異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎

アノマロカリス

文字の大きさ
上 下
77 / 93
最終章 異世界召喚が8回目って…マジかコレ⁉︎

第四話 船出

しおりを挟む
 あれから1か月後…さて、今日は出発の日だ!
 俺はグヴェリオンからの手紙の地図を今一度確認する。
 平面図の世界では、俺の居る位置は春か右下に位置する場所にある。
 南に下ると大陸はあるが、そこは魔族達の本拠地である魔大陸が広がっているという。
 いきなりそんな場所に行ったらさすがに死ぬので、北西の方に行った…多分まだ占領されていない大陸を目指す事にする…のだが、そこまでの距離がどう考えても1か月以上…で着くか?

 「まぁ、考えていても仕方が無いから行くか!」

 俺は木人形の4体をヨットに乗せた。
 普通に見ればただの人型の木だが、この島にいる間には良く話し掛けていた4人だったので、置いて行くのは忍びないと思った。
 俺は4人に声を掛けてから無人島を出発した!
 初めの3日間は、風に乗り順調に進んで行ったのだが、その後の5日間は全く風が吹いて居なくて…オールを使って漕いでいた。
 その後に向かい風の所為で幾らか戻された。
 大陸の影は見えない代わりに、無人島の影が薄っすらと見えていた。

 「こんなんで、いつになったら到着するんだよ‼」

 長期戦は覚悟をしていたが…ここまで進めないとさすがに気が滅入ってくる。
 そしてこの海域だが…魚がほとんど獲れなかった。
 ヨットの中の食料にも限りがあるので、釣りをしたり槍で捕えようと思っていたのに当てが外れた。
 その後の5日間は風に恵まれてかなりの距離を進んでいたが…未だに島の影が見えない。
 見渡す限りの大海原…波は穏やかで雲1つ無い天気で周りが遠くまで見渡せる。
 だけど大陸の影が全く見えない。
 俺はこの世界に来て、何度か心が折れかけたが…今日ほどの心が折れたのは初めての経験だった。

 その後…3日間は嵐に遭遇した。
 何度か船がひっくり返りそうになったが、帆を上手く使って転覆は免れた。
 ただ…その間は全く眠れなかった。
 嵐が過ぎてからしばらく眠っていると、突然ゲリラ豪雨が襲って来た。
 もう…いい加減にして欲しいと思った。

 それから1週間後…
 恐れていた事態が起こっていた。
 保存食の魚が底をついた。
 残りは木の実で生活をして行かなければならないと思っていたが、箱の半分が腐り始めていた。
 俺は仕方なく、腐りかけの食料を口にした…が、腹痛を起こしてしばらく寝込んでしまった。
 それから4日間は、全く動けずにいて…木の実も半分近くが腐っていたので海に捨てた。
 残りの量を考えると、持って後2週間分だろう。
 それまでに大陸に着かない場合は、餓死をするだろう。
 俺はロープを腰に巻いてから、槍を持って海に潜った。
 地球の海でもこんな場所で潜ったら、命の保証が出来ない。
 ましてや異世界の海でこれをやったら、確実に危うい事になる。
 だが…魚が全く見当たらなかった。
 俺はヨットに上がってから進路を確認してヨットを進ませた。

 「まさかこの辺は死海じゃないだろうな?」

 その後の13日間、船を進めながら大陸を目指すが…未だに影が見えない。
 そして節約しながら食べていた食料が尽きかけようとしていた。
 
 「これを食べれば、食料は無い! そして今食べないと、2日後には確実に腐る。」

 俺は最後の木のみを口に入れると、良く噛み締めた。
 これで本当に食料が無くなった。
 それから2日間…食事をしない状態で船を進めていると、目の前に影が見えた。
 俺は急いで進路を取ると、そこは小さな島だった。
 これで…食料を得る事が出来ると思って上陸をした。
 俺は剣を持って島中を駆け回った。
 だが、俺のいた無人島と一緒で…虫や生物が全く居ない。
 あったのは、良く解らない実がなっていた位だった。

 「鑑定魔法発動‼」

 そんな魔法は無かった。
 高い木の上になっていた実で、表面が岩の様に固かった。
 ヤシの実と思いたい所だが、表面はほぼ石にちかい状態の実だった。
 割れば喰えると思って剣で割ってから、中身の柔らかい果肉を口に入れた。
 すると、凄まじい苦みが口の中を襲って来た。
 まるで渋柿を口に入れた様な苦みだった。
 だが、空腹には逆らえずに次々と平らげて行った。
 味は最悪だが、腹は膨れた。

 俺は片っ端から実を採って、船に入れた。
 こんな物でも食べられなくてひもじい思いをするよりはマシだった。
 ただ…この渋さだけは嫌になり掛けていた。
 なので、半数を日向に晒して、もう半数を袋に入れて海水に浸していた。
 日に晒していた方は、しばらく経つと表面が鮮やかな色に変化した。
 これは期待出来ると思って口に入れたら…渋くはなかったが味がしなかった。
 もう少し置けば甘くなるのだろうか?
 そう思って、海水に浸していた方を口に入れたら…若干の甘みを感じた。
 
 「俺がこうして生きているという事は、栄養価だけは高いんだろうな?」

 普通なら壊血病が起きていてもおかしくはない筈なのに、それは無かった。
 暫くの間はそれを食い繫いでいたのだった。

 あれから何か月経ったのだろうか?
 無人島を発見したら上陸して食料を得るという過程を繰り返していた。
 だが、相変わらず…虫や動物が獲れる事は無かった。
 そして大陸の影が見える事も無かった。

 俺はあと何か月間…海で過ごせば良いのだろうか?
しおりを挟む
感想 82

あなたにおすすめの小説

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つ物なのかな?

