14 / 88
聖女の修行の章
第十三話
しおりを挟む
リアラは街にある食堂の前で涙を流しながら立ち尽くしていた。
それは何故か…?
野菜を育てて司祭から得た報酬では肉料理が食べられないからだった。
司祭から貰った金額は銅貨10枚。
銅貨1枚は日本円に換算すると100円に相当します。
この世界では1番安いパンは銅貨1枚、肉は銅貨10枚で購入出来る。
それ程までに肉は高価な食材だった。
それはこの王都でも例外では無かった。
そしてレストランではなく食堂を選んだのは、庶民の懐に優しい良心的な価格という事で来たのだけれど…?
廃鶏のステーキ…卵を産み尽くして疲弊した鶏のステーキさえ銅貨15枚だった。
持っている金額では全然足りなかった。
しかもこの食堂は価格は良心的なので値切りは無理でツケも無い。
リアラの期待は見事に打ち砕かれたのだった。
「後は銅貨5枚かぁ…」
ぶっちゃけ…銅貨5枚を稼ぐ方法は幾つかある。
怪我人を見つけて回復魔法を掛けて報酬で貰えば良い…のだけど、問題はそれをやると騎士団に捕まる可能性がある。
回復魔法は免許が必要だった。
それは神官に限らずに冒険者のヒーラーも例外では無い。
回復術士やヒーラーは貴重な存在で、冒険者として活動する際にも回復術免許が必要で神殿で発行して貰うという規則がある。
何故そうなのかはよく分からない…というのはリアラの怠慢から来るものだった。
リアラも聞いてはいる筈なのだが、自分には関係無いと思って素通りしていたからだ。
その免許無しで回復魔法を使うだけなら問題は特に無いが、報酬を得たり料金を得ようとすると捕縛される対象になるという厄介な物だった。
リアラは神殿内であればお布施を貰うという行為は問題は無いのだが、神殿の外でそれを行うと例え神官や聖女であろうとも捕まるのであった。
野良ヒーラーもいない事はない…が、大体通報されて捕まる者が後を絶たなかった。
「お肉を食べたい!…けど、まだ捕まりたくない!」
神殿での聖女の修行というのは、神殿の外で生活するのに適した資金調達の為にあるのではないかと思える内容が主だった。
まぁ…元々伝承の聖女様は、魔王を討伐する為に神殿内での生活より外で暮らしていた方が長かったという話だからね。
聖女の修行はその名残ではないかと思えてくる。
それ以外にも他にまだ役に立てる事を学べるかも知れない…と考えると、まだ捕まる訳にはいかないのだった。
リアラは涙を飲んでその場を立ち去った。
次こそは…と誓いを立てながら!
それは何故か…?
野菜を育てて司祭から得た報酬では肉料理が食べられないからだった。
司祭から貰った金額は銅貨10枚。
銅貨1枚は日本円に換算すると100円に相当します。
この世界では1番安いパンは銅貨1枚、肉は銅貨10枚で購入出来る。
それ程までに肉は高価な食材だった。
それはこの王都でも例外では無かった。
そしてレストランではなく食堂を選んだのは、庶民の懐に優しい良心的な価格という事で来たのだけれど…?
廃鶏のステーキ…卵を産み尽くして疲弊した鶏のステーキさえ銅貨15枚だった。
持っている金額では全然足りなかった。
しかもこの食堂は価格は良心的なので値切りは無理でツケも無い。
リアラの期待は見事に打ち砕かれたのだった。
「後は銅貨5枚かぁ…」
ぶっちゃけ…銅貨5枚を稼ぐ方法は幾つかある。
怪我人を見つけて回復魔法を掛けて報酬で貰えば良い…のだけど、問題はそれをやると騎士団に捕まる可能性がある。
回復魔法は免許が必要だった。
それは神官に限らずに冒険者のヒーラーも例外では無い。
回復術士やヒーラーは貴重な存在で、冒険者として活動する際にも回復術免許が必要で神殿で発行して貰うという規則がある。
何故そうなのかはよく分からない…というのはリアラの怠慢から来るものだった。
リアラも聞いてはいる筈なのだが、自分には関係無いと思って素通りしていたからだ。
その免許無しで回復魔法を使うだけなら問題は特に無いが、報酬を得たり料金を得ようとすると捕縛される対象になるという厄介な物だった。
リアラは神殿内であればお布施を貰うという行為は問題は無いのだが、神殿の外でそれを行うと例え神官や聖女であろうとも捕まるのであった。
野良ヒーラーもいない事はない…が、大体通報されて捕まる者が後を絶たなかった。
「お肉を食べたい!…けど、まだ捕まりたくない!」
神殿での聖女の修行というのは、神殿の外で生活するのに適した資金調達の為にあるのではないかと思える内容が主だった。
まぁ…元々伝承の聖女様は、魔王を討伐する為に神殿内での生活より外で暮らしていた方が長かったという話だからね。
聖女の修行はその名残ではないかと思えてくる。
それ以外にも他にまだ役に立てる事を学べるかも知れない…と考えると、まだ捕まる訳にはいかないのだった。
リアラは涙を飲んでその場を立ち去った。
次こそは…と誓いを立てながら!
33
お気に入りに追加
201
あなたにおすすめの小説
離婚した彼女は死ぬことにした
まとば 蒼
恋愛
2日に1回更新(希望)です。
-----------------
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。
もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。
今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、
「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」
返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。
それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。
神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。
大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。
-----------------
とあるコンテストに応募するためにひっそり書いていた作品ですが、最近ダレてきたので公開してみることにしました。
まだまだ荒くて調整が必要な話ですが、どんなに些細な内容でも反応を頂けると大変励みになります。
書きながら色々修正していくので、読み返したら若干展開が変わってたりするかもしれません。
作風が好みじゃない場合は回れ右をして自衛をお願いいたします。

