聖女になんかなりたくない! 聖女認定される前に…私はバックれたいと思います。

アノマロカリス

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バックれ計画の章

第三十四話

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 「リアラ、絶対に笑わないで聞いて欲しいのだが…」

 「カイル殿下、私のバックレるという話に対しても笑わなかったので、何を聞かされても笑う事はありません。」

 「実は僕はね…外の世界で依頼を請けて魔物と戦ったり、自分の力でお金を稼ぐ冒険者に憧れているんだ。」

 あれ?

 てっきり私以外の貴族令嬢が気になっていて結婚が出来ないという話かと思っていたら、全く意外な話だった。

 「僕の一族には伝承の聖女様の血が流れていると同時に、伝承の勇者様の血も流れている。なので城の中で社交を学ぶよりも外の世界で戦って感謝されたいと思う気持ちがあるんだよ!」

 「まぁ、王族がそんな事を仰ったら…馬鹿な事を言っているんじゃないの一言で片付けられてしまいますね。」

 「あぁ、だから僕は父にも話した事が無い。」

 話せないよね、こんな話は…。

 だけど…?

 「冒険者になるかどうかという話は実現出来るか解りませんが…旅に出て魔物を倒すという方法はありますよ。」

 「それはどんな方法だ?」

 「カイル殿下が私と穢れの浄化の旅に着いて行くという事を国王陛下に仰れば良いのです。」

 「いや…その話は恐らく通らないぞ。余程の理由がない限りは…」

 「理由は作れますよ、ただ…カイル殿下が恥やプライドを捨てて演技が出来ればの話ですが?」

 「僕に何をやらせる気だ?」

 「カイル殿下には馬鹿になって貰います。それも相当に恥ずかしい事を口走る馬鹿に…」

 カイル殿下は唖然としていた。

 まさか外に出れる方法が馬鹿になれだからだ。

 私は馬鹿になって貰うという内容の話をした。

 「私との穢れの浄化の旅に着いて行きたいというだけなら却下されるでしょうね。」

 「あぁ、間違いなくな!」

 「だけどこの部屋から出て再び玉座の間に戻った際に、私との会話で意気投合して私の事を持ち上げまくるのですよ。私との話でこんな素晴らしい女性に会ったのは初めてで真剣に惚れた…とか、片時も離れたくない…とか、一時でも離れる事を考えると気が狂いそうになるとかね。そして離れ離れになる位なら、一緒に旅に同行して私を護りながら片時も離れたくないという気持ちを真剣に訴えるんです。」

 「リアラが恥やプライドを捨てて馬鹿になれと言った意味が分かったよ。」

 「それでどうです?説得は出来そうですか?」

 「だが、リアラはどうするんだ?君は旅の最中にバックレるつもりなんだろう?」

 「はい、私はバックレますが…もし宜しければ、カイル殿下も一緒にバックレませんか?そして私の魔法で髪の毛の色を変えてから冒険者ギルドに偽名で登録して、何処か静かな田舎で一緒に暮らすというのは?」

 「一緒に旅が出来れば問題は無いのだが…?」

 「穢れの浄化の旅でカイル殿下が着いて来たとしても、魔物と戦えるかどうかはわかりませんよ?私には神殿騎士達の護衛が付きますからね、私と殿下は余程の事が無い限り戦う事はせずに護られるだけ…という結果になりますよ。」

 「確かにその可能性が高いな。だが僕は王位を失うというのは…」

 「王位を失いたくないというのなら、私の旅には同行せずにそのまま城に残って黙って暮らして下さい。そんな甘い事を言っている様では外では全く通用しないでしょうからね。」

 「うぅ…」

 「王位を捨ててでも夢を叶えるか、王位にしがみ付いて外の世界を諦めるか…2つに1つしかありませんよ。」

 カイル殿下は必死に悩んでいた。

 王子殿下という立場上、カイル殿下の決断はすぐに答えが出ない位に簡単な問題では無かった。

 さて、カイル殿下の取った決断は?
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