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚。 ネット小説や歴史の英雄話好きの高校生の洲河 慱(すが だん) いつものように幼馴染達と学校帰りに公園で雑談していると突然魔法陣が現れて光に包まれて… 幼馴染達と一緒に救世主召喚でテルシア王国に召喚され、幼馴染達は素晴らしいジョブとスキルを手に入れたのに僕のは何だこれ? 王宮からはハズレと言われて追い出されそうになるが、幼馴染達は庇ってくれた。 だけど、夢にみた迄の異世界… 慱は幼馴染達とは別に行動する事にした。 自分のスキルを駆使して冒険する、魔物と魔法が存在する異世界ファンタジー。 現在書籍化されている… 「魔境育ちの全能冒険者は好き勝手に生きる!〜追い出した癖クセに戻って来いだと?そんなの知るか‼︎〜」 の100年前の物語です。 リュカが憧れる英雄ダン・スーガーの物語。 そして、コミカライズ内で登場する「僕スキなのか…」がこの作品です。 その作品の【改訂版】です。 全く同じな部分もあれば、新たなストーリーも追加されています。 今回のHOTランキングでは最高5位かな? 応援有り難う御座います。

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達より強いジョブを手に入れて無双する!

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚。 ネット小説やファンタジー小説が好きな少年、洲河 慱(すが だん)。 いつもの様に幼馴染達と学校帰りに雑談をしていると突然魔法陣が現れて光に包まれて… 幼馴染達と一緒に救世主召喚でテルシア王国に召喚され、幼馴染達は【勇者】【賢者】【剣聖】【聖女】という素晴らしいジョブを手に入れたけど、僕はそれ以上のジョブと多彩なスキルを手に入れた。 王宮からは、過去の勇者パーティと同じジョブを持つ幼馴染達が世界を救うのが掟と言われた。 なら僕は、夢にまで見たこの異世界で好きに生きる事を選び、幼馴染達とは別に行動する事に決めた。 自分のジョブとスキルを駆使して無双する、魔物と魔法が存在する異世界ファンタジー。 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つ物なのかな?」で、慱が本来の力を手に入れた場合のもう1つのパラレルストーリー。 11月14日にHOT男性向け1位になりました。 応援、ありがとうございます!

辺境の鍛治職人は、契約期日迄に鍛治技術を極めたい。

アノマロカリス
ファンタジー
俺の名前は、テルヤ=ザイエンジ30歳。 名前から分かる通り、地球出身の日本人だ。 テルヤ=ザイエンジは、あくまでもこの異世界での名前であり… 在園路 瑛夜が日本での名前である。 そんな俺が、何故異世界にいるのかというと…? このフェフスガルドという異世界の天界に召喚されたのだ。 …と言っても、ラノベでよくある異世界召喚や異世界転移で城に呼び出されたのでは無い。 まずは神々が集う天界に呼ばれ、そこの老神に先人達である同郷の日本人達が魔王ディグスランゼスと呼ばれる魔王を討伐する為の武器を製作して欲しいという話だった。 …というか、こう言った異世界召喚の場合…神々達から聖剣を与えられるものでは無いのか…普通は? ところが、この世界に魔王が出現したのは今回が初めてでは無い。 大体300年周期で出現すると言う話だった。 以前までは、異世界召喚で呼ばれた異世界人の勇者には、神々から与えられた聖剣を渡していたのだが…? 神から与えられた聖剣も万能では無い。 八代目の魔王迄には効果があったのだが、対抗策を身に付けたのか…九代目からは聖剣の効果が薄くなり、今後の対策として、十代目の魔王からは地上の鍛治職人が創り出した技術の武器でなんとか撃退をして貰っていた。 だが、時代の流れの所為なのか…? 現在の鍛治職人達が創り出した武器では、とても魔王討伐が可能とは思えない程に衰退してしまっていて、ならば…勇者以外に新たに鍛治職人を地球から呼び出そうとして、瑛夜が召喚されたのだった。 神々達も魔王を倒してくれる者達の選考は、疎かにはしていない。 勇者達は正義感の強い若者達が選ばれた。 そして鍛治職人には厳選なる選考の末に、在園路家第二十七代刀工士の瑛夜が呼び出されたのだった…のだが? この辺は神の誤算的部分があった。 瑛斗は刀鍛冶士の家系だけど、刀匠ではなく、刀工である。 ※この世界では、刀工は刀匠より下の立場という意味である。 刀造りの技術は有してはいるが、まだ師匠から認められた訳では無い。 瑛夜よりも上の刀匠を呼びたかったが、その刀匠の年齢が年配過ぎて耐えられないと思っての瑛斗だったのだった。 果たして瑛夜は、魔王を倒せられる様な武器を作り出す事は出来るのだろうか?

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~

はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。 俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。 ある日の昼休み……高校で事は起こった。 俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。 しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。 ……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

処理中です...