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3巻
3-1
しおりを挟む第一話 新たなる生贄(これで僕から注意を逸らすことが出来ます)
僕、リュカは一人、ゴルディシア大陸で最も栄えた街、カイナートにある冒険者ギルドへ向かっていた。
その最中、周囲の人々から好奇の視線を向けられているのに気付く。
……まぁ、それも無理ないかもしれないな。
少し前に起きたとある一件のせいで、僕の名前はこの辺りに広く知れ渡ってしまったのだ。
僕は心の中で溜息を吐きつつ、これまで起きたことを思い返す。
二年前、僕は故郷であるカナイ村を出て、カイナートで冒険者を始めた。
【烈火の羽ばたき】というパーティに拾われ、夢だった冒険者生活が始まる……と思ったのも束の間、リーダーであるザッシュに二年間荷物持ちとして散々こき使われた挙句、最終的にはパーティを追放されてしまう。
それならと気持ちを切り替え、ソロ冒険者として活動することに。
仲間もいないし苦労するかな……と思っていたんだけど、依頼はパーティにいた時より楽にこなせるし、みるみるうちにランクが上がっていく。
どうやら僕は、家族であり、かつて最強パーティと言われた【黄昏の夜明け】のメンバーに鍛えられたため、世間一般の基準に照らして見ると、かなり強いらしい。
それからしばらくして、双子の妹のリッカが世界各地に散らばる七つの穢れた地を浄化する試練――『聖女候補の巡礼旅』に挑もうとしていることを知った。
僕は護衛としてその旅に同行することになった。
【烈火の羽ばたき】時代に、僕に唯一優しくしてくれたガイアンも仲間に加え、僕達はカナイ村とカイナートの間にあるハサミシュ村へ。
ちょっぴり苦戦したものの、なんとか浄化を済ませ、続けてサーディリアン聖王国領内の、トライヘリア港の近くにある、二つ目の試練をクリア。
そして三つ目の穢れた地を探して、僕達はバストゥーグレシア大陸にある魔法学園に潜入した。
そこでは生徒の魔力が突然枯渇したり、従魔が暴れだしたりと、不可解な出来事が発生していた。
穢れた地の近くではこのような不思議な現象が頻繁に起きることから、学園に直接潜入して、事件の真相を探ったってわけ。
学園で知り合った女子生徒のシンシアやクララとともに謎を探り、結局黒幕は七魔王の配下の一人だったことが判明。
そいつを倒すことで事件は解決した……が、結局試練とは無関係だったんだよね。
だけど僕はつくづく魔王に縁があるみたい。だって学園の事件を解決した直後、今度はなんの因果か、別の依頼をこなしている時に、魔王本人と出くわしてしまったんだから。
さすがは魔王、一時は瀕死にまで追い込まれたけど、激戦の末、なんとか倒したって感じだった。
だがそのせいで、魔王を倒した英雄として、僕の名前が広く知れてしまったというわけだ。
最近は僕のことが新聞なんかでも取り上げられているらしく、知り合いに声を掛けられることも増えた。
本音を言えば少々うっとうしい。
早く巡礼の旅を再開して、知り合いの少ない土地に行きたいよ。
まぁ、シンシアとクララが僕らの旅に同行するために、父方の祖母――とー祖母ちゃんの修業を受けているから、今すぐにってわけにはいかないけど。
シンシアとクララは、僕らが旅をしていると聞いて、同行したいと言ってきた。
でも二人の実力では旅の中で命を落としかねないってことで、一ヶ月カナイ村での修業を耐えられたら同行を許可するということになった。
僕は正直、彼女達がすぐにギブアップすると思っていた。
しかし二人は懸命に修業に取り組み、昨日から天鏡転写を用いた訓練までしているらしい。
天鏡転写とは、映った人間と同じ能力を持った分身体を生み出し、指定した相手を襲わせる鏡の魔道具だ。
その分身は元の人間と同じ能力を持つため、倒すには何かしらの策を講じて自身を成長させなければならないが、もし勝てれば大きくレベルを上げることが出来る。
ここまで頑張っている二人を置いていくことはさすがに出来ない。
まぁあの訓練をクリアするのに、僕で四日、リッカは一週間以上かかったから……あの二人だと今から二週間経っても終わらなそうな気がするけど。
そんなわけで、巡礼旅を再開するのはもう少し先になるわけだ。
だから、今僕が冒険者ギルドへ向かっているのは、空いた時間を潰すためなんだよね。
今までのことを振り返っているうちに、気付けばギルドの前にたどり着いていた。
僕はドアを開けてギルドの中に入る。
すると、内部にいた冒険者や職員の方々が一斉にこちらを見る。
……やれやれ、まぁ気にしても仕方ないか。
僕は視線を無視して受付カウンターに行き、受付嬢のサーシャさんに声を掛ける。
サーシャさんは僕が初めてここに来た時に対応してくれたお姉さんで、それ以降も色々とお世話になっている。
「サーシャさん、何か依頼はありますか?」
「リュカ君……いえ、英雄リュカ様! ようこそお越し下さいました」
サーシャさんはわざとらしいほど丁寧な口調でそう口にした。
「もう、普通に呼んで下さい。『英雄』だなんて言われると、恥ずかしいですよ……」
僕がそう言うと、サーシャさんは小さく笑う。
「ふふ、分かりました。それで、依頼ですよね。そうそう、リュカ君に貴族から指名依頼が入っていますよ」
「貴族の依頼? ガーライル侯爵からですか?」
ガーライル侯爵はこの辺りに住んでいる貴族。かつて彼の娘であるアリシア様の警護を依頼されたことがあるのでまた何か頼み事をしてきたのかと思ったのだ。
しかし、サーシャさんは首を横に振る。
「いえ、ハイランダー公爵からです」
ハイランダー公爵は武勲で名を馳せた貴族で、国王陛下の護衛隊、ロイヤルナイツの団長をやっている人だったはず。
確か奥さんもそこの副団長で、彼の家は貴族の中でも高い実力や財力を持っているとか。
直接関わったこともないのに、なんでそんなところから指名依頼が来たんだろう?
僕は少し考え、尋ねる。
「依頼って……まさか、『英雄の力を試したいから手合わせしろ』とかじゃないですよね?」
「今回の依頼は旅に出るご子息の護衛だそうです。話によると、ハイランダー公爵の師は剣聖ジェスター様なので、それでリュカ君に依頼したんだとか」
ジェスターとは僕の父方の祖父――とー祖父ちゃんのことだ。
とー祖父ちゃんはかつて剣聖と言われ、多くの弟子を持っていたらしい。
それなら、僕に依頼が来るのも納得だ。
ただ、それでも疑問は残る。
「じっちゃんの弟子なら、ご本人も相当強いでしょうし、公爵家ともなれば、お抱えの騎士だっているでしょう? なのになぜ外部に護衛依頼を出すんでしょうか」
「なんでも今回は護衛の騎士は付けないらしいです。その理由までは分かりませんが……」
うーん、大切な息子が旅に出るというのに、それは些か不自然だ。
僕は少し考えてから口を開く。
「……依頼を受けるかは別として、とりあえず話を聞いてきます。ハイランダー公爵のお屋敷に行けばいいんですよね?」
「はい。ちなみに……場所はご存知なのですか?」
心配そうに尋ねてくるサーシャさんに胸を張って答える。
「大丈夫です。何度か前を通りかかったことがありますから!」
「そうですか、ではリュカ君が訪問する旨を、通信用の魔道具でお伝えしておきます。よろしくお願いしますね!」
僕はサーシャさんに頭を下げて、ギルドを後にした。
ギルドを出てすぐ、転移魔法でハイランダー公爵家の前まで移動する。
転移魔法は一度行ったことがある場所なら、どんなところへも一瞬で移動出来る優れものなのだ。
ちなみに僕は村で何気なく習ったけど、転移魔法は伝説の魔法と呼ばれているんだとか。
屋敷の外観を眺め、一人呟く。
「……いつ見てもデカイ屋敷と庭だよなぁ……」
ハイランダー公爵家の敷地は、ガーライル侯爵家よりも遥かに広い。
どころかカナイ村より断然大きいだろう。
そう思いながら門の前に行き、警備をしている騎士に声を掛ける。
「冒険者ギルドの依頼で参りました、リュカ・ハーサフェイと申します。ハイランダー公爵にお会いしたいのですが……」
すると、騎士は右手を差し出してくる。
「ギルドカードをご提示ください」
ギルドカードを渡すと、騎士はそれと僕を交互に見て、頷いた。
「こちらへどうぞ、公爵がお待ちです」
それから彼に案内されるまま、庭を歩く。
屋敷の前に来たところで、今度は執事と思われる人がやってきた。
屋敷の内部はこの人が案内してくれるのかな?
