34 / 87
バックれ計画の章
第三十三話
しおりを挟む
私とカイル殿下は別室に移動すると、カイル殿下の命令で別室内の騎士やメイドを退出させた。
そしてカイル殿下はソファーに座ると、対面側のソファーに私に座れと命じてきた。
「これで…お互いに腹を割って話せるな。」
「カイル殿下…これはどういう事でしょうか?」
「リアラ、君も普通に喋ってくれよ。この部屋には僕と君しか居ないのだから、気を使う様な話し方はしなくても良い。」
「あら?猫を被っていたのは見抜かれていましたか。」
私は侯爵家にいた時は牢獄みたいな暮らしをしていたので、所作や礼儀作法等は身に付いてはいなかった。
唯一神殿で習った所作や礼儀作法だが、そんな物はにわか仕込みで直ぐにバレた。
「国王や王妃の前では表情を崩さなかったが、見えない場所で如何にも帰りたい…みたいな顔をしていればすぐに分かるさ。」
「なら普通に話しますね。それとこの上衣を脱いでも良いですか?」
「脱いだら下着姿になるとかじゃなければ別に良い。」
「下にはちゃんと法衣を着ていますから大丈夫です。仮に下着姿だったらどうしますか?」
「君は僕の4つ離れた妹よりも胸が無いからな…下着姿でも別になんとも思わんよ。」
「それはそれで屈辱ですね。それなら下着姿になって誰かが入って来るまで待ち構えしょうかね?」
「それでどうする気だ?」
「私の黒い肌では胸の先端は何色なのかを知りたいが為に、王族の権力で私に服を脱げと命令して…と嘘泣きで訴えてから慰謝料をふんだくる!」
「君は新手の詐欺師か何かか?だが…君の本性を知れて僕は君に興味を持ったよ。」
「…ということは、先程までの演技していた私は興味無かったわけですね?」
お互いに本音が見えないと好きになる要素は無いわよね?
私も玉座の間にいた時のカイル殿下の嘘くさい演技では興味も好奇心も無かったけど、今のカイル殿下は多少なりとも興味を持てましたね。
「まぁ、リアラも分かっていると思うが…君が穢れの浄化の旅が終われば僕と結婚をする事になる。だが…僕はリアラとの結婚は望んではいないんだよ。」
「安心して下さい、私もカイル殿下との結婚なんて…これっぽっちも有り得ませんから!」
私は親指と人差し指で触れるか触れないかの隙間を作って見せた。
「僕も失礼な事を言った自覚はあるが、君も大概だな。」
「だって私は…っと、その前に私がこれから話す話は他言無用に願いませんか?」
「それを僕に要求するという事は、漏れたらかなり不味い話だね?」
「そうです。約束をして頂けますか?」
「分かった。」
「嘘付いたら…結婚前の聖女に手を出したと城下で言いふらしますからね!」
「それは脅迫と言うんだが…まぁ良い。それで、漏れたら不味い話はなんだ?」
私は念の為に部屋内に遮断結界を張り巡らせた。
扉の外で騎士が聞いている可能性を回避する為だった。
「安心して下さい。私はカイル殿下と結婚すると言う事はありませんよ、その証拠に神殿に帰ってからか、旅が始まったら私はバックレるつもりなので。」
「はぁ?」
「私には野望があるんですよ!外の世界で食堂に入って肉を食べると言う目的が‼︎」
「肉?」
「私は生まれてから肉類を食べた事が一切なくて…匂いは知っているので味もなんと無くですが想像出来るのですが。」
「だが、聖女が肉を食べたら回復術が低下すると…」
「それは全くの大嘘で、伝承の聖女様が肉や果物を貪ってブクブク肥った神殿の者達に腹を立てた聖女様がそう御触れを出したそうです。そんな事実は全く無いそうなのですが…」
「リアラはその話を誰から?」
「私の召喚聖獣から聞きました。」
「う~ん…?だがそれだと、肉を食べると言う目的を達成したらどうなるんだ?」
「その後は…見知らぬ田舎にでも引っ込んでから、畑を耕したりしながらスローライフを満喫しようと思っています。そして私の肌の色を気にしないと言う男性が現れたら結婚して幸せな生活でも送りましょうかね。」
カイル殿下は難しそうな顔をして考え込んでいた。
そして次に口を開いたカイル殿下は、私と結婚出来ない理由を話して来たのだけれど…?
