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バックれ計画実行の章

第五十三話

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 「コレって…手脚がある鷹?」

 「グリフォンだ!」

 「どうして山岳地帯を棲家にしている個体がこんな場所に⁉︎」

 上空から甲高い声が響いたと思って空を見上げたら、グリフォンがこちらを見下ろしながら鳴いていた。

 コレって…どうみても魔笛の効果だよね?

 しかも…かなり気が立っている感じがする。

 「最悪だ!」

 「これは逃げれないぞ!」

 「でも皆なら撃退出来るでしょ?」

 「良くて相打ちか…下手したら全滅の可能性があるわ。」

 そんなに強そうには見えないけど?

 ただ、空を飛ばれると厄介かもね。

 鳥は動くものを標的にするという話だから、ここでバックれ様物なら真っ先に私が狙われるかも?

 グリフォンは地上に降り立った。

 上空にいる時はそれほどの大きさには見えなかったけど、地上に降りると馬車よりも大きかった。

 「大人しくしていればやり過ごせないかな?」

 「馬が怯えて動かなければ問題は無いが、恐怖で発狂し始めると…」

 馬達は訓練されているので魔物や魔獣の襲撃でも動じなかったが…グリフォンともなると話は違って来るみたいだ。

 馬のほとんどが震えている上に、いつ恐怖で叫び出すか分からない状態だった。

 {テルミガン、ここでバックれるのは危険かな?}

 {そうですね、動いた瞬間にターゲットにされますのでここでバックれるのは得策ではありません。}

 知能の高い物は制御できると言う話だったけど、グリフォンは知能は高いが制御は難しいという部類の魔獣である。

 そもそも魔笛で呼び出した場合の制御の仕方を学んでいないし…。

 「やるぞ、お前達!」

 「「「了解!」」」

 アルファの掛け声で3人は一斉に返事をした。

 この流れだと…私も参戦しないといけない流れだよね?

 テルミガンから教わった魔法を試してみますか。

 グリフォンは風魔法を放って来た…けど、私は皆の前に出て守護結界で風魔法を無効化した。

 「今のうちに!」

 私は声を掛けると、4人はグリフォンの元に斬り掛かっていった。

 グリフォンの脅威は何も魔法だけでは無い。

 翼を羽ばたかせた際に起こる強風や爪や尾の攻撃…4人は怯みこそしなかったけど、かなりの苦戦と怪我を負っていた。

 「流石に上位種の魔獣というだけあって強い!」

 「それに戦い難い…」

 「奴を怯ませる決定打があれば…」

 怯ませる方法はあるんだけど、習ったばかりで使った事がないから不安はある。

 でもそんな事を言っている場合じゃないし、使ってみますか!

 「兄ちゃん姉ちゃん、今からチャンスを掴む為のとっておきの魔法を放つから…上手く避けてね。」

 「リアラ、何をするの?」

 「何をするのかは知らんが、やってみろ!」

 私は魔力を集中して…

 「右手に宿るはイフリートの業火の炎…左手に宿るはセルシウスの吐息…」

 右手からは極大の炎が出現し、左手からは巨大な氷が出現した。

 するとグリフォンは気配を察知し私の方に向かって来た。

 4人は盾を構えて私の元にこさせない様に立ち塞がっていた。

 「2つを合わせて…複合統一魔法・ブレイズエグゼキュショーナー!」

 炎と氷が1つになって光り輝く槍となった。

 それをグリフォンに向かって放つと、グリフォンも風魔法で応戦した。

 そして空中で激突する光と風は互角の状態でぶつかり合っていた。

 グリフォンの風魔法は完璧な程に使いこなしているが、私の魔法は初見で上手く制御が出来ていなかった為に徐々に押され始めて来た。

 4人はグリフォンに少しでも不利になる為に風魔法に集中して攻撃の手が止まっている隙に攻撃を仕掛けた。

 グリフォンは意識を削がれて風魔法の制御が若干弱まっていた。

 私がその好機を見逃さずに、最大の魔力を乗せて放った。

 すると光の槍はグリフォンの風魔法を突き破って直撃し、グリフォンは瀕死の重傷の状態になっていた。

 私は魔力不足で意識を失うと、4人はグリフォンにトドメを刺して見事に討伐に成功した。

 私は意識こそ無かったが、誰かに抱き抱えられた感覚はあった。

 そして私の意識が醒めたのは、それから数時間後の事だった。
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