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聖女の修行の章

第二十一話 

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 リアラはいつもの通りに早朝で神に祈りを終えてから牧場に向かうと、そこには呼ばなくても駆け寄ってくる筈のデリシャスの姿がなかった。

 リアラは辺りを探したり、牛舎の中にも行ったけど…デリシャスの姿はどこにも無かった。

 すると先輩神官から昨日に司祭からの命でデリシャスは酪農家に引き取られたという話だった。

 リアラはすぐさま司祭の部屋に駆け込んで抗議をした。

 すると返事はこうだった。

 「デリシャスの兄妹達を提供してくれた酪農家の方々が、デリシャスが異常な発達を遂げたので酪農家の方々が引き取って調べたいという話だったのでね。」

 「調べたいって…まさか殺したりするのですか?」

 「いえ、普通に他の子達と一緒に生活をさせて同じ様に発達をするかどうかを確認するだけですよ。ただ、デリシャスはもう神殿には帰っては来ませんけどね。」

 「何故なんですか!私はデリシャスを見守って行きたいと言いましたよね?」

 「リアラの気持ちも分からなくはありません…が、これはすでに決定した話なので諦めなさい。」

 こんな事になるんだったら…デリシャスをさっさと殺って食べれば良かった。

 だけどそれはもう叶わない…じゃなくて、このままだと旅に出発する時間が早まってしまう。

 しかも旅の同行者が真面目でお堅い神殿騎士なのだから、一緒にいるだけで息が詰まりそうだしストレスが半端無い。

 これからの工程を考えると、防衛手段の攻撃魔法を学ばさせられるのよねぇ?

 攻撃魔法を覚えさせられるのは別に構わない。

 なら…攻撃魔法を覚えたら神殿からバックれるか!

 学べる物を学んでしまえば、神殿にいる意味はもう無いし…元々聖女になる気なんてさらさら無いからね。

 それに…聖女になって各地を回って穢れの浄化が終わったら、次は城に入って礼儀作法や勉強をさせられて王子の妃になる…なんていう未来を勝手に決められるのだから。

 この王国の聖女は、聖女の血を濃くする為に王家に嫁いで王子の妃になるのが習わしらしい。

 それは平民から選ばれた聖女だと除外されるらしいが、私は一応侯爵家の令嬢なので条件には当て嵌まるらしい。

 けど、会った事もない王子と結婚する…という話以前に、王家に入ると好きな物が食べられるという訳ではなく、体型維持に為に食べ物が制限されるという話らしい。

 肉や魚はもっての外で、王家に入っても神殿での食生活が継続されるという話だった。

 そんな物はどう考えても耐えられそうに無い!

 そして翌日から防衛手段の攻撃魔法を学ばされる事になった。

 これがいつまで掛かるかわからないけど…バックれる準備だけはしておいた方が良いわよねぇ?
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