39 / 88
バックれ計画の章
第三十八話
しおりを挟む
さて、両親とリアナに対してなんて声を掛けようか…と思っていたけど、私は声を掛けるのを辞めた。
何故ならうっかり声を掛けようものなら…?
「愚民ども感謝するのです!私がお前達愚民の為に力を使ってこの土地を浄化して差し上げるのですから、崇め奉る様に感謝の異を唱えなさい…」
…とかいって、気持ちが高ぶった状態で両親やリアナを蹴り上げる様な真似をしそうになるからだった。
だがこれをやってしまうと、奴隷のような生活を送っていた頃の両親やリアナと同じ様な事をしてしまう気がしたので、私はある程度無言で通す事に決めた。
まずはリアナの怪我を回復魔法で治療した。
リアナは感謝した様な視線を私に向けて来たが、私は蔑んだ目で憐みを施した様に見てから神殿で習った浄化の術をテリガン侯爵領内に展開した。
私の身体から光が発生し、テリガン侯爵領内全体に広がっていった。
こうする事でテリガン侯爵領内の土地に潜んでいた穢れを浄化し、土地の中にあった穢れの黒い煙が空に向かって消えて行った。
「これで我が領地も昔の様な豊作の実りが⁉」
私はテリガン侯爵に向かって笑顔で頷いた。
テリガン侯爵夫妻は歓喜を上げた声で喜んでいたが…私の行ったのは光による穢れの浄化のみで、豊穣の恵みを与えた訳ではない。
テリガン侯爵が勝手に勘違いしたので、私はそれに乗っかっただけだった。
努力を怠らなければ…いずれ豊作が実るかもしれないが、何もしないで豊作が実る様な事はまずない。
テリガン侯爵はその辺を履違えている風に見えていたので、私にとってはとても愉快で仕方なかった。
「リアラよ、感謝する!」
テリガン侯爵の上から目線での発言に少し腹を立てたので、神殿騎士の1人に耳打ちをした。
「無礼者!聖女であるリアラ様に何て不敬な態度を…」
「ですが、リアラは我が娘ですので…」
「かつてはそうだったかも知れぬが…今は違う。その辺の事を履違えるな!」
神殿騎士がそう告げると、テリガン侯爵は面白くなさそうな顔をした。
私はそんな顔をして居るテリガン侯爵に勝ち誇った様な笑顔を向けた。
するとテリガン侯爵は立ち上がって深々とお辞儀をした後に、近くにいたリアナに対して腹いせに蹴り飛ばしてから屋敷の中に入って行った。
そしてテリガン侯爵夫人も後を追う様に屋敷の中に入って行ったのだった。
私の前には蹴られた痛みで動けずに横たわったリアナがいた。
私は横たわっているリアナに回復魔法を施してから耳元でこう囁いた。
「良い様ですわねお姉様、加護を持たない無能な者には相応しい処置ですわね。」
「くっ…」
リアナは私に殺気を込めた目で睨みつけて来た。
かつて私にやられて来た仕打ちを、煌びやかなドレスを纏って勝ち誇った様な顔をしていた姉がやられる姿は見ていて気分が良い。
私の積年の恨みがこの程度で晴れる事はないけど、今後のリアナの事を考えると…リアナが死なない限りは一生続く事になるだろう。
私はリアナに対して蔑んだ目をしながら、今後の人生が暴力を奮われる日々が続くと考えると同情や憐みを感じて祈る仕草をした。
リアナはその祈りの姿の意味を理解したみたいで、私に今にも飛び掛かろうとしようとしていたが…近くにいた執事に取り押さえられていた。
私は再び神殿騎士の手を取って馬車に乗り込むと、馬車の窓を開けてからリアナに向かったこう言った。
「それではお姉様、御達者で~~~!」
その言葉を聞いたリアナはかつては女神の微笑と言われるくらいに慈愛に満ちていた表情が、醜く歪んだ表情をしていて私の事を睨み付けていた。
馬車が発進して私はリアナに対して挑発的に手をひらひらしていると、リアナは再び暴れ出して執事の拘束を解こうと藻掻いている様だった。
「今日は有意義な1日だったわ。次は何処に向かうのかな?」
「次の目的地は、商業都市グランリーザから少し離れた場所に赴きます。」
商業都市ねぇ…?
そこで恐らく停泊するんだろうけど、どうせなら街を見学してから…バックレる計画を始めるとしましょうか!
さて商業都市グランリーザってどんな所なのかしらねぇ?
~~~~~その後~~~~~
それとテリガン侯爵家の騒動はこれだけでは終わらなかった。
この暫く後にテリガン侯爵家には更なるざまぁ展開が待っていたのだった。
何故ならうっかり声を掛けようものなら…?
「愚民ども感謝するのです!私がお前達愚民の為に力を使ってこの土地を浄化して差し上げるのですから、崇め奉る様に感謝の異を唱えなさい…」
…とかいって、気持ちが高ぶった状態で両親やリアナを蹴り上げる様な真似をしそうになるからだった。
だがこれをやってしまうと、奴隷のような生活を送っていた頃の両親やリアナと同じ様な事をしてしまう気がしたので、私はある程度無言で通す事に決めた。
まずはリアナの怪我を回復魔法で治療した。
リアナは感謝した様な視線を私に向けて来たが、私は蔑んだ目で憐みを施した様に見てから神殿で習った浄化の術をテリガン侯爵領内に展開した。
私の身体から光が発生し、テリガン侯爵領内全体に広がっていった。
こうする事でテリガン侯爵領内の土地に潜んでいた穢れを浄化し、土地の中にあった穢れの黒い煙が空に向かって消えて行った。
「これで我が領地も昔の様な豊作の実りが⁉」
私はテリガン侯爵に向かって笑顔で頷いた。
テリガン侯爵夫妻は歓喜を上げた声で喜んでいたが…私の行ったのは光による穢れの浄化のみで、豊穣の恵みを与えた訳ではない。
テリガン侯爵が勝手に勘違いしたので、私はそれに乗っかっただけだった。
努力を怠らなければ…いずれ豊作が実るかもしれないが、何もしないで豊作が実る様な事はまずない。
テリガン侯爵はその辺を履違えている風に見えていたので、私にとってはとても愉快で仕方なかった。
「リアラよ、感謝する!」
テリガン侯爵の上から目線での発言に少し腹を立てたので、神殿騎士の1人に耳打ちをした。
「無礼者!聖女であるリアラ様に何て不敬な態度を…」
「ですが、リアラは我が娘ですので…」
「かつてはそうだったかも知れぬが…今は違う。その辺の事を履違えるな!」
神殿騎士がそう告げると、テリガン侯爵は面白くなさそうな顔をした。
私はそんな顔をして居るテリガン侯爵に勝ち誇った様な笑顔を向けた。
するとテリガン侯爵は立ち上がって深々とお辞儀をした後に、近くにいたリアナに対して腹いせに蹴り飛ばしてから屋敷の中に入って行った。
そしてテリガン侯爵夫人も後を追う様に屋敷の中に入って行ったのだった。
私の前には蹴られた痛みで動けずに横たわったリアナがいた。
私は横たわっているリアナに回復魔法を施してから耳元でこう囁いた。
「良い様ですわねお姉様、加護を持たない無能な者には相応しい処置ですわね。」
「くっ…」
リアナは私に殺気を込めた目で睨みつけて来た。
かつて私にやられて来た仕打ちを、煌びやかなドレスを纏って勝ち誇った様な顔をしていた姉がやられる姿は見ていて気分が良い。
私の積年の恨みがこの程度で晴れる事はないけど、今後のリアナの事を考えると…リアナが死なない限りは一生続く事になるだろう。
私はリアナに対して蔑んだ目をしながら、今後の人生が暴力を奮われる日々が続くと考えると同情や憐みを感じて祈る仕草をした。
リアナはその祈りの姿の意味を理解したみたいで、私に今にも飛び掛かろうとしようとしていたが…近くにいた執事に取り押さえられていた。
私は再び神殿騎士の手を取って馬車に乗り込むと、馬車の窓を開けてからリアナに向かったこう言った。
「それではお姉様、御達者で~~~!」
その言葉を聞いたリアナはかつては女神の微笑と言われるくらいに慈愛に満ちていた表情が、醜く歪んだ表情をしていて私の事を睨み付けていた。
馬車が発進して私はリアナに対して挑発的に手をひらひらしていると、リアナは再び暴れ出して執事の拘束を解こうと藻掻いている様だった。
「今日は有意義な1日だったわ。次は何処に向かうのかな?」
「次の目的地は、商業都市グランリーザから少し離れた場所に赴きます。」
商業都市ねぇ…?
そこで恐らく停泊するんだろうけど、どうせなら街を見学してから…バックレる計画を始めるとしましょうか!
さて商業都市グランリーザってどんな所なのかしらねぇ?
~~~~~その後~~~~~
それとテリガン侯爵家の騒動はこれだけでは終わらなかった。
この暫く後にテリガン侯爵家には更なるざまぁ展開が待っていたのだった。
11
お気に入りに追加
201
あなたにおすすめの小説

娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

白い結婚をめぐる二年の攻防
藍田ひびき
恋愛
「白い結婚で離縁されたなど、貴族夫人にとってはこの上ない恥だろう。だから俺のいう事を聞け」
「分かりました。二年間閨事がなければ離縁ということですね」
「え、いやその」
父が遺した伯爵位を継いだシルヴィア。叔父の勧めで結婚した夫エグモントは彼女を貶めるばかりか、爵位を寄越さなければ閨事を拒否すると言う。
だがそれはシルヴィアにとってむしろ願っても無いことだった。
妻を思い通りにしようとする夫と、それを拒否する妻の攻防戦が幕を開ける。
※ なろうにも投稿しています。

立派な王太子妃~妃の幸せは誰が考えるのか~
矢野りと
恋愛
ある日王太子妃は夫である王太子の不貞の現場を目撃してしまう。愛している夫の裏切りに傷つきながらも、やり直したいと周りに助言を求めるが‥‥。
隠れて不貞を続ける夫を見続けていくうちに壊れていく妻。
周りが気づいた時は何もかも手遅れだった…。
※設定はゆるいです。

出て行けと言われても
もふっとしたクリームパン
恋愛
よくあるざまぁ話です。設定はゆるゆるで、何番煎じといった感じです。*主人公は女性。書きたいとこだけ書きましたので、軽くざまぁな話を読みたい方向け、だとおもいます。*前編と後編+登場人物紹介で完結。*カクヨム様でも公開しています。


邪魔しないので、ほっておいてください。
りまり
恋愛
お父さまが再婚しました。
お母さまが亡くなり早5年です。そろそろかと思っておりましたがとうとう良い人をゲットしてきました。
義母となられる方はそれはそれは美しい人で、その方にもお子様がいるのですがとても愛らしい方で、お父様がメロメロなんです。
実の娘よりもかわいがっているぐらいです。
幾分寂しさを感じましたが、お父様の幸せをと思いがまんしていました。
でも私は義妹に階段から落とされてしまったのです。
階段から落ちたことで私は前世の記憶を取り戻し、この世界がゲームの世界で私が悪役令嬢として義妹をいじめる役なのだと知りました。
悪役令嬢なんて勘弁です。そんなにやりたいなら勝手にやってください。
それなのに私を巻き込まないで~~!!!!!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる