【完結】異世界転移特典で創造作製のスキルを手に入れた俺は、好き勝手に生きてやる‼~魔王討伐?そんな物は先に来た転移者達に任せれば良いだろ!~

アノマロカリス

文字の大きさ
上 下
32 / 45
魔大陸編の章

第七話 魔王樹・デヴァルダムツリーの交渉

しおりを挟む
 ルファリアは、ラックに放った光のマーカーを頼りに谷を移動していた。

 「街の住人の話だと、魔王樹はこの先にあるという話だけど?」

 ルファリアは慎重に進んで行くと、途中から焦げた何かの臭いが風の乗って漂って来た。

 ~~~~~ラックの場所では?~~~~~

 「言っておくが、俺には話なんてないぞ!」

 「ま、待つのじゃ! わらわはお主に対して交渉を行いたいと申しておるのじゃ‼」

 「交渉は不要だ! 後はお前を始末すれば俺の悪夢は開放されるんだからな‼」
 
 「わ、わらわを見逃してくれるのなら、後日お主に望みの物を叶えても良い‼」

 「後日じゃなくて今叶えろ! お前…後日とか言っているが、そのままバックレる気だろ?」

 魔王樹は、図星を差されたような顔をしていた。

 「な…何の事じゃ?」

 「嘘が下手な奴だな、交渉したいのならもう少しポーカーフェイスを勉強しろ!」

 俺はこんなのに構っている暇はない。

 さっさとコイツを始末して、次の街に行きたいだけだ。

 俺は溜息を吐くと、剣を構えて近付いて行った。

 「ま、ま、ま、待ってくれなのじゃ! お主は人間じゃろ? 人間ならば欲しい物は金や銀じゃろ?」

 「金や銀はいつでも作れるから別に要らん。 偉そうな態度を取っていた割には大した力はなさそうだな?」

 「そ…そうじゃ! まずは自己紹介をしよう。 わらわの名は…」

 「俺はお前の名前なんかに興味はない! これから始末される奴の名前を知りたいとは思わないしな!」

 「わ…わらわの名前は、魔王樹デヴァルダムツリーじゃ‼」

 「は?」

 魔王樹って…迷い人達の対象の魔王だったよな?

 魔大陸から魔界に引っ越して来たのか?

 「おい…多少の知恵があるからって名前を偽っているそこの樹! 嘘を吐くのならマシな嘘を吐け‼」

 「わらわは嘘なんか吐いてはおらんが?」

 「魔王樹って魔大陸にいると言われる厄災の権化の事だろう? そんな奴が何故魔界にいるんだよ?」

 「お主…頭は大丈夫かの?」

 「何だと? お前は俺の事を馬鹿だと言いたいのか?」

 俺は頭に来て剣を振り翳した。

 すると魔王樹デヴァルダムツリーは、その場で土下座をして頭を地面に打ち付けた。

 「す、済まぬのじゃ‼ 決してお主を馬鹿にしたのではなく…ここが魔大陸と言いたかったのじゃ!」

 「は? ここは魔界だろ?」

 「いえ、ここは魔大陸です。」

 俺は後ろを振り返ると、ルファリアが息を切らせながら会話に参加して来た。

 「ルファリアここは本当に魔大陸なのか? 俺はラッキから雲海の下は魔界と聞いていたんだが…」

 「ラッキ様も伝承で聞いていただけなので、雲海の下は魔界の大地と疑っていなかったみたいですね。」

 「つまり何か? 俺は勇者達と共に倒す筈の魔王を追い込んでいるのか?」

 「はい…まさかラック様が世界の厄災と呼ばれる魔王樹を1人で追い詰めていたなんて思いませんでしたわ!」

 俺はコイツに遭いたくなくて戦いを回避しよとしていたのに…まさか1人で追い詰めているとは思わなかった。

 「ふむ…? ならばお前を生かしておく理由は無くなったな!」

 「ま、待つんじゃ‼ そうじゃ、わらわを見逃してくれるのであれば…引き換えにお主の望む物を与えよう! お主は何を望む?」

 「ラック様、魔王との交渉何てしてはなりません!」

 「俺の欲しい物は…この世界全部だ‼」

 「「は?」」

 「俺の願いを叶えてくれるんだよな? ほら、さっさと叶えろ‼」

 「え…いや、あの…お主は世界を手に入れて何をする気じゃ?」

 「俺が世界を手に入れたら…逆らう者は蹂躙し、女や金銀財宝は全て手中にし、気に入らぬ物や人がいたら破壊してやろうと思っている。」

 「わ…わらわよりよっぽど魔王じゃないかえ!」

 「俺の願いを叶えてくれるんだろ? さっさと叶えて見せろ‼」

 「今のわらわにその力はない…」

 「そうか、なら死ね!」

 「ま、待つんじゃ! 今のわらわにはその力はないが、お主が世界を手に入れる手助けは出来るじゃろう!」

 「お前さっき、理由を付けてバックレようとしただろ? そんな奴のいう事を素直に信じると思っているのか?」

 「そ…それは! あ、そうじゃ! 先程までお主の願いを知っておらんかったからじゃ! 目的を知ったのなら協力は出来るのじゃ!」

 「お前、今思い付いた様な発言をしておいて俺が信じると思っているのか? お前は俺の事を単純な馬鹿だと思ってないか?」

 「そ…そんな事は思っとらんのじゃ! それでどうじゃ? わらわの力…使ってみる気はないかえ?」

 「不要だ! 俺は自分の力でもやり遂げられるからな! 口で誤魔化して裏切ろうとする奴のいう事をまともに聞く気はない!」

 俺は空の容器を魔王樹デヴァルダムツリーに放り投げてから、ガソリン+ニトログリセリンの入った物を投げ付けた。

 ガソリン+ニトログリセリンは魔王樹デヴァルダムツリーに当たると再びぶっ掛ける事に成功し、地面に手を触れてから鋼の球状で魔王樹デヴァルダムツリーを囲い始めた。

 そして穴が徐々に閉じて行く瞬間を狙ってマッチで付けた火を投げ込むと、すぐに穴を塞いだ。

 鋼の球状の中では勢い良く燃えて爆発し始めたのだった。

 鋼の球状で囲っているのなら酸欠で爆発しないだろうと思っているかもしれないが、その為の空の容器だった。

 本来なら何かの薬品を詰める為に用意したのだが、薬品が足りなくなって余ってしまったので空の容器に入っているのはただの酸素だった。

 つまり…本来なら酸欠になる筈の球状だが、爆発するにつれて空の容器も破裂する為に酸素が補充されて連鎖的に爆発力を生み出したのであった。

 ガソリンだけなら鋼の球状も問題は無かったのだったが、ガソリン+ニトログリセリンの威力は凄まじくて…内側から暴発して鋼の球状の形を変えて行ったのだった。

 「さすがにあの威力なら生きてはいないだろう…」

 「それよりもラック様、先程魔王樹との交渉の際に世界を手に入れて…という話は本当なんですか?」

 「あぁ、あれは嘘だ。 俺は世界をどうこうする気はない。 あの時は魔王樹の企みを知る為に聞き出そうとしていただけだ。」

 「その話…信じても宜しいのですか?」

 「俺は元の世界では居場所がないからな、こっちで新たに生活を始めようと思っているのに、世界を征服する気は無いし、怠くてそんなかったるい事はする気もない。」

 「それなら良いのですが…」

 「それよりも爆発音がしなくなったな。」

 俺は鋼の球状を解除すると、焦げて30㎝位に小さくなった魔王樹デヴァルダムツリーが「ポエェェェェ…」という声を発していた。

 「なんだ、まだ生きているのか?」

 「わ…わらわにはもう何も出来ぬ! このまま見逃してはくれぬか?」

 「どうするルファリア?」

 「仮にも魔王を名乗る者です…が、ここ迄小さくなったら何も出来ないしょう。」

 「…とルファリアが言っているので見逃してやる…」

 その言葉に魔王樹デヴァルダムツリーはニヤリと笑みを浮かべた。

 「何て言うと思っているのか? ほれ、除草剤!」

 俺はスプレー容器の中にある除草剤をあるだけ散布した。

 巨大なツリーの状態なら除草剤も効果が無いだろうが、ここ迄小さくなったら効果はあった。

 魔王樹デヴァルダムツリーは小さな悲鳴を上げながら徐々に縮んで行って…最後には綺麗さっぱり消滅したのだった。

 「よし、これで終わった!」

 「弱くなって命乞いをしているのに、何てえげつない事を…」

 「だがアイツが生きていると、各地の厄災の種はそのまま残っているんじゃないか? ただ本体が消滅すれば、種も消滅するだろ?」

 「それは…そうですが。」

 ルファリアは何処か納得していない顔をしていた。

 何はともあれ…迷い人である勇者達が倒す筈の魔王樹デヴァルダムツリーを倒す事が出来た!

 …で?

 倒したら何かしらの事が起きると思っていたが…何も起こらんな?

 小説とかの話だと、いきなり神の宮殿にでも飛ばされるかと思ったが…?

 アーダインの村にある転移陣に行かないと何も起きないのか?

 「あ、そうだルファリア! お前…俺に放った転移陣が使えなくなる魔法を解いてくれ!」

 「そうでしたね…諸悪の権現の魔王樹は討伐されたのですから、魔法は解いて差し上げますわ!」

 俺はルファリアから放った光が解除された。

 これで転移陣が使える様になる!

 「それにしても神からは何のコンタクトがないが…まさか魔王樹って他にもあるのか?」

 「あんなものが2つも3つもあるとは思えません。」

 「だよな…?」

 やはりアーダインの村の転移陣に行くしかないのかねぇ?

 俺はその場で少し休息してからダメルベーゼの街に向かう事しようとした。

 「ラック様、我がトラヴィスオーケア王国に一緒に赴いては貰えませんか?」

 「ルファリアの故郷だっけ? 俺が行って何かあるのか?」

 「魔王を倒した者として、我が国王陛下にお会いして欲しいのです。」

 何だか面倒な事が待っている気がしないな…?

 適当な理由を付けて逃げようとすれば、また転移陣を封じられる魔法とか掛けられそうだしな。

 ここは素直にいう事を聞く事にするか。

 そして俺はルファリアに着いてトラヴィスオーケア王国に向かったのだった。

 案の定…王国で待っていたのは厄介事なのだった。
しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷
ファンタジー
 綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。 ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。  目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。 その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。  その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。  そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。  これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。

えっ、能力なしでパーティ追放された俺が全属性魔法使い!? ~最強のオールラウンダー目指して謙虚に頑張ります~

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
