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バックれ計画の章

第四十八話

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 もうしばらくすれば、商業都市グランリーザの穢れの浄化作業が終わる。

 そうしたら次の街に向かう訳なんだけど、オメガは相変わらず無口で考えが読めないけど…他の3人は大分仲良くなれた。

 なので…次の街に向かう前にバックれる計画をしようと思う。

 だけど、ただバックれ様としても簡単に捕まる可能性が高い。

 チャンスを見てバックれてからある程度の距離を稼げたら法衣を脱ぎ捨てて、お店でパクった平民の服に着替える。

 それが最も有効な方法なんだけど、そのチャンスがほとんどない。

 お花摘みも必ずシーダとディーナが付いて来るし、何よりキャンプで休んでいる時や馬車で移動中にバックれるのは非常にリスクが高い。

 魔物の襲撃を狙っても、大体アルファとオメガが居れば事足りてしまう。

 「あの4人をてこずらせるには、災害級とか天災級の魔獣とかじゃないと意識は反らせられないよね?」

 「そうですね、一般の魔獣ではアルファ隊長とオメガで事が足りてしまうでしょう。それにシーダとディーナが必ずマスターを護るように固まりますので…そこから逃げるのは容易ではありません。」

 「何か良い方法はないかなぁ?」

 「そうですね、幾つかの方法はあります。マスターは覚えておられますか?魔法を覚えて実戦の経験の後にワタシの魔法技術を教えするといった事を。」

 「覚えているけど…私も結構色々な魔法が使えるけど、テルミガンの魔法ってそんなに技術が高いの?」

 「破壊系の攻撃魔法から、絶対防壁の守護魔法、会得にかなりの時間を要しますが…移動系の転移魔法など。他にも浮遊魔法といった、世間ではあまり知られていない魔法が数多く所有しております。」

 「それ以外の方法は?」

 「マスターそっくりのホムンクルスを作製するとかですね。」

 「私の意識を逸らす為の身代わりになってくれるという事?」

 「いえ…マスターの現在のレベルではホムンクルスを起動してもまともには動きません。ですが、それで良いのです。」

 「動かなくても使い道ってあるの?」

 「マスターがバックれてから距離を稼いだ後に、ホムンクルスに法衣を着させてから首でも刎ねておけば…マスターは死んだ物と扱われて今後の捜索も打ち切られるでしょう。」

 うん、良い作戦だとは思うけど…

 自分で自分を手に掛けるのかぁ…夢に見そう。

 「マスター迷われているのですか?ならワタシがスッパリやりますが…」

 「それもそれで…その光景を見たら、私もいつかテルミガンにやられないかと不安になるかなぁ?」

 「ワタシはマスターと命が繋がっておりますから、そういった行動を起こす自殺願望的な事はまずありません。まぁ、正直な事を申し上げますと…マスターは非常に面倒くさい性格をしている上にワタシでも予想の付かない破天荒な事を言い始めますから、見ていて飽きませんよ。」

 「今…結構ディスったよね?」

 テルミガンなら問題は無いし信用出来そうね、何気に結構ディスってくるけど。

 「でもさぁ、ホムンクルスってそんなに簡単に作れる物なの?」

 「起動してマスターの分身の様にホムンクルスを動かすともなれば、レベルが足りませんし材料も足りません。ですが、動かない人形なら神殿内にある材料で造り出すことができますよ。」

 私はテルミガンに材料を聞いてから揃えた。

 なんだけど…本当にこんなので出来るのか疑問だった。

 「ホムンクルスが完成してもそれで終わりと言うわけではありません。その先がマスターにとって完成した後の工程が面倒なんです。」

 人形が完成して終わりじゃ無いって…何をさせられるんだろう?
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