34 / 35
第三章
第五話 聖竜国グランディオの侵略・後編(勇者の剣と御対面)
しおりを挟む
「これが、聖剣シャンゼリオンか…」
宝物庫の中にある台座には、立派な白く縁が金色に装飾された聖剣が聖なる光を発していた。
本来なら、聖剣だからと言って常に聖なる光を発している訳ではないだろうが?
邪悪な存在が来たという事で、聖剣も警戒や忠告に為に聖なる光を発しているのだろうか?
『見た目は中々な聖剣だが、果たしてコレを翔也が装備出来る物なのかねぇ?』
「デスブリンガー様、翔也とは?」
『俺と共に幼馴染達とこの世界に来て、ギルドカードで勇者に選ばれた奴なんだが…』
「あぁ、そう言えば以前にサズンデス様から教えて貰いましたね。魔境の森でデスブリンガー様を殺害しようとしたと…」
『果たしてそんな歪んだ心の奴に、聖剣が答えてくれる物なのかと思ってな…まぁ、そんな歪んだ愚者をもしもこの聖剣が選んだとすれば…』
「この聖剣もとんだ食わせ物か、聖剣とは名ばかりのロクな剣では無いでしょうな。」
《さっきから聞いていれば、好き放題言ってくれるわね…って言っても、聞こえないのよね。》
『いや、聞こえているぞ。そうか、この聖剣は…インテリジェンスソードの類だったのか。』
《⁉︎》
流石は異世界といったところか、まさか喋る剣…インテリジェンスソードがあるとはね。
魔剣ネクロイシスも、気持ちを汲んで応えてくれるから…インテリジェンスソードの類なのかと思ったが、語り掛けても一向に答えてくれないからなぁ。
だとすると、インテリジェンスソードの類というのは、あまり多くはないのだろう。
『おい、聖剣……お前は勇者の心の中身が例え邪悪な思想の持ち主でも、勇者と呼ばれる存在なら尻尾を振って使われるのか?』
《魔族である者の戯言なんて……と思っていたけど、先程のその魔族との話を聞く限りでは、今回の勇者は碌な心の持ち主ではなさそうね?》
『魔族……か、確かにお前が我の姿を見たらそう思うだろうが、我は魔族では無い。』
俺は兜を脱いでから素顔を晒した。
すると、魔族に本来存在する頭にツノや顔に模様がない事に、聖剣シャンゼリオンは驚きの声を上げた。
《まさか……人間なの⁉︎》
「あぁ、俺は大魔王サズンデス様の配下の三元将の壱将…幻魔剣士デスブリンガーだが、もう1つの名を持っている。もう1つの名は洲河慱という名で、テレシア王国の救世主召喚で勇者と共にこの世界にやって来た5人の1人だ。」
《その纏っている気配……異世界人の特有のオーラね。何故魔族から発せられているのかが謎だったけど、その話を聞いて納得したわ。》
異世界人特有のオーラ……ねぇ?
もしかして大魔王サズンデス様が魔境の森に現れたのは、その異世界人特有のオーラを持っている者達がその場所にいた気配を探ったからであって、偶然に現れたというわけでは無いんだな?
《先程の話を詳しく話して下さらないかしら?》
「話というのは、バトラーとの会話の事か?」
俺はこの世界に来てから、何故魔王の配下になった経緯を話した。
剣なので表情が見えるわけでは無かったが、声の感じで明らかに動揺をしている感情を読み取る事が出来た。
《貴方のその話が本当なら、勇者に従う言われは無いわね。》
「全て真実だが、まぁ…信じられないのなら、別に信じなくても構わん。」
《その場合、私をどうする気?》
「あんな心の捻じ曲がった勇者に仕えると言うのなら、奴が手に入れる前にこの場で破壊しようと思っていた。今は俺の方が力は強くても、聖剣を手にする事で力の均衡が同等になるのだけは俺も避けたいからな。」
《仮に私が勇者に加担をしたとしても、そんな心が穢れ切った持ち主では私の性能の効果を最大限まで発揮する事は不可能でしょうね…それ以前に、そんな使い手に触れて欲しくは無いわ。》
「それを聞いて安心した…が、だからと言って…この場所に放置して置くわけにも行かないがな。」
…とは言っても、実際にどうするべきか?
