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第一章
第二話 国王陛下の策略(結構悪どい事を考えているそうです。)
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慱が牢屋に入れられてから数時間後…
「国王陛下、何故慱を牢屋になんか入れたのですか⁉」
華奈は物凄く怒って国王陛下を問い詰めた。
怒っていたのは華奈だけではない。
「余だって本来はこんな事はしたくはなかったのだが、無能と判断された以上、国民に公表する訳には行かぬからの手段なのだ。」
「答えになっていません! 慱は私達の大事な友達なんです‼」
「華奈…落ち着いてくれ。 ですが、確かに…慱にジョブが表示されなかったからとはいえ、牢屋行きはあまりにも酷過ぎる‼」
華奈と賢斗は抗議したが、国王陛下は首を横に振るばかりだった。
国王陛下は言った。
「この救世主召喚は、人の命が掛かった召喚の儀だという事は知っているかな?」
「人の命…?」
「この召喚の儀は、テルシア王国の国民がアルカディア王女に魔力と希望を込めて救世主様達を呼び出したのだ! その時に、国民の何人かは命を落とした者もいるのだ。 それなのに、呼び出した中に無能が混じっていたとなれば、国民に何といえば良いか…余の気持ちも汲んでくれ。」
救世主召喚は、後日…勇者が誕生した事を国民に知らせなければならない決まりがある。
そこで勇者以外の救世主達も紹介しなければならないのだが…?
「でしたら、慱の名前は伏しても構いませんから、せめて牢屋から出しては貰えませんか?」
「華奈…」
国王は、聖女の華奈と勇者の翔也の関係を見て察した。
もしかすると、これはあの無能を始末出来ると睨んだのだ。
「済まないが、彼を牢から出せない理由が他にもあるのだ。 救世主召喚で無能が現れた事は、ほぼ城の中に伝わっているのだ! 今彼を牢から出して城内を歩かせると、騎士や兵士からいらぬ迫害を受ける可能性があるから、幽閉という形を取ったのだ。」
華奈はそう言われて悲しそうな顔をした。
翔也は華奈の悲しそうな顔を見て面白くなかった。
「でしたら、魔王の討伐の旅に慱を同行させるのは宜しいですか?」
「あんな無能でも役に立つ事でもあるのか?」
「慱は、様々な料理や元いた世界でのスキルが数多くあります。 この世界で開花はしませんでしたが、戦闘以外のサポートは出来る筈です!」
「ふむ…?」
国王陛下は正直、魔王の討伐に無能を同行させるのは賛成し兼ねるのであったが、ここで拒否をすれば勇者達パーティが魔王の討伐に行かなくなるという懸念が出てくるのも困るので、あえて許可を出した。
ただし、条件付きで…
「解った! ただし、同行させるには条件がある。」
「その条件とは何ですか?」
「まず、旅に出来るかどうかの判断をさせるのだ! 現在、魔王の配下の魔物がこの付近にいるのでな、彼を同行した勇者パーティで調査して欲しいのだ!」
「では、それで調査が完了すれば?」
「無論、同行を許可しよう!」
華奈は嬉しそうな顔をしてはしゃいだ。
賢斗も飛鳥もやる気を出していたが、翔也は華奈の表情を見て喜ぶフリをしながら複雑そうな顔をした。
幼馴染4人が部屋を出ようとすると、翔也だけ話があるといって呼び止められた。
「翔也殿は、聖女の華奈殿がお気に入りなのだな?」
「何故、その事を…?」
「だが、華奈殿はあの無能の事を好いておるみたいだが?」
「そうですね…」
「なら、翔也殿…あの無能を消したいとは思わぬか?」
「な! 何を言っているんだ⁉ 慱は友達だぞ⁉」
「だが、彼が生きている限り…華奈殿は翔也殿に一生相手にされないがそれでも良いのか?」
「そ…それは!」
国王陛下は、もう少しで勇者を崩せると踏んでいた。
国王陛下は、極め付けの1手を提示して来た。
「魔物の調査というのは、獰猛な肉食の獣が多く存在する場所でな…そこにあの無能を置き去りにすれば、確実に葬る事が出来る。 華奈殿はしばらく悲しむであろうが、その際に翔也殿が華奈殿を慰めればどうだ?」
「俺に傾く可能性があるか…」
翔也の中では悪くない考えだった。
だが、慱は友達で幼馴染でもある。
簡単にそんな真似は出来るとは思えないと感じるのだが…?
「元の世界に、あの無能は家族がいるのか?」
「いえ、慱は天涯孤独な身なので、待っている家族はいません。」
「なら丁度良いではないか…待っている家族がいないのでは、元の世界に帰る必要もないだろう…」
「だが…慱は…」
国王陛下は、更に翔也を追い詰めて行った。
「あの無能を同行させて、好きな女子を振り向く事が出来ずに見ているか、あの無能を消して好きな女子を手に入れるか…答えは決まっていると思うがな!」
翔也は考えた。
悩み…考えて出した答えは?
