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第五章 異世界召喚が8回目って…マジかコレ⁉︎

第三話 あれから二週間…

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 ヨットの土台作りを作り始めたが…この島にも雨季があるのか、それから二週間はヨット作りの一切作業が出来なかった。
 なので代わりに、鉄鉱石を炉に入れてから玉鋼造りを開始した。
 ヨットが完成したらすぐに出立する為に武器を作ろうと思ったからだった。
 玉鋼造りも、1日や2日で出来る訳ではない。
 ただ、加護のお陰の所為か…4日掛かったが、割りと良い物は出来た。

 「この世界の魔王は強いと言っても、配下の魔物はどうだろうか?」

 なのでの玉鋼だった。
 鋼よりは硬質を望めるからだったが…そこで俺は鍛冶専用の部屋を作り忘れていた。
 室内の温度を逃さない為に鍛冶部屋は大事な役割がある。
 青空の元で鍛冶作業を行うと、風や空気によって鉄材の温度が低下して失敗するからである。
 そこで考えたのが洞窟だった。
 鉄鉱石を取り出す為に結構掘り進んだせいで、ちょっとした洞窟になっていた。
 後は中で作業できる鍛冶道具台を設置して洞窟の入り口を扉を作って防いだ。
 そして作業を開始し始めてから、雨季が終わる頃に玉鋼の剣を3本作りだしていた。

 それからはヨットの土台作りを再開し、更に10日間かけて土台の船を作る事が出来た。
 次は帆の布作りなのだが…これがかなり面倒だった。
 草を石で摺り潰してから繊維を取り出してから糸を作っていく。
 生半可な量では足りないので、繊維を取り出す…糸を作るという作業が1週間掛かった。

 「これで二か月か…地球では二年が経過したんだな。」

 やばい…布作業が思った以上に面倒くさい。
 だが嘆いていても仕方がないのでひたすら編み込んでいく。
 1日で出来て1m位の範囲だった。
 メインマストの帆が高さが最低でも10mが無いといけない。
 それが×3…となると、これも1か月間くらい掛かるんだな?
 どう見ても糸が足りないので、最初の工程を続けていく…。
 それから二か月後、3枚分のマストが完成した。
 
 「レベルは23まであがって、加護が増えるが…魔法が使えない。」

 一体いつになったら魔法が使えるのだろうか?
 とりあえず俺は…長い事休みなしでやっていたので寝る事にした。
 1日眠れば良いだろうと思っていたが、なんだかんだ言って3日も寝ていたのだった。

 翌日…
 もう、日にちを数えるのは辞めた。
 単純に3か月以上たっているので、地球では3年が過ぎた事になる、
 帰っても皆は20歳になっているだろうが、まだこの島から出られていない時点で日数は掛かる。
 俺はいま一度確認してみる事にした。

 1.ヨットは完成した。

 2.保存食や木の実はある程度積んである。

 3.武具の類も完成した。 剣が3本以外に槍が5本ある。
 海の魔物と戦う為の対抗策として用いる槍だった。

 4.本当に…相変わらずといって良いほどに魔法を覚えない。
 あ…いや、魔法は使えるな。
 収納魔法を覚えたが…その時は凄く嬉しかったが、中身が空だった。
 収納魔法の中に手紙があり、中身は向こうの邸の地下に移しておいたという。
 聖剣や魔剣の類が使えると思っていたのに、中身は空で収納出来る量も限られていた。
 なので食料や武具の類は船に積んだのである。 

 「この世界にも聖剣や魔剣の類はあるんだろうか?」

 聖剣はあるだろうが、魔剣は魔族に渡っている可能性が高いな。
 聖剣も魔王の配下がどれほどの強さかにもよるが、魔剣化されている可能性が高い。
 魔神の魔剣も元は聖剣だったしな…。
 上位魔神が聖剣を魔剣に変化させてしまったので、それ以降は魔剣として使用していた。
 
 「何度か異世界召喚を体験したが…ここまで劣悪な状況は初めてだな。」

 まぁ、12歳の時に無人島に放り出されていたら多分死んでいたな。
 今の年齢と蓄えた知識に感謝するべきだろうか?
 そもそもの発端は、神達が俺を異世界召喚や異世界転移をした所為が主なんだが。
 一体…何を考えているんだろうな?

 ~~~~~天界の八神達は~~~~~

 八神達は、グヴェリオンの管理している世界を見ながら言った。

 「不知火朔夜君は、文句を言いながらも着々と島から脱出する手段を得ていますね。」
 「普通の人間なら、あの絶望的な状況では心が折れて手付かずになる筈なのですが…」
 「それだけ元の世界に帰りたいと願っての行動なのでしょう。 にしても…」

 グヴェリオンは、顎に手を当てながら面白くなさそうな顔で朔夜を見ていた。

 「グヴェリオン…こちらの世界の1か月を地球では1年経過させるって、一体何を考えているんですか⁉」
 「そうですよ! これでは本当に…7年もこの世界に居たら不知火朔夜君は、本当に死を選びかねませんよ?」
 「もしも自殺する様な事になったら、ビッグバンを起こして惑星ごと消滅させるから良い!」
 「いえ、そういう事では無くて…不知火朔夜君の事ですよ。」
 「儂は不知火朔夜君が無人島から脱出するまでに1年以上掛かるという方に賭けていたのに、これではまた儂が負けるではないか!」

 他の七神はどうかは解らないが、グヴェリオンは遊びのつもりで朔夜の行動を見ていた。

 「それに、不知火朔夜君の収納魔法の中身を地球の邸の中に置いてあるとか…あれが彼の生命線だというのに。」
 「それではチートになってしまうじゃろう? 今回は真っ新な状態でゲームの駒として動いて欲しかったんじゃ!」
 「そうでなくても、グヴェリオンの世界では魔界の魔族がほとんど世界に進行しているではないですか! そんな中でレベル1の不知火朔夜君を転移させたら、彼は力及ばずで途中で…」
 「大丈夫じゃ! 不知火朔夜君ならやり遂げてくれるさ! その為に儂の世界と地球の時間軸を弄ったのだから!」
 「その根拠のない自信は、何処から来るのですか?」

 確かに第一世界での異世界召喚時の朔夜と比べれば、ソツなくこなしている傾向は見られる。
 七神達は、グヴェリオンの世界では今迄の様な少ない期間で世界を救うのは無理だと感じていた。
 少なくても6年以上、多くて10年近くは掛かると。

 「今回は不知火朔夜君に加護は与えないのですか?」
 「加護は一応与えているぞ! 戦闘には全く役に立たないが、生産を出来る加護をレベル30までな。」
 「レベル30以降にならないと戦闘スキルが発動しないって…不知火朔夜君には酷でしょう。」
 「じゃが、レベル30以降になれば…以前のスキルや魔法は覚えていくようにはしてあるぞ。」
 「それでも…って、はぁ。 我々七神では、主神グヴェリオンの世界ではギフトは授けられない。 不知火朔夜君、頑張ってくれよ。」

 七神は朔夜の行動を祈りながら見ていた。
 グヴェリオンは立ち上がって次の案を出した。

 「今回の無人島脱出までに1年経過という儂の予想は見事に外れた。 では次の賭けじゃ、次は…無事に大陸に辿り着けるまでに何か月掛かるかを賭けるとしよう!」

 神々の賭けはまだ終わらない。 
 朔夜はこれからどうなるのだろうか?
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