聖女になんかなりたくない！ 聖女認定される前に…私はバックれたいと思います。

貴族ざまぁの章

第一話

　神託の儀が執り行われる為に侯爵夫妻と双子の姉妹は順番を待っていた。

　待ち時間の間、リアラはケーキを食べながら…

　リアラはその様子を見せられながら地面に正座をさせられていた。

　リアラの今迄の生活で甘味なんか一切食べた事が無かった。

　それどころか与えられる食事は、野菜の切れ端や捨てられる様な食材で調味料を一切使わない水煮の物だった。

　テリガン侯爵はリアナが食べているケーキを羨ましそうに見ているリアラを蹴り飛ばして嘲笑った。

　「何を羨ましそうに見ているんだ、お前とリアナでは立場が違うのだから弁えよ！　それにこの神託の儀でようやくお前を追い出せる事が出来るからな！」

　リアラは無言で頷いた。

　リアラは全てを悟っていた。

　生まれてから一度も両親からの愛情は受けた事が無い。

　食事も粗末な物で甘味すら与えられない。

　部屋もリアナは貴族令嬢に相応しい部屋なのに対し、リアラの部屋は物置小屋のような部屋でベッドは無く、大きな布2枚を1枚は床に敷いてもう1枚は掛けて寝ていた。

　同じ親から生まれた双子なのにこうも扱いが違う事を踏まえて、もう未来は決まっていても同然だった。

　家から追い出されれば外では生きる術が無くなる。

　こんな扱いをされていて、こんな生活を送って来た体の持ち主が外の世界で生きて行けるなんて無理な話なのは分かっている。

　そんな事を考えていると双子に順番が回って来た。

　「お父様、お母様…私は大丈夫でしょうか？」
　
　「気にする事は無いぞリアナ、お前の未来は大変素晴らしいものだと証明されるだろう。　そこの出来損ないと違って…」

　リアナは両親の言葉に励まされて神託の儀に望んだ。

　リアナは司祭の前で跪いて祈りを捧げた。

　果たして…？