コミカライズ10/19(水)開始! 2024/2/21小説本編完結! 旧題:えっ能力なしでパーティー追放された俺が全属性能力者!? 最強のオールラウンダーに成り上がりますが、本人は至って謙虚です ※ 書籍化に伴い、一部範囲のみの公開に切り替えられています。 ※ 書籍化に伴う変更点については、近況ボードを確認ください。 生まれつき、一人一人に魔法属性が付与され、一定の年齢になると使うことができるようになる世界。  伝説の冒険者の息子、タイラー・ソリス(17歳)は、なぜか無属性。 勤勉で真面目な彼はなぜか報われておらず、魔法を使用することができなかった。  代わりに、父親から教わった戦術や、体術を駆使して、パーティーの中でも重要な役割を担っていたが…………。 リーダーからは無能だと疎まれ、パーティーを追放されてしまう。  ダンジョンの中、モンスターを前にして見捨てられたタイラー。ピンチに陥る中で、その血に流れる伝説の冒険者の能力がついに覚醒する。  タイラーは、全属性の魔法をつかいこなせる最強のオールラウンダーだったのだ! その能力のあまりの高さから、あらわれるのが、人より少し遅いだけだった。  タイラーは、その圧倒的な力で、危機を回避。  そこから敵を次々になぎ倒し、最強の冒険者への道を、駆け足で登り出す。  なにせ、初の強モンスターを倒した時点では、まだレベル1だったのだ。 レベルが上がれば最強無双することは約束されていた。 いつか彼は血をも超えていくーー。  さらには、天下一の美女たちに、これでもかと愛されまくることになり、モフモフにゃんにゃんの桃色デイズ。  一方、タイラーを追放したパーティーメンバーはというと。 彼を失ったことにより、チームは瓦解。元々大した力もないのに、タイラーのおかげで過大評価されていたパーティーリーダーは、どんどんと落ちぶれていく。 コメントやお気に入りなど、大変励みになっています。お気軽にお寄せくださいませ! ・12/27〜29 HOTランキング 2位 記録、維持 ・12/28 ハイファンランキング 3位

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。 スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。 だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。 それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。 色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。 しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。 ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。 一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。 土曜日以外は毎日投稿してます。

追放された回復術師は、なんでも『回復』できて万能でした

新緑あらた
ファンタジー
死闘の末、強敵の討伐クエストを達成した回復術師ヨシュアを待っていたのは、称賛の言葉ではなく、解雇通告だった。 「ヨシュア……てめえはクビだ」 ポーションを湯水のように使える最高位冒険者になった彼らは、今まで散々ポーションの代用品としてヨシュアを利用してきたのに、回復術師は不要だと考えて切り捨てることにしたのだ。 「ポーションの下位互換」とまで罵られて気落ちしていたヨシュアだったが、ブラックな労働をしいるあのパーティーから解放されて喜んでいる自分に気づく。 危機から救った辺境の地方領主の娘との出会いをきっかけに、彼の世界はどんどん広がっていく……。 一方、Sランク冒険者パーティーはクエストの未達成でどんどんランクを落としていく。 彼らは知らなかったのだ、ヨシュアが彼らの傷だけでなく、状態異常や武器の破損など、なんでも『回復』していたことを……。

神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました

向原 行人
ファンタジー
 僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。  実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。  そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。  なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!  そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。  だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。  どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。  一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!  僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!  それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?  待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

処理中です...