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第三章
第ニ話 聖竜国グランディオ(どうやって攻略するかだな?)
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僕は魔王城の一室を借りて、配下達全てを集結させた。
バトラーとエルサーパ、バルバトスにレイヴンと子のガイウスとレイリア、エルサーパが侵攻した国で拾ったというへディエスという魔導士、それにへディエスに仕えるサーヴァスという…元は冥王の付き人の計八人だった。
「デスブリンガー様、我等配下八名…揃いました。」
「今回の聖竜国グランディオの侵攻について、配下全員で向かおうと思う…が、流石に正面から入る訳には行かないので、中に入ってから呼ぶという感じで問題は無いよな?」
「それで問題はありませんが…幾ら我等とて、竜族相手にだと少々荷が重いですぞ!」
「その辺は考えてある。 要は…聖竜の展開した光の結界が厄介なだけだよな?」
「そうですね、あの結界の所為で私達魔族は動きが制限されますので…」
闇の属性の魔族達は、光による結界内では本来の力を発揮出来なかった。
バルバトスやレイヴンの様に、シャドウ化した者も光の結界では自由には動けない。
なので、それを取り除けば問題は無いのだろうけど…?
「しかし、デスブリンガー様だけで動くおつもりですか?」
「いや、へディエスとサーヴァスに動向をして貰おうと思っている。」
「この者達ですか?」
「へディエスは、今でこそ邪女という特殊なジョブだが…元は聖女であり人間でもある。 サーヴァスは冥界出身という話だから、光による結界は何も受けないよな?」
「神界の住人は、全属性をレジスト出来る加護がありますので…」
エルサーパの話によると、ドルグレスト大陸で面白い人物を探した際に、元は聖女で人々の憎しみにより邪女という邪悪な存在に身を落したという面白い経緯を持った女を仲間にした際に、その付き人がまさか冥界の者で人間に仕えているという異質な者も参加すると言って来たらしい。
エルサーパ曰く…まともに戦えばサーヴァスの方が強いという話なのだが、何故そんな者が態々下に就く事を選んだのかが謎という話だった。
それで実際に僕も話してみたのだが…?
僕でも互角か、それ以上の強さを感じていた。
「サーヴァスから見て、聖竜国グランディオに張られた光の結界をどう見る?」
「自分は、聖竜国グランディオの地に足を踏み入れた事はありませんので明確な事は言えませんが、恐らく巨大な魔道具を使用しているのではないかと思われます。」
「番いの竜が結界を張っているのではなく?」
「神龍とかなら…その可能性はあると思いますが、現世に神龍がいるとは思えません。 そうなると、精々…古代竜と考えるのが妥当でしょうね。 始めの内は古代竜が結界を張り、それ以降は魔道具に頼ったものだと推測されます。」
「ならば、その魔道具を破壊すれば良い訳なのだが…絶対に厳重な場所で保管されているよな?」
「そうなるでしょうね、ただ…探すのは楽だと思いますよ。 あからさまに怪しい厳重な警護がされていると思いますからね。」
「古代竜の番いがいる場所では無い事を祈りたいな…」
流石の僕も、古代竜…エンシェントドラゴン相手に勝てるとは思えない。
ただし…光の結界が無ければの話だが。
光の結界が発動している間は、魔の武具である魔剣ネクロイシスの効果も半減する可能性があるからだ。
「デスブリンガー様、それで聖竜国グランディオに入る際は…デスブリンガー様とへディエスとサーヴァスの3人ですか?」
「いや、孤児院の子供達の20人を連れて行こうと思う。」
「子供達をですか?」
「あぁ、養ってやっているというのに、自発的に動かないでサボりがちで他人を見下すという子が数人いるだろ?」
「おりますね…アイツらをですか。」
現在の孤児院の子供達は、全部で55人いる。
一番の古株達は問題はないのだが、後から連れてきた子達の中には、生まれが少し育ちの良い子が数人居て、その子達は古株の子達にすら見下すといった態度を取ってくる。
福利厚生はちゃんとして休みとかも与えているんだけど、こういう子達は元いた世界に限らず、異世界にも居るんだと感心する。
このままだと、周りにも悪影響になるし…当初の目的通りに生贄として使おうかと考えていた。
「しかしながらデスブリンガー様、私の目から見て…確かにそう言った子供達は14人位いますが、他の6名は?」
「大丈夫だ、既に選別は終わっている。 孤児院で他にも数名…役に立ってない子達がいるからな、そいつらを連れて行こうと思っている。」
「左様ですか…」
生意気なガキどもには、選ばれた者達とか煽てておけば素直に着いてくるだろう。
まぁ、あんな奴らが死んだ所で何とも思わないし、失っても痛くも痒くもない子達だからな。
「しかし…どうやって運びますか? 邪竜に乗せて運ぶとか…?」
「バストゥーグレシア大陸は以前に行った事があるからな、そこまでは転移魔法で連れて行く。 聖竜がいる場所に邪竜なんか連れて行ったりしたら、流石に勘付くだろうからな。」
聖竜国グランディオに入るまでは、出来るだけ大人しくしておきたい。
そうでなくても…竜族というのは僅かな事で勘が働くという厄介な種族だからな。
「では、決行はいつになさられますか?」
「決行は3日後に行なう、他にも戦略とか必要だしな!」
聖竜国グランディオの場合、他の街や城を襲うのとは訳が違う。
人族が治める国とかなら、どんなに統率が取れていたとしても…圧を掛けると意外に脆いのだが、竜族相手だとそうも行かないから戦略は必要になる。
結界さえどうにかなれば、後は上手く事が運ぶと思いたいが…?