大魔王の片腕の配下が聖剣を持つ訳にもいかないだろうし、だからと言って…聖剣を何処かに放置する訳にも行かない。
聖剣と勇者は結び付きが強いという話だから、何処かに放置したとしても、巡り巡って勇者の手元に行き着く可能性がある。
破壊が出来るのであれば手っ取り早いのだが、この聖剣シャンゼリオンはかなりの力を秘めているので、破壊をするのは骨が折れそうだ。
魔王城内に置いて置くと、気配を感じた者達が持って行きそうだしな。
「とりあえず、サズンデス様に相談をしてみるか。」
俺は聖剣シャンゼリオンを確保した後に、部下に命じて冒険者ギルド以外の建物や龍達を皆殺しにした。
こうして、開国から難攻不落だった聖竜国グランディオは、さして脅威を感じなくなる国になったのだった。
「さて翔也達は、この訃報を聞いた後にどんな行動をおこすんだろうな?」
宝物庫の中にある台座には、立派な白く縁が金色に装飾された聖剣が聖なる光を発していた。
本来なら、聖剣だからと言って常に聖なる光を発している訳ではないだろうが?
邪悪な存在が来たという事で、聖剣も警戒や忠告に為に聖なる光を発しているのだろうか?
『見た目は中々な聖剣だが、果たしてコレを翔也が装備出来る物なのかねぇ?』
「デスブリンガー様、翔也とは?」
『俺と共に幼馴染達とこの世界に来て、ギルドカードで勇者に選ばれた奴なんだが…』
「あぁ、そう言えば以前にサズンデス様から教えて貰いましたね。魔境の森でデスブリンガー様を殺害しようとしたと…」
『果たしてそんな歪んだ心の奴に、聖剣が答えてくれる物なのかと思ってな…まぁ、そんな歪んだ愚者をもしもこの聖剣が選んだとすれば…』
「この聖剣もとんだ食わせ物か、聖剣とは名ばかりのロクな剣では無いでしょうな。」
《さっきから聞いていれば、好き放題言ってくれるわね…って言っても、聞こえないのよね。》
『いや、聞こえているぞ。そうか、この聖剣は…インテリジェンスソードの類だったのか。』
《⁉︎》
流石は異世界といったところか、まさか喋る剣…インテリジェンスソードがあるとはね。
魔剣ネクロイシスも、気持ちを汲んで応えてくれるから…インテリジェンスソードの類なのかと思ったが、語り掛けても一向に答えてくれないからなぁ。
だとすると、インテリジェンスソードの類というのは、あまり多くはないのだろう。
『おい、聖剣……お前は勇者の心の中身が例え邪悪な思想の持ち主でも、勇者と呼ばれる存在なら尻尾を振って使われるのか?』
《魔族である者の戯言なんて……と思っていたけど、先程のその魔族との話を聞く限りでは、今回の勇者は碌な心の持ち主ではなさそうね?》
『魔族……か、確かにお前が我の姿を見たらそう思うだろうが、我は魔族では無い。』
俺は兜を脱いでから素顔を晒した。
すると、魔族に本来存在する頭にツノや顔に模様がない事に、聖剣シャンゼリオンは驚きの声を上げた。
《まさか……人間なの⁉︎》
「あぁ、俺は大魔王サズンデス様の配下の三元将の壱将…幻魔剣士デスブリンガーだが、もう1つの名を持っている。もう1つの名は洲河慱という名で、テレシア王国の救世主召喚で勇者と共にこの世界にやって来た5人の1人だ。」
《その纏っている気配……異世界人の特有のオーラね。何故魔族から発せられているのかが謎だったけど、その話を聞いて納得したわ。》
異世界人特有のオーラ……ねぇ?
