聖女になんかなりたくない! 聖女認定される前に…私はバックれたいと思います。

アノマロカリス

文字の大きさ
上 下
59 / 88
バックれ計画実行の章

第五十八話

しおりを挟む
 まずは…シーダとディーナから物凄い剣幕で怒られる。

 これに関しては勝手な事をした報いだと思って黙って怒られていた。

 アルファとオメガはというと、シーダとディーナの背後で腕を組んで壁に寄り掛かっていた。

 2人共…少しは怒っている様な表情だった。

 確かに今回の件は少し性質が悪い悪戯だった。

 でもだからと言って、一方的に怒られるのは腑に落ちない。

 なので私は秘策の1つを使おうと思った。

 秘策とは、【他人に罪を擦り付けて自分の罪を軽減させる!】…というセコイやり方だった。

 「リアラ、これについて何か弁明はある?」

 「だって…オメガお兄ちゃんが私と全く顔を合わせようとも、話し掛けても素っ気ないんだもん。」

 「兄さんが?」

 私はオメガを見ると、他の3人もオメガに目線を向けた。

 「この間の一件で私は心の内を晒して真意を打ち明けたの時に、皆は私に寄り添ってくれるとそれぞれ約束した筈なのにオメガお兄ちゃんだけは以前と変わらずに私の事を無視したり素っ気ない態度をしてくるんだもん。ならば少しは困らせる位は別に良いと思って行動したの。」

 「そうなの兄さん?」

 オメガは私達の視線に耐えられなかったのか、上の方を見て黙っていた。

 こうして時間が過ぎていれば有耶無耶に出来るとでも思ったのだろうが、そうは問屋が卸さない!

 「私はディーナお姉ちゃんにオメガお兄ちゃんの事を聞いて、趣味の話とか話題になる話で気を引こうと何度も試みたのに…全て無視か邪険に扱われて無下に扱われるんだもん。それならちょっと位の仕返しに行動を起こしたっていいじゃない!」

 オメガは上を向いたまま大量の汗が滝のように流れていた。

 そう…オメガは約束を何1つとして果たしていなかったのだ。

 「兄さん…」

 「オメガ…」

 「い、いや…だってな!」

 「オメガ、リアラは自分が悪いと反省をしお前に歩み寄ろうと必死に努力をしていたのに対し、お前は何をしていた?」

 アルファがオメガに詰め寄ると、オメガは焦りだして言い訳をしていた。

 今回の件で3人は私に対して心の底から怒っていたが、理由が分かった後ならそれ以上の追及はして来なかった。

 今回の件を踏まえても、オメガに変化があるとは思えない。

 ならば…心の内を明かす迄待つ事を辞めて、遠ざける方を選ぶ事にした。

 …という訳で、トドメの一言を言ってみよう!

 「アルファお兄ちゃん…もう良いよ。私に対して言い訳しか出来ない人に、私は歩み寄ろうとする気はもう無いから…」

 アルファは追及するのを辞めると、オメガは罪悪感丸出しの表情で崩れ落ちた。

 「皆、私は少し1人になりたいの。部屋から出て行ってくれないかな?」

 私が悲しそうな表情でそう言うと、アルファはオメガを連れてシーダとディーナも一緒に部屋を出て行った。

 計画が少し狂ったけど、食堂で肉を食べていた件は有耶無耶に出来た。

 別な日にまた追及されそうだけど、今じゃなければ別に構わない。

 だって私の中では…この街を出て行ってから3日後くらいに距離を稼いだらバックれ計画を実行しようと思っているからだ。

 翌日…アルファを含めた3人の武具の修理は終わった。

 そして街を出て再び港に向かって移動をし始めた。

 キャンプをしながら4日間ほどの距離を走った場所で、私は魔力を込めて魔笛を吹き鳴らした。

 バックれる為に大型の魔獣…ドラゴンでも襲ってくれれば良いな~なんて思っていたら、それ以上に厄介な存在が現れたのだった。

 その厄介な存在とは⁉
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

思い出してしまったのです

月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。 妹のルルだけが特別なのはどうして? 婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの? でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。 愛されないのは当然です。 だって私は…。

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

かつて私のお母様に婚約破棄を突き付けた国王陛下が倅と婚約して後ろ盾になれと脅してきました

お好み焼き
恋愛
私のお母様は学生時代に婚約破棄されました。当時王太子だった現国王陛下にです。その国王陛下が「リザベリーナ嬢。余の倅と婚約して後ろ盾になれ。これは王命である」と私に圧をかけてきました。

【完結】初めて嫁ぎ先に行ってみたら、私と同名の妻と嫡男がいました。さて、どうしましょうか?

との
恋愛
「なんかさぁ、おかしな噂聞いたんだけど」 結婚式の時から一度もあった事のない私の夫には、最近子供が産まれたらしい。 夫のストマック辺境伯から領地には来るなと言われていたアナベルだが、流石に放っておくわけにもいかず訪ねてみると、 えっ? アナベルって奥様がここに住んでる。 どう言う事? しかも私が毎月支援していたお金はどこに? ーーーーーー 完結、予約投稿済みです。 R15は、今回も念の為

忌むべき番

藍田ひびき
恋愛
「メルヴィ・ハハリ。お前との婚姻は無効とし、国外追放に処す。その忌まわしい姿を、二度と俺に見せるな」 メルヴィはザブァヒワ皇国の皇太子ヴァルラムの番だと告げられ、強引に彼の後宮へ入れられた。しかしヴァルラムは他の妃のもとへ通うばかり。さらに、真の番が見つかったからとメルヴィへ追放を言い渡す。 彼は知らなかった。それこそがメルヴィの望みだということを――。 ※ 8/4 誤字修正しました。 ※ なろうにも投稿しています。

歪んだ恋にさようなら

木蓮
恋愛
双子の姉妹のアリアとセレンと婚約者たちは仲の良い友人だった。しかし自分が信じる”恋人への愛”を叶えるために好き勝手に振るまうセレンにアリアは心がすり減っていく。そして、セレンがアリアの大切な物を奪っていった時、アリアはセレンが信じる愛を奪うことにした。 小説家になろう様にも投稿しています。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

白い結婚をめぐる二年の攻防

藍田ひびき
恋愛
「白い結婚で離縁されたなど、貴族夫人にとってはこの上ない恥だろう。だから俺のいう事を聞け」 「分かりました。二年間閨事がなければ離縁ということですね」 「え、いやその」  父が遺した伯爵位を継いだシルヴィア。叔父の勧めで結婚した夫エグモントは彼女を貶めるばかりか、爵位を寄越さなければ閨事を拒否すると言う。  だがそれはシルヴィアにとってむしろ願っても無いことだった。    妻を思い通りにしようとする夫と、それを拒否する妻の攻防戦が幕を開ける。 ※ なろうにも投稿しています。

処理中です...