どうせ私以外に結婚したい相手がいるとか言う話だろうなぁ…。
そしてカイル殿下はソファーに座ると、対面側のソファーに私に座れと命じてきた。
「これで…お互いに腹を割って話せるな。」
「カイル殿下…これはどういう事でしょうか?」
「リアラ、君も普通に喋ってくれよ。この部屋には僕と君しか居ないのだから、気を使う様な話し方はしなくても良い。」
「あら?猫を被っていたのは見抜かれていましたか。」
私は侯爵家にいた時は牢獄みたいな暮らしをしていたので、所作や礼儀作法等は身に付いてはいなかった。
唯一神殿で習った所作や礼儀作法だが、そんな物はにわか仕込みで直ぐにバレた。
「国王や王妃の前では表情を崩さなかったが、見えない場所で如何にも帰りたい…みたいな顔をしていればすぐに分かるさ。」
「なら普通に話しますね。それとこの上衣を脱いでも良いですか?」
「脱いだら下着姿になるとかじゃなければ別に良い。」
「下にはちゃんと法衣を着ていますから大丈夫です。仮に下着姿だったらどうしますか?」
「君は僕の4つ離れた妹よりも胸が無いからな…下着姿でも別になんとも思わんよ。」
「それはそれで屈辱ですね。それなら下着姿になって誰かが入って来るまで待ち構えしょうかね?」
「それでどうする気だ?」
「私の黒い肌では胸の先端は何色なのかを知りたいが為に、王族の権力で私に服を脱げと命令して…と嘘泣きで訴えてから慰謝料をふんだくる!」
「君は新手の詐欺師か何かか?だが…君の本性を知れて僕は君に興味を持ったよ。」
「…ということは、先程までの演技していた私は興味無かったわけですね?」
お互いに本音が見えないと好きになる要素は無いわよね?
私も玉座の間にいた時のカイル殿下の嘘くさい演技では興味も好奇心も無かったけど、今のカイル殿下は多少なりとも興味を持てましたね。
「まぁ、リアラも分かっていると思うが…君が穢れの浄化の旅が終われば僕と結婚をする事になる。だが…僕はリアラとの結婚は望んではいないんだよ。」
「安心して下さい、私もカイル殿下との結婚なんて…これっぽっちも有り得ませんから!」
私は親指と人差し指で触れるか触れないかの隙間を作って見せた。
「僕も失礼な事を言った自覚はあるが、君も大概だな。」
「だって私は…っと、その前に私がこれから話す話は他言無用に願いませんか?」
「それを僕に要求するという事は、漏れたらかなり不味い話だね?」
「そうです。約束をして頂けますか?」
「分かった。」
「嘘付いたら…結婚前の聖女に手を出したと城下で言いふらしますからね!」
「それは脅迫と言うんだが…まぁ良い。それで、漏れたら不味い話はなんだ?」
私は念の為に部屋内に遮断結界を張り巡らせた。
扉の外で騎士が聞いている可能性を回避する為だった。
「安心して下さい。私はカイル殿下と結婚すると言う事はありませんよ、その証拠に神殿に帰ってからか、旅が始まったら私はバックレるつもりなので。」
「はぁ?」
「私には野望があるんですよ!外の世界で食堂に入って肉を食べると言う目的が‼︎」
「肉?」
「私は生まれてから肉類を食べた事が一切なくて…匂いは知っているので味もなんと無くですが想像出来るのですが。」
「だが、聖女が肉を食べたら回復術が低下すると…」
「それは全くの大嘘で、伝承の聖女様が肉や果物を貪ってブクブク肥った神殿の者達に腹を立てた聖女様がそう御触れを出したそうです。そんな事実は全く無いそうなのですが…」
「リアラはその話を誰から?」
「私の召喚聖獣から聞きました。」
「う~ん…?だがそれだと、肉を食べると言う目的を達成したらどうなるんだ?」
「その後は…見知らぬ田舎にでも引っ込んでから、畑を耕したりしながらスローライフを満喫しようと思っています。そして私の肌の色を気にしないと言う男性が現れたら結婚して幸せな生活でも送りましょうかね。」
カイル殿下は難しそうな顔をして考え込んでいた。
そして次に口を開いたカイル殿下は、私と結婚出来ない理由を話して来たのだけれど…?
どうせ私以外に結婚したい相手がいるとか言う話だろうなぁ…。
10
お気に入りに追加
195
あなたにおすすめの小説
妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~
サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――
完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。
夫から「用済み」と言われ追い出されましたけれども
神々廻
恋愛
2人でいつも通り朝食をとっていたら、「お前はもう用済みだ。門の前に最低限の荷物をまとめさせた。朝食をとったら出ていけ」
と言われてしまいました。夫とは恋愛結婚だと思っていたのですが違ったようです。
大人しく出ていきますが、後悔しないで下さいね。
文字数が少ないのでサクッと読めます。お気に入り登録、コメントください!
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
妹が私こそ当主にふさわしいと言うので、婚約者を譲って、これからは自由に生きようと思います。
雲丹はち
恋愛
「ねえ、お父さま。お姉さまより私の方が伯爵家を継ぐのにふさわしいと思うの」
妹シエラが突然、食卓の席でそんなことを言い出した。
今まで家のため、亡くなった母のためと思い耐えてきたけれど、それももう限界だ。
私、クローディア・バローは自分のために新しい人生を切り拓こうと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる