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異世界転移の章
第二十四話 何故、そこまでこだわる?
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俺はルファリアが出した決断に唖然としていた。
この女はまだ俺に何かを期待しているのか?
俺は魔王を倒す気はないし、他の転移者達に合流する気もないと話しただろう。
「ルファリア…お前って本当にしつこいな! しつこい女はモテないぞ。」
「私は巫女なのでモテるとかは必要ありません!」
全く…こうまで強情な女だとは思わなかった。
ルファリアに言われたのはこうだった。
先程は俺の事を信用してないと言った癖に、俺の事は信じたいと言って来た事だった。
ただ今の俺を信じるという話ではなく、魔王との決戦に対して俺が他の迷い人達と合流するという事を信じているという話だった。
以前の迷い人の中にも俺と同じ様に…厄災に立ち向かう事をせずに傍観しようとしていた者が居たそうだ。
だが結局は最後には合流して、世界の厄災を退けたという話だった。
ルファリアはどうやらその事について俺を信じるという発言をしたらしいのだった。
はぁ…本当に面倒臭い女だ!
さっさと始末したい所だが、あの力がある限り手は出せない。
さて…どうした物かな?
「分かった! だが、少し考える時間をくれ!」
俺は先程の鋼の小屋を作り出した。
「明日のこの時間にこの場に来てくれ、その時に答えを出すからな。」
「そんな事を言って、私達がこの場を離れたら逃げる気ではないですか?」
まぁ、子供じゃないんだからその指摘と疑いは当たり前か。
「逃げねぇよ! 信じられないかもしれないが、今は信じてくれ!」
「分かりました。 今は貴方を信じる事にします!」
「はぁ…」
「ですが私は貴女の事を完全に信じた訳ではありませんので、対策を取らせて戴きますね!」
ルファリアは天に向かって光を3つ放った。
何かの魔法か?
そう思っていたら、1つの光が俺に振って来た。
そして意外な返事が来た。
「この大陸より2つの転移陣の機能をラック様限定で停止させて戴きました。 他にも万が一を考えて、ラック様には転移陣を使えない術法を施しましたのでこの大陸から離れる事は出来ません。」
そこまでやるか、この女!
鋼の球状を落としてこの場に2人を呼んだ例もある。
正直言ってあの力も俺には何をしたらあぁなったのかが解らない。
…となると、下手に逃げても掴まる可能性があるか!
「分かったよ、逃げねぇから…明日になったらここに来い。」
「分かりましたわ。 では明日にまたお会いしましょう!」
ルファリアはそう言うと、ティスリルとラッキを連れてこの場を去って行った。
さて…どうするかな?
逃げるなと言われて素直にいう事を聞くほど、俺は素直な人間ではない。
地球に逃げる…という事も考えたが、転移陣が使えないという術法を施されている話が本当だとしたら…地球に逃げることも不可能だろう。
…となると、他に逃げれる場所があるとすれば?
俺は崖の下の雲海を見た。
…そう、後はここしか残ってはいなかった。
「さすがに雲海の下に逃げれば、ルファリアの呼び出す魔法も効果は無いだろう。」
俺は準備として…近くにある土や岩を片っ端から鋼の鉄球に変化させてマジックバックに放り込んだ。
そして目の前にある球状には入り口を塞ぎ、もう1つ別の鋼の球状を作り出してから中に入った。
中は完全な空洞ではなく、コックピットの様な造りで余分なスペースは全て鋼でコーティングした。
俺は遠隔操作で前進をすると、崖の上から雲海に向かって降りて行った。
雲海の下が大海原ではない事を祈った。
仮に海だった場合…更に水深が深すぎたら完全に終わりだからだ!
まぁ…落ちて行った鋼の球状から生えていた糸を手繰った際に、水の中の様な感触は無かったので違うとは思うが…?
さて、雲海の下には…本当に魔界の大地でも広がっているのだろうか?
~~~~~翌日~~~~~
ルファリアと他2名は、昨日の場所に現れた。
「ラック様、約束の1日が過ぎました。 その中から出て来て下さいませ!」
勿論、返答なんかない。
そこにあるのはただの鋼の球状なのだからだ。
ルファリアは嫌な予感がして、空に向かって光を放った。
ところが、ルファリアの放った光は雲海の方を指していた。
昨日ルファリアが放ってラックに当てた光は、転移陣を使用不可にするだけではなく発信機に似た効果もあるようだった。
「ラック様…何て事を!」
「ルファリア様、ラックの追尾した光が下を差しているという事は、ラックは雲海の下ですか?」
「はい…恐らくそうでしょうね。 何という事でしょうか、まさかあんな場所に⁉」
「雲海の下は魔界の大地が広がっているんですよね?」
「魔界の大地?…いえ、雲海の下には魔大陸が広がっているんです。 魔王の居城がある大地ですよ。」
「魔界じゃなかったのか…ラックはそんな場所に⁉」
雲海の下には魔界ではなく、魔大陸が広がっているという話だった。
ラックはこの後にどうなってしまうのだろうか?
