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第五章

第五話 英雄は孤児院を救う…と、旅立ち!(主人公は次回から!)

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 俺はようやく宿から出れると、まずは冒険者ギルドを目指した。
 そして冒険者ギルドに着いてから扉を勢い良く開けてから叫んだ。

 「おい、ヴェルガー! 出て来い‼」

 俺は勢い良く叫んだ所為で、中にいる者達は一斉にこっちを振り向いた。
 俺は受付に行こうと歩いていると、俺の肩を引いた者がいた。

 「おい、何ギルマスを呼び捨てにしているんだ?」
 「あ?」

 俺が振り返ってみると、俺の肩を引いていたのは成人になったばかりの少年だった。
 その後ろには彼のチームなのか、3人程いたのだった。

 「ギルマスを呼び捨てにするのは辞めなさい。 貴方よりも年上ですし、何よ…」
 「うるさい、小僧…放せ!」
 
 俺は肩を払ってから歩き出すと、少年は回り込んで言った。

 「小僧って…君の方がよっぽど小僧じゃないか!」
 「引け小僧…泣かすぞ!」
 「あ! リッコスさん、その子は…」
 「マイラさん、この子供には躾が必要みたいなので、少しお仕置きをするだけですよ。」
 「いえ、そうではなくてですね!」
 「安心して下さい! 少し痛い目に遭うだけですから…」
 「良いぞリッコス!」
 「やってやれ~!」
 
 リッコスは仲間の声援で良い気になっている感じだった。
 そして俺に対して殴って来たのだが、あまりにも遅すぎて避けてからデコピンを喰らわせた。
 するとそのまま壁まで吹っ飛んで行った。
 リッコスは額を押さえて蹲っている。
 それを見たリッコスのチームは、それぞれ武器を構えようとしたので…魔剣シーズニングを抜いてから、リッコスの仲間の武器を真っ二つに切り裂いた。

 「そ…そんな、俺の武器が⁉」
 「私の杖が…」
 「僕の斧が…」
 「武器を構えるなら、命を奪われても構わないと知れ!」

 俺がそう言うと、リッコスが戻って来た。

 「お前もだ小僧…上位ランカーに喧嘩を売る事がどういう事か解っているのか?」
 「上位ランカーだと⁉ 君のランクは幾つだ?」
 「俺はSランクだ!」
 「君のような子供がSランクだって? 冒険者ギルド規則には、ギルドランクの虚偽の報告をしてはならないという決まりがあるのを知らないのか? 報告すれば、君は当分の間は活動が停止になるか、資格が剥奪されるんだぞ‼」
 「なら、その受付に聞いてみろ。」
 「ふっ…良いだろう! マイラさん、この子供がギルドランクを偽っています、これは立派な…」
 「いえ、この子は…」
 「この子?」
 「いえ、この方は嘘は言ってはおりません。 この方は、キッド・リターンズ様といって、昨日に第二の魔王ヴォルガンスレイヴを単騎討伐し、国王陛下からSランク冒険者の資格を与えられた方なんですから…」
 「え?」
 「「「えぇっ⁉」」」
 
 御丁寧な説明をどうも。

 「わかったか、小僧! それに冒険者ギルド規則では、ギルド内では私闘は禁止されている筈だ。 しかも下位のランカーが上位ランカーに暴力を奮うなんて、資格を剥奪されてもおかしくはないのではないか?」
 「そ…それは?」
 「それにお前は気持ちが先走って人の話を聞かない傾向があるよな? もう少し冷静にならないと、取り返しの付かない過ちを犯す事になるぞ。」
 「あ…はい、申し訳ありません。」
 「それと、後ろの3人もだ! リーダーがやられて加勢したくなる気持ちも分からなくはないが、行動にもう少し責任を持て! ここがどういう場所かもな。」
 「あ…はい。」
 「それと、これをやるから新しい武器を買い直せ!」

 俺は財布から魔道士の子に金貨1枚を投げて渡した。
 魔道士の子は、リッコスに金貨を見せると、リッコスは頭を下げていた。
 そしてギルドマスターのヴェルガーが出て来て、俺は新聞を見せて言った。

