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バックれ計画の章

第三十三話

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 私とカイル殿下は別室に移動すると、カイル殿下の命令で別室内の騎士やメイドを退出させた。

 そしてカイル殿下はソファーに座ると、対面側のソファーに私に座れと命じてきた。

 「これで…お互いに腹を割って話せるな。」

 「カイル殿下…これはどういう事でしょうか?」

 「リアラ、君も普通に喋ってくれよ。この部屋には僕と君しか居ないのだから、気を使う様な話し方はしなくても良い。」

 「あら?猫を被っていたのは見抜かれていましたか。」

 私は侯爵家にいた時は牢獄みたいな暮らしをしていたので、所作や礼儀作法等は身に付いてはいなかった。

 唯一神殿で習った所作や礼儀作法だが、そんな物はにわか仕込みで直ぐにバレた。

 「国王や王妃の前では表情を崩さなかったが、見えない場所で如何にも帰りたい…みたいな顔をしていればすぐに分かるさ。」

 「なら普通に話しますね。それとこの上衣を脱いでも良いですか?」

 「脱いだら下着姿になるとかじゃなければ別に良い。」

 「下にはちゃんと法衣を着ていますから大丈夫です。仮に下着姿だったらどうしますか?」

 「君は僕の4つ離れた妹よりも胸が無いからな…下着姿でも別になんとも思わんよ。」

 「それはそれで屈辱ですね。それなら下着姿になって誰かが入って来るまで待ち構えしょうかね?」

 「それでどうする気だ?」

 「私の黒い肌では胸の先端は何色なのかを知りたいが為に、王族の権力で私に服を脱げと命令して…と嘘泣きで訴えてから慰謝料をふんだくる!」

 「君は新手の詐欺師か何かか?だが…君の本性を知れて僕は君に興味を持ったよ。」

 「…ということは、先程までの演技していた私は興味無かったわけですね?」

 お互いに本音が見えないと好きになる要素は無いわよね?

 私も玉座の間にいた時のカイル殿下の嘘くさい演技では興味も好奇心も無かったけど、今のカイル殿下は多少なりとも興味を持てましたね。

 「まぁ、リアラも分かっていると思うが…君が穢れの浄化の旅が終われば僕と結婚をする事になる。だが…僕はリアラとの結婚は望んではいないんだよ。」

 「安心して下さい、私もカイル殿下との結婚なんて…これっぽっちも有り得ませんから!」

 私は親指と人差し指で触れるか触れないかの隙間を作って見せた。

 「僕も失礼な事を言った自覚はあるが、君も大概だな。」

 「だって私は…っと、その前に私がこれから話す話は他言無用に願いませんか?」

 「それを僕に要求するという事は、漏れたらかなり不味い話だね?」

 「そうです。約束をして頂けますか?」

 「分かった。」

 「嘘付いたら…結婚前の聖女に手を出したと城下で言いふらしますからね!」

 「それは脅迫と言うんだが…まぁ良い。それで、漏れたら不味い話はなんだ?」

 私は念の為に部屋内に遮断結界を張り巡らせた。

 扉の外で騎士が聞いている可能性を回避する為だった。

 「安心して下さい。私はカイル殿下と結婚すると言う事はありませんよ、その証拠に神殿に帰ってからか、旅が始まったら私はバックレるつもりなので。」

 「はぁ?」

 「私には野望があるんですよ!外の世界で食堂に入って肉を食べると言う目的が‼︎」

 「肉?」

 「私は生まれてから肉類を食べた事が一切なくて…匂いは知っているので味もなんと無くですが想像出来るのですが。」

 「だが、聖女が肉を食べたら回復術が低下すると…」

 「それは全くの大嘘で、伝承の聖女様が肉や果物を貪ってブクブク肥った神殿の者達に腹を立てた聖女様がそう御触れを出したそうです。そんな事実は全く無いそうなのですが…」

 「リアラはその話を誰から?」

 「私の召喚聖獣から聞きました。」

 「う~ん…?だがそれだと、肉を食べると言う目的を達成したらどうなるんだ?」

 「その後は…見知らぬ田舎にでも引っ込んでから、畑を耕したりしながらスローライフを満喫しようと思っています。そして私の肌の色を気にしないと言う男性が現れたら結婚して幸せな生活でも送りましょうかね。」

 カイル殿下は難しそうな顔をして考え込んでいた。

 そして次に口を開いたカイル殿下は、私と結婚出来ない理由を話して来たのだけれど…?

 どうせ私以外に結婚したい相手がいるとか言う話だろうなぁ…。
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