聖女になんかなりたくない！ 聖女認定される前に…私はバックれたいと思います。

自由なスローライフの章

第七十一話

　「マスター、エルフですか？」

　「うん、カシリスの街で冒険者ギルドで会った時にポーションと一緒に持ち込んだ薬草について色々質問して来たファーナというエルフの人に変身したの。」

　私が冒険者ギルドに持ち込んだ薬草を偶然隣のカウンターで見ていたファーナが、驚愕するくらいの品質の薬草とかで知り合ったのだった。

　その他にもファーナの仲間のエルフが数人いたけど、人間からは同じ顔が数人いるみたいで見分けが付かなかった。

　「名前はどうするんです？」

　「ファーナには郷に残して来た妹がいるという話だったから、その子の名前を少し文字ってつける事にするわ。」

　そんな事をしていると、騎士が結界に触れた衝撃が伝わって来た。

　「此処に住まわれているフォルトゥナという方にお会いしたい。」

　私は扉から出て神殿騎士達を見ると、アルファとオメガとシーダはいなかったけど、ディーナと大神殿で見たことがある数人の騎士たちが立っていた。

　ディーナを見ると…かつての微笑んだ笑みはなくて、少し怒りが表情に出ていた。

　「フォルトゥナは居ないわよ、貴族の指名依頼で海の海竜退治に昨日出発相手行ったから。」

　「貴女は誰だ？」

　「ウチはオルファーナ、この場所に拠点を構えて生活をしている森の民だ。」

　「おかしいなぁ？此処はフォルトゥナという者の家だと聞いて来たのだが？」

　「フォルトゥナが転がり込んで来たのよ、薬草や野菜の栽培を条件に住む事を許可したの。」

　そう言っておけば…私がいつまでも此処に滞在するとは思わないだろう。

　するとディーナは人相書を出して私に見せて来た。

　「この者がフォルトゥナで間違いないか？」

　カシリスの街でも散々確認しているだろうから嘘は不味いだろう。

　私は正直に話した。

　「そうね、少し幼く見えるけど間違いは無いわね。」

　「先程は海竜退治に行くという話だったが…他には何か言ってなかったか？」

　「戻るのが少し遅くなると言っていたわね？」

　「それは何故だ？」

　「海竜退治が終わったら、飽きるまで魚貝料理の食べ放題よぉ～と言ってはしゃいでいたから。」

　ディーナは手で頭を押さえていた。

　私だったらそう言うと思い出していたのかも知れない。

　するとディーナは手を挙げると、ディーナ以外の騎士がその場から立ち去っていった。

　「まだ何か？」

　「私を此処で待たせてもらう事は可能だろうか？」

　「結界の外なら御自由に…この結界はフォルトゥナが任意の者しか入れないように施したものだから私とフォルトゥナ以外は入れない様になっている。」

　先程の騎士たちは港に向かって行ったのだろう。

　ディーナはこの場に留まって私の帰りを待つ気だろうか？

　「この森は夜になると夜行性の物が多く動き出すので、明るい内に街に行く事を勧めるが？」

　「お気遣い不要だ！」

　ディーナはそう言って野営の準備を始めたのだった。

　これ…長期戦になりそうだなぁ？