 「よぉ、英雄!」
 「よぉ、英雄…じゃねえよ‼ 何なんだよ、これは⁉」
 「この新聞がどうかしたのか?」
 「何で俺の名前がフルネームで載っているんだよ‼」
 「それか、それはな…魔王を倒した者は一応世界に報告をしなければならない決まりがあってな…」
 「そんなもん、適当に名前を書いて載せれば良いだろ! 適当に…通行人Aとかで‼」
 「そんな訳に行くか‼ 七魔王の第二の魔王を討伐したんだぞ‼ それで名前が通行人Aでは変に思うだろ?」
 「俺は目立ちたくないと言ったよな?」
 「ゲヘラー商会を潰して、バグズダー子爵家を潰して、闇ギルドを壊滅しておいて目立たない訳がねぇだろ‼」
 「そんなもんは適当に正義の味方で良いじゃねぇか‼」
 「そんな訳に行くか‼ お前はどれだけの偉業を成し遂げたのか解ってないのか⁉」

 駄目だ…埒が明かん。
 ヴェルガーは何がなんでも俺を英雄に祭り上げたいらしい。
 前の世界の時もそうだったが…下手に新聞とか載ると、目立って身動きが取れなくなるからな!
 
 「まぁ…もう、広まったんだから抑えるのが無理なのは解るが…あぁ、動きにくくなるな!」
 「諦めろ! それで、お前は文句を言う為に俺の所に来た訳ではないだろう?」
 「あぁ…そうだ! だが最初に文句を言わねぇと気が収まらなかったんでな! で、本命は別にある。 ここから少し離れた場所にくたびれた建物の孤児院があるのは知っているか?」
 「あぁ…孤児院があるのは知っているが…」
 「そこの孤児院の子に、動物の言葉が解る子と魔物と心を通わせる事が出来る子がいてな…」
 「それは、ジルとワカの事ですか?」

 後ろから声を掛けられたので振り返ると、リッコスがまだいた。
 
 「何だ、知っているのか?」
 「僕達は、そこの孤児院からの卒院生だ。 僕達はゲヘラー商会からの借金を返す為に冒険者になったんだ。 孤児院の子達は家族だから守る為に。」
 「それは立派な心掛けだな! それでヴェルガー、その子達なんだが…」
 「まさか…あの子達を利用しようとしているんじゃ⁉」
 「お前は最後まで話を聞けと言ったろ! そう言った早とちりが誤解を生むんだよ‼」
 「はい…そうでした! では、あの子達をどうするんですか?」
 「冒険者ギルドに登録させるんだよ。 冒険者ギルドに登録すれば、あの2人は冒険者ギルドの庇護下になるから、迂闊に貴族や悪党に狙われなくなるんだ。 まぁ…強引に攫おうとする輩も居なくはないがな。」
 「なるほど…それは盲点でした。」
 「そしてギルドからの依頼で仕事をすれば、孤児院にも収入が入るだろ?」

 俺の意見にヴェルガーとリッコスは悩んでいた。

 「ですがキッドさん、あの幼い子に仕事なんか出来るのでしょうか?」
 「リッコス…だったか? 冒険者ギルドの仕事って討伐を視野に入れてないか?」
 「え? 違うのですか?」
 「あの子達に武器を渡して戦えると思っているのか?」
 「あ…無理ですね。」
 「護衛の任務に就いて貰おうと思っている。 あの子達の能力なら、護衛だと活躍出来るからな。」
 「あいつ等に護衛が務まりますかね?」
 「これは…まだ決定では無いんだが、ベルクドルフ商会の行商に同行させるんだよ。 護衛といっても魔物撃退だけではなく、安全な行商を確立させるのも護衛の仕事だからな。 動物と会話を出来るのなら、魔物の接近や何かが近付いてい来れば動物はいち早く察知出来るし、仮に魔物が来ても能力で戦いを退ける可能性があるだろうからな。 最も、魔物と心を通わせられるとはいっても、全てでは無いとは思うが…」
 「はい、その通りです。 気性が荒い魔物や興奮している魔物には通じませんから…」
 「ただそういう場合は、雇われている戦闘に長けた護衛の冒険者に戦わせるという訳だ。」
 「なるほど、面白いな!」

 とはいえ…あの孤児院の状態だと環境が良いとは言えないな。
 ゲヘラー商会が無くなったから、借金問題は解決しただろうけど?