家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。


学園にいる間に一人も彼氏ができなかったことを散々バカにされましたが、今ではこの国の王子と溺愛結婚しました。
朱之ユク
恋愛
ネイビー王立学園に入学して三年間の青春を勉強に捧げたスカーレットは学園にいる間に一人も彼氏ができなかった。
そして、そのことを異様にバカにしている相手と同窓会で再開してしまったスカーレットはまたもやさんざん彼氏ができなかったことをいじられてしまう。
だけど、他の生徒は知らないのだ。
スカーレットが次期国王のネイビー皇太子からの寵愛を受けており、とんでもなく溺愛されているという事実に。
真実に気づいて今更謝ってきてももう遅い。スカーレットは美しい王子様と一緒に幸せな人生を送ります。

魅了の魔法を使っているのは義妹のほうでした・完
瀬名 翠
恋愛
”魅了の魔法”を使っている悪女として国外追放されるアンネリーゼ。実際は義妹・ビアンカのしわざであり、アンネリーゼは潔白であった。断罪後、親しくしていた、隣国・魔法王国出身の後輩に、声をかけられ、連れ去られ。
夢も叶えて恋も叶える、絶世の美女の話。
*五話でさくっと読めます。
【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね
江崎美彩
恋愛
王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。
幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。
「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」
ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう……
〜登場人物〜
ミンディ・ハーミング
元気が取り柄の伯爵令嬢。
幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。
ブライアン・ケイリー
ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。
天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。
ベリンダ・ケイリー
ブライアンの年子の妹。
ミンディとブライアンの良き理解者。
王太子殿下
婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。
『小説家になろう』にも投稿しています

追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

【完結80万pt感謝】不貞をしても婚約破棄されたくない美男子たちはどうするべきなのか?
宇水涼麻
恋愛
高位貴族令息である三人の美男子たちは学園内で一人の男爵令嬢に侍っている。
そんな彼らが卒業式の前日に家に戻ると父親から衝撃的な話をされた。
婚約者から婚約を破棄され、第一後継者から降ろされるというのだ。
彼らは慌てて学園へ戻り、学生寮の食堂内で各々の婚約者を探す。
婚約者を前に彼らはどうするのだろうか?
短編になる予定です。
たくさんのご感想をいただきましてありがとうございます!
【ネタバレ】マークをつけ忘れているものがあります。
ご感想をお読みになる時にはお気をつけください。すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる