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第一章 異世界召喚編

第九話 作戦決行!

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 作戦決行!…の1時間前、俺は王宮の中に居た。
 最後の段取りを済ます為に打ち合わせをしていたのだった。
 今回の作戦の協力者は四名で、国王陛下に王女、騎士団長と副団長だった。

 「さてと…そろそろ準備を始めるか!」
 「そういえばサクヤ殿、敵の将はどの様な人物ですか?」
 「いや、俺だけど?」
 「サクヤ殿が敵の将をするのなら、居なくなってはマサギ殿達が不審に思われるのでは?」
 「あぁ…説明が面倒なので伏せていたんだっけか! こういう事だ! ドッペルゲンガー‼︎」

 僕は魔法で2人に分かれた。
 この魔法は、ドッペルゲンガーという魔法で最高だと100人くらいまで増やせる魔法なのだが…増え過ぎれば増えすぎるほど命令を聞かなくなるので、最大で4人までにしている。
 俺の対魔王最終手段である。
 ただ、服は複製出来ても武具までは複製出来ないから分け与えないと行けないという面倒さがある。

 「サクヤ殿が2人に⁉︎」
 「それも…魔法という物なのですか⁉︎」

 この世界には魔法が存在せずに魔術と呼ばれる物で、魔術は自然界から力を借りて発動する為に魔法の様な特殊な能力は無いのである。
 魔法も万能では無いが…魔術よりは出来る事が多い位だ。

 「「そう…これで片方は城にいる召喚者のサクヤとして、もう1人は敵の将のデスブリンガーとして別な場所に出現させる。」」
 「なんか変な感じですね…2人が同時に話していると。」
  
 俺は黄金の甲冑に聖剣を2本装備し、もう1人には暗黒の鎧と魔剣2本を装備させた。
 この状態で、結構魔力が激減している。
 まず…暗黒の鎧に、ドッペルゲンガーの発動、更に分身の維持、そしてこれから街の外に移動する為の移動魔法に、魔物召喚…頭が痛くなる。

 「ところでサクヤ殿は、格はどれ位有るのですか?」
 「格? あぁ、レベルの事か…聞かない方がいいぞ。 この世界の人間の最高到達点より遥かに高いから…」
 「それなら魔王もあっさりと倒せたりは?」
 「その辺は、その世界によってまた違うからな…楽に倒せる場合もあれば、順序を無視すると後で弊害が起きる場合もある。 第2と第3と第5の召喚の時は苦労した。」

 あの時は手順を踏むのが面倒で、サクッと魔王を倒したら…本来その世界には存在していない魔神や破壊神というのが現れた。
 まぁ、倒せなくは無かった…が、それでも結構な苦戦を強いられた。

 「倒そうと思えば、時空の中に隠れている魔王城を空間切断で引き摺り出す事はできる…が、その他の魔王が一斉に襲って来る可能性があるのであまりやりたくは無いんだよ。」
 「確かに、王が倒されたと知れば臣下は黙ってはいませんからね。」
 「3人の魔王が揃って来るのなら問題はないが、周りに被害が及ぶ様な戦い方に出られると、被害だけが甚大になるからな!」
 「確かに…この世界の陸・海・空の魔王達は仲悪いですからね。」
 
 さてと、俺は…デスブリンガーの俺を王国の外に配置させた。
 ここからが少し面倒臭いが…意識が2つある状態で2つの体を操作しないといけなくなるので、かなりの集中力を使う。
 城にいる俺は、極力話し掛けられない様に振る舞うので問題はないと思うが…問題があるとすれば、マサギ達がどう動くかによる。
 戦いに参加したり、その際に指示を仰ぐ…位なら問題は無いが、長々と話し掛けられるともう1つの意識のリンクが切れる場合がある。
 命令をして動かすという方法もなくは無いのだけど、全く喋らなくなって黙々とただ作業をこなすだけになるので、任せるのは忍びない。

 「では、俺も配置に着きます。」
 「勇者様達には一応、戦いに参加したく無いのなら地下牢の一室を開放してありますと伝えていますが…」
 「それで良いだろう。 後はアイツらがどう動くかな?」

 正直、現在の状況からして…多分急に色々あり過ぎて動けないだろうし、何をしたら良いかなんて思いも付かないだろうしな。
 邪魔さえしなければ良いが…役割をこなす為に動けるのなら良し、役割を放棄して逃げるのなら…次回から狙われる様に仕向けよう。
 全てはマサギ達の為なのだから!
 俺は中庭に出て目を閉じて意識を集中した。
 
 これから2つの視点で話が始まるのだった。
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