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バックれ計画の章

第四十四話

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 この世界の服は色によって分けられる。

 黒に近い色は貴族を表す色で、黒は公爵で紺は侯爵という感じになっている。

 私達神殿の関係者は白色が多く、平民は黄色か土色、赤や青や緑といった色は騎士団の象徴する色だった。

 何が言いたいのかというと、街の往来で人混みに飲み込まれて逸れたとしても…純白の様に真っ白だと遠目でも目立つ。

 今日も街中を散策するという名目で街に繰り出してきたのだが、護衛の4人を撒く為に敢えて人混みの中に紛れたのだった。

 護衛の神殿騎士団達との打ち合わせでは、仮に逸れてしまった場合はその場に留まって迎えに来るのを待つという物だったんだけど…私はその内容を無視して雑貨屋に入った。

 どうせすぐに見つかるとは思うけど、その見つかる迄の僅かな時間を狙って平民の服を手に入れるのだった。

 …とはいえ、この辺があざといのが護衛の者達が雑貨屋で購入した物を店員に聞いていちいち調べたりする。

 そこで平民の服を購入したとなると、後で没収されてしまう。

 物々交換で手に入れるという手もあるんだけど、それでも護衛の者達の口を割らずに黙っている店員はいない…ので、私は平民の服をパクる方向にしていた。

 ただし…ただパクると流石に店員にバレる。

 私は事前に作っていたポーションを10本を買い取りで店員に査定させて注意が逸れている間に、店の中の商品を見せて下さいと言いながら平民の服を収納魔法でパクるのだった。

 ただパクる訳では無い。

 ポーションの査定され提示された金額よりも多少安く換金する。

 これなら心が痛むという事はないので…ウィンウィンな関係を築けたのだった。
 (いえ、立派な犯罪行為です)

 私はポーションの代金を受け取ったすぐ後に、シーダとディーナが店に入って来た。

 「リアラ様、逸れたらその場に留まるようにと言ってありましたよね!」

 「私の立っていた場所の背後が薄暗い裏通りに面していたので不安になってしまい…恐くて近くの店に入りました。」

 「そういう理由ならやむを得ませんが…」

 この言い訳にシーダは疑う事はなかった。

 ただ、今後は逸れない様にと注意をされただけだった。

 それにしても、逸れた時に結構離れた位置で良くこの店に私が居るって気付けたなぁ…?

 そう思っていたら…シーダもディーナも手にヒラに収まる程の小さな石を持っていた。

 その石は私の近くで薄っすらと光を放っていた。

 私を見つける為の魔道具なのかな?

 だとしたら…私の何に反応しているのだろう?

 私は神殿に戻ってから自室でテルミガンに聞いてみた。

 「それは恐らくですが…マスターの法衣に施された術式に反応している物だと思います。」

 「この法衣なら良かったけど、本当に法衣だけよね?魔力に反応している訳じゃないんだよね?」

 「人の魔力を測る魔道具は存在しますが、魔力反応で見つけ出せる魔道具は存在しません。」

 テルミガンの話を聞いてとりあえずは安堵した。

 魔力反応で追跡されたらまずアウトだけど、法衣なら脱げば問題無いし、今日手に入れた平民の服に着替えれば追跡されずにバックれる事が可能だからだ。

 後はいつバックれるか…だけど、まだまだシーダとディーナとの親密度も足りないし、アルファとオメガもかなり手強い相手だった。

 4人に信用させてから親密度を上げないと、バックれは絶対に成功しない。

 私はとりあえず、シーダとディーナとの親密度を更に上げる方法を精を出そうと決めたのだった。

 「次は、女性神官直伝のテクニック上級編を実践するぞぉ~!」
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