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バックれ計画実行の章

第五十二話

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 「魔物が現れないなぁ?」

 商業都市グランリーザから旅立ってから3日が過ぎたのだけど、魔物が一切出ない状態で旅が順調な状態だった。

 「聖女の旅の場合は、前もって神殿騎士団が我々の行く場所の魔物を事前に討伐するので…余程の事がない限り魔物が現れる事がありません。」

 商業都市グランリーザの神殿に勤務する神殿騎士団もそれなりの強さを持っている。

 なので…前回はイレギュラーが発生した為に魔物の襲撃が起こったのだった。

 なので…こんな状態で魔笛を使うのはマズイかな?

 「リアラは魔物が現れて欲しいのですか?」

 「まさか!旅は何事も無く快適な旅の方が良いよ。」

 …まぁ、そんな事を言っても神殿騎士団達が討伐した箇所は後1週間も移動していれば、討伐したエリアの外になるだろうから…その場所だと普通に襲って来るかもね。

 魔笛を使用するならそんな場所の方が怪しまれないでしょう。

 「テルミガン、この魔笛は音は出るの?」

 「いえ、魔物だけに反応する周波数…音が響くだけです。ホーンではないので大きな音は出ません。」

 「魔笛の効果の範囲は?」

 「結構な広範囲に広がると言っておきましょう。距離でも説明出来ますが、マスターには距離で説明しても把握出来ないでしょうからね。」

 「そうかも…」

 それから1週間経った場所では、普通に魔物の襲撃が起きた。

 大した数ではなくて、アルファとオメガでほとんど事足りた。

 「さて、そろそろ魔笛を使用しますかね?」

 「まだ森が近いので、もう少し先に行った場所に草原が広がっていますからそちらの方が良いでしょうね。」

 「草原だと…バックれても見つからないかな?」

 「マスターが魔笛を使えば、4人で対処しないと困難な魔獣が攻めて来ると思いますので…その隙なら対処に追われて我々に意識を向ける余裕はないと思います。」

 しばらく移動したらテルミガンの言った通りの広い草原の場所に着いた。

 私は魔笛を口に咥えて使用した。

 …だけど、バックれるには少しマズイ状況になってしまった。

 まさかあんな魔獣が来るとは夢にも思わなかった。
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