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バックれ計画の章
第四十三話
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聖女の旅とは世界の各地巡って穢れを浄化する…という目的以外に、怪我をした人々さえも救う為に治癒を施すという仕事も担っている。
聖女の旅と言ってはいるものの…私はまだちゃんとした聖女ではない。
世界を巡って穢れを浄化し、大神殿に戻ってから初めて聖女として認定されるので、現在はまだ聖女ではなく仮聖女という扱いなんだけどね。
私が旅で身に付けている衣装の法衣は、伝承の聖女様が身に纏っていた物と同じなので…それを見た人々からは聖女と呼ばれたりする。
護衛の神殿騎士達もその辺は把握しているのだけれど、まだ聖女ではないとか聖女に認定されるのはまだ先…という言い訳をするのが面倒で私を聖女か様付で呼んでいる。
初めの頃は私も心の中で否定していたけど、後に面倒になって聖女と呼ばれても平気になっていた。
穢れの浄化は何も街の外だけという訳ではない。
街の中にも穢れがある場所は存在する。
それも1つや2つではないので、その街にいる時は神殿を拠点にして長い日数を掛けて浄化作業を行う。
でもそれ以外の時間は自由時間で、街の中に買い物をしたりする時間もある。
必ず護衛付きなのが面倒なんだけど…。
私は商業都市グランリーザに来る時は結構楽しみだった。
商業都市グランリーザは、世界でも1位か2位を争う位に店の数が豊富という話だったからだ。
私はこの街で欲しいものが2つある。
正確に言うともっとあるんだけど…絞ると大体2つくらいだった。
1つはバックれ用の着替えの服で平民の服が欲しかった。
これでも一応貴族令嬢なのだから、貴族のドレスが欲しい…とは全く思わなかった。
あんな物を着ていたら動きづらいしバックれ計画には邪魔になる。
1度でも袖を通した事があれば憧れていたかもしれないが、テリガン侯爵家では私は奴隷の様な服を着せられていただけでドレスなんかは1度も着た事がなかった。
なので私が欲しい服は動き易そうな平民の服だった。
何故そう思うのかと言うとね…一見華やかで煌びやかな法衣だけど、目立つからというのもあるけど実はこの法衣はドレス並みに動きにくい。
肩の部分や背中の部分にワイヤーみたいな物が入っていて、姿勢を正す為の矯正的な服という感じが否めなかった。
「ラフな格好的な意味で平民の服を着てみたいんだけどね…」
シーダとディーナと一緒に服屋に入ると下着類に関しては何も言われないが、平民の服を手に取ると注意された。
私達は神殿に仕える者で法衣以外は必要無い…と毎回注意された。
「侯爵家では牢獄の様な部屋で奴隷の服を着せられて、神殿に来たら法衣だけだったから…平民の服がどういったものなのかが興味あっただけよ。」
…と言い訳をしておいた。
そしてもう1つ欲しいもの…それは言うまでも無く肉を食べたいという事だった。
この街は商業都市なので様々な食材が運ばれて売られている。
場所によれば…肉の焼ける匂いが漂っているんだけど、その匂いに釣られて歩き出そうとするとシーダに止められる。
私はテルミガンの話を伝えたけど、声が聞こえない聖獣の話よりも伝承の聖女様が言ったことの方が説得力があるのか、私の意見は一切聞き入れて貰えなかった。
これは浴場での一件以来、信用度と信頼度が上がっても許してくれる事はなくて…相変わらず神殿に帰ってから肉の無い料理を食べさせられるという物だった。
「ならば…街でちょっとした行動を起こしてみようかしら?」
この街は商業都市というだけあって往来は結構人の行き交いが多い。
なので、バックれとは少し違うけど…それに近いある行動に移してみようと思ったのだった。
聖女の旅と言ってはいるものの…私はまだちゃんとした聖女ではない。
世界を巡って穢れを浄化し、大神殿に戻ってから初めて聖女として認定されるので、現在はまだ聖女ではなく仮聖女という扱いなんだけどね。
私が旅で身に付けている衣装の法衣は、伝承の聖女様が身に纏っていた物と同じなので…それを見た人々からは聖女と呼ばれたりする。
護衛の神殿騎士達もその辺は把握しているのだけれど、まだ聖女ではないとか聖女に認定されるのはまだ先…という言い訳をするのが面倒で私を聖女か様付で呼んでいる。
初めの頃は私も心の中で否定していたけど、後に面倒になって聖女と呼ばれても平気になっていた。
穢れの浄化は何も街の外だけという訳ではない。
街の中にも穢れがある場所は存在する。
それも1つや2つではないので、その街にいる時は神殿を拠点にして長い日数を掛けて浄化作業を行う。
でもそれ以外の時間は自由時間で、街の中に買い物をしたりする時間もある。
必ず護衛付きなのが面倒なんだけど…。
私は商業都市グランリーザに来る時は結構楽しみだった。
商業都市グランリーザは、世界でも1位か2位を争う位に店の数が豊富という話だったからだ。
私はこの街で欲しいものが2つある。
正確に言うともっとあるんだけど…絞ると大体2つくらいだった。
1つはバックれ用の着替えの服で平民の服が欲しかった。
これでも一応貴族令嬢なのだから、貴族のドレスが欲しい…とは全く思わなかった。
あんな物を着ていたら動きづらいしバックれ計画には邪魔になる。
1度でも袖を通した事があれば憧れていたかもしれないが、テリガン侯爵家では私は奴隷の様な服を着せられていただけでドレスなんかは1度も着た事がなかった。
なので私が欲しい服は動き易そうな平民の服だった。
何故そう思うのかと言うとね…一見華やかで煌びやかな法衣だけど、目立つからというのもあるけど実はこの法衣はドレス並みに動きにくい。
肩の部分や背中の部分にワイヤーみたいな物が入っていて、姿勢を正す為の矯正的な服という感じが否めなかった。
「ラフな格好的な意味で平民の服を着てみたいんだけどね…」
シーダとディーナと一緒に服屋に入ると下着類に関しては何も言われないが、平民の服を手に取ると注意された。
私達は神殿に仕える者で法衣以外は必要無い…と毎回注意された。
「侯爵家では牢獄の様な部屋で奴隷の服を着せられて、神殿に来たら法衣だけだったから…平民の服がどういったものなのかが興味あっただけよ。」
…と言い訳をしておいた。
そしてもう1つ欲しいもの…それは言うまでも無く肉を食べたいという事だった。
この街は商業都市なので様々な食材が運ばれて売られている。
場所によれば…肉の焼ける匂いが漂っているんだけど、その匂いに釣られて歩き出そうとするとシーダに止められる。
私はテルミガンの話を伝えたけど、声が聞こえない聖獣の話よりも伝承の聖女様が言ったことの方が説得力があるのか、私の意見は一切聞き入れて貰えなかった。
これは浴場での一件以来、信用度と信頼度が上がっても許してくれる事はなくて…相変わらず神殿に帰ってから肉の無い料理を食べさせられるという物だった。
「ならば…街でちょっとした行動を起こしてみようかしら?」
この街は商業都市というだけあって往来は結構人の行き交いが多い。
なので、バックれとは少し違うけど…それに近いある行動に移してみようと思ったのだった。
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