執事の後について、更に五分ほど歩いたところで、公爵の執務室の前にたどり着いた。
執事は扉をノックする。
「冒険者ギルドから来られた、リュカ様をお連れしました」
すると、扉の向こうから返事があった。
「よかろう、通せ!」
「失礼します!」と言って、執事は扉を開ける。
部屋はそれなりに広く、奥には執務用の机、その手前に来客用と思しき長テーブルと、それを挟むようにして三人掛けのソファが二つ置かれていた。
室内に入ると、四十代前半くらいの体格の良い男性が近づいてくる。
この人がハイランダー公爵なのだろう。
とー祖父ちゃんの弟子なだけあって、普段から鍛えているんだな。
そんなことを思っていると、ハイランダー公爵は口を開く。
「貴公がリュカ殿か?」
「はい、リュカ・ハーサフェイと申します」
僕が丁寧な口調で答えると、ハイランダー公爵は続ける。
「ジェスター殿はお元気かな?」
「……元気すぎて困るほどには」
僕が少し悩んでから言うと、ハイランダー公爵は豪快に笑いだす。
「ははは! やはりジェスター殿はお元気なのだな! それなら良かったよ」
それから、ハイランダー公爵は修業時代の思い出や、苦労話を聞かせてくれた。
公爵だからお堅い人なのかもと思っていたのだが、意外と親しみやすい人で良かった。
軽くとー祖父ちゃんの話で盛り上がった後、僕とハイランダー公爵は向かい合うようにソファに座る。
「ではそろそろ、今回の依頼について話すとしよう。ギルドでも聞いただろうが、リュカ殿には遠征に向かう息子、シュヴァルツの護衛を頼みたいのだ」
ハイランダー公爵は腕を組みながらそう言った。
僕は気になっていたことを尋ねる。
「護衛に騎士を付けないとお伺いしましたが――」
「おっと、もう少し肩の力を抜いてくれていいぞ。我らは同じ師から剣術を学んだ同志だからな」
僕の言葉を遮るように、ハイランダー公爵はそう言って笑った。
ずっと気を張っているのも疲れるので、その心遣いはありがたい。
僕は咳払いをしてから、改めて尋ねる。
「では、失礼して……なぜわざわざ僕に依頼を?」
「実は息子が自分の手で魔物を倒しながら旅がしたいと言いだしてな。しかもお抱えの騎士隊とじゃなく、冒険者と一緒がいいらしい。そこで、魔王を倒した英雄であり、実力のあるリュカ殿に声を掛けたんだ」
なるほど、要は貴族の我儘息子が、冒険者ごっこをしてみたくなったわけか。
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僕は思わず小さく息を吐く。
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「私もロイヤルナイツの団長をしているから、戦いの恐ろしさは嫌と言うほど分かっているつもりだ。ただ最近息子がどんどん傲慢になってきていてな。どこかで一度挫折を味わってほしいんだ。だからリュカ殿に頼みたいのは息子がピンチになった時に助ける役目――」
その時、執務室の扉が勢いよく開く。
扉の前には、僕と同じくらいの年齢の少年が立っていた。
ハイランダー公爵が怒鳴る。
「おいシュヴァルツ、今は来客中だぞ!」
その呼び名から、彼が件の我儘息子だと分かった。
シュヴァルツはハイランダー公爵の言葉を無視して部屋に入ってくる。
