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第二章
第二話 まだ、山の中腹です。
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翌日の早朝…僕達は入念に準備をしていた。
「山越えでの立ち位置を説明する!前衛にブレイド、中衛にダーネリアとルーナリア、後衛に僕が務める。」
「私とお姉ちゃんが後衛じゃないんだ?」
「山道では、前と後ろから魔物が襲ってくるからね。経験不足の2人だと、対処をするのが難しいと思っての陣形だよ。」
「私達は他には?」
「頭上と側面に気を配っていてくれれば良いよ。一応結界の類は張っておくけど、必ず防げるという訳では無いからね。」
山の魔物の大半は、土属性系の魔物と鳥などの風属性系の魔物が多い。
中にはゴーレムの類とか、大型の魔物とかも出現したりするという話だけど、ブレイドが前衛を僕が後衛を警戒していたら、大体は防げると思う。
「ダーネリアとルーナリアは、もう少し肩の力を抜け!警戒といってもガチガチに緊張していたら、いざという時に上手く立ち回れないからな。」
「そんな事を言われても…」
「こんな緊張感で移動するのは初めてだし…」
「前にブレイドがいて、後ろに僕が居るんだから安心しろ!」
僕達は山道を進んで行った。
山の中腹までは、大した魔物が出現しなかったが…そこから山頂までの道を見ると、所々に魔物の気配がしていた。
それ以外にも、山頂付近では鳥型の魔物が空を旋回していた。
僕は3人に気付かれない様に補助魔法を掛けておいた。
これで万が一襲われても、幾らかは軽減出来るだろう。
「ここでおさらい!土属性の魔物は風属性に弱く、風属性の魔物は土属性の攻撃に弱い。今回はこれだけ覚えておいてくれ!ただし、全てが全て有効では無いから、必要の時以外は僕が指示する。」
「全てを指示してくれるんじゃないの?」
「全てを僕に頼る気か?少しは自分で考えて行動するという事を考えろ。」
「私達は仲間だからですよね?」
「あぁ、全て指示通りで動くのなら…それは仲間じゃなくて手下だからな。」
ブレイドは警戒をしながら進んで行くと、100m位行った先で急に止まった。
そして合図をすると、ブレイドは出現した魔物に挑発のスキルを使って引き寄せた。
現れたのはローリングワームという1m位の魔物で、普段は足で歩いて移動しているが、危険を感じると体を丸めて転がってくるという厄介な魔物だった。
数は全部で4体だった。
*ダンゴムシだと思って下さい。
ブレイドが3体を受け持っていると、ダーネリアは1体に風魔法のエアカッター放った。
一度目は鱗に弾かれたが、二度目に同じ位置を狙うと…鱗を切り裂いてから仕留める事に成功したのだった。
ブレイドは両手剣を上手く利用してローリングワームを受け流しながら、隙を見て攻撃を仕掛けると、鱗を物ともせずに切り裂いて行った。
「お見事!…と言いたいけど、次が来ているよ!」
「え?」
僕が指を指した方向を見ると、4本脚の動物型のゴーレムが5体出現した。
さすがにこれは3人では苦戦するのが目に見えているので、僕も参加した。
「ゴーレムの類は風魔法で倒せるけど、場所によっては攻撃を弾かれるから、何処を狙えば良いか解るよな?」
「はい、関節の付け根の部分ですね!」
「うん、正解!だけどゴーレムだから、関節を切断したくらいで怯む訳じゃないから気を付けろよ!」
「ゴーレムに痛覚は無いだろうしね。」
僕とダーネリアは、風の弾丸のウィンドブレッドで関節を狙った。
僕は命中させたが、ダーネリアの命中精度はそれ程高くはない。
1匹はダーネリアに任せて、4匹は僕が引き受けた。
そして足を失って動けない所を、ブレイドがコアを破壊して行った。
「しかし、本当に山の魔物は一定の位置を越えると良く現れるな!」
「山の魔物の競争率は激しいらしいからね、山道に入る冒険者は御馳走だとでも思っているんじゃないかな?」
「ゴーレムもか?」
「ゴーレムが何故現れるか知っているか?個体にもよるが、大体は生体反応で襲ってくる場合と魔力に反応して襲ってくる場合がある。」
「で、ゴーレムが倒したその後は?」
「コアが倒した人間の魔力を吸い尽くすか、体力を吸い尽くすという感じで…あ、いたな!」
ブレイドは僕が見ている方向を見ると、そこにはロックリザードが姿を現した。
「ゴーレムの近くには、大概他の魔物がいると考えた方が良い。ゴーレムは魔力を食べるが、人間そのものは食べないので、こうした後処理の掃除屋がいるんだ。」
「魔物も賢いのがいるんだな!」
ロックリザードの動きが出現したと同時に動きが止まった。
相棒のゴーレムが倒されているとは思わなかったのだろう。
それを見過ごすブレイドではないので、一気に接近してから首を刎ねて始末した。
