23 / 65
第一章
あとがき
しおりを挟む最近のピエールさんはすっかりうちの屋敷の執事みたいな感じになっているので、ロッカーラの宮廷に赴く際の衣装や宿の手配とか、全てお任せだ。
リアーヌ様にアネットさん経由で、ロッカーラの宮廷に招待されたと報告すると。
「貴族に取り立てる、などと言われても軽々しく受けてはなりませんよ。まず我が国の貴族になるのが先です」
と良く分からない忠告をいただいた。
一応、僕らはまだロッカーラ連合王国の首都ポルツィアに向かって移動中ということになっているので、日程はそれっぽく調整し、3日後にポルツィアに<簡易転移門>で飛んで、宿に泊まることに決まった。
今回の宮廷に行くのは、僕、師匠、アネットさん、護衛としてハンターモードのナナさんとセラフィン君、となった。ピエールさんも僕らの世話係としてついて来てくれる。
ジルベール隊長は「勘弁してくれ」と言うので、お留守番だ。
そして今日、”門”を開きポルツィアにやってきた。
「おー!これがロッカーラの首都ポルツィアか。何かお洒落な町並みだね」
おまけでついてきたポリーヌさんが辺りを見回してはしゃいでいる。
宮廷には行かないけど、ポルツィアで観光したいと言って、ポリーヌさんにニコレットさん、ジルベール隊長もついてきてしまったのだ。
宿は既にピエールさんが手配してくれているので、僕らは少し街をぶらついてから宿へ向かう。
翌日の昼過ぎに宮廷から迎えの馬車がやってきた。これは異例の事らしい。普通は自前の馬車で宮廷に向かうからね。
宿の前に立派な馬車が停まり、周囲の人々の注目を集めていた。
着替えて準備していた僕らはそのまま乗り込み、首都の中心にそびえる王城へと向かった。
城の東門から入り、直接宮廷へと案内された。
どうやら、国としての公式なものではなく、王家による私的な招待だったようだ。
そう言えば、招待状にはディポーリ王家の名前しかなかったな。
このロッカーラは4つの王国が合併してできた国であり、4つの王家が存在する。今回僕らを招待したのがそのうちの一つであるディポーリ王家と言うわけだ。
我が国だと公爵に相当する身分になるのかな。
応接室に通され、お茶を飲みつつ待っていると、扉が開き雅なお方が入ってきた。
僕らは立って礼をする。
「楽にしてくれ。私がディポーリ王家当主のアントーニ4世だ。招待に応じてくれてありがとう」
そう言って右手を差し出した。師匠が握手を交わしながら挨拶する。
「サンテイユ王国の魔術師ライナス・エルウッドと申します。お目にかかれて光栄です。こちらが弟子のテオでございます」
続いて僕が挨拶し、ソファに座る。
「幽霊城の事についてはどれほどの言葉を尽くしても足りない程、感謝している。聞いたことがあるだろう。あの幽霊城は元々ディポーリ王国の首都だったと。祖先のしでかした過ちに対して子孫の私たちが何も対策を取れなかったのは不甲斐ない限りだ」
そう言うと、他言無用との前置きで、祖先があそこで何をやったのかを告白し始めた。
◇◆◇
当時の国王には溺愛する側室がいたそうだ。しかしその側室が不慮の事故で死亡すると、国王は嘆き悲しみ国力のすべてをつぎ込み、死者蘇生を実現するよう命じた。
国王にとっては幸運なことに、しかし、その他全ての者にとっては不幸なことに、王国の魔法研究所には、不死系魔物のゾンビの作成に成功したという魔術師が在籍していた。
ジャンカールロ・ブランディという青年だ。
国王の臣下たちは窮余の策として、彼に死者蘇生と称してその秘術を実施するよう命じる。
ジャンカールロは当然反対するが、聞き届けられず、側室の死体に対してゾンビ作成の術式を”復活の儀式”と偽って実行する、その指揮を執らされた。
だが、出来上がったのは当然ながら理性の無いゾンビだ。
なお、ジャンカールロは身の危険を感じ、儀式の前日に行方をくらませていた。
国王はこの結果に満足せず、より大規模な儀式を実施するよう命じる。流石に諫めようとした忠臣もいたのだが、無残に斬り捨てられ、国王の暴走はもはや誰にも止められなかった。
ジャンカールロ不在の中、後を引き継いだ魔術師の指示によって王都中に儀式用の木の板が配布され、建物の壁に設置されていく。
ゾンビはやがて知性を持ち、言葉を話し始め、国王は大いに喜んだ。
しかし、人格は以前とは全く別人で、男とも女とも言えず、年寄とも若者とも言えない奇妙な性格になっていたという。
その頃から、王都のあちこちでゾンビやスケルトンと言った不死系魔物が突然街中に出現する事件が多発するようになり、死傷者が出始める。
やがて、病死した患者が息を引き取ったその場でゾンビとして起き上がる様を目の当たりにするに至り、王都は大混乱に陥る。
人々は対策を求めて王城に殺到するが、城門は固く閉ざされており中からは何の応答も無かった。
命からがら王都から脱出した者たちの証言によれば、瞬く間に不死系魔物が街に溢れかえり、住民は次々に殺され、その死体がそのままゾンビとなって襲い掛かってきたという。
当時、成人したばかりの第二王子が隣国に留学しており、この災厄を逃れていた。
その子孫が、アントーニ4世だ。
なので、当時の様子は脱出してきた住民たちと、後年発見された魔術師ジャンカールロの残した手記によって判明した内容となる。
正確なことを知るはずの王城の人々は、その後の捜索で一人も発見できなかった。
◇◆◇
あまりに酷い過去の話に言葉を失っていると、ディポーリ王様は一冊の古びた羊皮紙の束をテーブルに乗せた。
「これが魔術師ジャンカールロの手記だ。私たちには過去の過ちを戒める意味しかないが、専門家の貴公たちであれば何か有用な知見が得られるのではないか。門外不出なのだが、この場で目を通す事を許そう」