 「なぁヴェルガー…魔王を倒した報奨金ってあったりするか?」
 「ない! 魔王には正直言って、幾らに設定すれば良いか解らないからな!」
 「だよなぁ…? という事は、今回は苦労しただけで完全なタダ働きか。」
 「いや、そうでもないぞ! ヴォルガンスレイヴは、魔王の時の懸賞金は無いが、闇ギルドとしての時の懸賞金はあったからな。 それにキッドは、幹部を3人捕まえているしな!」
 「幹部? 誰だ⁉」
 「魔犬使いのジョーとジアに、ヴァレッシュランスだ。」
 「あいつら‥懸賞金が掛けられていたのか? それにしてはえらく弱かったが…」
 「それはお前だけだ! ヴァレッシュランスは、Aランクでも捕まえるのは困難な奴だったんだから!」
 「あの程度の奴にAランクが太刀打ちできないって…冒険者ランクを見直した方が良いんじゃないか?」
 「Aランクで魔王を倒す奴に言われてもな…」
 
 アイツらって、そんなに強かったか?
 でもまぁ、懸賞金という事は金が入るから良しとするか!

 「それで、幾ら入るんだ?」
 「いま計算中だ! だが少なくても…金貨1000枚以上はあるだろう。」
 「なら、受け取りは俺ではなく…孤児院にまわしてやってくれ…あ、職人を雇って孤児院を建て替えたり設備を充実させるという目的もあるな!」
 「キッドさんは、何故そこまで孤児院を?」
 「切っ掛けは…些細な物だった。 ジルとワカが悪漢に襲われそうになった所を助けた。 ただ、それだけさ…」
 「それだけで…孤児院に寄付しますか?」
 「すまん、格好を付けた。 ジルとワカが、故郷に居る妹達の姿と被ってな…」
 「キッドさんの妹さん達ですか~? どんな方達なのですか?」
 「剣聖と魔人と聖女だ。」
 「はぁ?」

 まぁ…普通はこういう反応になる。
 
 「普通の人が言っていたら、そんな嘘話…と言いますが、第二の魔王を単騎討伐するキッドさんが言うのでしたら、間違いは無いのでしょうね…」
 
 うわ、信じたよ…。
 まぁ、嘘では無いが信じるとは思わなかった。

 「それと、借金の件が片付いたからな。 これで、今まで以上に孤児院も人が増えるだろうと思ってな。」
 「そうですね、ゲヘラー商会が居なくなれば…口減らしの子供も奴隷として売られる事も減って孤児院に流れますしね。」
 「だとすると、建て替えや色々新調するという方が良いだろ? 子供は国の宝だしなあ…そしてその管理を冒険者ギルドで面倒をみると。」
 「キッド…お前な!」
 「ヴェルガー、これはあんたにしか頼めないんだ。 ギルドマスターなら、街をあまり知らない俺が職人を雇うにしたってその職人たちの素性までは分からないが、ギルドマスターならその辺を任せても平気だろ?」
 「まぁ、こういう立場だからな。」
 「それに孤児院に全額寄付をしても良いが、金貨1000枚が孤児院にあるなんてわかったら、絶対に強盗に遭うぞ!」
 「そうだな…で?」
 「職人や材料費に幾ら掛かるかは解らんが、それを差し引いた分を…孤児院に寄付をするか、もしくは冒険者ギルドで管理して少しずつ渡して行くかだ。」
 「お前は勝手な事を言っているが、それをやるとはいっては…」
 「なら、これは俺からの依頼という事にしてくれ。 それなら、冒険者ギルドとしては断れないよな?」
 
 ヴェルガーは腕を組んで悩んでいると、仕方なく頷いてみせた。

 「よし、商談成立!」
 「仕方ねぇなぁ…それにしても、お前は何故そんなにギルド内の事に詳しいんだよ!」
 「俺の父親がギルドマスターだからだよ。」
 「あ…そういえば、そんな事を言っていたな。 分かったよ、これは冒険者ギルド・ギルドマスターの権限で受理しよう。」
 
