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最終章

第三話 ザッシュの目標(…言わなくても分かりますよねぇ?)

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 ザッシュ=バグズダー、享年………
 
 「ちょっと待てい!俺はまだ死んで無いぞ‼︎」

 …って、何を言っていのかねぇ……このゴーストは?
 ザッシュが最初に死んだ場所は、ファークラウド大陸のクラウディア王国近くの森で、英雄リュカのチーム(この時はまだチーム名が未定)との戦いで死亡。
 1度はゴーダの持つ魔剣ネグドディザスターの力によって、ゴーダの肉体を奪取して復活を果たしたが、その後…あっさり死亡して、ネグドディザスターも破壊された。
 なので、現在のザッシュはというと?
 肉体を持たないゴースト的な存在である訳なのだが、一般のゴーストと異なる点がある。
 それはザッシュ=ゴーダ時代に、ネグドディザスターによって回収して来た魔武器のコアを体内に取り込んだ事。
 魔武器のコアは、一度体内に取り込まれると…そのままその者の魂と同化するという特性があり、通常のゴーストよりは遥かに凌駕する力を持つことが出来る。

 現在のザッシュは、ある意味で言えば…非常に厄介な存在である。
 まず…中級魔法程度の威力では、ザッシュを滅する事は不可能な事。
 魔武器のコアの能力によって、無効化されるか、吸収されてしまうからだ。
 そしてザッシュを本気で倒そうと思ったら、上級の光魔法か、聖属性魔法の使い手でないと…ザッシュを倒す事は不可能なんだが…?
 側から見ると、ザッシュの今の姿は…一般のゴーストとあまり大差がない姿をしているので、このゴーストが目撃されても、上位ランクの冒険者が派遣される事はまず無いので、低ランク冒険者が聖水を持って討伐をしに来る…という感じになるだろう。
 まぁ、何度も返り討ちに遭って被害が続出でもしない限りは…だけど?

 ザッシュの強さがどの程度かというと?
 リュカやリッカのターンアンデットなら、1発で消滅するが…中位ランク冒険者のヒーラーのターンアンデットでは倒す事は難しいだろう。
 冒険者というのはある程度のランクやレベルを上げると、魔物が出ても専門的な役割を持つ者に丸投げをして傍観する傾向がある。
 敵の警戒を怠らないとか、ヒーラーの手助けをするという選択肢が頭にあれば…中位ランクでも可能性はあると思うんだけどね。
 なので、仮にザッシュが発見されて討伐依頼が出されたとしても、現在のザッシュを討伐出来るチームは、恐らくあまりいないだろう。

 そして現在のザッシュにも、弱点というか…欠点が存在する。
 ザッシュは幼少の頃に実家を飛び出す時にも、剣を帯刀していた。
 冒険者時代も、常に愛剣を携えていた。
 チームメンバーが変わった時も、死んでから新たな肉体を得た時も…
 必ず剣があった訳なのだが…?
 現在はその剣がないので攻撃手段が思い付かない。
 更には、剣無しの状態で殴り掛かると言った行動に出る事も、恐らくは出来ないだろう。
 なので、ザッシュは新たに使える武器を探す事になる訳なのだが…?
 果たして、肉体の無いゴースト状態のザッシュが使える………いや、持てる剣が現れるのだろうか?

 「ゴーストの中にも、武器を持つ者だっているよな?死神も大鎌を持っているし…」

 ザッシュは死んでから、思考が低下したのだろうか?
 確かに、アンデットの中でも武器を持つものはいるにいる。
 だが、死神はあくまでも神の眷属。
 姿やイメージ的には、悪魔や魔物を彷彿とされるが…死神は死を司る神の一派の事である。
 ………何だけどねぇ?
 いや、先程から気になっていたんだけど…ザッシュが死んでから、目の前に死神は現れなかったのだろうか?
 それよりも、リュカ=ダークに殺された時も死神は来なかったのかな?
 
 「死神?死神なら来たぞ!「お前の魂を迎えに来た…」と言って、俺の姿を見た時には驚いていたな。ゴーダの肉体を手に入れる前は、しつこいくらいに毎日の様に来ていたが…俺様はいずれ復活をする!…と言ってから、実際に復活を果たし…死んだ時に現れた死神が俺様の姿を見て…?」
 「お前もあの男と同じなのか!お前も死んでも復活をするタイプなのか⁉︎…と誰の事を言っているのか全く分からなかったが、次も俺様は復活を果たす‼︎…と告げると、お前もあの男同様…もう知らん‼︎と怒った口調で去って行ったぞ。」

 恐らくザッシュの魂を管理する死神は、リュカの魂と同じ担当者だったのだろう。
 死神は、より多くの魂を回収する事により、自身の手柄となる…訳なのだが、いつまでも徴収出来ない物に執着しても無駄だと感じたのだろう。
  
 「それにしても、ゴーストが武器を手に入れるにはどうしたら良いのだろうか?こういう場合は、先任者に聞く事にするか!」

 ザッシュの取った行動は、墓場にいるゴーストに尋ねる事にした訳なのだが…?
 果たして、素直に教えてくれる物だろうか?

 これから、ザッシュの珍道中が始まるのだった。
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