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第二章 旅をする上での大事な事

第十五話・閑話 サクヤの仕掛け・後編(最終回)

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 実を言うと…俺はこの段階で三人が捕まっている事は知らなかった。
 さすがにあんな子供染みた罠に引っ掛かるとは思っていなかったからだ。
 俺はそんな事よりも…セルリアを怒らせてしまったので謝るのに探し回っていた。

 「こっちに反応があるのだが…? どこだろう。」

 すると、前方の方で大量の岩が転がっていた。
 岩というか…何かの残骸の様な感じだった。
 近付いてみると、セルリアが数十のゴーレムを滅多切りにしていた。
 どう見ても自棄を起こしている感じだった。

 「これ…しばらくすれば収まるかな?」

 俺はセルリアが全て討伐するまで見守るのであった。
 
 ~~~~~一方、牢屋では?~~~~~

 「おい、そこの兎人族のガキ…来い!」
 「イヤァァァ、タスケテーーー!!!」
 「あ…貴方達、その子をどうするつもり⁉」
 「このガキか? 奴隷として主人に逆らえねぇ様に教育するんだよ! サモン・ダークローパー!」

 悪党が召喚魔法を使うと、そこから黒光りした無数の触手が生えていてテカテカと光って透明な液体を垂らした魔物が現れた。
 
 ダークローパーは、兎人族の娘の足に絡みつくと引っ張り込んでから動けない様にとらえた。
 牢屋の隣の部屋で兎人族の子供の声が響き渡った。
 そして「ゲップェ~」という声がすると、男に運ばれて牢に戻された。
 兎人族の娘は、白く濁った液をブチ撒かれていた。
 次に指名されたのは、エルフの娘だった。

 「おい、そこのお前…コイツを洗っておけ! 次はそこのエルフだ‼」
 「いやぁぁぁ、助けてお姉ちゃぁぁぁぁん‼」
 
 エルフの少女は悲痛な声でミクやマミに助けを求めたが、ミクとマミは顔を背けた。
 そしてエルフの娘は隣の部屋に連れて行かれると、またあの音がしてから再び牢屋に戻された。
 エルフの少女には白く濁った液がぶち撒かれていた。
 エルフの少女の目は虚ろな目をしていた。

 「さてと…次は~?」
 
 悪党はもう1人の少女を見たが、ミクとマミを見て笑って見せた。
 すると、三人の前に現れたイケメンのローアンが現れて言った。

 「おいおい、ボクも仕事をしたんだから…ボクも楽しむ権利があるだろ?」
 「そうだったな、どいつが良い?」
 
 ローアンは本来の姿のインキュバスになると、ユウトを指さして言った。

 「ボクはこの男が良いね…彼は受けが良さそうだ!」
 「旦那…インキュバスなのに男を選ぶのかよ?」
 
 インキュバスとは、サキュバスの男バージョンである。
 サキュバスは主に男性と混じるが、インキュバスは主に女性と混じる悪魔なのだが?
 このローアンは、攻めはドSで受けはドM…更に男色趣味という変わったインキュバスだった。
 指名されたユウトは、青い顔をしながら連れて行かれて…

 「やめろ~~~、やめてくれ~~~~~~!!!」
 「ほら…大人しくして、力を抜いて…♡」
 「ギャァァァァァァァ!!!」

 …というユウトの悲痛な叫び声が聞こえて来たのだった。
 ミクもマミも震えながら涙を流していた。
 そしてユウトが牢に戻されると、あらゆる場所にキスマークがついていた。
 ユウトは何かが抜けた様な顔をして地面に伏したのだった。
 
 「じゃあね…でも、ボクはこんな時間ではまだまだ足りないから、明日も宜しく♡」

 ローアンの声にユウトは震えながら首が壊れる程に振っていた。
 その後…ミクもマミもブラックローパーの餌食(本番はない)になり、開放された。

 「お前等は大事な商品だ。 出荷される迄は、貞操は手を出さないと約束をしてやるよ。 そこは購入者様の物だからな! ただ…変な抵抗が出来ない様に出荷されるまでの間は調教が続くから、そのつもりでいろ!」

 男は笑いながら出て行った。
 ローアンは全てが終わった状態で、サクヤに念話した。

