聖女になんかなりたくない! 聖女認定される前に…私はバックれたいと思います。

アノマロカリス

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新天地の章

第七十七話

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 その日…魔王が誕生し世界にその知らせが響き渡った。

 だけどそれだけで、特に今すぐ征服しようとか侵攻しようとする意思はなかった。

 ただ単に…発表されただけであった。

 だけど魔王の誕生は人々に不安を与え、更には世界に混乱をもたらせた…と同時に絶望的に悩んでいる人物もいた。

 「魔王が誕生するならもっと遅くても良いじゃない!なんで今なのよ⁉︎」

 …と、リアラは他の人々とは全く異なった事を考えて絶望的な悩みに打ちひしがれたのだった。

 「このままじゃ、魔王討伐に絶対駆り出されるじゃん‼︎」

 「まぁ、回避する方法はなくはないですけどね。」

 「テルミガン、まさかその方法って…私が死ねば良いとか?」

 「まぁ、それも手段の1つではありかもしれませんが…死を選ばずとも回避できる方法があるんです。」

 死なずに回避出来る方法があるのなら知りたい!

 「テルミガン、その方法って?」

 「マスターが子を宿せば良いのです。聖女は子を宿す事によって力を失いますので…」

 「子を宿すって…神に祈って子が宿るの?」

 「いえ、その辺は男性と交わらないと子は宿りません。」

 「そうは言っても…私に相手なんかいないよ?」

 そう…魔王討伐に駆り出されるのを回避し、死なずに済む方法はそれしか無い。

 だけど肝心のその相手が私にはいなかった。

 「テルミガン、何にでも姿を変えられるのなら…人の姿になれない?」

 「まさか…ワタシがマスターと交配しろという話ですが?」

 「こんな成長の遅い身体を好んで抱いてくれる人を探すとすれば…盗賊や犯罪者なら見境ないだろうけど、私が嫌だし。それなら一番身近なテルミガンなら…」

 「ワタシも聖獣として生を受けていろんな人に仕えてきましたが…その様な事を仰られたのはマスターが初めてですよ。」

 「ダメかな?テルミガンになら抱かれても別に良いけど…」

 「抱くという行為だけなら問題は無いでしょうが、子を宿せるかとなるとワタシでは無理かも知れません。そもそも生殖出来る能力が皆無なので…」

 「ものは試しという事で…テルミガンお願い出来る?」

 テルミガンは悩みまくっていた。

 歴代に仕えてきた者達の中にこんな事を言われたのは初めてだろうし。

 「マスターはもっと自分を大切にした方が良いですよ。」

 「やっぱりテルミガンも嫌なのかな?」

 「別に嫌というわけではないのですが…」

 テルミガンは必死に悩んだ末にある条件を出してきた。

 その条件とは?
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