「英雄リュカがこの屋敷に来ているって聞いてな……こいつか?」
そう言って、僕に不躾な視線を向けてくるシュヴァルツ。
態度や口調からも、生意気さが伝わってくるな。
シュヴァルツは僕の近くにツカツカ歩いてきて、口を開く。
「弱そうな奴だな。本当にお前が英雄なのか?」
「なんですか、このクソ生意気なガキは?」
僕は思わずハイランダー公爵にそう聞いてしまう。
だってムカつくんだもん、こいつ。
するとハイランダー公爵が何か言うより先に、シュヴァルツが僕の胸倉を掴んでくる。
「お前! 俺は公爵令息だぞ!」
さっきから本当に失礼な奴だな。
これなら気を使う必要はないなと思い、僕は鼻で笑ってやる。
「だからなんだ? 公爵家に生まれただけのガキが偉そうに! 自分の力で何も為していない者は、平民と同じだ!」
僕がそう言うと、シュヴァルツは顔を真っ赤にして、鋭い視線を向けてくる。
「お前、俺を平民扱いしたな……?」
そう言うとシュヴァルツは胸倉を掴んでいるのと逆の手を握り込み、拳を振るってきた。
僕は容易くそれを避けると、シュヴァルツを突き飛ばし、ハイランダー公爵に視線を向ける。
「ハイランダー公爵に申し上げます。護衛依頼の件、お断りさせていただきます。礼儀のなってないガキのお守りなんて真っ平ごめんですから」
僕はそう言って立ち上がると、頭を下げて出口へ歩きだした。
その時、背後からシュヴァルツの声が聞こえてくる。
「おい待て! さっきの侮辱を許してはいないぞ! 俺と勝負しろ!」
僕は振り向くと、小さく息を吐いて答える。
「断る」
「何!? 臆したのか?」
「弱い者いじめは好きじゃないからね」
そう告げて、再度部屋から出ようとした。
だが、今度はハイランダー公爵が言う。
「リュカ殿、私からもお願いする! シュヴァルツと戦ってもらいたいのだが……可能だろうか?」
シュヴァルツと違って、誠意に満ちたハイランダー公爵の声に足を止める。
だが、ここまでのことをされて、素直に頷くわけにはいかない。
「申し訳ありませんが、お断りさせていただきます。僕は冒険者ですから、タダ働きはしたくありません」
「では、息子との勝負を依頼として受けていただくのはどうかな?」
ハイランダー公爵はそう言うと、僕の近くに寄ってきて囁く。
「息子の無礼を謝罪しよう。あいつの性根を叩き直すために、勝負を受けてくれないか。死なない程度になら思い切り痛めつけて構わないし、報酬も出す。頼む!」
改めてお願いしてくるハイランダー公爵。
そう言えば以前にもこんなことを言われたな。
確かあれは駆け出し冒険者パーティ【全民の期待】のサポーターを務めるよう頼まれた時だ。
あの時も生意気な奴の面倒を見る前に、お灸を据えていいって言われたんだよな。
まぁ、こういうタイプを改心させるなら、実力を見せるのが手っ取り早いってことか。
僕は少し考えた後、改めてハイランダー公爵に向き直る。
「……そういうことでしたらお引き受けしましょう。それで……どこで戦えば良いのですか?」
僕の言葉に、ハイランダー公爵は笑みを浮かべた。
「助かるよ。それでは早速訓練場に案内しよう」
「よし、見ていろよ、吠え面かかせてやるからな!」
シュヴァルツはそう言うと、先に出ていってしまった。
僕はその後、ハイランダー公爵に続いて部屋を出た。
十分ほど歩き、屋敷の中にある訓練場に案内された。