そう言う事であれば、読ませてもらおう。
手記を師匠と一緒に読んだ。師匠はあっという間に読み終わったみたいだけど、僕は文字を目で追って行った。
師匠が<念話>で話しかけてきた。
『やれやれ。一国の王たる者が女に現を抜かし、死者蘇生などと言うバカげた夢物語に手を出して国を滅ぼすとは。巻き込まれた住民たちには同情するな』
師匠はあきれ顔だ。
『あのお堀のお呪いを仕掛けたのがこのジャンカールロだったんですね。魔道具を作り上げ、決死隊を編成してやり遂げたのか。国王の暴走を止められなかったのは彼のせいじゃないのに』
僕は権力と言うものの厄介さに眉をしかめていたが、師匠は腕を組んで鼻を鳴らす。
『不甲斐ない奴だ。儂ならたとえ国王だろうがぶん殴って止めるぞ』
確かに、師匠ならやりかねない。
手記からは色々と情報が得られた。お堀の底にあった魔道具の仕組みや、お呪いの原理に関する考察や元ネタの情報源など、結構有用なものが記されていた。
それと、蘇生の儀式と称してお呪いを施した場所が、城の3階南に面した部屋だったことも判明した。恐らく、そこが”城悪霊”の中心となっているはずだ。ある程度弱らせたら、そこを攻撃すると良いかもしれない。
僕もあらかた読み終えたので、ディポーリ王様にお礼を言って手記をお返しした。
「何か分かったかね」
ディポーリ王様が尋ねてきたので、師匠が答える。
「ええ、いくつか重要な情報がありました。我々の行った対処が正しかったことの確証が得られましたよ」
「そうか。それは何よりだ」
そう言って一息つくと、話題が変わる。
「このような事情があるため、幽霊城の真相については世間には秘匿する方針になっている。今回の件も世間には、不死系魔物が一掃され脅威は取り除かれたこと、あの一帯が国の管理下に置かれ、引き続き立ち入り禁止であることが周知される予定だ」
まあ、真実を知らせても世の中が混乱するだけだから、その対応は頷ける。
「そのため、貴公らの功績に対して表立って褒賞を与えることが難しいのだ。本来であれば、騎士爵を与え貴族に取り立てる程の功績だと考えている。そのことは伝えておきたい」
ディポーリ王様は申し訳なさそうにそう続けた。
「いえ、民に無用の混乱を与えぬためには必要な事と理解いたします」
師匠が穏やかにそう答えると、ディポーリ王様は表情をやわらげた。
危ない危ない。リアーヌ様が懸念していた通り、貴族にされる所だった。
その後、非公表で褒賞は出してくれること、この後晩餐会に参加して欲しい事、などを話してディポーリ王様は退室して行った。
僕は深呼吸して体の緊張を解いた。
はあ、王侯貴族を相手にするのは疲れるよ。
リアーヌ様にアネットさん経由で、ロッカーラの宮廷に招待されたと報告すると。
「貴族に取り立てる、などと言われても軽々しく受けてはなりませんよ。まず我が国の貴族になるのが先です」
と良く分からない忠告をいただいた。
一応、僕らはまだロッカーラ連合王国の首都ポルツィアに向かって移動中ということになっているので、日程はそれっぽく調整し、3日後にポルツィアに<簡易転移門>で飛んで、宿に泊まることに決まった。
今回の宮廷に行くのは、僕、師匠、アネットさん、護衛としてハンターモードのナナさんとセラフィン君、となった。ピエールさんも僕らの世話係としてついて来てくれる。
ジルベール隊長は「勘弁してくれ」と言うので、お留守番だ。
そして今日、”門”を開きポルツィアにやってきた。
「おー!これがロッカーラの首都ポルツィアか。何かお洒落な町並みだね」
おまけでついてきたポリーヌさんが辺りを見回してはしゃいでいる。
宮廷には行かないけど、ポルツィアで観光したいと言って、ポリーヌさんにニコレットさん、ジルベール隊長もついてきてしまったのだ。
宿は既にピエールさんが手配してくれているので、僕らは少し街をぶらついてから宿へ向かう。
翌日の昼過ぎに宮廷から迎えの馬車がやってきた。これは異例の事らしい。普通は自前の馬車で宮廷に向かうからね。
宿の前に立派な馬車が停まり、周囲の人々の注目を集めていた。
着替えて準備していた僕らはそのまま乗り込み、首都の中心にそびえる王城へと向かった。
城の東門から入り、直接宮廷へと案内された。
どうやら、国としての公式なものではなく、王家による私的な招待だったようだ。
そう言えば、招待状にはディポーリ王家の名前しかなかったな。
このロッカーラは4つの王国が合併してできた国であり、4つの王家が存在する。今回僕らを招待したのがそのうちの一つであるディポーリ王家と言うわけだ。
我が国だと公爵に相当する身分になるのかな。
応接室に通され、お茶を飲みつつ待っていると、扉が開き雅なお方が入ってきた。
僕らは立って礼をする。
「楽にしてくれ。私がディポーリ王家当主のアントーニ4世だ。招待に応じてくれてありがとう」
そう言って右手を差し出した。師匠が握手を交わしながら挨拶する。
「サンテイユ王国の魔術師ライナス・エルウッドと申します。お目にかかれて光栄です。こちらが弟子のテオでございます」
続いて僕が挨拶し、ソファに座る。
「幽霊城の事についてはどれほどの言葉を尽くしても足りない程、感謝している。聞いたことがあるだろう。あの幽霊城は元々ディポーリ王国の首都だったと。祖先のしでかした過ちに対して子孫の私たちが何も対策を取れなかったのは不甲斐ない限りだ」
そう言うと、他言無用との前置きで、祖先があそこで何をやったのかを告白し始めた。
◇◆◇
当時の国王には溺愛する側室がいたそうだ。しかしその側室が不慮の事故で死亡すると、国王は嘆き悲しみ国力のすべてをつぎ込み、死者蘇生を実現するよう命じた。
国王にとっては幸運なことに、しかし、その他全ての者にとっては不幸なことに、王国の魔法研究所には、不死系魔物のゾンビの作成に成功したという魔術師が在籍していた。
ジャンカールロ・ブランディという青年だ。
国王の臣下たちは窮余の策として、彼に死者蘇生と称してその秘術を実施するよう命じる。
ジャンカールロは当然反対するが、聞き届けられず、側室の死体に対してゾンビ作成の術式を”復活の儀式”と偽って実行する、その指揮を執らされた。
だが、出来上がったのは当然ながら理性の無いゾンビだ。
なお、ジャンカールロは身の危険を感じ、儀式の前日に行方をくらませていた。
国王はこの結果に満足せず、より大規模な儀式を実施するよう命じる。流石に諫めようとした忠臣もいたのだが、無残に斬り捨てられ、国王の暴走はもはや誰にも止められなかった。
ジャンカールロ不在の中、後を引き継いだ魔術師の指示によって王都中に儀式用の木の板が配布され、建物の壁に設置されていく。
ゾンビはやがて知性を持ち、言葉を話し始め、国王は大いに喜んだ。
しかし、人格は以前とは全く別人で、男とも女とも言えず、年寄とも若者とも言えない奇妙な性格になっていたという。
その頃から、王都のあちこちでゾンビやスケルトンと言った不死系魔物が突然街中に出現する事件が多発するようになり、死傷者が出始める。
やがて、病死した患者が息を引き取ったその場でゾンビとして起き上がる様を目の当たりにするに至り、王都は大混乱に陥る。
人々は対策を求めて王城に殺到するが、城門は固く閉ざされており中からは何の応答も無かった。
命からがら王都から脱出した者たちの証言によれば、瞬く間に不死系魔物が街に溢れかえり、住民は次々に殺され、その死体がそのままゾンビとなって襲い掛かってきたという。
当時、成人したばかりの第二王子が隣国に留学しており、この災厄を逃れていた。
その子孫が、アントーニ4世だ。
なので、当時の様子は脱出してきた住民たちと、後年発見された魔術師ジャンカールロの残した手記によって判明した内容となる。
正確なことを知るはずの王城の人々は、その後の捜索で一人も発見できなかった。
◇◆◇
あまりに酷い過去の話に言葉を失っていると、ディポーリ王様は一冊の古びた羊皮紙の束をテーブルに乗せた。
「これが魔術師ジャンカールロの手記だ。私たちには過去の過ちを戒める意味しかないが、専門家の貴公たちであれば何か有用な知見が得られるのではないか。門外不出なのだが、この場で目を通す事を許そう」
そう言う事であれば、読ませてもらおう。
手記を師匠と一緒に読んだ。師匠はあっという間に読み終わったみたいだけど、僕は文字を目で追って行った。
師匠が<念話>で話しかけてきた。
『やれやれ。一国の王たる者が女に現を抜かし、死者蘇生などと言うバカげた夢物語に手を出して国を滅ぼすとは。巻き込まれた住民たちには同情するな』
師匠はあきれ顔だ。
『あのお堀のお呪いを仕掛けたのがこのジャンカールロだったんですね。魔道具を作り上げ、決死隊を編成してやり遂げたのか。国王の暴走を止められなかったのは彼のせいじゃないのに』
僕は権力と言うものの厄介さに眉をしかめていたが、師匠は腕を組んで鼻を鳴らす。
『不甲斐ない奴だ。儂ならたとえ国王だろうがぶん殴って止めるぞ』
確かに、師匠ならやりかねない。
手記からは色々と情報が得られた。お堀の底にあった魔道具の仕組みや、お呪いの原理に関する考察や元ネタの情報源など、結構有用なものが記されていた。
それと、蘇生の儀式と称してお呪いを施した場所が、城の3階南に面した部屋だったことも判明した。恐らく、そこが”城悪霊”の中心となっているはずだ。ある程度弱らせたら、そこを攻撃すると良いかもしれない。
僕もあらかた読み終えたので、ディポーリ王様にお礼を言って手記をお返しした。
「何か分かったかね」
ディポーリ王様が尋ねてきたので、師匠が答える。
「ええ、いくつか重要な情報がありました。我々の行った対処が正しかったことの確証が得られましたよ」
「そうか。それは何よりだ」
そう言って一息つくと、話題が変わる。
「このような事情があるため、幽霊城の真相については世間には秘匿する方針になっている。今回の件も世間には、不死系魔物が一掃され脅威は取り除かれたこと、あの一帯が国の管理下に置かれ、引き続き立ち入り禁止であることが周知される予定だ」
まあ、真実を知らせても世の中が混乱するだけだから、その対応は頷ける。
「そのため、貴公らの功績に対して表立って褒賞を与えることが難しいのだ。本来であれば、騎士爵を与え貴族に取り立てる程の功績だと考えている。そのことは伝えておきたい」
ディポーリ王様は申し訳なさそうにそう続けた。
「いえ、民に無用の混乱を与えぬためには必要な事と理解いたします」
師匠が穏やかにそう答えると、ディポーリ王様は表情をやわらげた。
危ない危ない。リアーヌ様が懸念していた通り、貴族にされる所だった。
その後、非公表で褒賞は出してくれること、この後晩餐会に参加して欲しい事、などを話してディポーリ王様は退室して行った。
僕は深呼吸して体の緊張を解いた。
はあ、王侯貴族を相手にするのは疲れるよ。
15
お気に入りに追加
1,957
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』
見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装…
俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。
突然の事で戸惑うクラスメート達…
だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。
「またか…」
王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。
そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。
そして俺はというと…?
『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』
「それよりも不知火君は何を得たんだ?」
イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。
俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。
その場にいた者達は、俺の加護を見ると…
「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。
『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』
王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。
まぁ、その方が気楽で良い。
そして正義は、リーダーとして皆に言った。
「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」
正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。
「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」
「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」
「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」
「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」
「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」
「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」
「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」
俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。
「その…鎧と剣は?」
「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」
「今迄って…今回が2回目では無いのか?」
「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」
俺はうんざりしながら答えた。
そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。
いずれの世界も救って来た。
そして今度の世界は…?
6月22日
HOTランキングで6位になりました!
6月23日
HOTランキングで4位になりました!
昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°.
6月24日
HOTランキングで2位になりました!
皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。
アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。
それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。
するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。
それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき…
遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。
……とまぁ、ここまでは良くある話。
僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき…
遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。
「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」
それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。
なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…?
2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。
皆様お陰です、有り難う御座います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる