特殊スキル持ちの低ランク冒険者の少年は、勇者パーティーから追い出される際に散々罵しった癖に能力が惜しくなって戻れって…頭は大丈夫か?

アノマロカリス

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第二章

第二十五話 クラスチェンジ

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 「テイト!やっと見つけたぞ‼︎」
 「トール…って、腐っ!」
 
 僕はトール達と再会したが、若干臭ったが敢えてそこは大袈裟に言った。

 「おい、テイト!お前に…」
 「その前に、そこの宿で体洗ってからにしてくれ!お前はいつから風呂に入ってない?」
 「風呂?そんな事を言って逃げる気か?」
 「僕は散々騙しまくったお前じゃないんだから、待っていてやるから早くしろ!」
 「俺は別に臭わないが?」
 「それはお前ら全員同じ匂いがするから分からないんだよ。勇者に返り咲こうとか考えている奴が、そんな腐ったチーズにビネガーぶっ掛けた様な匂いを発してどうする?もしも勇者に返り咲いても、チーズ臭の勇者とかっていう不名誉なあだ名を付けられても良いのか?」
 「本当に逃げないな?」
 「良いから早くしろ!」

 トール達4人は、宿に入って行った。
 じっちゃんやばっちゃんは新聞を読んでいると言っていたので、僕を溺愛している祖父母が当然トール達を見れば…?

 『『『『ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』』』』

 僕が勇者パーティーを追い出された話も知っている訳で、その主犯が無事で済む訳がない。
 そういえば、じっちゃんとばっちゃんがハーネスト村にいる時は…トールは良く悪戯して殴られていたからな。
 それのトラウマが恐らく襲って来ているんだろう。

 「よし、この間に洞窟に向かうぞ!」
 「良いのか?待っているのではないのか?」
 「待つのは良いが、長いぞ?今頃風呂に叩き込まれてから、タワシで無理矢理洗われているだろうからな。」
 「そういえば、勇者パーティーのメンバーもお前と同じ村の出身という事は?」
 「当然、じっちゃんやばっちゃんにも面識はある。」
 「お前はこうなる事が解っていて宿に入らせたのか?」
 「そそ、これで当分は宿から出る事は出来ない。だから、やる事をやってしまおう!帰って来る頃には開放されている筈だから。」
 「お前は恐ろしい奴だな…」

 ブレイドは少し呆れて言った。
 これからテンションを上げてから挑まないと、勝てるものも勝てなくなってしまうしテンションも下がった状態では危険だからだ。
 絶対にトール達と話した後では、精神的な物に影響が出るから早めに済まそうとする為に宿に案内した。
 まず風呂に叩き込まれてから、鉄の鍋を洗うようなタワシで皮膚が血が出る位に洗われてから、長~いお説教が待っているだろう。
 下手すると、ボコボコに殴られるかもしれないな。
 生きていれば良いが?

 「ところでテイトに聞きたいのだが、クラスチェンジの石碑を守る守護者ってどんな奴だ?」
 「スプリガンっていう巨人らしい。」
 「スプリガンって、物語とかに良くある宝を守護する巨人の石像のか?」
 「らしいよ。レベルが100位ある上に、石像とは思えない程に動きが良いって。」
 「楽には勝てない…という事か!」
 「楽に勝てる奴なら、クラスチェンジは世に広まっていると思うが?」
 「あ…そうだよな。」

 クラスチェンジの為の火山洞窟には迷わずに着いた。
 …というか、テオドール温泉村の観光名所かしているのか、あっちこっちに看板があったので迷う事も無かった。
 火山洞窟という事だったから、てっきりダンジョンの最深部にいる物かと思っていたら…?
 洞窟の入り口に巨大な扉があって、その先にスプリガンが待ち構えているという話だった。

 「こんなに手っ取り早く済むのなら、なぜ今までクラスチェンジが世に広まらなかったんだろう?」
 「レベル100位の守護者だからじゃないか?」
 「それだったら数で押せば問題無いだろう?」
 「そっか、100人位で攻め込めば勝てるわよね、普通に考えれば…」
 「ただ、特定の条件が無いと石碑が反応しないとか?」
 「人数制限とかかな?」
 「分からないが、机上の空論だけ話していてもしょうがないだろう。とりあえず、扉を潜るとしよう。」