決行は3日後…
僕の中で今までに無い緊張が走っていたのだった。
バトラーとエルサーパ、バルバトスにレイヴンと子のガイウスとレイリア、エルサーパが侵攻した国で拾ったというへディエスという魔導士、それにへディエスに仕えるサーヴァスという…元は冥王の付き人の計八人だった。
「デスブリンガー様、我等配下八名…揃いました。」
「今回の聖竜国グランディオの侵攻について、配下全員で向かおうと思う…が、流石に正面から入る訳には行かないので、中に入ってから呼ぶという感じで問題は無いよな?」
「それで問題はありませんが…幾ら我等とて、竜族相手にだと少々荷が重いですぞ!」
「その辺は考えてある。 要は…聖竜の展開した光の結界が厄介なだけだよな?」
「そうですね、あの結界の所為で私達魔族は動きが制限されますので…」
闇の属性の魔族達は、光による結界内では本来の力を発揮出来なかった。
バルバトスやレイヴンの様に、シャドウ化した者も光の結界では自由には動けない。
なので、それを取り除けば問題は無いのだろうけど…?
「しかし、デスブリンガー様だけで動くおつもりですか?」
「いや、へディエスとサーヴァスに動向をして貰おうと思っている。」
「この者達ですか?」
「へディエスは、今でこそ邪女という特殊なジョブだが…元は聖女であり人間でもある。 サーヴァスは冥界出身という話だから、光による結界は何も受けないよな?」
「神界の住人は、全属性をレジスト出来る加護がありますので…」
エルサーパの話によると、ドルグレスト大陸で面白い人物を探した際に、元は聖女で人々の憎しみにより邪女という邪悪な存在に身を落したという面白い経緯を持った女を仲間にした際に、その付き人がまさか冥界の者で人間に仕えているという異質な者も参加すると言って来たらしい。
エルサーパ曰く…まともに戦えばサーヴァスの方が強いという話なのだが、何故そんな者が態々下に就く事を選んだのかが謎という話だった。
それで実際に僕も話してみたのだが…?
僕でも互角か、それ以上の強さを感じていた。
「サーヴァスから見て、聖竜国グランディオに張られた光の結界をどう見る?」
「自分は、聖竜国グランディオの地に足を踏み入れた事はありませんので明確な事は言えませんが、恐らく巨大な魔道具を使用しているのではないかと思われます。」
「番いの竜が結界を張っているのではなく?」
「神龍とかなら…その可能性はあると思いますが、現世に神龍がいるとは思えません。 そうなると、精々…古代竜と考えるのが妥当でしょうね。 始めの内は古代竜が結界を張り、それ以降は魔道具に頼ったものだと推測されます。」
「ならば、その魔道具を破壊すれば良い訳なのだが…絶対に厳重な場所で保管されているよな?」
「そうなるでしょうね、ただ…探すのは楽だと思いますよ。 あからさまに怪しい厳重な警護がされていると思いますからね。」
「古代竜の番いがいる場所では無い事を祈りたいな…」
流石の僕も、古代竜…エンシェントドラゴン相手に勝てるとは思えない。
ただし…光の結界が無ければの話だが。
光の結界が発動している間は、魔の武具である魔剣ネクロイシスの効果も半減する可能性があるからだ。
「デスブリンガー様、それで聖竜国グランディオに入る際は…デスブリンガー様とへディエスとサーヴァスの3人ですか?」
「いや、孤児院の子供達の20人を連れて行こうと思う。」
「子供達をですか?」
「あぁ、養ってやっているというのに、自発的に動かないでサボりがちで他人を見下すという子が数人いるだろ?」
「おりますね…アイツらをですか。」
現在の孤児院の子供達は、全部で55人いる。
一番の古株達は問題はないのだが、後から連れてきた子達の中には、生まれが少し育ちの良い子が数人居て、その子達は古株の子達にすら見下すといった態度を取ってくる。
福利厚生はちゃんとして休みとかも与えているんだけど、こういう子達は元いた世界に限らず、異世界にも居るんだと感心する。
このままだと、周りにも悪影響になるし…当初の目的通りに生贄として使おうかと考えていた。
「しかしながらデスブリンガー様、私の目から見て…確かにそう言った子供達は14人位いますが、他の6名は?」
「大丈夫だ、既に選別は終わっている。 孤児院で他にも数名…役に立ってない子達がいるからな、そいつらを連れて行こうと思っている。」
「左様ですか…」
生意気なガキどもには、選ばれた者達とか煽てておけば素直に着いてくるだろう。
まぁ、あんな奴らが死んだ所で何とも思わないし、失っても痛くも痒くもない子達だからな。
「しかし…どうやって運びますか? 邪竜に乗せて運ぶとか…?」
「バストゥーグレシア大陸は以前に行った事があるからな、そこまでは転移魔法で連れて行く。 聖竜がいる場所に邪竜なんか連れて行ったりしたら、流石に勘付くだろうからな。」
聖竜国グランディオに入るまでは、出来るだけ大人しくしておきたい。
そうでなくても…竜族というのは僅かな事で勘が働くという厄介な種族だからな。
「では、決行はいつになさられますか?」
「決行は3日後に行なう、他にも戦略とか必要だしな!」
聖竜国グランディオの場合、他の街や城を襲うのとは訳が違う。
人族が治める国とかなら、どんなに統率が取れていたとしても…圧を掛けると意外に脆いのだが、竜族相手だとそうも行かないから戦略は必要になる。
結界さえどうにかなれば、後は上手く事が運ぶと思いたいが…?
決行は3日後…
僕の中で今までに無い緊張が走っていたのだった。
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