 そして俺は、リッコスのチームと共に孤児院に足を運んで院長先生にこの話を通した。

 「昨日にお会いした方にここまでの事を…」
 「これは善意でやった事です。 気になさらないで下さい!」

 …とはいったが、実は別に用件があるという事が後ろめたくて言い難い。
 だが、思い切って言ってみた。

 「実は、ジルとワカを冒険者ギルドに登録をして冒険者ギルドの庇護下に置くという形を取りたいのです。 そうすれば、無茶な事を仕出かす輩ではない限り…迂闊に手を出せなくなりますので。」
 「それは願ってもない話ですが…それだけではありませんよね?」
 「見抜かれたか…今回は2人の能力がどの程度の物かを知りたいんですよ。 俺はこれからゴルディシア大陸に渡らないといけないのですが、ベルクドルフ商会から専用の馬車でトライヘリア港まで行くので、その道中の馬車に同伴させたいんです。」
 「ですが…あの子達では。」
 「危険が無いとは言えませんが、護衛の冒険者が他にいますので…って、来た来た!」

 護衛の冒険者が来た。
 この者達は、エルヴの集落からマルザリィの馬車を護衛していたチームだった。

 「院長先生、お久しぶりです!」
 「あんたは…ジョナスですか?」
 「彼らがジルとワカ以外の冒険者として護衛に着きます。」
 「キッドさん、貴方と別れた翌日に英雄になられましたね! やはり、貴方は凄い方だった!」
 「たまたま倒した魔王が弱かっただけですよ。」
 「たまたまで普通は魔王何か倒せないのですが…」
 
 院長先生とシスターは呆けていた。
 そして俺は、院長先生に話を凡て伝えると…ジルとワカの外出の許可が取れた。
 代わりに俺は、魔力の半分を使って食材と調味料を大量に寄付した。
 その後、リッコス達と一緒にジルとワカを冒険者に登録してから一度別れて、俺はベルクドルフ商会に向かった。

 「キッドさん…貴方という人には本当に驚かされます!」
 「別に…驚く様な事はしていませんが?」
 「悪徳商会のゲヘラー商会を潰し、闇ギルドを壊滅させ、バグズダー子爵家をお取り潰しただけでなく、第二の魔王すら討伐されたのですよ‼ これが…驚かずにいられますか⁉」
 「別に大騒ぎする程の事ではないので、本題を…良いか?」
 「あ、あの話ですね!」

 俺はマルザリィに、ジルとワカの許可が貰えたので早速馬車の手配をお願いした。
 そして俺は、この街で関わった者達と別れを告げて馬車に乗り込むと、マルザリィとジルとワカも共に乗って出発した。
 護衛には勿論、ジョナス達もいた。
 馬車は順調に進んだが…それでも1日で着く訳ではないので、途中何度か休憩やキャンプをした。
 途中何度か魔物が襲って来た事もあったが、ワカの能力で戦いを退ける事が出来た。
 それを見て居たマルザリィは感心して頷いていた。

 「明日には…トライヘリア港に着きますね。」
 「この大陸は広すぎだ。 だが、これでようやく着くか!」
 「これでも、幾らかマシになったのですよ。 英雄ダンの時は、まだここまで舗装されていませんでしたからね。」
 「それは…100年前の話か?」
 「そうです、ガイウス族長に話を聞いた時は信じられませんでしたから…」
 「静かにしろ!」

 俺は周りから変な気配がして武器を抜いた。
 ジョナス達も武器を抜いて構えると、俺はマルザリィとジルとワカを警護する様に伝えた。

 「あれは…闇ギルドの幹部の妖艶のリクィス!」
 「闇ギルド壊滅したのに、まだ生き残りが居たのか。」
 「キッド・リターンズ…よね? よくも闇ギルドを…」
 「いえ、違います! 英雄キッドさんなら、先程向こうの方に行くと言って走り去って行きました。」
 「あら? そうだったの…って、新聞にあなたの事が書いてあるのに間違える訳がないでしょ‼」
 「本当にあの新聞は、余計な事が書かれているな…んで、何か用か? オバハン!」
 「誰がオバハンよ! ふざけたガキね…お仕置きをしてあげるわ!」

 リクィスは、召喚魔法でグランドシーザーを召喚した。

 「闇ギルドって…変な奴等が多いな!」
 「そんな事を言っている場合ではないですよ! これは…グランドシーザーです‼」
 「うんうん、目の前にでっかい猫がいるね。 んで、この猫はどんな芸をするんだ?」
 「貴方は…とことん私の事を馬鹿にしているわね。」
 