 僕は可能な限りの補助魔法を重ね掛けした。
 そしてブレイドに扉を開いて貰ってから中に入った。
 すると、松明が周囲に光りだしてから中央に巨人の石像が座っていた。

 「これがスプリガンか?」
 「大きさも3m位しかないが?」
 
 スプリガンの目が開いてから光が僕達に放射されると、スプリガンは4体に増えたのだった。
 なるほど、数で攻めても同じ数に増えられたら勝てる訳は無いよな。
 
 「どうやら、1人1殺という所か。」
 「これは数で攻めても同じ数が増えられたら対処は出来ないよな。レベル100位が同じ数で攻めてきたらまず勝ち目が無い上に、1人でもやられたら不利になる訳だし。」
 「テイト君どうするの?」
 「1人1殺だよ。僕等のレベルは100以上あるんだから死ぬ様な事は無いとは思うけど油断はするなよ!」

 僕達は1対1での戦闘になった。
 僕とブレイドは然程問題なく倒せたが、ダーネリアとルーナリアは苦戦をしていた。
 手助けに入ろうと思ったが、クラスチェンジの条件が自分で討伐するという物なら手出しはしない方が良いと考えた。
 ダーネリアは27分後に撃破し、ルーナリアも35分後に討伐したのだった。

 「えっと…これだけ?」
 「どうやらそうらしいな。」
 「何か呆気なかったな。」
 「私達は辛かったです。」
 「詠唱を唱えようとしたら目の前に居ましたから。」
 「魔道士向きではないんだな、だが倒せたので良しとしよう!」

 僕達は石碑に触れると、石碑は光りだして頭の中に声がした。

 《特定の条件が満たされました。クラスチェンジが可能です。》

 「頭の中に声がするな、奇妙な感じだ。」
 「クラスチェンジをすると、レベルが半分犠牲になると言っているが?50では無かったのか?」
 「母さんがクラスチェンジをした時がレベル100だったと考えると、丁度50減った事になるからそう言ったんじゃないかな?」
 「なんか、クラスチェンジがの話が来たけど承諾しても良いんだよね?」
 「あぁ、レベルが半分になるらしいがステータス向上すると考えれば安いもんだ。」

 ブレイドは、ウォーリアからダークナイトにクラスチェンジした。
 グラディエーターじゃなかったんだな。
 ダーネリアは、黒魔道士から黒魔導士にクラスチェンジした。
 呼び方は変わらないが、魔道士と魔導士とではランクが違っていた。
 ルーナリアも、白魔道士から白魔導士にクラスチェンジした。
 ステータスは跳ね上がったが、レベルが半分に低下した。

 「体中に漲る力を感じる…で、テイトはどんな感じだ?」
 「僕のは…何だろうコレ?」
 「テイト君はクラスチェンジが出来ないの?」
 「いや、出来ない事は無いんだけど…僕のはアンノウンからアンノウンになるだけなんだけど、ステータスは格段に上がるしスキルもそのまま固定なんだけど?」
 「今のレベルから半分なら115位だろ?」
 「いや、僕の場合は4分の3を持って行かれるらしい。レベルが50位迄下がる。」
 「そうなると、獲得経験値数〇倍が起動している間はレベルが上がらなくなるのか?」
 「そうなるのかな?情報量が多すぎて、イマイチ把握出来ない。」

 何か細かい設定が色々書かれているので全てが把握出来ない。
 だが、これは後でも確認出来るらしいから一応クラスチェンジをしては見るが…?
 僕はクラスチェンジをした…が、特に湧き上がる力を感じるという事は無く、何も変化が起きていない感じだった。

 「経験値だけゴッソリ持って行かれて、何も変化がない。まるで詐欺にあった気分だ。」
 「ステータスは飛躍的に上がってはいるんだろ?」
 「目に見える数値はね、ただ剣の重さも感じるし、羽の様に軽くなったという事もない。」
 「まだ体に馴染んでいないだけじゃないのか?」
 「そうなのかな?詳細は後日でも確認出来るらしいから、とりあえず戻るとしよう。」

 僕等は洞窟を出てから、祖父母の宿に戻った。
 すると、宿の前でトール達がボコボコになった状態で待ち構えていた。

 「テイト、何処に行っていた‼」

次回、最終回です。
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