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自由なスローライフの章

第六十一話

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 私は以前に来た食堂に来てボアを売りに来た。

 裏口でボアを渡すと、報酬以外に1品をサービスすると言われて、以前食べ損ねたブルステーキを注文した。

 サービスの値段が少しオーバーしていたけど、次も卸してくれるのなら…と言う条件でサービスしてくれた。

 私は席に着いてステーキを待っていると、厳つい顔をした冒険者が3人の仲間を連れてやって来た。

 「お前がウラノスにポーションを渡したっていう女か?」

 「誰ですか、その人?」

 自己紹介をしたわけでは無いので名前は知らないけど、薬品屋に飛び込んで来た冒険者の男の事だろう。

 「まだ持っているのなら…俺達にも寄越せ!」

 「全部薬品店に売りに出しましたので、もう有りませんよ。」

 まだ中級が10本と上級が9本ある。

 だけどこの男の態度が気に入らないので売る気がしなかった。

 「アンタがまだ持っていることは知っているのよ、アタイは店の窓から見ていたしね。」

 「はぁ…確かに持ってはいますけど、寄越せというくらいだから奪おうとか考えているんですか?」

 「いや、買い取ってやるよ。1本銅貨1枚でな!」

 「お話になりませんね。」

 「お前、俺達が誰だか知っているのか?」

 男と仲間は私の前で凄んで来た。

 私は首を傾げて…

 「さぁ?初めて会ったと思いますが?」

 見た感じの装備を見る限り、ランクの高い冒険者なのだろう。

 それをカサに威張り散らしている…という感じだろうか?

 するとそこに先程の食堂の店主がブルステーキを運んで来た。

 「嬢ちゃんおまち!」

 「きたきた!」

 私の前には以前食べ損ねたジュウジュウという音を立てて焼けるステーキがある。

 私はナイフとフォークを持ってステーキを切ろうとすると、冒険者の男が肉を掴んで喰いつきながら言った。

 「ブルステーキとは豪勢じゃないか!」

 「あぁ…私のお肉!」

 私は肉を食べようとすると必ずと言って良いほどに阻害される…呪いでもあるのだろうか?

 近くの店員に声を掛けてブルステーキを注文したのだが、ブルステーキは今ので終わりという事だった。

 やっとありつけると思ったのに…

 「おい、何を黙っているんだ!早く出せ………」

 「ウィンドブレッド‼︎」

 私は冒険者の男の顔面に風魔法のウィンドブレッドを放つと、冒険者の男は食堂の壁迄吹っ飛んでから激突した。

 冒険者の仲間は私の行為に武器を抜こうとしたが、私の体から溢れ出す魔力量を見て震え上がっていた。

 「私のお肉…」

 「な、何よアンタ、私達に逆らう気?私達はCランク冒険者よ‼︎」

 「私はSランクだけど…」

 私は冒険者カードを見せながら言った。

 聖女の穢れの浄化の旅には神殿から発行された様々な免許以外に、冒険者ギルドのカードも発行される。

 聖女は伝承の聖女と同じくSランクに認定されていた。

 「アンタはただの小娘じゃなかったの⁉︎」

 「私は貴方達に自己紹介をした記憶はないはずだけど…それよりも私のお肉をどうしてくれるのよ‼︎」

 私は吹き出している魔力を冒険者達に向かって放つと、冒険者達は皆吹っ飛んでいった。

 そして冒険者達は起き上がると、急いで食堂から逃げていった。

 私は席に戻ってお皿を見ると、ステーキは無かったけどポテトとニンジンが残っていたので…ステーキソースを付けて食べた。

 次こそは…と思い、食堂の店主に挨拶をしてから出た。

 「またお肉を食べ損ねた…」

 「それよりもマスター、先程冒険者ギルドカードを提示していましたが…名前の欄がマスターの名前のままになっていますので作り直さないといけませんよ。」

 「そうね…私は死んだ事になっているのに、死んだ人間が死んだ人間のカードを使っていたらマズイか。」

 何とか名前だけ書き換えられないかな?

 まぁ、1から冒険者登録するのも良いか。

 私は冒険者ギルドに赴く事にしたのだけど…?

 そこでも少し厄介な事が待っていたのだった。

 
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