 リクィスは鞭を地面に叩くと、グランドシーザーが俺の方に向かって来た。
 俺は右手を前に構えると、濃度上昇をしたビネガーをグランドシーザーの顔にブッかけた。
 すると、グランドシーザーは匂いに悶絶して転げ回っていた。

 「おい、オバハン…これで終わりか?」
 「貴方何をしたの⁉」
 「別に答える必要はねぇだろ! これで終わりなのか?」
 「まだよ!」

 そう言ってリクィスは、グランドシーザーを送還すると、次はミノタウロスを召喚した。
 ミノタウロスは斧を構えて叫び声を上げた。

 「どうかしら? 幾ら貴方でも…」
 「くわぁ~~~~~あふぅ、何か言ったか?」

 俺は欠伸をしながら答えた。
 するとリクィスは、激怒した顔で言って来た。

 「貴方は馬鹿にしているの⁉」
 「俺は昨日…七魔王の内の第二の魔王を倒しているのに、今更そんな斧を持った牛が出てきた所でビビるとでも思っているのか?」
 
 ミノタウロスを斧を振り被って斬り掛かって来たが、それを躱してから胴を真っ二つに斬った。

 「で?」
 「中々やるようね…」
 「おいオバハン、冷や汗で化粧が落ちているぞ!」
 「うっさいのよ、このガキが‼」
 「いい加減、見逃してやるから帰れ! 帰ってからその厚化粧を塗りたくってろ!」
 「このガキは…どこまで私の事を馬鹿にすれば! フフッ…良いわ! ならば最大の者を呼び出してあげるわ! いでよ、デーモンオーガ‼」

 呼び出されたのは、オーガの中でも最上級のデーモンオーガだった。
 だがリクィスは、レベルに合わない魔物を召喚した為に…制御出来ずに喰われて行った。

 「あらら…あんなオバハン喰ったら、腹壊さねぇか?」
 「キッドさん、そんな事を言っている場合じゃないですよ‼」
 「何で?」
 「デーモンオーガは、魔王に匹敵するという…」
 
 俺はデーモンオーガの両膝を斬ってから前に倒れると同時に首を刎ねた。
 
 「あ、ごめん…聞いていなかった。 何か言った?」
 「い…いえ、何でもありません。」

 ジョナスはそう答えたが、ジョナスのチームメンバーは呆然としていた。
 その後…デーモンオーガが倒れている場所でキャンプはしたくなかったので移動してからキャンプをしてその日は寝た。
 翌日も順調に馬車は進んで行き、思ったよりも早くトライヘリア港に着いた。

 「世話になったな、マルザリィ。」
 「キッドさん、色々お世話になりました。 ベルクドルフ商会はゴルディシア大陸のカイナートという街にも支店がありますので、是非ご利用ください。 連絡は入れておきますので…」
 「わかった、何かあったら寄らせて貰おう。」
 「キッドさん、自分は貴方の様な立派な冒険者に…」
 「ジョナスさんは立派な冒険者ですよ。 俺なんかと違ってね。」
 「いえ、自分なんかまだまだで…」
 「俺だって、その辺の底辺の冒険者だから…」

 俺はそう言うと、ジョナスのチームメンバーが話している声が聞こえた。

 「ベヒーモスとロンベルタイガー、闇ギルドの幹部にデーモンオーガ、更には第二の魔王を単騎討伐している人が底辺なら、オレ達は何なんだ?」
 「決して驕らずに慢心するなという警告だろうか?」
 「さすがは英雄だな! 深いな…」

 最後に俺は、ジルとワカに話をした。

 「2人共、これから大変かもしれないけど、頑張ってな!」
 「お兄ちゃん、本当にありがとう!」
 「私達、頑張るから…また遊びに来てね!」
 
 俺は皆にお別れを言うと、船の乗り込んだ。
 船員にギルドカードを提示すると、料金が無料になった…が?

 「貴方は…英雄キッド様ですね! 貴方がこの船の乗って戴けるのなら、安心ですね!」
 「声が大きいよ。 俺はあくまでも客だし、護衛の冒険者がいるだろ?」
 
 船員が騒ぐ所為で、俺の事が船のほとんどにバレてしまった。
 ゴルディシア大陸まで、2週間…

 平和な船旅になる…のだろうか?
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