物語は次章の魔大陸編に移ります。
この女はまだ俺に何かを期待しているのか?
俺は魔王を倒す気はないし、他の転移者達に合流する気もないと話しただろう。
「ルファリア…お前って本当にしつこいな! しつこい女はモテないぞ。」
「私は巫女なのでモテるとかは必要ありません!」
全く…こうまで強情な女だとは思わなかった。
ルファリアに言われたのはこうだった。
先程は俺の事を信用してないと言った癖に、俺の事は信じたいと言って来た事だった。
ただ今の俺を信じるという話ではなく、魔王との決戦に対して俺が他の迷い人達と合流するという事を信じているという話だった。
以前の迷い人の中にも俺と同じ様に…厄災に立ち向かう事をせずに傍観しようとしていた者が居たそうだ。
だが結局は最後には合流して、世界の厄災を退けたという話だった。
ルファリアはどうやらその事について俺を信じるという発言をしたらしいのだった。
はぁ…本当に面倒臭い女だ!
さっさと始末したい所だが、あの力がある限り手は出せない。
さて…どうした物かな?
「分かった! だが、少し考える時間をくれ!」
俺は先程の鋼の小屋を作り出した。
「明日のこの時間にこの場に来てくれ、その時に答えを出すからな。」
「そんな事を言って、私達がこの場を離れたら逃げる気ではないですか?」
まぁ、子供じゃないんだからその指摘と疑いは当たり前か。
「逃げねぇよ! 信じられないかもしれないが、今は信じてくれ!」
「分かりました。 今は貴方を信じる事にします!」
「はぁ…」
「ですが私は貴女の事を完全に信じた訳ではありませんので、対策を取らせて戴きますね!」
ルファリアは天に向かって光を3つ放った。
何かの魔法か?
そう思っていたら、1つの光が俺に振って来た。
そして意外な返事が来た。
「この大陸より2つの転移陣の機能をラック様限定で停止させて戴きました。 他にも万が一を考えて、ラック様には転移陣を使えない術法を施しましたのでこの大陸から離れる事は出来ません。」
そこまでやるか、この女!
鋼の球状を落としてこの場に2人を呼んだ例もある。
正直言ってあの力も俺には何をしたらあぁなったのかが解らない。
…となると、下手に逃げても掴まる可能性があるか!
「分かったよ、逃げねぇから…明日になったらここに来い。」
「分かりましたわ。 では明日にまたお会いしましょう!」
ルファリアはそう言うと、ティスリルとラッキを連れてこの場を去って行った。
さて…どうするかな?
逃げるなと言われて素直にいう事を聞くほど、俺は素直な人間ではない。
地球に逃げる…という事も考えたが、転移陣が使えないという術法を施されている話が本当だとしたら…地球に逃げることも不可能だろう。
…となると、他に逃げれる場所があるとすれば?
俺は崖の下の雲海を見た。
…そう、後はここしか残ってはいなかった。
「さすがに雲海の下に逃げれば、ルファリアの呼び出す魔法も効果は無いだろう。」
俺は準備として…近くにある土や岩を片っ端から鋼の鉄球に変化させてマジックバックに放り込んだ。
そして目の前にある球状には入り口を塞ぎ、もう1つ別の鋼の球状を作り出してから中に入った。
中は完全な空洞ではなく、コックピットの様な造りで余分なスペースは全て鋼でコーティングした。
俺は遠隔操作で前進をすると、崖の上から雲海に向かって降りて行った。
雲海の下が大海原ではない事を祈った。
仮に海だった場合…更に水深が深すぎたら完全に終わりだからだ!
まぁ…落ちて行った鋼の球状から生えていた糸を手繰った際に、水の中の様な感触は無かったので違うとは思うが…?
さて、雲海の下には…本当に魔界の大地でも広がっているのだろうか?
~~~~~翌日~~~~~
ルファリアと他2名は、昨日の場所に現れた。
「ラック様、約束の1日が過ぎました。 その中から出て来て下さいませ!」
勿論、返答なんかない。
そこにあるのはただの鋼の球状なのだからだ。
ルファリアは嫌な予感がして、空に向かって光を放った。
ところが、ルファリアの放った光は雲海の方を指していた。
昨日ルファリアが放ってラックに当てた光は、転移陣を使用不可にするだけではなく発信機に似た効果もあるようだった。
「ラック様…何て事を!」
「ルファリア様、ラックの追尾した光が下を差しているという事は、ラックは雲海の下ですか?」
「はい…恐らくそうでしょうね。 何という事でしょうか、まさかあんな場所に⁉」
「雲海の下は魔界の大地が広がっているんですよね?」
「魔界の大地?…いえ、雲海の下には魔大陸が広がっているんです。 魔王の居城がある大地ですよ。」
「魔界じゃなかったのか…ラックはそんな場所に⁉」
雲海の下には魔界ではなく、魔大陸が広がっているという話だった。
ラックはこの後にどうなってしまうのだろうか?
物語は次章の魔大陸編に移ります。
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