幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く!

アノマロカリス

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第二章

第六話 冒険者としての初日(これで少しは名が売れれば…)

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 「ただいま、帰りました。」
 『デスブリンガーよ、孤児院とやらの建設は順調か?』
 「はい、まぁ幾つかの…?問題はありましたが、今の所は大丈夫です。 次は畑の制作に入りますが…」
 『これで、美味い物が喰えるのか‥どれ位で実る?』
 「僕のスキルを見ると、植物の芽を思い描いた物を生やす事が出来るスキルと、植物を急成長させるスキルもありますので、そんなにお待たせする事は無いかと…」
 『それは楽しみだな! それと、冒険者というのは無事になれたのか?」
 「バトラーの助言で、手土産を持参したら高位のランクに付けました。 ついでにジョブを取得したのですが…」
 『魔剣士か?』
 「いえ、幻魔剣士という物でした。」

 魔王サズンデスは、目を閉じて考えていた。
 そして軽く笑うと、ダンに向かって言った。

 『幻魔剣士は、魔剣士の上位ジョブだぞ! 魔界の者でも魔界の騎士で最後になれた者は古の大戦時代だと聞く。』
 「それは…良い物を得られました。」
 『では、デスブリンガーよ! 先の件を進めておいてくれ。 こちらはあの作戦を実行に移すとする。』
 「はっ! では行って参ります!」

 ダンは闇の飲まれて行った。
 それを見ていた魔王サズンデスは複雑な気持ちになった。

 『よりにもよって幻魔剣士とは…? 奴の評価を改めないといかんな…』
 
 魔王サズンデスは、の準備の為に魔物を制作し始めた。

 翌日…
 冒険者ギルドのカウンターで、昨日討伐した盗賊の首を出した。
 流石に冒険者ギルドの受付だけあって、この程度の事では動じていなかった。

 「グラグーブ盗賊団の副リーダーとその配下ですね? 確認致しました。」
 「副リーダー? では、リーダーはどんな奴なの?」
 「グラグーブ盗賊団のリーダーのグラグーブは、闇に隠れ潜むのを得意としていて、詳細は誰も知らないという話なんです。 噂では貴族と繋がりがあるとかで、迂闊に手が出せないという話も…」
 
 貴族との繋がりや不正が暴ければ、リーダーを捕らえても平気という事か…。
 まぁこの場合…意外と貴族がグラグーブ本人であり、命令して動かしているという可能性が妥当なのだろうけど…?
 ネット小説関連で、この手の類の話を纏めてみる。
 出世欲にまみれ、金回りが良くなった…と考えると、恐らく上位貴族ではないだろう。
 それ以下で思い付くとしたら…子爵位か男爵位…準男爵といった所だろう。
 
 「ダン様、報酬なのですが…」
 「いえ、報酬はグラグーブをとっ捕まえてから纏めて戴きます。」 
 「グラグーブが誰か解ったのですか?」
 「完全には分かりませんよ。 ですが、目ぼしい相手は何となく…」
 「わかりました、ダン様にお任せ致します。」

 僕は冒険者ギルドを出ると、人気のない路地に入った。
 そして隠密と諜報に長けた悪魔を呼び出した。

 「お前達に仕事だ! この国で貴族から情報を仕入れてこい! 見れば強欲な者はわかるだろう。 行け!」
 「我らにお任せを…デスブリンガー様!」

 まるで忍者の様な格好をした悪魔たちは、それぞれに散って行った。
 こちらも諜報に移るか…?
 僕は、バーデリック商会の建物を目指した。

 「ここがバーデリック商会か…中々大きな商会だな。」

 建物の大きさ的には、冒険者ギルドに比べて3倍近く大きな建物だった。
 僕は巨大な扉を開けて通路を歩いて行くと、受付があったので会員証を見せてから、グランツ・ハイマーに会いたいと尋ねた。
 すると僕の持っていた会員証は、侯爵以上の富裕層が持てる様な会員証だったらしく、すぐに頭目の部屋に案内された。

 「これはダン殿…昨日は本当にありがとうございました!」
 「いやいや、別に礼を言われる様な事はしていませんよ。」
 「そういえば、無事に冒険者にはなれましたか?…と聞くだけ野暮ですね。」
 「おかげでSランクになりました。」
 「Sランクですか…やはり貴方はただ者ではなかったのですね。」

 それから数分間は雑談をした。
 そして…

 「昨日のお礼として、何かを差し上げられないかと思うのですが…何か御所望はございませんか?」
 「今は特にこれといって欲しい物はないけど、あるとすれば…?」
 「あるとすれば、何でしょう?」
 「情報が欲しいですね。 グラグーブ盗賊団のリーダーに関する情報を…」
 「グラグーブですか…奴等にはうちの商品も強奪されましたので、何とかしたいと思っていたのですが、尻尾を出さない奴で…」
 「昨日、奴等の盗賊団の副リーダーのその部下に襲われまして、全て返り討ちにしたのですが…報酬がリーダー含めてじゃないと安くて…」
 「グラグーブはこちらでも調べてはいるのですが、噂では貴族と繋がりがあるとかで調べるのに難航しているのですよ。」
 「もしくは…貴族がグラグーブか…ですか?」
 
 グランツは驚いた顔をした。
 グランツも同じ事を考えていたからだ。

 「さすがダン殿、見事な着眼点です! ただ、そうなると調べられる範囲も広くてですね…」
 「目星は付けていますよ、子爵、男爵、準男爵の中で最近急成長を遂げて金回りの良い貴族の情報はありませんか?」
 「そうですねぇ…バクスター子爵、クズナ男爵、グロヨーク準男爵とこの3つの貴族が怪しいですね。 ただ、急成長を遂げて男爵地位に近いとすれば、グロヨーク準男爵でしょうか?」
 《デスブリンガー様に報告です。 グロヨークという男が強欲にまみれておりましたが、どうも背後に下級が憑りついている様です》
 《御苦労、引き続き周辺の調査をしろ!》

 「ダン殿、如何されました?」
 「いや、どうやらそのグロヨークという者が怪しそうですね。 その者の場所は分かりますか?」
 
 グランツから、グロヨーク準男爵の家の地図を教えて貰うと、北の貴族街に赴いた。
 準男爵とはいえ、屋敷はそれなりに大きな建物だった。
 僕は門番に尋ねた。
 
 「ここにいるグロヨーク準男爵に会いたいのだが…」
 「グロヨーク様は現在お忙しい身だ! 誰にもお会いにならん!」
 「僕はSランクのダン・スーガーというのだが…」
 「Sランクでも…Sランク⁉ 少々お待ち下さい、グロヨーク様にお伝えしてきます!」

 門番は屋敷の中に入って行った。
 そして数分後、門番が屋敷から帰って来ると、僕は屋敷の中に通された。
 
 「初めまして、Sランク冒険者殿…わたくしがグロヨークと申します。」
 
 この世界の冒険者ランクでは、Aランクは伯爵位を…Sランクは侯爵位と同等の立場がある。
 なのでグロヨークの様な準男爵では、侯爵位には逆らえないのである。
 だが、長話に付き合う気もないので単刀直入に聞く事にした。

 「グロヨーク…ですか? グラグーブではなくて?」
 「グラグーブとは、この辺を騒がしている盗賊団の名前ですよね?」
 「えぇ…昨日、グラグーブ盗賊団に襲われた際に、命乞いをしてきまして…その副リーダーがリーダーはグロヨークという貴族だと仰ってたので…」
 「馬鹿な! 奴等は俺様の存在は知らない筈!」
 「俺様…ね、もう演技は良いのですかw?」
 『貴様は何者だ⁉』

 グロヨークは気配が変わると、声まで変化した。
 部屋の中にいる用心棒も悪魔に姿を変えた。

 『Sランクと言っていたが、所詮は人間! 我らグレーターデーモンに勝てると思っているのか?』
 「レッサーの癖に、グレーターとは大きく出たな…そのグロヨークとレッサーのお前の首を差し出せ! そうすれば、後の者には手を出さないでやる!」
 『たかが人間風情が! よかろう…者ども殺せ!』

 3匹の配下が一斉に襲って来た。
 だが、3匹を一斉に斬り伏せると、レッサーは焦りだした。

 「この程度で僕が倒せると思われていたとは…甘く見られたものだね。」
 『貴様…これでもコイツ等はデーモンなんだぞ! それをいとも容易く…』
 「レッサーの配下だから、それ以下なんだろ? 悪いが僕の敵では無いよ。」
 『貴様、本当に何者だ⁉ 本当に人間か⁉』
 「おい、レッサー! お前はぐれだろ?」
 『強い者に諂わないと戦えない奴等と一緒にするな! 俺様はグロヨークに呼び出されて力を貸した者だ!』
 「ならさぁ、魔王サズンデスの事は知っているか?」
 『当たり前だ! 俺様はあの方に仕えたかったが、実力不足だと言われて配下になれなかったのだ! だからこうして力を付けて…』
 「なるほどねぇ…ならお前にはますます勝ち目はないよ。 待ってやるからさっさと自害しろ! 僕が必要なのはグロヨークの頭とレッサーの頭だけなんだから。」
 『またも俺様をレッサーと…貴様は一体⁉』
 「そうだな、隠して置いたままではお前にも悔いが残るか…僕はね…」

 僕は鎧を召喚して装着した。
 そして剣を差し向けて名乗った。

 「僕は魔王サズンデス様の配下、三元将が壱元・幻魔剣士デスブリンガーだ!」
 『馬鹿な⁉ 人間が魔王様の配下だと⁉ だがその魔力覇気は魔王様の配下の象徴!』
 「どうするレッサー?」
 『おれさ…いえ、私を配下の末端にお加え戴けませんでしょうか?』
 「断る! 僕の部下に身分を偽る者は必要ない! とっとと自害しろ!」

 レッサーは死ぬと解っていても僕に向かって襲って来た。
 
 「見事な覚悟だな…」

 僕はレッサーの首を落とした。
 他にも配下がいるみたいだったので、部屋を出てから屋敷の中にいる者達を片っ端から斬り殺した。
 屋敷の中にいた者は、ほぼレッサーの配下の悪魔だったので、殺すと消滅していった。
 地下牢には囚われていた娘達がいた…が、この姿では怖がらせてしまう可能性があったので、鎧を脱いでから声を掛けた。
   
 「奴隷か…解放させるのは簡単だが、はたしてどうするか?」
 「お願いします! ここから出して下さい‼」

 今の僕はデスブリンガーではなく、ダン・スーガーとして活動している為に、解放してあげた。
 だが娘達は僕の後ろを付いてくるだけで、外に出ても逃げる事はなかった。
 僕はこのまま冒険者ギルドに連れて行き、グラグーブ盗賊団リーダーのグラグーブこと、グロヨークの首とレッサーデーモンの首の2つを受付嬢に渡した。
 そして後ろに着いてきた娘達も引き渡すと、他の職員達が娘達の所在を突きとめる為に慌ただしくなっていた。

 「ダン・スーガー様、こちらがグラグーブ盗賊団全員の賞金とグレーター…いえ、レッサーデーモンの特別報酬です!」
 「やはり、レッサーだったか。」
 
 賞金は金貨で3,000枚を受け取ると、その内の囚われていた子達に金貨10枚ずつ渡してあげた。
 別にそこまでする必要は無いと思ったのだが、こうして恩を売っておけば後に何かの役に立つだろう…と。

 そして僕は孤児院に帰り、バトラー達が作った畑を見たのだが…?
 僕は頭を押さえて悩みながら一言……

 「作り直せ!」
 「デスブリンガー様…また何か違いましたか?」

 感覚共有で頭の画像を送っている筈なのに、どうして間違うのだろうか?
 畑の土の中に草が混じっており、所々の土から草が突き出ていた。
 どうやら草ごと土を耕していたらしい。

 次は孤児院の人員確保だが、他にもバトラーには教えなければならない事が多いな?
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