 ~~~~~一方、サクヤは?~~~~~

 「うわぁ…全てのゴーレムを葬ってもまだ気が立っているな! これは迂闊に声を掛けられねぇな!」

 戦いになっても勝てる自信はあるが、ここまで怒り狂っていると勝てると解っていても手は出せない。
 どうした物かと考えていると、ローアンから念話が入って来た。

 {主様…今少し宜しいでしょうか?}
 {ローアンか、どうした?}
 {主様が指定した三名を捕らえました。}
 {は?}
 
 俺はこの計画を1ヶ月以内までに実行しろと言ったが、まさか俺と別れたその日に三人は捕まったのか?
 俺は腕を組んで悩んだ。
 幾らなんでも早すぎだろ‼
 まだ夜にもなってないんだぞ‼

 {すまんなローアン、少しショックが大きくてな。}
 {そして主様、三人に最初の仕込みは終わりました。}
 {え? あれの1回目をもうやったのか⁉}
 {はい…まずかったですか?}
 {計画と少し予定が狂ったが…舌を噛んで死んだりしていないよな?}
 {大丈夫です、三人はまだ自我が残っております!}
 {いや…そういう事を心配している訳では無くて。}
 {安心して下さい、はまだ残っていますから!}
 {・・・・・・・・・}

 確かにね…少女達を最初に実行させてから、恐怖心を煽ってから事に運べとは言ったけど。
 こうも計画を早い段階から実行されると、その後の予定が狂うんだが?
 
 {ローアン、三人を一度に捕まえたのか?}
 {いえ、三人はバラバラになって行動していたので、楽に接触が出来ました。}
 
 知らない街では、慣れる迄の間は一緒に行動しろといってあっただろ‼
 何をやっているんだ、あの馬鹿共は⁉

 {それで主様、報告の続きをしても?}
 {あぁ…頼む!}
 {まず、マミという女でしたが…ボクの顔に見とれて願いを聞いてくれて、疑いもせずに路地を通って、ニャムを回復…本来なら魔力が吸われている事は普通の治癒術士なら気付きますが、あの女は気付きもせずにフルの魔力をニャムに与えていました。}
 {・・・・・・・・・}

 何をやっているんだ、あの女は?
 1人で動けなくなるまで魔力を使っていれば、捕まるのは当たり前だろ!
 
 {次の報告をしても?}
 {あぁ、頼む!}
 {ミクという女も、ニャムの言う事を疑いもせず誘いに乗り着いて来て、周囲を警戒する様子もなく立ち向いましたが…背後の者達に気付かずに羽交い絞めにされてから、スタンで麻痺…ですがまだ動ける様でしたのでニャムがトドメを。}
 {・・・・・・・・・}

 タンクの役割は、周囲の警戒を怠ってはいけないと教えた筈なんだけどなぁ?
 今迄の旅で何を学んでいたんだ?

 {そして最後に…あの可愛い声で鳴いてくれた坊やですが!}
 {お前…ユウトに手を出したのか?}
 {大丈夫です、自我は残っていますから!}
 {わかった…続きを頼む!}
 {えっと…ユウト様については、大金の話をチラつかせたら疑いもせずに付いてきました。 魔法の話も無反応でしたし、何より…冒険者ギルドの規則事項等が全く頭に入っていませんでした。}
 {・・・・・・・・・}

 この世界の主なのは、魔法では無く魔術だと説明したんだがな?
 いつものユウトならすぐに気付くと思ったんだが…やはり大金に目が眩んだか。
 三人だけで行動しろと言ったから、俺の助言を聞いて道具を揃えて金がなくなった時に大金の話が来たら乗っかりたくもなるわな。
 ただ…ギルドの規則事項位、頭に入れておけよ!
 
 {それで…どうしましょうか、主様?}
 {少し…いや、かなり早いが救出作戦を実行する。 皆に持ち場に付く様に言っておいてくれ!}
 {それと主様?}
 {なんだ?}
 {あの…ユウト様ですが、また味見をしたいのですが、宜しいでしょうか? 彼の喘ぎ声が可愛くて♡}
 {次に捉える事が出来たら、飽きる迄好きにしろ…}

 俺はこうしてローアンとの念話が終了した。
 ふっ………まさか初日で助けに行くとは思わなかった。
 ミクもマミもあの屈辱的な行為をしている訳だし、俺1人が行ってもなぁ…?
 俺はセルリアに声を掛けた。

 「セルリア…怒っている所、済まんが…少し良いか?」
 「あ? なんだ? 用がないなら声を掛けないで…」
 「三人が捕まった。」

 セルリアは空を見上げて考えていると、すっかり頭が冷えたようで聞き返してきた。

 「は? 別れたのは今日の朝だよな⁉」
 「あぁ…先程、召喚した者から連絡が来た。」
 
 そして、ローアンから三人が捕まった経緯を話すと、セルリアは頭を押さえていた。
 普通…こういう反応になるよな?
 