もしかして大魔王サズンデス様が魔境の森に現れたのは、その異世界人特有のオーラを持っている者達がその場所にいた気配を探ったからであって、偶然に現れたというわけでは無いんだな?
《先程の話を詳しく話して下さらないかしら?》
「話というのは、バトラーとの会話の事か?」
俺はこの世界に来てから、何故魔王の配下になった経緯を話した。
剣なので表情が見えるわけでは無かったが、声の感じで明らかに動揺をしている感情を読み取る事が出来た。
《貴方のその話が本当なら、勇者に従う言われは無いわね。》
「全て真実だが、まぁ…信じられないのなら、別に信じなくても構わん。」
《その場合、私をどうする気?》
「あんな心の捻じ曲がった勇者に仕えると言うのなら、奴が手に入れる前にこの場で破壊しようと思っていた。今は俺の方が力は強くても、聖剣を手にする事で力の均衡が同等になるのだけは俺も避けたいからな。」
《仮に私が勇者に加担をしたとしても、そんな心が穢れ切った持ち主では私の性能の効果を最大限まで発揮する事は不可能でしょうね…それ以前に、そんな使い手に触れて欲しくは無いわ。》
「それを聞いて安心した…が、だからと言って…この場所に放置して置くわけにも行かないがな。」
…とは言っても、実際にどうするべきか?
大魔王の片腕の配下が聖剣を持つ訳にもいかないだろうし、だからと言って…聖剣を何処かに放置する訳にも行かない。
聖剣と勇者は結び付きが強いという話だから、何処かに放置したとしても、巡り巡って勇者の手元に行き着く可能性がある。
破壊が出来るのであれば手っ取り早いのだが、この聖剣シャンゼリオンはかなりの力を秘めているので、破壊をするのは骨が折れそうだ。
魔王城内に置いて置くと、気配を感じた者達が持って行きそうだしな。
「とりあえず、サズンデス様に相談をしてみるか。」
俺は聖剣シャンゼリオンを確保した後に、部下に命じて冒険者ギルド以外の建物や龍達を皆殺しにした。
こうして、開国から難攻不落だった聖竜国グランディオは、さして脅威を感じなくなる国になったのだった。
「さて翔也達は、この訃報を聞いた後にどんな行動をおこすんだろうな?」
12
お気に入りに追加
276
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~
椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」
私を脅して、別れを決断させた彼の両親。
彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。
私とは住む世界が違った……
別れを命じられ、私の恋が終わった。
叶わない身分差の恋だったはずが――
※R-15くらいなので※マークはありません。
※視点切り替えあり。
※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達より強いジョブを手に入れて無双する!
アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚。
ネット小説やファンタジー小説が好きな少年、洲河 慱(すが だん)。
いつもの様に幼馴染達と学校帰りに雑談をしていると突然魔法陣が現れて光に包まれて…
幼馴染達と一緒に救世主召喚でテルシア王国に召喚され、幼馴染達は【勇者】【賢者】【剣聖】【聖女】という素晴らしいジョブを手に入れたけど、僕はそれ以上のジョブと多彩なスキルを手に入れた。
王宮からは、過去の勇者パーティと同じジョブを持つ幼馴染達が世界を救うのが掟と言われた。
なら僕は、夢にまで見たこの異世界で好きに生きる事を選び、幼馴染達とは別に行動する事に決めた。
自分のジョブとスキルを駆使して無双する、魔物と魔法が存在する異世界ファンタジー。
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つ物なのかな?」で、慱が本来の力を手に入れた場合のもう1つのパラレルストーリー。
11月14日にHOT男性向け1位になりました。
応援、ありがとうございます!
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる