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貴族ざまぁの章

第六話

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 「返しますね、これ…」

 私はコートをテリガン侯爵に返し、靴もリアナに渡した。

 そしてケーキも手に取らずに返した。

 ケーキの様な甘味は食べた事がないから甘いという事は分かっても、それが美味しいという事は多分理解出来ないと思ったからだった。

 「何故…」

 「その場の取り繕いで体に合わない物を貰っても嬉しくないからですよ。なのでコレらはいりませんし、必要もありませんので…」

 私は父親であるテリガン侯爵にそういうと司祭の元に駆け寄った。

 「お前が居なくなったら…私のテリガン侯爵領はどうなる?」

 「さぁ?」

 テリガン侯爵は絶望的な表情をしていた。

 私は神殿関係者と共に馬車に乗せられて王都に向かって旅立って行った。

 そしてテリガン侯爵家に戻った夫妻と姉のリアナはというと…?

 その日は何も起きなかったが、翌日から酷い豪雨と暴風が吹き荒れて領内のあっちこっちで作物の被害の報告を受けた。

 川の氾濫で作物は押し流されて、領民にも家が流されたり土砂崩れで埋まったりして行方不明者の報告が多数あげられた。

 更には疫病が発生し、領民以外に侯爵家の使用人達も感染して数百人の死亡が報告された。

 子供達が生まれてから豊作以外に、これと言って荒れる事もない温暖な天候だった筈なのに…リアラが居なくなった途端にこうした事が起きたのだった。

 そしてテリガン侯爵家では、テリガン夫妻の皺寄せが姉のリアナに降り掛かっていた。

 因果応報というべきか…?

 悪い行いをすれば、いつか自分の身に降り掛かってくる。

 テリガン侯爵はこの事を身を持って知る事になったのだった。

 そしてテリガン侯爵領内は、再び貧困な生活を送る事になるのだが…果たして救いの道は来るのだろうか?
 
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