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聖女の修行の章
第十六話
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大神殿のリアラ担当の司祭は悩んでいた。
慈愛の精神を学ばさせる為に子牛をリアラに預けましたが…?
ちゃんと世話していますし可愛がっているようには見えます。
これで慈愛の精神を培ってくれれば良いのですが…?
「ですがリアラが子牛の名前を呼ぶ度に不安な気持ちになるのは何故でしょうねぇ…?」
司祭はリアラが子牛に名付けた「デリシャス」の意味を理解していなかった。
この世界では存在しない単語だからである。
そしてリアラも存在しない単語を知らない筈なのに、何故その名を名付けられたのか?
それはリアラが異世界から転生した存在だから…という訳ではなく、ただ単に「デリシャス」という言葉がふと頭の中に過ったから付けた名前だった。
なので意味を知っているという訳ではない。
本当に偶然というのは恐ろしい…というか不思議な物である。
「それに、あのデリシャスという子牛ですが…リアラが畑の作物から餌として野菜を食べさせているみたいですが、何なんですかあの野菜の大きさは⁉」
子牛の世話をする様になってから数週間、他の仕事の傍らで子牛を育てているのですが…明らかにあの子牛の兄妹達の中で一番大きく育っているんですよね。
愛情…なのでしょうか?
傍から見ていたら愛を持って接している様には見えますね。
慈愛の精神により…畑の作物にも影響が出ていて、リアラがいるだけでこの土地は豊饒の恵みにより作物の育ちも良いのですが、リアラの畑の作物だけ異常な成長を遂げているんですよね。
ニンジンがダイコンの様に太くて大きく、キャベツは異常に成長したカボチャの様に大きく、ダイコンに至っては成人男性の身長よりも太くて大きく成長しているんです。
本来なら牧草でも十分育つ牛が急成長する筈ですよね。
それにただ食べさせるだけではなく、ちゃんと運動もさせていますし…デリシャスから排出されたフンも肥料と混ぜると他の畑では異常な成長を遂げていますし。
「少し…いえ、かなり不安は残りますが…一応は慈愛の精神が身に付いていると思って良いのでしょうかねぇ?」
司祭はしばらくすると牧場から離れて行った。
そしてリアラとデリシャスはというと?
「早く大きくなってミルクを一杯出せる様になってね。そして…じゅるり!」
リアラには本当に慈愛の精神が身に付いているのだろうか?
慈愛の精神を学ばさせる為に子牛をリアラに預けましたが…?
ちゃんと世話していますし可愛がっているようには見えます。
これで慈愛の精神を培ってくれれば良いのですが…?
「ですがリアラが子牛の名前を呼ぶ度に不安な気持ちになるのは何故でしょうねぇ…?」
司祭はリアラが子牛に名付けた「デリシャス」の意味を理解していなかった。
この世界では存在しない単語だからである。
そしてリアラも存在しない単語を知らない筈なのに、何故その名を名付けられたのか?
それはリアラが異世界から転生した存在だから…という訳ではなく、ただ単に「デリシャス」という言葉がふと頭の中に過ったから付けた名前だった。
なので意味を知っているという訳ではない。
本当に偶然というのは恐ろしい…というか不思議な物である。
「それに、あのデリシャスという子牛ですが…リアラが畑の作物から餌として野菜を食べさせているみたいですが、何なんですかあの野菜の大きさは⁉」
子牛の世話をする様になってから数週間、他の仕事の傍らで子牛を育てているのですが…明らかにあの子牛の兄妹達の中で一番大きく育っているんですよね。
愛情…なのでしょうか?
傍から見ていたら愛を持って接している様には見えますね。
慈愛の精神により…畑の作物にも影響が出ていて、リアラがいるだけでこの土地は豊饒の恵みにより作物の育ちも良いのですが、リアラの畑の作物だけ異常な成長を遂げているんですよね。
ニンジンがダイコンの様に太くて大きく、キャベツは異常に成長したカボチャの様に大きく、ダイコンに至っては成人男性の身長よりも太くて大きく成長しているんです。
本来なら牧草でも十分育つ牛が急成長する筈ですよね。
それにただ食べさせるだけではなく、ちゃんと運動もさせていますし…デリシャスから排出されたフンも肥料と混ぜると他の畑では異常な成長を遂げていますし。
「少し…いえ、かなり不安は残りますが…一応は慈愛の精神が身に付いていると思って良いのでしょうかねぇ?」
司祭はしばらくすると牧場から離れて行った。
そしてリアラとデリシャスはというと?
「早く大きくなってミルクを一杯出せる様になってね。そして…じゅるり!」
リアラには本当に慈愛の精神が身に付いているのだろうか?
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