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バックれ計画の章

第五十一話 

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 バックれ準備完了!

 …じゃ無くて、商業都市グランリーザの穢れ浄化完了!

 私達は翌日、商業都市グランリーザから次の目的地に向かって出発した。

 次の場所は船で別大陸に渡ってから、更に2週間ほど行った場所にあるサンシェードという街だそうです。

 次に向かう大陸は気候が少し特殊な場所らしく、昼間は気温が高すぎて日中は移動が出来ずに、日が落ちた夕方から日の出の朝方までに移動するという場所だそうです。

 要は砂漠が広がっているという大陸なんですよね。

 魔王が現れる以前は気候が穏やかな土地だったのですが、魔王によって破壊された土地という事で、次の大陸は今まで以上に穢れの箇所が多い大陸という話です。

 「穢れを浄化したら砂漠が元に戻るのかな?」

 「伝承の聖女様もその大陸の浄化を行ったそうですが、手に余ってしまい全てを浄化出来なかったとか…」

 大陸は全てで5つあるらしいんだけど、こんな不毛な土地でバックれるのは私の身も危ういかも。

 船に乗る前にバックれるか、次の大陸の浄化を終わらせて更に別な大陸に渡った時にバックれた方が良いか…?

 幸いというべきか、種の仕込みは終わっているしね。

 「テルミガン、この魔笛って本当に有効なの?」

 「はい、魔笛はその者が持つ魔力量によって引き寄せる魔物の種類やランクが決まります。マスターの膨大な魔力ですと…魔獣クラスのスタンピードを起こせると。」

 「護衛の騎士達が危なくなるという事はない?私は別に排除を望んでいる訳じゃないんだけど…」

 「多少危なくなるという事はありますが、壊滅する程の事はないと思われます。」

 私はバックれ計画で良い案が無いかとテルミガンに相談した所…魔笛という魔道具作りに成功した。

 魔笛は魔物を呼び寄せる効果があり、伝承の聖女様時代には魔王軍が戦いの際に魔物の軍勢を魔笛によって集めたと言われているという話だった。

 ただし保有している魔力量によって、魔物のランクも異なるらしくて…当時の魔族は魔獣クラスは数体で、魔物クラスが大勢呼ぶ事に成功したという話だった。

 「これはどこで使用した方がいいと思う?」

 「森の中で使うのが好ましいですが、万が一を考えるとマスターにも危険が及ぶかもしれませんので得策では無いかもしれません。開けた場所で使用するというのが良いかもしれませんね。」

 「魔笛って使用者は襲われないんじゃなかったっけ?」

 「魔族ならその可能性はないでしょうけど、人間が使用すると知能の高い魔物は制御出来ますが…知能の低い魔物に関してはどうなるのか?」

 魔笛は元々魔族の神器という話なので、魔族特有の何かが関係するものらしい。

 人間でも偶然に作り出せて使用したものもいるという話だったが、制御が出来ずに最後は自分も喰われたという話だった。

 「マスターの魔力では問題は無いとは思いますが、とりあえず注意は怠らない事ですね。」

 私は次の大陸に移る前にこの魔笛を使うのだけれど…?

 その魔笛でとんでも無いものを呼び寄せてしまったのだった。
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