ブレイドは剣に着いた血を払うと、僕に聞いて来た。
「ロックリザードって、喰えないのか?」
「喰えない事は無いが、体積の7割は岩だからな…喰える部位が少ないぞって、腹でも減ったんか?」
「あぁ、少しな…街中と違って外では満腹になる程食事は許されないからな、動きも鈍くなるし…」
「ロックリザードは食には向かないが、食に向いている魔物は他にもいる。他の冒険者達は見た目のグロさから敬遠するけどな。」
「山の魔物は結構戦っているが…見た目のグロさっていうと、スパイダーの類か?」
「いや、マウンテンキャンサーだ。奴等は岩塩が取れる場所にいるから、調味料と食材が揃っていて都合がいい。」
「マウンテンキャンサーか、確かに見た目がグロいが…あれ喰えるのか?」
「塩茹でして甲羅が赤くなると食べ頃だぞ!足の肉が結構美味いんだ。」
それを聞いたブレイドは腹が鳴っていた。
僕は空間魔法から干し肉を取り出してブレイドに投げて渡した。
「満腹も厄介だが、空腹も厄介だからな。それをやるから、小腹位満たしておけ!」
「すまん!」
ダーネリアとルーナリアを見ると、山道で少し疲れている風に見えた。
僕は空間魔法からチョコレートを取り出して2人に渡した。
小腹が満たせる上に、多少の疲れなら取れるからだ。
「周りを警戒してないで良いのですか?」
「ロックリザードはこの辺の縄張りを仕切っている奴だからな。他の魔物も居ない訳ではないが、少しくらいなら平気だろう。」
「これ、甘くておいしいですね。どこで売っているんですか?」
「母さんの手作りだよ。家の裏の畑にはカックォの実が実っているからね。旅のお供に重宝すると言って、結構遠方の冒険者が買って行くんだ。」
「お母様の…感謝して食べます!」
まだ山の中腹でこんな感じだとすると、山頂付近では結構激しい戦闘になるだろうな?
このギャルクラド山にドラゴンとかはいないだろうが、代わりに結構厄介な奴がいて冒険者が苦戦しているが…僕等なら大丈夫だと思うが?
「さて、そろそろ出発するぞ!今日中には山を越える為にな!」
「あぁ!」「「はい!」」
僕の言葉がフラグになったのか、その結構厄介な奴と出くわす事になる。
そして、ブレイドに関係する厄介事も一緒に…。
果たして無事に山を越える事が出来るのだろうか?
~~~~~~~~~~
更新予定は、アノマロカリスの日記帳に書いている場合もあります。
基本的には僕の日常が描かれている日記です。
新作の更新予定や情報などもありますので、良ければ…!
あと、感想の方はいつでもお待ちしておりますので、宜しくお願いしますね!
「山越えでの立ち位置を説明する!前衛にブレイド、中衛にダーネリアとルーナリア、後衛に僕が務める。」
「私とお姉ちゃんが後衛じゃないんだ?」
「山道では、前と後ろから魔物が襲ってくるからね。経験不足の2人だと、対処をするのが難しいと思っての陣形だよ。」
「私達は他には?」
「頭上と側面に気を配っていてくれれば良いよ。一応結界の類は張っておくけど、必ず防げるという訳では無いからね。」
山の魔物の大半は、土属性系の魔物と鳥などの風属性系の魔物が多い。
中にはゴーレムの類とか、大型の魔物とかも出現したりするという話だけど、ブレイドが前衛を僕が後衛を警戒していたら、大体は防げると思う。
「ダーネリアとルーナリアは、もう少し肩の力を抜け!警戒といってもガチガチに緊張していたら、いざという時に上手く立ち回れないからな。」
「そんな事を言われても…」
「こんな緊張感で移動するのは初めてだし…」
「前にブレイドがいて、後ろに僕が居るんだから安心しろ!」
僕達は山道を進んで行った。
山の中腹までは、大した魔物が出現しなかったが…そこから山頂までの道を見ると、所々に魔物の気配がしていた。
それ以外にも、山頂付近では鳥型の魔物が空を旋回していた。
僕は3人に気付かれない様に補助魔法を掛けておいた。
これで万が一襲われても、幾らかは軽減出来るだろう。
「ここでおさらい!土属性の魔物は風属性に弱く、風属性の魔物は土属性の攻撃に弱い。今回はこれだけ覚えておいてくれ!ただし、全てが全て有効では無いから、必要の時以外は僕が指示する。」
「全てを指示してくれるんじゃないの?」
「全てを僕に頼る気か?少しは自分で考えて行動するという事を考えろ。」
「私達は仲間だからですよね?」
「あぁ、全て指示通りで動くのなら…それは仲間じゃなくて手下だからな。」
ブレイドは警戒をしながら進んで行くと、100m位行った先で急に止まった。
そして合図をすると、ブレイドは出現した魔物に挑発のスキルを使って引き寄せた。
現れたのはローリングワームという1m位の魔物で、普段は足で歩いて移動しているが、危険を感じると体を丸めて転がってくるという厄介な魔物だった。
数は全部で4体だった。
*ダンゴムシだと思って下さい。
ブレイドが3体を受け持っていると、ダーネリアは1体に風魔法のエアカッター放った。
一度目は鱗に弾かれたが、二度目に同じ位置を狙うと…鱗を切り裂いてから仕留める事に成功したのだった。
ブレイドは両手剣を上手く利用してローリングワームを受け流しながら、隙を見て攻撃を仕掛けると、鱗を物ともせずに切り裂いて行った。
「お見事!…と言いたいけど、次が来ているよ!」
「え?」
僕が指を指した方向を見ると、4本脚の動物型のゴーレムが5体出現した。
さすがにこれは3人では苦戦するのが目に見えているので、僕も参加した。
「ゴーレムの類は風魔法で倒せるけど、場所によっては攻撃を弾かれるから、何処を狙えば良いか解るよな?」
「はい、関節の付け根の部分ですね!」
「うん、正解!だけどゴーレムだから、関節を切断したくらいで怯む訳じゃないから気を付けろよ!」
「ゴーレムに痛覚は無いだろうしね。」
僕とダーネリアは、風の弾丸のウィンドブレッドで関節を狙った。
僕は命中させたが、ダーネリアの命中精度はそれ程高くはない。
1匹はダーネリアに任せて、4匹は僕が引き受けた。
そして足を失って動けない所を、ブレイドがコアを破壊して行った。
「しかし、本当に山の魔物は一定の位置を越えると良く現れるな!」
「山の魔物の競争率は激しいらしいからね、山道に入る冒険者は御馳走だとでも思っているんじゃないかな?」
「ゴーレムもか?」
「ゴーレムが何故現れるか知っているか?個体にもよるが、大体は生体反応で襲ってくる場合と魔力に反応して襲ってくる場合がある。」
「で、ゴーレムが倒したその後は?」
「コアが倒した人間の魔力を吸い尽くすか、体力を吸い尽くすという感じで…あ、いたな!」
ブレイドは僕が見ている方向を見ると、そこにはロックリザードが姿を現した。
「ゴーレムの近くには、大概他の魔物がいると考えた方が良い。ゴーレムは魔力を食べるが、人間そのものは食べないので、こうした後処理の掃除屋がいるんだ。」
「魔物も賢いのがいるんだな!」
ロックリザードの動きが出現したと同時に動きが止まった。
相棒のゴーレムが倒されているとは思わなかったのだろう。
それを見過ごすブレイドではないので、一気に接近してから首を刎ねて始末した。
ブレイドは剣に着いた血を払うと、僕に聞いて来た。
「ロックリザードって、喰えないのか?」
「喰えない事は無いが、体積の7割は岩だからな…喰える部位が少ないぞって、腹でも減ったんか?」
「あぁ、少しな…街中と違って外では満腹になる程食事は許されないからな、動きも鈍くなるし…」
「ロックリザードは食には向かないが、食に向いている魔物は他にもいる。他の冒険者達は見た目のグロさから敬遠するけどな。」
「山の魔物は結構戦っているが…見た目のグロさっていうと、スパイダーの類か?」
「いや、マウンテンキャンサーだ。奴等は岩塩が取れる場所にいるから、調味料と食材が揃っていて都合がいい。」
「マウンテンキャンサーか、確かに見た目がグロいが…あれ喰えるのか?」
「塩茹でして甲羅が赤くなると食べ頃だぞ!足の肉が結構美味いんだ。」
それを聞いたブレイドは腹が鳴っていた。
僕は空間魔法から干し肉を取り出してブレイドに投げて渡した。
「満腹も厄介だが、空腹も厄介だからな。それをやるから、小腹位満たしておけ!」
「すまん!」
ダーネリアとルーナリアを見ると、山道で少し疲れている風に見えた。
僕は空間魔法からチョコレートを取り出して2人に渡した。
小腹が満たせる上に、多少の疲れなら取れるからだ。
「周りを警戒してないで良いのですか?」
「ロックリザードはこの辺の縄張りを仕切っている奴だからな。他の魔物も居ない訳ではないが、少しくらいなら平気だろう。」
「これ、甘くておいしいですね。どこで売っているんですか?」
「母さんの手作りだよ。家の裏の畑にはカックォの実が実っているからね。旅のお供に重宝すると言って、結構遠方の冒険者が買って行くんだ。」
「お母様の…感謝して食べます!」
まだ山の中腹でこんな感じだとすると、山頂付近では結構激しい戦闘になるだろうな?
このギャルクラド山にドラゴンとかはいないだろうが、代わりに結構厄介な奴がいて冒険者が苦戦しているが…僕等なら大丈夫だと思うが?
「さて、そろそろ出発するぞ!今日中には山を越える為にな!」
「あぁ!」「「はい!」」
僕の言葉がフラグになったのか、その結構厄介な奴と出くわす事になる。
そして、ブレイドに関係する厄介事も一緒に…。
果たして無事に山を越える事が出来るのだろうか?
~~~~~~~~~~
更新予定は、アノマロカリスの日記帳に書いている場合もあります。
基本的には僕の日常が描かれている日記です。
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