部屋の中には何もない。僕とシュヴァルツは部屋の中央へ歩いていき、五メートルほど距離を空けて向かい合う。
「では、双方構えて……始め!」
審判であるハイランダー公爵の声を合図に、僕とシュヴァルツは剣を抜いた。
だが僕は、目を閉じて構えを解く。
「なんだ、降参か? それとも俺にビビったのか? 英雄といっても大したことはな――」
シュヴァルツの言葉を遮り、僕は言う。
「弱い奴ほど饒舌になると習わなかったのか? 御託は良いから来い!」
「くそっ! 馬鹿にしやがって! くらえ!」
シュヴァルツはそう叫びながら剣を振るい、連続攻撃を仕掛けてくる。
しかし僕は目を瞑ったまま、それらを全て躱していく。
するとシュヴァルツは、[騎士剣]のスキルを使い、連撃の勢いを増してきた。
この年で、[騎士剣]が使えるとは……正直驚きだ。
剣の腕だけを見たら、平均的な冒険者以上だろう。
大きな口を叩くだけはあるってことか。
だが、その程度で僕に勝とうだなんて、甘い。
「なぜだ!? なぜ……目を閉じてるのに[騎士剣]を躱せるんだ!?」
シュヴァルツは焦ったように声を上げた。
審判をしているハイランダー公爵が呟くのが聞こえる。
「驚いたな……あの年齢で[心眼]を使いこなしているのか……」
そう、これが空気の流れや相手の気配で、攻撃の種類や位置を察知する技術、[心眼]だ。
極めれば相手を見ずとも、どんなスキルを使っているかさえ手に取るように分かる。
まぁ、この程度の相手にわざわざ使う必要はないが、実力差を思い知らせるため、あえてやっているのだ。
その後もシュヴァルツは剣を振り回し続けたが、ついぞ僕に当てることは叶わなかった。
やがて彼の動きは鈍くなっていき……ついには膝を突いた。
まぁこれで実力差は痛いほど分かっただろうし、痛めつける必要もないか。
僕は目を開け、シュヴァルツから離れる。
そしてハイランダー公爵に近づいた。
「これで終わりのようですね? では公爵……報酬をいただけますか?」
だが、僕がそう言った次の瞬間、シュヴァルツは起き上がり叫ぶ。
「まだだ! 秘剣・[ソニックブーム]!」
シュヴァルツが剣を振るうと、斬撃がこちらに向かって飛んできた。
[ソニックブーム]とは、刀身に纏わせた魔力を放つ飛刃技の一種だ。
本来であれば、隊長クラスの騎士でなければ使えない高等剣技である。
シュヴァルツはやはり中々優れた才能を持っているようだ……が、甘い!
僕は向かってくる[ソニックブーム]を一振りでかき消し、反撃技を放つ。
「秘剣・[ソニックブレスト]!」
[ソニックブーム]で飛ばせる刃は一つだが、[ソニックブレスト]は同時に五つ飛ばせる。
つまり、[ソニックブレスト]の方が圧倒的に上位の技なわけ。
僕が放った五つの衝撃波を全て食らったシュヴァルツは、後方に吹き飛んでいった。
今回は刀身の刃ではなく峰に魔力を纏わせて放ったので、体は斬れないが、一発一発が木刀で殴ったのと同じくらいの威力を持っていたはずだ。
現に[ソニックブレスト]を食らったシュヴァルツは意識こそかろうじて保っているものの、動くことすら出来ないみたいで、地面に倒れ込んでいる。
その様子を見たハイランダー公爵が口を開く。
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