決して頭は良くありません。
知能の殆どを、弟のシャイア様に持って行かれたという位に、頭が絶望的に悪いお方でした。
そんな頭の悪いお方ですが、動物的な勘とでも言いましょうか…?
悪知恵や変に鋭い所がありました。
シャウザーの祖父であるデリス様の遺産を、部下に命じて方々を探させましたが、手掛かりすら掴めず…死者との会話が出来るという噂を使って、遺産の在処を探し出そうとする立案をしたのが、シャウザーという話でした。
そんなシャウザーが、悪態をついていたとはいえ…屋敷を追い出された事を不審に思ったので、現在はこうして尾行をされているという訳です。
「まずったなぁ…皮肉という悪態を吐く時に、涙を流しながら言った方が良かったかしら?」
《ソフィアって、泣く事ができるっけ?ボクがソフィアと行動を共にする時から、ソフィアが泣いている所を見た事がないんだけど?》
…そう、私が泣いたことなんて…幼い時以外にあまり無い。
それよりも両親や妹を怖がらせて、爆笑したいのを必死に堪えて来た方が多かったからです。
怖がらせた方法?
それは、私を無碍に扱おうとする際に、「祖父が仁王立ちになって怒っているよ。」とか、「これ以上、私を無碍に扱おうものなら…祖父がお父様を苦しめるって。」と言うと、それ以上…関わる事を辞めたからです。
何故、この方法が通用したのかと言うと、祖父母が生前生きていた頃は…私をとても可愛がってくれていたからです。
実際は、祖父のゴーストなんて…屋敷内には存在していなかったんですけどね。
私の能力を知っていた両親は、本当に父親が近くにいると思い込んでいたみたいでした。
「それにしてもリオン、尾行している3人は…私を暗殺するのが目的では無いのよね?」
《暗殺が目的だったら、街から離れたこの場所で仕掛けているでしょう。》
「じゃあ、何が狙いなのかな?」
《そこまでは聞いてはいなかったけど、少なくとも…街から離れた場所で始末をしろ!…という理由では無いみたいよ。》
…そう、屋敷から追い出される前に…私は用心の為に、リオンに引き返させたのです。
だけど、シャウザーが私を尾行して来いと命令をした際に、緊急性を感じて…いち早く現状を伝える為に私の元に来てしまった結果、詳しい内容までは聞けなかったそうです。
「金も無い私がすんなり屋敷から出て行った事を想定して、遺産の場所を隠していると踏んで尾行をさせたのかな?」
《そこまでの考えが、あのシャウザーに思い付くとは思えないんだけど?》
「いえ、シャウザーって…一見、頭が絶望的に悪そうなんだけど…妙な勘が冴える事があるからね。」
《それは厄介ね。なら、そろそろするべき事をしても良いんじゃないかなぁ?》
「そうね、このまま尾行されるのも、何か鬱陶しいし…」
私はその場で立ち止まってから、グランマから貰ったグリモアを出した。
私の貰ったグリモアは青いグリモアで、ページを捲ってから魔導具のページを開くと、そこから箒を取り出した。
グランマから貰ったグリモアには、様々な知識の他に…魔導具なども収納されていた。
…なんだけど、半分以上の魔導具が役に立つものでは無く、実用性がある魔導具は…箒以外だと、一部の物しか無かったのでした。
「この魔導具が世に出回る前だったら、物凄く価値は高かったのでしょうけど…?」
《ベルシュナーデ王国の魔法道具店で販売された魔導具には、今持っている魔導具の改良版が世に広回りましたからね。》
…そう、グランマから聞かされた話には、遠いの親戚がポーションを販売しているお店を出しているという話でした。
私の容姿もその方に似ているとか…初めてグランマが私に会った時に、大変驚いたそうです。
その方のお店では、ポーション販売の他に…グランマが持っていた魔導具と同じ物を渡されたそうなのですが、私の持っているグリモアの中身同様に大して役に立たない物があったのでは無いかと思っておりました。
ところが、ポーション販売時に魔導具を売り出し始めたという話で、その商品がこの国にも流れて来たのですが…?
明らかに大して役に立たない魔導具の改良版となっていました。
そんな事をなさった方は、私と同じ歳との事ですが…いつかは会える事はあるのでしょうか?
「リオン、後方の尾行の方達は?」
《樹の影でこちらを伺っているみたいね。》
私は箒に座ると、リオンも私の後ろに乗っていた。
リオンはゴーストなので、肉体が無いから浮く事は出来るんだけど、飛ぶ事はあまり得意では無いみたいで…私が箒で飛んだら、追い付いてくるのは不可能だった。
「さてと、では…1つ目の破滅を味わって頂きましょう。尾行の方々、ちゃんと報告はして下さいね。」
私は後方に向かってそう呟くと、地面を蹴って宙に浮かんでみせた。
そして、デリス様の遺産の在処の場所に向かって、飛んで行ったのでした。
さて、私が飛んだ事が何故破滅なのか?
それは、この世界には魔法が使える者が居りますが、空を飛べる程の高い魔法能力を持っている人が少ないからでした。
それを知ったシャウザーは、どんな表情をするのでしょうね?
その悔しそうな顔を見れないのが残念ですが…?
破滅発言は、私の負け惜しみと捉えたのですが…?
伯爵家から追い出されたにも関わらず、私の表情が絶望的な表情では無く、無表情な表情なのがいけなかったのでしょう。
私の歩いている後方に、気付かれない程の距離を保ちながら…尾行をする3人がいるそうです。
どうしてこうなったのかというと…?
それは、デリランシェス侯爵家でシャウザー様……もう様は必要無いですね。
シャウザーがこんな事を思っていたそうです。
「仮にも…貴族令嬢だった者が、いきなり屋敷を追い出されたにしては…絶望的な表情では無かったな?」
シャウザーは、決して頭は良くありません。
知能の殆どを、弟のシャイア様に持って行かれたという位に、頭が絶望的に悪いお方でした。
そんな頭の悪いお方ですが、動物的な勘とでも言いましょうか…?
悪知恵や変に鋭い所がありました。
シャウザーの祖父であるデリス様の遺産を、部下に命じて方々を探させましたが、手掛かりすら掴めず…死者との会話が出来るという噂を使って、遺産の在処を探し出そうとする立案をしたのが、シャウザーという話でした。
そんなシャウザーが、悪態をついていたとはいえ…屋敷を追い出された事を不審に思ったので、現在はこうして尾行をされているという訳です。
「まずったなぁ…皮肉という悪態を吐く時に、涙を流しながら言った方が良かったかしら?」
《ソフィアって、泣く事ができるっけ?ボクがソフィアと行動を共にする時から、ソフィアが泣いている所を見た事がないんだけど?》
…そう、私が泣いたことなんて…幼い時以外にあまり無い。
それよりも両親や妹を怖がらせて、爆笑したいのを必死に堪えて来た方が多かったからです。
怖がらせた方法?
それは、私を無碍に扱おうとする際に、「祖父が仁王立ちになって怒っているよ。」とか、「これ以上、私を無碍に扱おうものなら…祖父がお父様を苦しめるって。」と言うと、それ以上…関わる事を辞めたからです。
何故、この方法が通用したのかと言うと、祖父母が生前生きていた頃は…私をとても可愛がってくれていたからです。
実際は、祖父のゴーストなんて…屋敷内には存在していなかったんですけどね。
私の能力を知っていた両親は、本当に父親が近くにいると思い込んでいたみたいでした。
「それにしてもリオン、尾行している3人は…私を暗殺するのが目的では無いのよね?」
《暗殺が目的だったら、街から離れたこの場所で仕掛けているでしょう。》
「じゃあ、何が狙いなのかな?」
《そこまでは聞いてはいなかったけど、少なくとも…街から離れた場所で始末をしろ!…という理由では無いみたいよ。》
…そう、屋敷から追い出される前に…私は用心の為に、リオンに引き返させたのです。
だけど、シャウザーが私を尾行して来いと命令をした際に、緊急性を感じて…いち早く現状を伝える為に私の元に来てしまった結果、詳しい内容までは聞けなかったそうです。
「金も無い私がすんなり屋敷から出て行った事を想定して、遺産の場所を隠していると踏んで尾行をさせたのかな?」
《そこまでの考えが、あのシャウザーに思い付くとは思えないんだけど?》
「いえ、シャウザーって…一見、頭が絶望的に悪そうなんだけど…妙な勘が冴える事があるからね。」
《それは厄介ね。なら、そろそろするべき事をしても良いんじゃないかなぁ?》
「そうね、このまま尾行されるのも、何か鬱陶しいし…」
私はその場で立ち止まってから、グランマから貰ったグリモアを出した。
私の貰ったグリモアは青いグリモアで、ページを捲ってから魔導具のページを開くと、そこから箒を取り出した。
グランマから貰ったグリモアには、様々な知識の他に…魔導具なども収納されていた。
…なんだけど、半分以上の魔導具が役に立つものでは無く、実用性がある魔導具は…箒以外だと、一部の物しか無かったのでした。
「この魔導具が世に出回る前だったら、物凄く価値は高かったのでしょうけど…?」
《ベルシュナーデ王国の魔法道具店で販売された魔導具には、今持っている魔導具の改良版が世に広回りましたからね。》
…そう、グランマから聞かされた話には、遠いの親戚がポーションを販売しているお店を出しているという話でした。
私の容姿もその方に似ているとか…初めてグランマが私に会った時に、大変驚いたそうです。
その方のお店では、ポーション販売の他に…グランマが持っていた魔導具と同じ物を渡されたそうなのですが、私の持っているグリモアの中身同様に大して役に立たない物があったのでは無いかと思っておりました。
ところが、ポーション販売時に魔導具を売り出し始めたという話で、その商品がこの国にも流れて来たのですが…?
明らかに大して役に立たない魔導具の改良版となっていました。
そんな事をなさった方は、私と同じ歳との事ですが…いつかは会える事はあるのでしょうか?
「リオン、後方の尾行の方達は?」
《樹の影でこちらを伺っているみたいね。》
私は箒に座ると、リオンも私の後ろに乗っていた。
リオンはゴーストなので、肉体が無いから浮く事は出来るんだけど、飛ぶ事はあまり得意では無いみたいで…私が箒で飛んだら、追い付いてくるのは不可能だった。
「さてと、では…1つ目の破滅を味わって頂きましょう。尾行の方々、ちゃんと報告はして下さいね。」
私は後方に向かってそう呟くと、地面を蹴って宙に浮かんでみせた。
そして、デリス様の遺産の在処の場所に向かって、飛んで行ったのでした。
さて、私が飛んだ事が何故破滅なのか?
それは、この世界には魔法が使える者が居りますが、空を飛べる程の高い魔法能力を持っている人が少ないからでした。
それを知ったシャウザーは、どんな表情をするのでしょうね?
その悔しそうな顔を見れないのが残念ですが…?
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