上 下
4 / 88
貴族ざまぁの章

第三話 

しおりを挟む
 「そんな馬鹿なことが…」

 「豊穣の恵みは大変素晴らしい能力ですよ、その人物がその土地にいるだけで大いなる恵みをもたらすという女神の恩恵ですから。」

 「我が領地は娘が生まれるまでは貧しい環境だったが、だがそれはリアナのお陰だとばかり思っていたのに。」

 「先ほども申した通りリアナ嬢にはそう言った能力や加護が全く見受けられませんね、逆に珍しいですよ、加護も何も持たない者が生まれてくるなんて…」

 相変わらずというべきか…両親が私に向ける視線は睨んでいた。

 それにしても領地が豊作になったのは私の加護のお陰だったとはね?

 それ以外にも慈愛とか癒しを与えるとか言っていたけど…酷い怪我を治したあの光が癒しの力なのかな?

 リアラは子供の頃から酷い虐待を家族や使用人達から受けていた。

 私の容姿を気に入らない両親は酷くあたり、姉のリアナからは鞭で叩かれたり、使用人のメイドからは箒やモップで殴られた事もあった。

 その度に酷い怪我を負っていたけど、子供の頃から痛みを無くしてと願うと手から光が出て怪我が治ったという事があった。

 まぁどうであれ、私が家から追い出されるのは決まっているからどうでも良いんだけど…。

 「聖女とか言われてもねぇ…?」

 「リアラ嬢はこれからどういたしますか?」

 「私は神託の結果がどうであれ…侯爵家から追い出されるという話ですからね。家を出ても当てがあるわけでも無いし、その辺でのたれ死ぬでしょうね。」

 「ならば、リアラ嬢の身柄は神殿でお預かりするというのは如何でしょうか。ちゃんとした聖女の修業を経て、立派な聖女として…」

 「聖女云々はどうでも良いんだけど、神殿ではお腹いっぱいに食べさせてくれるの?」

 「衣食住には全く問題はありませんのでご安心下さい。」

 「ならばすぐに連れて行って下さい。」

 「ですが…リアラ嬢にも家に戻ってから用意する物とかもあるでしょう?」

 「私の服装を見て家に大事な物があると思いますか?」

 司祭はリアラを見ると納得した様に頷いて見せた。

 「ちょっと待ってくれ!」

 テリガン侯爵はそのやり取りを見て声をあげた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

私の手からこぼれ落ちるもの

アズやっこ
恋愛
5歳の時、お父様が亡くなった。 優しくて私やお母様を愛してくれたお父様。私達は仲の良い家族だった。 でもそれは偽りだった。 お父様の書斎にあった手記を見た時、お父様の優しさも愛も、それはただの罪滅ぼしだった。 お父様が亡くなり侯爵家は叔父様に奪われた。侯爵家を追い出されたお母様は心を病んだ。 心を病んだお母様を助けたのは私ではなかった。 私の手からこぼれていくもの、そして最後は私もこぼれていく。 こぼれた私を救ってくれる人はいるのかしら… ❈ 作者独自の世界観です。 ❈ 作者独自の設定です。 ❈ ざまぁはありません。

転生巫女は『厄除け』スキルを持っているようです ~神様がくれたのはとんでもないものでした!?〜

鶯埜 餡
恋愛
私、ミコはかつて日本でひたすら巫女として他人のための幸せを祈ってきた。 だから、今世ではひっそりと暮らしたかった。なのに、こちらの世界に生をくれた神様はなぜか『とんでもないもの』をプレゼントしてくれたようだった。 でも、あれれ? 周りには発覚してない? それじゃあ、ゆっくり生きましょうか……――って、なんか早速イケメンさんにバレそうになってるんですけど!?

ある愚かな婚約破棄の結末

オレンジ方解石
恋愛
 セドリック王子から婚約破棄を宣言されたアデライド。  王子の愚かさに頭を抱えるが、周囲は一斉に「アデライドが悪い」と王子の味方をして…………。 ※一応ジャンルを『恋愛』に設定してありますが、甘さ控えめです。

【短編】お姉さまは愚弟を赦さない

宇水涼麻
恋愛
この国の第1王子であるザリアートが学園のダンスパーティーの席で、婚約者であるエレノアを声高に呼びつけた。 そして、テンプレのように婚約破棄を言い渡した。 すぐに了承し会場を出ようとするエレノアをザリアートが引き止める。 そこへ颯爽と3人の淑女が現れた。美しく気高く凛々しい彼女たちは何者なのか? 短編にしては長めになってしまいました。 西洋ヨーロッパ風学園ラブストーリーです。

[完結] 私を嫌いな婚約者は交代します

シマ
恋愛
私、ハリエットには婚約者がいる。初めての顔合わせの時に暴言を吐いた婚約者のクロード様。 両親から叱られていたが、彼は反省なんてしていなかった。 その後の交流には不参加もしくは当日のキャンセル。繰り返される不誠実な態度に、もう我慢の限界です。婚約者を交代させて頂きます。

侯爵令嬢は限界です

まる
恋愛
「グラツィア・レピエトラ侯爵令嬢この場をもって婚約を破棄する!!」 何言ってんだこの馬鹿。 いけない。心の中とはいえ、常に淑女たるに相応しく物事を考え… 「貴女の様な傲慢な女は私に相応しくない!」 はい無理でーす! 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇 サラッと読み流して楽しんで頂けたなら幸いです。 ※物語の背景はふんわりです。 読んで下さった方、しおり、お気に入り登録本当にありがとうございました!

なにひとつ、まちがっていない。

いぬい たすく
恋愛
若くして王となるレジナルドは従妹でもある公爵令嬢エレノーラとの婚約を解消した。 それにかわる恋人との結婚に胸を躍らせる彼には見えなかった。 ――なにもかもを間違えた。 そう後悔する自分の将来の姿が。 Q この世界の、この国の技術レベルってどのくらい?政治体制はどんな感じなの? A 作者もそこまで考えていません。  どうぞ頭のネジを二三本緩めてからお読みください。

わたくし、残念ながらその書類にはサインしておりませんの。

朝霧心惺
恋愛
「リリーシア・ソフィア・リーラー。冷酷卑劣な守銭奴女め、今この瞬間を持って俺は、貴様との婚約を破棄する!!」  テオドール・ライリッヒ・クロイツ侯爵令息に高らかと告げられた言葉に、リリーシアは純白の髪を靡かせ高圧的に微笑みながら首を傾げる。 「誰と誰の婚約ですって?」 「俺と!お前のだよ!!」  怒り心頭のテオドールに向け、リリーシアは真実を告げる。 「わたくし、残念ながらその書類にはサインしておりませんの」

処理中です...