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第三章

第一話 訃報…(翔也達はコレを旅先で知りました。)

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 テレシア王国から少し離れた街の宿屋にて…
 翔也達4人は、宿屋の食堂で食事をしていた時に賢斗が読んでいた新聞でテレシア王国の訃報を知る事になった。

 「皆、大変だ!」
 「どうした賢斗?」
 「僕等がテレシア王国から旅立って暫くしてから、魔王軍にテレシア王国が壊滅した!」
 「な、何だと⁉」

 賢斗は触りだけしか読んでいなかったから、詳しい内容まで読みこむ事が出来なかった。
 そして一通りの記事を読み終わり、皆に発表した。

 「まずテレシア王国の壊滅後に、サーディリアン聖王国から派遣されたSランク冒険者によってテレシア王国の調査に入った際に…国王陛下は見るも無残な姿で朽ち果てていて、アルカディア第二王女も自らの命を絶った形跡があり、城内とテルシア城下街の住人は皆殺しにされ、宝物庫は全て奪われ、更に城の地下にあった魔法陣は破壊されていたという。」
 「アルカディア王女様…あんな素晴らしい方が⁉」
 「おい、城の地下の魔法陣って…俺達が召喚された場所だよな? あの場所は、城内でも秘匿にされていたという話では無かったのか⁉」
 「あぁ…そして、僕達は元の世界には帰れなくなったという事でもある。」

 翔也はテーブルを叩き付けた。
 魔王を倒しても、元の世界に帰れないのなら意味が無いからだ。

 「なぁ、本来ならこのまま聖竜国グランディオに向かう所だけど…この場所からテレシア王国はすぐ近くだし、行って見るというのはどうかな?」
 「確かに…この新聞の内容では、テルセラ様の情報は一切書かれていなかったけど…召喚陣が壊されていたとしても、召喚陣に関わる書物が無事なら確保は入手しておきたいしね。」 
 
 翔也と賢斗がそう言うと、飛鳥と華奈は頷いた。
 これでもしも、テルセラ王国が壊滅させられて燃やされていたら、手がかりも灰になって真っ直ぐ聖竜国グランディオに向かうという選択を取っていたかも知れないけど、ただ壊滅させられただけならソレに希望を掛けるしかなかった。

 「それにしても、高ランク冒険者って書いてあったみたいだけど…名前は書かれているの?」
 「Sランク冒険者…ていうだけで、名前は一切書かれていないな。」
 「私達が到着する迄には結構な日にちが経っちゃうしね、どうせならその時の状況の話を聞きたかったんだけど?」
 「サーディリアン聖王国の冒険者と書かれていたから、そこの冒険者ギルドに行けば…その人物に遭えるんじゃないかな?」

 翔也達は身支度を済ませた後に、急いで馬車を借りてテレシア王国に向かうのだった。

 ~~~~~新聞に掛かれていた人物~~~~~
 
 さて、実はテレシア王国の壊滅後に調査したSランク冒険者というのは、実はダンの事である。
 テレシア王国を滅ぼした後に、一度孤児院に戻ったダンだったが…?
 付近の冒険者ギルドから誰かしら派遣されると踏んだダンは、先に調べてからその報告内容を冒険者ギルドに売る為に自ら調査したという形にした。
 壊滅後の情報については、冒険者ギルド内では高値で取引される場合がある。
 仮に冒険者ギルドで売れなかったとしても、サーディリアン聖王国の王族なら買ってくれると踏んでいた。
 その理由は以前ダンが城の牢屋に捕まっていた際に、サーディリアン聖王国に嫁いだ第一王女のトアルディア王女なら、こんな暴挙を許すはずがないと言っていたからだった。
 ダンはその内容を覚えていたのだった。

 それ以外にも、ダンには腑に落ちない事が1つだけあった。
 賢斗ではないが、ダンがテレシア王国に攻め入った時に…宮廷魔術師のテルセラの姿を一切見ない事だった。
 本来、宮廷魔術師というのは…国王の側近として常に身近にいて警護する存在だからだ。
 仮にその場にいなかったとしても、別な場所で殺されていると思っていたのだが…?
 城をくまなく探しても、テルセラの遺体は見つからなかった。
 
 ダンはすぐに、捜索能力に優れている配下を召喚して付近に探らせたのだが…?
 一切見付からないという報告を受けたのだった。
 宮廷魔術師と言われるだけあって、それなりの魔力量を保有していると思うのだが?
 魔族とは違い、別な国まで飛べるとは思ってはいなかったので付近を捜索させたのだった。
 王国内では国王と王女には素顔を晒していたので、仮にそれを見られていて冒険者ギルドにタレこまられると厄介だったからだ。

 捜索は一応続けさせてはいる。
 だけど、このテルセラとは意外な場所で会う事になるのだけれど…?
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