虐げられる生活を曾祖母の秘術で破滅をさせてあげましょう。

アノマロカリス

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第一章

第一話 婚約破棄ですか、かしこまりました。(この時を待っておりました。)

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 「ソフィアに婚約破棄を言い渡す!」
 
 デリランシェス侯爵家の長男である、シャウザー様より本日…突然ですが、私との婚約破棄を命じられました。
 その理由はと申しますと、シャウザー様の隣には…私の物を何でも欲しがる…我儘が服を着て歩いている妹のサーシャがシャウザー様の腕に絡めて見下ろしていたからです。
 こうなる事は大方予想ができていました。
 
 私の名前は、ソフィア・プルネリアと申します。
 伯爵家の長女……は、もうじきに除籍される予定ですので、ただのソフィアになりますね。
 何故、伯爵家の長女である私が、上位貴族であるデリランシェス侯爵家との婚約が締結されたのかと申しますと…?
 デリランシェス侯爵家の先代当主…シャウザー様のお祖父様のデリス様が、遺産を各所のとある場所に隠されたという話でした。
 遺産の場所は、方々手を尽くしたのですが…発見する事は叶わず…。
 諦めかけていたところに、私のアノ噂を聞いて…侯爵家に迎えられるという話だったのですが、幾ら伯爵家の上位貴族の頼みでも私の親である現伯爵家の当主がただ許す訳もなく、婚約という形に持って来ました。
 私を毛嫌いしていた親が、こんな話を持って来るとは思いませんでした。
 でも、親がこう言った事を仕組む理由が、ある者のお陰で知る事になりました。
 その…ある者と言うのは、後に話します。

 「アノ噂というのは、勘の良い方だったら気付くでしょう。死者と話す事が能力です。」

 婚約者となったからには、婚約者を立てる為にお願いを聞きました。
 …だったのですが、デリス様にこの真相を聞かされると…?
 シャウザー様の計画も、プルネリア伯爵夫妻同様にクズな考えという事が分かりました。
 私は遺産を霊体のデリス様に聞いて、遺産の場所を教えて貰いました。
 …ですが、自力で探し出す事と…言った遺言書を無視した事により、デリス様は大変御立腹でした。
 遺産の場所は全部で7箇所なのですが、大した価値が無いが量だけは山の様にある5箇所の遺産のある場所を教え、価値や値打ち物の2箇所の遺産を私に譲渡して下さると仰りまして、それを告げたら天に旅立って行きました。
 そして、全ての遺産を手に入れたと思ったシャウザー様は、隣にサーシャを抱きながら…私に婚約破棄を命じられました。
 婚約破棄の理由も酷い理由です。
 死者と話せる力を気味悪いというのと、凹凸の無い身体の私よりも…プロポーションが整ったサーシャの方が良いという理由でした。
 
 《やはり、こうなりましたね。ソフィアはこれからどうします?》
 《どうもこうも…次は親から除籍を言い渡されて、家を追い出されるのでしょう?だとしたら、さっさと家を出るわよ。》
 《それが良いでしょうね。幸い、旅の資金も…デリス様から教えて頂いた、価値や値打ち物のある遺産を回収したら、当面の生活費は問題が無いでしょうし…》

 そして案の定と言うべきか、伯爵夫妻から私を除籍されて家を追い出されるのでした。
 それにより、次女だったサーシャは長女になり…シャウザー様の次男であるシャイア様は、伯爵家の新たな当主になるべく…養子という形で伯爵家に迎えられました。

 《それにしても、欲にまみれた人間は醜いですね…こんな両家がいつまでも存続できると思っているのでしょうか?》
 《恐らく無理でしょうね。シャイア様はともかく、少なくとも…シャウザー様は、人の上に立てる器ではありませんし…》

 …そう、私と会話をしている子の正体は、子供の頃から共に居るゴーストのリオン。
 出会いは、プルネリア伯爵家のから少し離れた墓地で、先祖の墓の上に座っていた所を話し掛けてから仲良くなった以降、家族やシャウザー様の噂話を逐一報告してくれる…頼もしい存在となってくれました。
 元は、プルネリア伯爵家の血族という話でしたが…?
 かなりの長い年月を墓場で過ごした所為で、今より何世代前だったかを忘れているみたいでした。
 
 《ソフィア、貴女のクズ両親が何かほざいているわよ。》
 《どうせ、このまま出て行って勝手にのたれ死ね…とか、お前に帰る居場所なんか無いと言いたいのでしょう。分かりきっていた事なのだから、さっさとこの場から立ち去りましょう。》

 「かしこまりました。今迄に大してお世話になっておりませんが、そう長く無い未来に訪れる…を回避できますよう…お祈りしております。」

 私がそう言い終わると、私に唯一抵抗出来る嫌味と捉えたのか…?
 両親と妹は嘲笑い、シャウザー様は鼻で笑っていた。

 《皮肉が通じなかったのかしらね?》
 《皮肉じゃなくて、真実よ。これから両家に起きる事は、破滅以外の道は無いから…》

 私はデリランシェス侯爵家を後にした。
 これからの旅の目的地は、まだ決まってはおりません。
 とりあえずは、デリス様から教えて頂いた…遺産の場所にでも行ってみますか。
 
 こうして、ソフィアとリオンの旅が始まります。
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