「そうですね、慱には退場してもらおう!」
「よくぞ決心した! では、この場所の詳しい地形と拘束の魔道具を授けよう! これであの無能を留めておいてから置き去りにすれば、確実に息の根を止める事が出来よう!」
「それは、良い作戦ですね!」
翔也の決断は、勇者の物とは思えない決断だった。
そして翔也は、その地形と魔物の配置などを覚えて、更に魔道具の使い方も覚えた。
翔也は部屋を出て行くと、国王陛下は高らかに笑った。
「これで、あの無能を始末出来る上に、勇者も思い通りに動かす事が出来る! これぞ、一石二鳥という物だ‼」
国王陛下は、次の計画に入ろうとしていた。
それは、かなり悪質な計画だった。
「国王陛下、何故慱を牢屋になんか入れたのですか⁉」
華奈は物凄く怒って国王陛下を問い詰めた。
怒っていたのは華奈だけではない。
「余だって本来はこんな事はしたくはなかったのだが、無能と判断された以上、国民に公表する訳には行かぬからの手段なのだ。」
「答えになっていません! 慱は私達の大事な友達なんです‼」
「華奈…落ち着いてくれ。 ですが、確かに…慱にジョブが表示されなかったからとはいえ、牢屋行きはあまりにも酷過ぎる‼」
華奈と賢斗は抗議したが、国王陛下は首を横に振るばかりだった。
国王陛下は言った。
「この救世主召喚は、人の命が掛かった召喚の儀だという事は知っているかな?」
「人の命…?」
「この召喚の儀は、テルシア王国の国民がアルカディア王女に魔力と希望を込めて救世主様達を呼び出したのだ! その時に、国民の何人かは命を落とした者もいるのだ。 それなのに、呼び出した中に無能が混じっていたとなれば、国民に何といえば良いか…余の気持ちも汲んでくれ。」
救世主召喚は、後日…勇者が誕生した事を国民に知らせなければならない決まりがある。
そこで勇者以外の救世主達も紹介しなければならないのだが…?
「でしたら、慱の名前は伏しても構いませんから、せめて牢屋から出しては貰えませんか?」
「華奈…」
国王は、聖女の華奈と勇者の翔也の関係を見て察した。
もしかすると、これはあの無能を始末出来ると睨んだのだ。
「済まないが、彼を牢から出せない理由が他にもあるのだ。 救世主召喚で無能が現れた事は、ほぼ城の中に伝わっているのだ! 今彼を牢から出して城内を歩かせると、騎士や兵士からいらぬ迫害を受ける可能性があるから、幽閉という形を取ったのだ。」
華奈はそう言われて悲しそうな顔をした。
翔也は華奈の悲しそうな顔を見て面白くなかった。
「でしたら、魔王の討伐の旅に慱を同行させるのは宜しいですか?」
「あんな無能でも役に立つ事でもあるのか?」
「慱は、様々な料理や元いた世界でのスキルが数多くあります。 この世界で開花はしませんでしたが、戦闘以外のサポートは出来る筈です!」
「ふむ…?」
国王陛下は正直、魔王の討伐に無能を同行させるのは賛成し兼ねるのであったが、ここで拒否をすれば勇者達パーティが魔王の討伐に行かなくなるという懸念が出てくるのも困るので、あえて許可を出した。
ただし、条件付きで…
「解った! ただし、同行させるには条件がある。」
「その条件とは何ですか?」
「まず、旅に出来るかどうかの判断をさせるのだ! 現在、魔王の配下の魔物がこの付近にいるのでな、彼を同行した勇者パーティで調査して欲しいのだ!」
「では、それで調査が完了すれば?」
「無論、同行を許可しよう!」
華奈は嬉しそうな顔をしてはしゃいだ。
賢斗も飛鳥もやる気を出していたが、翔也は華奈の表情を見て喜ぶフリをしながら複雑そうな顔をした。
幼馴染4人が部屋を出ようとすると、翔也だけ話があるといって呼び止められた。
「翔也殿は、聖女の華奈殿がお気に入りなのだな?」
「何故、その事を…?」
「だが、華奈殿はあの無能の事を好いておるみたいだが?」
「そうですね…」
「なら、翔也殿…あの無能を消したいとは思わぬか?」
「な! 何を言っているんだ⁉ 慱は友達だぞ⁉」
「だが、彼が生きている限り…華奈殿は翔也殿に一生相手にされないがそれでも良いのか?」
「そ…それは!」
国王陛下は、もう少しで勇者を崩せると踏んでいた。
国王陛下は、極め付けの1手を提示して来た。
「魔物の調査というのは、獰猛な肉食の獣が多く存在する場所でな…そこにあの無能を置き去りにすれば、確実に葬る事が出来る。 華奈殿はしばらく悲しむであろうが、その際に翔也殿が華奈殿を慰めればどうだ?」
「俺に傾く可能性があるか…」
翔也の中では悪くない考えだった。
だが、慱は友達で幼馴染でもある。
簡単にそんな真似は出来るとは思えないと感じるのだが…?
「元の世界に、あの無能は家族がいるのか?」
「いえ、慱は天涯孤独な身なので、待っている家族はいません。」
「なら丁度良いではないか…待っている家族がいないのでは、元の世界に帰る必要もないだろう…」
「だが…慱は…」
国王陛下は、更に翔也を追い詰めて行った。
「あの無能を同行させて、好きな女子を振り向く事が出来ずに見ているか、あの無能を消して好きな女子を手に入れるか…答えは決まっていると思うがな!」
翔也は考えた。
悩み…考えて出した答えは?
「そうですね、慱には退場してもらおう!」
「よくぞ決心した! では、この場所の詳しい地形と拘束の魔道具を授けよう! これであの無能を留めておいてから置き去りにすれば、確実に息の根を止める事が出来よう!」
「それは、良い作戦ですね!」
翔也の決断は、勇者の物とは思えない決断だった。
そして翔也は、その地形と魔物の配置などを覚えて、更に魔道具の使い方も覚えた。
翔也は部屋を出て行くと、国王陛下は高らかに笑った。
「これで、あの無能を始末出来る上に、勇者も思い通りに動かす事が出来る! これぞ、一石二鳥という物だ‼」
国王陛下は、次の計画に入ろうとしていた。
それは、かなり悪質な計画だった。
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