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第四章 学園生活編

第十話 妖魔王候補…

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 妖魔王が発覚したその少し前…校舎の中に入ってから【超感覚】のスキルを使用して6人の候補者を割り出した。
 その状況を悠斗に念話で送った際に、この学校に割と詳しい悠斗にアドバイスを聞いてみた。

 {まぁ…確かに美紅は絶対に違うだろうな。 あいつは本性を知る前の正義が好きだったし、友達としてなら真美やセルリアとルナリア事が好きというのはあり得るが、恋愛感情までは無いだろう。}
 {異世界で回復魔法の詠唱を教えるまでに2日掛かる位に頭が悪いからな。}
 {それにアイツは黙っている事が苦手だから、鬼を操る能力が仮にあっても…すぐに見せびらかすぞ!}
 {だよなぁ? 異世界で正義が美紅の聖剣を羨ましがっていたのも、元は美紅が正義に自慢した事が始まりだったらしいからな。}

 *第一章・第十五話「懲りない愚か者」参照

 {斧鉞先生も違うだろうな。 あの先生は結婚が遅くて、現在は娘さんが中学生で…いずれ高校はここを受けると言っていたから、女子を見て顔が緩むのは多分…娘さんがこの学校の制服を着て学園生活を過ごすのを想像しているんだと思う。}
 {子想いの立派な親父なんだな。 見方が少し変わったよ。}
 {あと鍬柵先生も違うよ。 あの先生は結婚しているから…同性婚らしい。}
 {同性婚って…相手は男か?}
 {あのイケメンだからね…女子も騒ぐのはわかるけど、だからと言ってゲイやオカマではないから、女子にも普通に接するし、自分の結婚相手が好きすぎて男子生徒が来ても、生徒として扱うという話だ。 まぁ、女子より男子の方が好きなのは確からしいけど。}
 {その相手って…俺に似た奴じゃないのか?}
 {あ…そういえば、確かに朔夜に少し似ているかもな。}
 {それでか! 俺を見る時の保険医の目が…ちょっと気色悪く感じたのは!}

 それにしても悠斗は何処でそう言った情報を仕入れて来るのだろうか?
 秀才ゆえに教師の受けも良いからなのだろうか?

 {すると…あと3人の誰かになるな!}
 {あ、綾河も違うよ。}
 {悠斗は下級生も知り合いなのか?}
 {綾河は、家が近所でね。 入院している妹がいるんだけど、母子家庭で色々苦労しているんだが…彼はあぁ見えて妹想いの良いお兄ちゃんでね、裁縫で洋服やぬいぐるみを作ってネット販売して家計の助けをしたり、毎日学校が終わると病院に行って妹さんの面倒を見ているんだよ。 仕事が忙しくて面倒を見られない母親の代わりでな。}
 {見た目とは裏腹に、良い奴なんだな。 妹さんは何で入院をしているんだ?}
 {良くは解らないけど…妹さんは体の成長が遅いわりに臓器が肥大化しているという難病らしくて、一種の呪いの様な状態ではないかという感じらしい。}
 {そういった類の病気なら、真美の回復魔法で正常化出来る可能性があるな。 それと、その子の妹さん宛に俺の邸にある宝石を真木野さんに換金して貰って寄付してあげてくれ。}
 {何でわざわざ?}
 {差出人名は、閃光戦士・ライトブリンガーから難病の子供に…という感じでな。}
 
 俺は罪悪感に悩まされそうだったからだ。
 ただの中二病のオタクデブと決め付けていて、もしかしたらコイツが…と思っていたからだった。
 罪滅ぼしという訳ではないが、これ位の事はしても問題は無いだろう。

 {すると残りは、クラスメートの井戸野と生徒会長か!}
 {井戸野の事は良く知らないな。 アイツとは小・中・高と一緒だけど、話している所をほとんど見た事が無い。}
 {何が好きか…とか、誰かを見ているとか?}
 {興味が無いからな…そこまで見たりはしないが、図書委員でオカルト系の雑誌や本を読んでいる所を見た事がある程度だ。}
 {いや…それってビンゴじゃね?}
 {確かに、怪しさで言えばそうかもしれないな。}
 
 井戸野ねぇ…?
 確かに人と話している所を見た事は無い。
 教室の隅の机にいつもいて、急にふらっと気付かない内に居なくなっている奴だったという位しか。
 悠斗の話の感じからすると…それ以上に情報がなさそうだな。

 {あとは、生徒会長だけど…}
 {御馬先輩? 確かに彼女は男嫌いで有名だな。 生徒会も女子しかいないし。}
 {さすがの悠斗も情報は無しか。}
 {ただ、何度かセルリアとルナリアに生徒会に勧誘をしていた事があったな。}
 {真美は誘われなかったのか?}
 {そこなんだよな、不思議なのは…セルリアとルナリアは決して頭が良い方ではない。 悪くも無いんだろうけど…それよりも真面目でクラス委員の真美が全く声を掛けられなかったくらいだから、好みでもあるのかな?}
 {まさか…百合か?}
 {可能性は…無くも無いか。 あ!}
 {ん? どした?}
 {御馬先輩と言えば…井戸野と激しく言い争っていたという話を聞いた事があるな。 話の内容までは良く覚えていなかったが…止めに入らなかったら結構酷い状態になっていたと。}
 {生徒会長と図書委員だから、委員会の事で何かあったんじゃないか?}
 {それにしては、結構な勢いで…まるで喧嘩腰になって揉めていたという話だったけど。}

 あの時感じた薄っすらとした姿は、確かに生徒会長と似ていた。
 だけど、あの感じが井戸野だったかと言われると、正直自信がない。
 この2人のどちらかなんだろうが…どっちなんだ?

 {悠斗、これから教室に向かってから行動を開始する。 昨日打ち合わせた手筈は大丈夫だよな?}
 {本当にアレをやるのか⁉}
 {正直やり過ぎだとも思うが、相手の神経を逆撫でするにはあれは最も効果的な方法だとは思う。}
 {ただ、ソレを実行した後に告るんだろ?}
 {あぁ…昨日の妖魔王には、散々弄んでからボロボロにしてから捨てると話してあるから、告ってから2人に向かって悪どい笑みを浮かべれば…}
 {確かに心の中では穏やかではないな!}

 俺は教室に向かって歩き出した。
 そしてセルリアとルナリアに行為に及んでから、御馬と井戸野の方に向かって悪どい笑みを浮かべた。

 「よくも…不知火朔夜‼ ボクのセルリアたんとルナリアたんの2人の女神に‼」
 「お前が妖魔王だったのか⁉」

 案の定、獲物は釣れた。
 さてと…これからどう出るんだ、妖魔王‼
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