 「救出作戦を実行だな。 少し…いや、かなり早いけど。」
 「なら、設定通りに動かないとな。」

 セルリアと打ち合わせた設定は、街中で見掛けたミク達の誰かが袋に詰め込まれて運ぶ者を目撃したという物だった。
 今回の作戦は、時間差があっても全員が捕まる事が無いと思っていた…筈だったんだけどね!
 1人が捕まった時に目撃者の情報を頼りに、2人が助けに行くというシナリオだったんよ~!
 三人掴まってどうすんねん!
 …思わず関西弁になってしまった。
 そして俺はセルリアを連れてアジトの入り口に潜入、セルリアは皆の防具の回収をしていて、俺は牢屋の前に来て…中編の冒頭に戻る。

 「俺はギルドの依頼で、行方不明の少女の捜索をしていて…セルリアはマミが連れ去られる所を見たと言っていた。 俺は言ったよな? 街の中が把握できるまでの間は常に三人で行動しろと!」
 「サクヤ、皆の武具はあったが?」
 「セルリア、とりあえず少女達を上に避難させてくれ。」
 「あぁ、わかった!」

 セルリアは少女の三人を牢から出して運んで行った。
 そして残るミク達三人だが?

 「もう怒るのも疲れた…今日の朝に分かれてから、その日に捕まるとはね。 もう3か月とは言わずに、お前達とパーティーを組む事は2度とないから、魔王を倒すまでの間はこの街で細々と暮らして行け。」
 「あの…サクヤく…」
 「何?」
 「いえ…」
 「もしかして、次はしっかりするから~とか言わないよね? もう、その次が無いから。 俺の言う事に逆らうのが好きなんだろ? いいよ、もう二度と口出ししないから…好きにやりな!」
 「なら、私の聖剣と防具を返して欲しいんだけど。」
 「あぁ、良いぞ!」

 俺は収納魔法から、ミクに適合した聖剣と武具を出した。
 ミクは聖剣に触れようとしたが、聖剣はミクを拒んだ。

 「何で…?」
 「あんな間抜けな掴まり方をする様な奴にいつまでも聖剣が適合する訳ないだろ! 聖剣も聖防具もお前を見限ったんだよ。」
 「そ…そんな!」
 「では、この聖武具は返してもらうぞ! 仲間が出来て適合者が出たら、その者に渡すからな。」

 俺は聖武具を回収した。
 そして俺は3人に触れてから、3人が泊っている宿に転移した。

 「これで…本当にお別れだ。 じゃあな!」
 「待ってくれ、サクヤ!」
 「なんだ?」
 「本当に自分達とは…」
 「だからそう言っているだろ! 魔王を倒したら迎えに来てやるよ。 ただし、悪党に捕まって奴隷になっていたら俺は自分だけ元の世界に帰るから、奴隷としての人生を生涯この世界で過ごせ!」
 
 俺はそれだけ言うと、転移した。
 これで三人が心を入れ替えれば良い。
 出来なければ…もう知らん!
 そして街の外れの邸に戻ると、セルリアに全てを話した。

 「サクヤは本当にそれで良いのか?」
 「あぁ…もう奴等がどうなろうと知らん。 それと、ここは寝泊まりとかに来るかも知れないが、それ以外は街に戻る事は無い。」
 「では、我らは?」
 「そのまま、この邸で暮らして維持しておいてくれ。 作戦は継続だが、一部変更を加える。 三人の監視はしなくても良い。」
 「かしこまりました。」
 
 俺は一度ホテルに戻ってから支払いを済ませると、ホテルを出た。
 すると、こちらに向かって来る三人を見掛けたが…俺は無視してセルリアと共に転移した。
 どうせ、誠心誠意謝れば許して貰えるとでも思ったんだろうが…。
 そして邸に到着してから1泊して、翌日この街を出た。

 俺の旅は、セルリアと共にする事になった。
 次の仲間は…誰だろうか?

 ~~~~~第二章・完~~~~~

 ~~~~~第三章に続く!~~~~~
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