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第三章

第十話 一方その頃、トール達は…と?

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 一方その頃、トール達はというと…?
 転移魔法でとっくの昔に脱出した事を知らないトール達は、階層の階段の踊り場でテイト達が来るのを待ち構えていた。
 回復の泉も脱出装置も無いこのダンジョンは、セーフティゾーンも存在しないと思っていたのだが…?
 階層の階段の踊り場では、上の階層からや下の階層から魔物が侵入する事はない事を発見した。

 「いつになったらテイトは上がって来るんだ⁉︎」
 「意外と手古摺っているかも知れないわね?」
 「だが、それにしては遅くはないか?」
 「意外と下の階層で………」

 トール達はそんな事を話していた。
 トール達の中では、テイト達の活躍を散々耳にしていると言うのに…?
 未だに自分達よりも…いや、今の自分達の方が実力は上だと思っている様だった。
 以前に、テイトがトール達の目の前で転移魔法を使っている筈なのだが?
 トール達は、テイト達が転移魔法でとっくに脱出している事に気付いていなかった。

 「まぁ、いずれ待っていれば戻って来るわけだし、気長に待つとしようか!」
 「そうね、それにまさかこの場所がセーフティゾーンになっているとは思わなかったし…」

 トール達は、階層の階段の踊り場で休憩をしていた。
 下の階層から魔物達は上がる事は出来ず、上の階層からは強い敵がいる下層に降りる事はないのだった。
 ただ…トール達はいつまでその場所で待機をしているんだろうか?
 トール達がテイトが転移魔法を使えると分かるのは、それから半月後の事だった。

 ~~~~~一方、とある人物は?~~~~~

 「此処が王都だべかぁ~?まんず、人が多くて目眩しそうだなぁ~!」

 読者の皆さんは、この男の事は覚えているだろうか?
 そう、王都から1ヶ月近く離れた…バルファザリア地方のど田舎に住むた農民のテゐトだった。
 何故彼がこの場所に来たのかと言うと?
 
 「キリアから色々教わった収納魔法によって、鮮度を保ったまま王都に野菜を販売することが出来たべ!まんず、トール達には感謝しかねぇべ!」

 そう…テゐトは今迄に不可能だった地元の野菜を王都で売りに出す為に、こうして王都までやって来たのだが…?
 それ以外に、もう1つの目的があって王都にまで足を運んだのだった。

 「トール達は、そろそろ村の野菜を食してない所為でイライラが積もって来ているだろうな!」

 トール達の為に、親切で販売する野菜とは別の確保した分を持って来たのだった。
 ただ、それには少し誤算があり…?

 「トール達は、王都の方面で活動をしていると言っていたべか…冒険者ギルドで尋ねたら教えてくれるだべか?」

 冒険者ギルドで特定の冒険者を捜すには、受付で名前を挙げれば分からない訳ではない。
 ただ、トールという名前は大して珍しいという名前では無く、場所によってはトールという名前の冒険者は20人近くいる。
 何か特徴でも話せば…かなり絞られるとは思うのだが?
 テゐトは、トールが元勇者だったという話は一切知らなかった。
 更に言うと…テゐトは、トール達のパーティーの中でキリアの名前は知っていたが、リガートとカルネアに関してはあだ名で呼んでいた。
 だから、2人の名前が中々思いださせずにいた。
 また更に言うと…?
 キリアという名前の魔道士も、トールという名前以上に多かったりする為に…捜すのは難航を極めたのだった。

 「参っただなぁ…トールとキリアという名前が王都ではこんなに多いというのは知らなかっただ!」

 リガートとカルネアの名前を思い出せていれば問題は無いのだが、リガートの場合は村での生活の最中はタンクという事は分からずに、畑仕事が上手い奴…で、カルネアは医療士と思っていた。
 なので、捜すのが物凄く難航するのだった。

 「どうすれば良いだ?王都に来れば、トール達に会えると思ったのに…」

 これがど田舎に住む者の感覚なのだろうか?
 名前を話せば簡単に見つかるかも知れないと。

 そして今後…物語の登場人物は、テイトパーティーとトールパーティー以外に、テゐトの物語も追加されるのだった。
 果たして…テゐトは、トール達に無事に会えるのだろうか?
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