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第一章 異世界召喚編

第十四話 作戦の反省会

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 俺はあの後、デスブリンガーを帰還させてから3日程眠っていたのだった。
 怪我の状態もあるが、何より魔力消費が激しかったからだった。
 そして俺は王宮に赴くと、作戦時の仕掛け人達がそこに揃っていた…が、見慣れぬ人間も1人いた。

 「今回はお疲れ様でした。…と同時に、数日間寝てしまって申し訳ない!」
 「無理もありませんよ、あの怪我でしたし…何より魔力を激しく消費されていたのでしょう?」

 事情を知っているサネア王女が話しかけて来た。
 俺は頷くと、皆に向かって話をした。

 「とりあえず、今回の作戦の反省会をしようと思う…が、国王陛下…その方は誰だ?」
 「この者はこの国の冒険者ギルドのギルドマスターのアダンだ。」
 「ギルドマスターのアダンと申します。 この度は、会議に参加出来たことを心より感謝致します。」

 ギルドマスターのアダンは、年齢は50前後というところか?
 立派な体格で言葉の話し方からすると、結構厳格な性格を伺えた。
 そういえば、前回の作戦会議には参加出来なかったが、ギルドマスターにも詳細を伝えると言っていたから、今回いるのはその所為か?

 「まずは城下街に入ってからの冒険者の対応の速さは良かったが…その後のスケルトン召喚で冒険者達があの程度に苦戦するとは思わなかった。 スケルトンウォーリアを召喚する必要は無かったんじゃないかと思うほどにな。」
 「それに関しては申し訳ないとしか言えない…ダンジョンでもスケルトンが現れる事があるが、あそこ迄の数は出ないので対応に戸惑ったのだろう。」
 「あの時は、命令するだけ命令してその場を立ち去ったが…その後はどう対処したんだ?」
 「この国から近い他の冒険者ギルドに招集をかけて、その増援が来て対処をしたという感じだな。 全滅とまでは行かなかったが、かなりの数を撃退は出来た。」
 「その増援の冒険者達はどうしている?」
 「1週間後にまた来ると言っていた敵の大将の声が聞こえていたので、それまで滞在すると言っていた。」

 …という事は、次は本気でこの城を攻める事になっているから…初めからスケルトンウォーリアを召喚するかな。
 
 「その増援の冒険者のランクはどれ位の物だ?」
 「今回はBランクとCランクに、それ以下のランクが複数だったが…次の作戦時にはAランクとSランクが数パーティー混ざる予定だ。」
 「だとすると…スケルトンウォーリアだけでは物足りないか? ドラゴントゥースウォーリアも多少は加えるか。」
 「ドラゴントゥースウォーリアというのは、城の騎士が戦っていたスケルトンですよね?」
 「スケルトンとは少し違うがな。」
 「Aランクだと荷が重いでしょうが、Sランクなら互角…」

 この世界のSランクはそれ相応に強いのか?
 他の世界でも、剣聖やソードマスターと呼ばれる部類の強さを持った者達と同等の強さがあるのだが?
 
 「決戦前の前日に何人かを教えてくれ、それで召喚する数を決める。」
 「畏まりました。」
 「次に城に入る前の兵士だが…兵士の3倍の数のスケルトンには物怖じしなかったが…その後のスケルトンウォーリアには歯が立たなかったな。 数人は対処が出来ていた様だが?」
 「兵士達は、周囲の遠征で複数の魔物の同時襲撃を経験していますからね。 敵の数が多い分には対処は可能でしょう…ですが…」
 「スケルトンウォーリアには惨敗か…」
 「まぁ、兵士達には今後の課題として…次もスケルトンウォーリアで良いだろう。」
 「ですね、今回の事を経験していて、次に生かせなければただの愚者ですからね。」
 
 数人は対処は出来ていたんだが、数人では意味が無いしな。
 それで、次は…?

 「城内に入って騎士に対応か…」
 「窓から見ていましたが…あの人数で助かったというべきでしょうか?」
 「そうですね、恐らくですが…ドラゴントゥースウォーリアというのが騎士と同じ数だったら全滅していましたね。」
 「次回は本気でという話だったが…どうした方がいい? 数を一緒にするか、前回と同じにするか?」
 「恐らくですが、今回の敗因は…ドラゴントゥースウォーリアを見た目がスケルトンだと思って侮ったのが原因では無いかと思います。 次は2人1組で対処出来る様に仕向けてはもらえませんか?」
 「という事は25匹か…ドラゴンの歯はまだあったかな? そういえば…騎士団長と副団長は、今回の作戦は傍観していましたが…ドラゴントゥースウォーリアを単体で討伐出来る事は出来るか?」
 「難しい所ですが、不可能ではないと思います。 ただ…えらく時間はかかるでしょうけど。」
 
 俺は収納魔法からドラゴンの歯と牙を取り出した。

 「この歯に魔力を与えると、ドラゴントゥースウォーリアになり…牙に魔力を与えると、ドラゴンファングコマンダーになるのだが…騎士団の2トップが相手をするならこの方が良いか?」
 「トゥースとファングの違いは?」
 「魔獣の上位が災害級でトゥースと同等なら、ファングは天災級と言った所だな。」
 「それは…我々2人で勝てるものなのですか?」
 「死ぬ気でやれば何とかなる。 敗北したら国が滅ぶと思えば良い!」
 「随分なプレッシャーを与えますね…」
 
 俺がそう言い終わると、騎士団長と副団長は…まだ見ぬ敵の対策について話し合っていた。
 そして急に思い出したかの様に俺に言ってきた。

 「そういえば、サクヤ殿とデスブリンガー…でしたっけ? あの戦いは凄まじかったですね。」
 「自分も…人にあんな動きが出来るものなのかと驚愕していました。」
 「あぁ…アレね、オートモードと言って自動で操作出来る指示を与えてて、アレでも強さは普通で設定していたのだが…」
 「アレで普通なのですか⁉︎」
 「アレが普通というのなら…本気で戦っていたらどうなっていたのですか?」
 「城が崩壊するか…国が消滅するかもな。」
 「「・・・・・・・・・」」

 まさか自分自身があそこまで強いとは思わなかった。
 数多くの魔王を倒しているから弱くはないとは思ったけど、まさか自分に倒されそうになるなんて思ってもみなかった。
 ただ…次回の設定もアレと同じ位にしないと、マサギ達では萎縮して魔王に戦いを挑むなんて事はできなくなるだろう。
 アイツの設定は魔王の幹部という話だからな。
 幹部でアレなら、三魔王はどれほどの強さになるっていう話になる。

 「後は収穫としては、ミクが覚醒した事だな。 まさか別世界の聖武具が適合するとは思わなかったが…」
 「ミク殿ですか…覚醒した姿は、我等と同等か…それ以上の力を感じました。」
 「あれが聖戦士という物なのですね? 聖戦士は、この世界では過去に誕生した者というだけで、詳しい文献は無かったのですが…」
 「俺も聖戦士というのは初めて聞いた。 ただ、聖武具の適合者となると…レベルを積んでから経験も積めばかなりの戦力になるな!」

 ミクはもう…学校にいた時の様なチャラついた感じが無かった。
 力の覚醒と共に何かが変わった印象が見受けられた。

 「後はマサギだな…」

 俺はこうして反省会が終了した。
 そして騎士団長と副団長は、騎士や兵士を鼓舞して次の戦いに備える様に準備を怠らない様に指示した。
 中庭に帰るとそこでは…頭が痛くなる出来事が起こるのだった。
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